へレニウムは属の中に約39種がありますが、一般に園芸で親しまれている種は幾つかの種とその園芸品種です。例えば、園芸品種が豊富で筒状花が団子のような丸みを帯びて個性的な花姿をつくるダンゴギク、葉が糸状に細く繊細な草姿をしているマツバハルシャギク、またその他の雑種の園芸品種などが親しまれています。
へレニウム属の種ごとの育て方は写真か育て方をクリックすると出てくる為よかったらそちらをご覧下さい!
このページでは主な種の種類と特徴、園芸品種の種類と特徴を紹介しています。
へレニウムの主な種の目次
ダンゴギクの特徴や園芸品種
- 原産:北アメリカ
- 学名:Helenium autumnale
- 草丈:約50~130cm
- 分類:多年草(宿根草)
- 開花時期:8月~10月
- 花色:赤色●桃色●橙色●黄色●
- 葉色:緑色●
- 耐暑性:強い
- 耐寒性:強い
- 誕生花:9月28日/10月2日
- 花言葉:寛容/上機嫌/派手/恋の望み
- 用途:背が高い花/切り花
ダンゴギクとは!?
ダンゴギクは学名Helenium autumnale、別名では「へレニウム・オータムナーレ」や「コモン・スニーズウィード(common sneezeweed)」とも呼ばれる北アメリカ原産の多年草です。
ダンゴギクの語源(由来)
- 属名のHeleniumはギリシャ語の「helenion」に由来しており、helenionは恐らく世界で最も美しいとも言われるギリシャ神話に出てくる女性の「Helen of Troy」に因むと言われています。
- 種小名のautumnaleはラテン語で「秋の」を意味しており、秋に花が咲く事に由来します。
- ダンゴギクの由来は花中央の筒状花だが団子のようにみえることからきています。
ダンゴギクの特徴(魅力)
- ダンゴギクは花の中央に団子を思わせる様な丸い突起がある個性的な花姿をしている所と、遠くからでも目をひく色鮮やかな花色がある所が魅力の多年草(宿根草)です。
- 花は茎の上部で枝分かれして円錐状に沢山の花が咲きます。
- 一個一個の花は頭花で舌状花と筒状花で構成されています。
- 花の中央には約200~800個の沢山の小花(筒状花)が集まり団子の様な個性的な外観をつくります。
- 個性的で色鮮やかな花は切り花として利用される事もあり日持ちは管理方法でもかわりますが約5~7日です。
- ダンゴギクの葉を乾燥させたものが以前は嗅ぎタバコとして利用されていた経緯があり、吸うとくしゃみが発生することから英名sneeze(くしゃみ)weed(雑草)と呼ばれています。
- またくしゃみを発生させる事で体から悪霊を追い払う事ができると信じられていました。
- 草姿は叢生型で地面から沢山の垂直に伸びる茎が出てきます。
- 茎は直立に約100~130cmまで伸びるため花壇の中で立体感を出したり背景等に利用するのにおすすめです。
- 茎には扁平な葉っぱの様な翼がつくため個性的な外観をしています。
- ダンゴギクは宿根草のため冬になると地上部が枯れますが春になると地面から沢山の芽が出てきて再度成長を始めます。
- 基本的に丈夫ですが乾燥を苦手にしているため育てる際は注意が必要です。
ダンゴギクは草丈が約50(~130)cm、草姿は叢生型(根元から多くの茎が出る)、茎は直立して上部で分枝します。茎の色は緑色、扁平な翼があります。葉序は互生葉序、葉色は緑色、毛が密に生えており、葉身は披針形もしくは狭楕円形、縁部分に鋸歯があります。花序は頭状円錐花序、頭状円錐花序は頭花と円錐花序が組み合わさる複合花序です。頭花は直径約2(~5)cm、頭花は約8(~21)個の舌状花と約200(~800)個の筒状花で構成されています。果実は痩果(果実は成熟すると乾燥して裂開せず、中に1個の種子を包みます)です。種子は褐色で冠毛があります。
ダンゴギクの切り花の楽しみ方
- ダンゴギクの収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 水揚げは水切りを行いましょう。
