- 原産:北アメリカ
- 科:シソ(Lamiaceae)
- 属:モナルダ/ヤグルマハッカ(Monarda)
- 種:ヤグルマハッカ/フィスツローサ(fistulosa)
別名:モナルダ・フィスツローサ/ビーバーム(bee balm)/ワイルド・ベルガモット(wild bergamot) - 開花時期:6月~8月
- 花の色:紫色●白色〇
- 葉の色:緑色●
- 香り:花・葉
分類:多年草
草丈:60~90cm
草姿:直立
誕生花:7月18日/8月14日
花言葉:燃えるような恋/感受性豊か/安らぎ - 用途:背が高い花/香りが良い/切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ヤグルマハッカ(ビーバーム)とは!?
ヤグルマハッカ(ビーバーム)は学名Monarda fistulosa、単にビーバームと呼ばれる場合はモナルダ属全体もしくはヤグルマハッカ種(Monarda fistulosa)をさしている事が多く、別名「モナルダ・フィスツローサ」や「ワイルド・ベルガモット」とも呼ばれる北アメリカ原産の多年草です。
ヤグルマハッカ(ビーバーム)の語源(由来)
- 属名のMonardaは、スペイン人の医師で植物学者のニコラス・モナルデス(Nicholas Monardes)への献名です。
- 種小名のfistulosaは「管状」を意味しており、長い筒状の花に由来しています。
- 英名のビーバーム(beebalm)の由来は、蜜蜂が豊富な蜜のある花(モナルダ)に引き寄せられる事からきています。
ヤグルマハッカ(ビーバーム)の特徴(魅力)
- ヤグルマハッカ(ビーバーム)は夏に開花する花を鑑賞する目的で育てられたり、養蜂家が蜜源として利用したり、薬用植物として利用したりする目的で育てる植物です。
- ヤグルマハッカ(ビーバーム)は地面下に根茎があり、徐々に広がる事で群生をつくります。
- 茎は直立して最大90cmまで伸びるため花壇の中で立体感を出したり背景等に利用するのにおすすめです。
- 花は筒状(唇形花)の小花が茎の上部で20~50個集まり直径約5~10cmの花を咲かせます。
- 開花期(6月~9月)になると花蜜を求めて蜜蜂が花の周りを元気に飛び回り、唇形の花の中に頭を突っ込む蜜蜂の可愛らしい姿を観察する事が出来ます。
- ヤグルマハッカ(ビーバーム)の英名のbeebalm(蜜蜂+香油)も花が蜜蜂を引き寄せる様子からついています。
- 花や葉には毛状突起があり、手で触ったりして壊すと「ミント」や「オレガノ」に似た強い香りが漂います。
- 花や葉に含まれる主な精油にはチモール・ゲラニオール・カルバクロール等があります。
- チモールは「薬」や「タイム」等に例えられる爽やかな香りがします。
- ゲラニオールは「柑橘類」や「レモン」等に例えられる爽やかで甘い香りがします。
- カルバクロールは「木の香り」「樟脳」等に例えられる香りがします。
- 香りは乾燥しても失われず、逆に強くなる傾向にあるためポプリの素材として人気です。
- ヤグルマハッカ(ビーバーム)はハーブティーとして楽しまれており、乾燥させた花や葉を急須の中に大さじ1入れ、15分程度蒸らし、蜂蜜を入れて飲まれます。
- 精油の中にはチモールが多く含有しており、チモールには「抗菌・抗真菌作用」「鎮痙作用」「抗炎症作用」「去痰作用」等の効果があります。
- お茶でうがいすると抗菌・抗真菌作用がある事から口内のバクテリアが退治され口の中の健康が保たれたりします。
- 精油の中にはチモールが多く含有しており、チモールには「抗菌・抗真菌作用」「鎮痙作用」「抗炎症作用」「去痰作用」等の効果があります。
- ヤグルマハッカ(ビーバーム)は丈夫で基本的に放ったらかしでも育ちます。
- ただしやや湿り気のある土壌を好み、乾燥を苦手にしているため育てる際は注意が必要です。
ヤグルマハッカ(ビーバーム)は草丈が約60(~90)cm、地下茎で広がり群生をつくり、茎は直立して上部で分枝します。茎の色は緑色もしくは赤みを帯び、断面は四角です。葉序は対生葉序、葉色は緑色、葉身の長さ5(~10)cm、葉身の形は卵形もしくは披針形、ふち部分に鋸歯があります。花序は頂生、頂生は茎の頂部に約20(~50)個の花が集まり、花は上向きに開花します。花序の下には襟巻きの様な苞葉があります。花は唇形花、唇形花は長さ約2.5(~4)cm、唇形花の色は紫色・白色があり、雄蕊2個、雌蕊1個があります。
ヤグルマハッカ(ビーバーム)の切り花の楽しみ方