- 水揚げ後は花瓶に生けて飾ります。
- 管理場所は出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)に置くと日持ちがよくなります。
- 管理は必要に応じて数日ごとに水切りを行い、水換えも同時に行いましょう。
- 日持ちは管理の方法でも左右されますが5~7日程度です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
ダンゴギクの園芸品種の紹介
- フエゴ(helenium autumnale ‘fuego’)は赤色(橙色)と黄色の2色の花色が暑い太陽を連想させる魅力的な園芸品種です。花は花弁の基部と縁部分に黄色の班が入り、中央が赤色(橙色)をしています。草丈は50cm程度とあまり背が高くなりません。
- バターパット(helenium autumnale ‘Butterpat)は「バター(の一片)」を連想させる様な鮮やかな黄色の花色が魅力の園芸品種です。花は中央部の筒状花まで黄色いため、最高に明るく開放的な雰囲気をつくります。草丈は約120cmまで垂直に伸びるため、花壇の中で立体感を出したり背景等に利用するのにおすすめです。
- タイダイ(helenium autumnale ‘tie dye’)は花弁が内側に緩く巻き筒状の形になる所と、花弁の表面(黄色)と裏面(赤橙色・桃色)で花色が違うためツートンカラーの花が楽しめる所などが魅力の園芸品種です。草丈は約80cmまで垂直に伸びるため、花壇の中で立体感を出したり背景等に利用するのにおすすめです。
- ブルーノ(helenium autumnale ‘Bruno’)は上品な赤ワインやお洒落な口紅の色を連想させる濃い赤色の花が魅力の園芸品種です。濃い赤色の花は華やかでありながら円熟して落ち着いた雰囲気があるため、エレガントで気品のあるお庭や、独特な世界観のあるミステリアスなお庭などによくあうでしょう。
- ダブルトラブル(helenium autumnale ‘Double Trouble)は一般的なダンゴギクと比べて花弁が多く何段にも黄色の花弁が重なり半八重咲きする華やかな花姿が魅力の園芸品種です。また花は中央部の筒状花まだ黄色(黄緑色)のため最高に明るく開放的な雰囲気をつくります。草丈は約80~120cmまで垂直に伸びるため、花壇の中で立体感を出したり背景等に利用するのにおすすめです。
- モアハイムビューティ(helenium autumnale ‘Moerheim Beauty)は晩夏から晩秋まで長く開花する所と、赤橙色の鮮やかな花色が魅力の園芸品種です。草丈は約80~120cmまで垂直に伸びるため、花壇の中で立体感を出したり背景等に利用するのにおすすめです。
- サルサ(helenium autumnale ‘salsa’)は一般的なヘレニウムと比べて背が低く高さが約50cmまでしか成長しないため鉢植え等でも育てやすく、また色鮮やかな赤色(~赤橙色)の花色が南国の暖かさと開放感を感じさせる魅力的な園芸品種です。
- ヘレナ・レッドシェイズ(helenium autumnale ‘helena red shades’)は花弁の縁部分に黄色の覆輪が入り、濃い赤色と黄色の2色のカラフルな花色が楽しめる魅力的な園芸品種です。草丈は約80~120cmまで垂直に伸びるため、花壇の中で立体感を出したり背景等に利用するのにおすすめです。
マツバハルシャギクの特徴や園芸品種
- 原産:北アメリカ
- 学名:Helenium amarum
- 草丈:約50~130cm
- 分類:多年草(宿根草)
- 開花時期:7月~10月
- 花色:黄色●
- 葉色:緑色●
- 耐暑性:強い
- 耐寒性:強い
- 誕生花:9月28日/10月2日
- 花言葉:寛容/上機嫌/派手/恋の望み
- 用途:切り花
マツバハルシャギクとは!?
マツバハルシャギクは学名Helenium amarum、別名では「へレニウム・アマルム」や「イエロー・スニーズウィード(yellow sneezeweed)」とも呼ばれる北アメリカ原産の一年草です。
マツバハルシャギクの語源(由来)
- 属名のHeleniumはギリシャ語の「helenion」に由来しており、helenionは恐らく世界で最も美しいとも言われるギリシャ神話に出てくる女性の「Helen of Troy」に因むと言われています。
- 種小名のamarumはラテン語で「苦い」「不快な」を意味しています。
- マツバハルシャギクの由来は細い葉が束生する「松(マツ)の葉」と似ており、また草姿が「ハルシャギク」に似ている所からきています。
マツバハルシャギクの特徴(魅力)
- マツバハルシャギクは葉が非常に細く糸状もしくは線形をしているため、光や風をよく通しレースを思わせる様な柔らかで繊細な外観をつくります。
- 花は直径が約1.2cmあり中央に団子を思わせる様な丸い突起がある個性的な花姿をしています。
- 花は頭花で舌状花と筒状花で構成されていて、1つの花には舌状花が8~10個、筒状花が約250個集まっています。
- 個性的で色鮮やかな花は切り花として利用される事もあり日持ちは管理方法でもかわりますが約5~7日です。
- マツバハルシャギクは強い匂いと苦味があり全草が有毒なため人および家畜が食べる事は出来ません。
- 食べると胃の不調や神経障害などを引き起こす可能性があります。
マツバハルシャギクは草丈が約50(~130)cm、草姿は直立して上部で分枝します。葉序は互生葉序(しばしば束生)、葉色は緑色、葉身の長さ約8cm、葉身は線形(稀に下部の葉が卵形)です。花序は頭状花序、頭状花序は直径約0.5(~1.2)cm、頭花は約8(~10)個の舌状花と約250個の筒状花で構成されています。果実は痩果(果実は成熟すると乾燥して裂開せず、中に1個の種子を包みます)です。種子は褐色で冠毛があります。
マツバハルシャギクの切り花の楽しみ方
- マツバハルシャギクの収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 水揚げは水切りを行いましょう。
- 水揚げ後は花瓶に生けて飾ります。
- 管理場所は出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)に置くと日持ちがよくなります。
- 管理は必要に応じて数日ごとに水切りを行い、水換えも同時に行いましょう。
- 日持ちは管理の方法でも左右されますが5~7日程度です。
水切り
水切りとは茎の根元を水の中に浸けた状態で、茎の根元から上に約1~5cmの部分でハサミを使い斜めにカットして、吸水面を広げる水揚げ方法です。水切りを行う目的は「細菌」「空気」「その他」が原因で茎が詰まり水揚げが悪くなってる部分を、水の中で切り戻して正常な状態に戻し水揚げを改善する事です。水切りは水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。
マツバハルシャギクの園芸品種の紹介
へレニウム・フーペシーの特徴や園芸品種
- 原産:北アメリカ
- 学名:Helenium hoopesii(Hymenoxys hoopesii)
- 草丈:約50~100cm
- 分類:多年草
- 開花時期:7月~9月
- 花色:橙色●黄色●
- 葉色:緑色●
- 耐暑性:強い
- 耐寒性:強い
- 用途:切り花
へレニウム・フーペシーとは!?