- ヤグルマハッカ(ビーバーム)の収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 水揚げは水切りもしくは湯揚げを行いましょう。
- 水揚げ後は花瓶に生けて飾ります。
- 管理場所は出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)に置くと日持ちがよくなります。
- 管理は必要に応じて数日ごとに水切りを行い、水換えも同時に行いましょう。
- 日持ちは管理の方法でも左右されますが5~7日程度です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
湯揚げ法
湯揚げ法とは、切り花の切り口をお湯の中と冷水につけて、吸水を改善する水揚げ方法です。※水切りなどをしても、水揚げが上手くいかない場合等に行われます。
湯揚げは、導管内にある空気を熱で膨張させて外に押し出す効果があり、また熱のショックで一気に吸水する効果があります。またお湯で熱するため、切り口部分の雑菌が死滅して、微生物の影響が抑えられます。
湯揚げの方法
- お湯(約60~100度)と冷水を準備します。
- 切り花の花や葉が湯気で弱らないように、新聞紙で切り花を覆います。ただし、切り口の部分はお湯につけるため、茎の下部は新聞紙から出しておきましょう。
- 切り口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
- お湯(約60~100度)の中に切り口を付けて、切り口から空気が出てこなくなるのをまちます。お湯につける時間はおおよそ20~60秒です。
- お湯から切り花を出して、そのまま冷水の中に2時間程度浸けて水揚げします。
- 水揚げが終わったら必要に応じて水切りを行い花瓶に生けて楽しみます。
ヤグルマハッカ(ビーバーム)の園芸品種の紹介
モナルダの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
モナルダの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
ヤグルマハッカ(ビーバーム)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
ヤグルマハッカ(ビーバーム)は日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上あたる日向で育てる事が理想です。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。ただし日当たりの悪い環境で育てると茎が徒長したり花数が減ったりします。
作土層
ヤグルマハッカ(ビーバーム)がしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。深さ約30cmまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
ヤグルマハッカ(ビーバーム)は土質を選ばず育てる事が可能で、通気性がよければ幅広い土壌で育てる事が出来ます。ただし最もよく成長して、沢山の花を咲かせるのは通気性がよく有機物がしっかり入る肥沃な土壌のため、植え付け前にしっかり土壌診断を行い改善してから植え付けを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ヤグルマハッカ(ビーバーム)は日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上あたる日向で育てる事が理想です。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。ただし日当たりの悪い環境で育てると茎が徒長したり花数が減ったりします。
培養土
ヤグルマハッカ(ビーバーム)は一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
ヤグルマハッカ(ビーバーム)は湿り気のある土壌を好みます。乾燥にも比較的に耐えますが、生育は鈍くなるので注意が必要です。
水やりの頻度は環境(植える場所や土質)にも左右されますが、基本的には土の表面が乾いてきたタイミングで行うといいでしょう。乾燥を防ぐために腐葉土等でマルチングするのもおすすめです。
肥料の与え方
ヤグルマハッカ(ビーバーム)はある程度、有機物を含んだ肥沃な土壌であれば多くの肥料を必要としません。必要に応じて毎年晩冬から早春に1回、肥料(寒肥)と土質を改善する堆肥を与えましょう。
肥料の与えすぎは、葉が大きくなりすぎたり、花が少なくなったり、花が目立たなくなったりして、鑑賞価値が損なわれる可能性があります。そのため肥料の与え方には注意が必要です。
元肥(寒肥)
寒肥は元肥と同様に肥効が長い物を選びましょう。具体的には配合肥料や緩効性肥料を選びます。また肥料の成分も元肥と同様に水平型肥料(窒素・リン・カリがバランスよく入る)を選びます。
寒肥の施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か数cmの穴を掘り、その中に肥料を施すか、もしくは土の上に置き肥しましょう。
堆肥
堆肥は有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
堆肥の与え方
堆肥は寒肥を与える時期(初冬から晩冬の間)に一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って埋めましょう。
剪定のやり方
ヤグルマハッカ(ビーバーム)は剪定せずに育てる事も出来ますが、花がら摘みを行うことで株が弱ることを防いだり開花期間を延長する事が出来ます。また春からの健康な成長を促すため古い茎(枯れた茎)を切り戻す事も大切です。
花がら摘み(6月~9月)
ヤグルマハッカ(ビーバーム)は種を採らない場合は花がら摘みを行いましょう。何故なら枯れた花を残すと見た目が悪いばかりか、種の生成のためにエネルギーが使われて次の花の蕾にエネルギーが送られずに開花が進まなかったりするからです。開花を促進するため、必要に応じて花がら摘みを行いましょう。
花がら摘みのやり方は、花が終わったら茎を1/4ほど切り戻し剪定するだけです。
切り戻し剪定(10~11月・2~3月)
ヤグルマハッカ(ビーバーム)は冬に地上部が枯れるため、晩秋もしくは早春に切り戻しを行います。何故なら枯れた茎葉を取り除く事で、病気の持ち越しを防げたり、日当たりが改善されて春からの新しい成長(新芽)が促されたりするからです。
切り戻し剪定のやり方は、冬になると地上部が枯れるため、古い茎もしくは枯れた茎を根元付近で強く切り戻して取り除くだけです。
夏越しする方法
ヤグルマハッカ(ビーバーム)は夏の暑さに強い一方で、乾燥を苦手にしています。そのため、地植えしてる場合でも土の表面が乾燥してきたら水やりをしっかり行いましょう。特に鉢植えで育てている場合は、乾燥がより早くなるため注意が必要です。
冬越しする方法
Hardiness:3b~8a
ヤグルマハッカ(ビーバーム)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
ヤグルマハッカ(ビーバーム)は挿し木や株分けによって増やす事ができます。
ヤグルマハッカ(ビーバーム)の挿し木の方法
- ヤグルマハッカ(ビーバーム)の挿し木時期は晩春から初夏が適します。
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットしましょう。
- 挿し穂 の長さ約7~10cmにわけます。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を残します。
- 挿し穂の切り口を水の中に30分程浸けて水揚げを行います。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。
- 切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
ヤグルマハッカ(ビーバーム)の株分け手順
- 株分け時期は春もしくは秋が最適です。
- スコップを使い出来るだけ根が傷まないように慎重に株を掘りあげます。
- 根茎に数個の芽をつけるようにしてナイフやハサミ等を使い切り分けます。
- 株分けしたらそれぞれの株を植え直して水をたっぷり与えましょう。
播種で増やす
ヤグルマハッカ(ビーバーム)の種蒔の方法
播種時期:3月~4月
発芽適温:約20度
発芽日数:約14日~21日
光条件:
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。
- もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
ヤグルマハッカ(ビーバーム)の病気
- うどんこ病
- 灰色カビ病
ヤグルマハッカ(ビーバーム)の害虫
- アブラムシ
- ヨトウムシ