へレニウム・フーペシーは学名Helenium hoopesii(Hymenoxys hoopesii)、別名では「アウルズ・クロウ(owl’s claws)」や「オレンジ・スニーズウィード(orange sneezeweed)」とも呼ばれる北アメリカ原産の多年草です。
へレニウム・フーペシーの語源(由来)
- 属名のHeleniumはギリシャ語の「helenion」に由来しており、helenionは恐らく世界で最も美しいとも言われるギリシャ神話に出てくる女性の「Helen of Troy」に因むと言われています。
へレニウム・フーペシーの特徴(魅力)
- へレニウム・フーペシーは多くのへレニウムよりも早く開花がはじまります。
- 花の大きさは直径が約7.5cmあり舌状花と筒状花で構成される頭花です。
- 花弁は1つの花に14~26個ついており、不規則に捻れ下垂する傾向があります。
- 花の中央には筒状花が約100~325個集まり団子のような個性的な外観をつくります。
- 花は切り花として利用される事もあり日持ちは管理方法でもかわりますが約5~7日です。
- へレニウム・フーペシーの茎は白色の毛が密生するため白緑色の外観をしています。
- へレニウム・フーペシーは宿根草のため冬になると地上部が枯れますが春になると地面から沢山の芽が出てきて再度成長を始めます。
- 基本的に丈夫ですが乾燥を苦手にしているため育てる際は注意が必要です。
へレニウム・フーペシーは草丈が約50(~100)cm、草姿は叢生型(根元から多くの茎が出る)、茎は直立します。茎の色は緑色で白色の毛が密生するため白緑色の外観となります。葉序は互生葉序、葉色は緑色、葉身はヘラ形です。花序は頭状複散房花序、頭状複散房花序は頭花と複散房花序が組み合わさる複合花序です。頭花は直径約7.5cm、頭花は約14(~26)個の舌状花(不規則に捻れ下垂する傾向が高い)と約100(~325)個の筒状花で構成されています。果実は痩果(果実は成熟すると乾燥して裂開せず、中に1個の種子を包みます)です。
へレニウム・フーペシーの切り花の楽しみ方
- へレニウム・フーペシーの収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 水揚げは水切りを行いましょう。
- 水揚げ後は花瓶に生けて飾ります。
- 管理場所は出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)に置くと日持ちがよくなります。
- 管理は必要に応じて数日ごとに水切りを行い、水換えも同時に行いましょう。
- 日持ちは管理の方法でも左右されますが5~7日程度です。
その他の種や園芸品種
- へレニウム・チェルシーは唐辛子を連想させる様な鮮やかな赤橙色の花色と、高さ80cmまでの茎が何本も伸びて叢生する草姿が魅力の園芸品種です。花は赤橙色の花弁の縁部分に黄色の班が入り、花中央部には筒状花が集まり団子の様な外観をつくります。
- へレニウム・ゴールドラッシュは色鮮やかな黄色の花弁と、ブロンズ色の団子の様な筒状花の集まりが明るい印象を与える魅力的な園芸品種です。鮮やかな黄色の花は、明るく開放的な気分にさせたり、爽やかでポジティブな印象を与えたりします。そのため気分を向上させるような明るいお庭や、赤色や青色等の複数の花を組み合わせてつくるカラフルなお庭などにおすすめです。また草姿は直立して高さ約110cmまで成長するため、花壇の中で立体感を出したり背景等に利用するのにおすすめです。
- へレニウム・ベティは花弁が内側に緩く巻くことから花弁が筒状になる所が特徴で、また花弁の表面(黄色)と裏面(赤橙色・桃色)で花色が違うためツートンカラーの花色が楽しめる魅力的な園芸品種です。赤橙色の花は、スパイスの効いた刺激的な印象を与えたり、南国の完熟した甘いフルーツなどを連想させます。そのため、南国をイメージさせる様なカジュアルで温かみのあるお庭や、アジアンリゾートを連想させる様な官能的で刺激的なお庭などに合うかもしれません。また草姿は直立して高さ約70cmまで成長するため、花壇の中で立体感を出したり背景等に利用するのにおすすめです。
- へレニウム・ロトゴールドは赤色と黄色のツートンカラーの花色が魅力の園芸品種です。花はふつう基部が赤色で外側が黄色をしていますが、環境(暑さ等)により不規則な花色になります。草姿は直立して高さ約90~120cmまで成長するため、花壇の中で立体感を出したり背景等に利用するのにおすすめです。
- へレニウム・エルドラドは花の直径が大きく約6~8cmあり、また色鮮やかな黄色の花弁と、ブロンズ色の団子の様な筒状花の集まりが明るい印象を与える魅力的な園芸品種です。