
- 原産:
- 科:シソ(Lamiaceae)
- 属:ラヴァンドラ(Lavandula)
- 種:インターメディア(Lavandula × intermedia)
- 英名:ラバンディン(Lavandin)
- 別名:ラベンダー・インターメディア/ハイブリッド・ラベンダー(Hybrid Lavender)
- 品種:ディリーディリー(Lavandula × intermedia ‘dilly dilly’)
- 開花時期:6月~9月
- 花の色:灰緑色・灰白色・薄い紫色
- 葉の色:灰緑色
- 香り:花(萼片)・葉・茎
- 生活形:常緑低木
- 樹高:約60~80cm
- 誕生花:6月19日/7月2日
- 花言葉:沈黙/誘惑/あなたを待っています
- 用途:カラーリーフ/生垣/切り花/ドライフラワー/香りが良い/種から育てる植物/ロックガーデン
- 購入方法:ラベンダー(ディリーディリー)を楽天で購入
■ラベンダー(ディリーディリー)の特徴
- 学名:Lavandula × intermedia ‘dilly dilly’
- 萼の色:灰緑色・灰白色
- 花弁の色:薄い紫色
- 葉の色:灰緑色
- 樹高:約60~80cm
- 備考:花の色は灰紫色から灰白色の蕾から、薄い紫色の花弁が咲き、上品な色彩が楽しめる品種です。
■ラベンダー・ラバンディンとは!?

ラベンダー・ラバンディン(学名: Lavandula × intermedia)は、別名で「ラベンダー・インターメディア」「ハイブリッド・ラベンダー(Hybrid Lavender)」とも呼ばれるシソ科ラヴァンドラ属に分類される常緑低木です。
ラベンダー・ラバンディンは野生に自生している原種ではなく、イングリッシュ・ラベンダー(L. angustifolia)とスパイク・ラベンダー(L. latifolia)の交雑種です。
■ラベンダー・ラバンディンの語源(由来)
- Lavandulaの語源:一般的に、古代ローマ人が入浴時の香水として利用したり洗濯に利用していたことから、ラテン語で「洗浄」を意味する「lavare」からきていると言う説が最も有力ですが、ラテン語で「青みがった」を意味する「lividus」からきている説も提唱されています。
- Intermediaの語源:ラテン語で「中間の」「中央の」を意味しており、本種が交雑種であることに由来します。
■ラベンダー・ラバンディンの特徴(魅力)

- 形態:樹高は約50~100cm、生育型は分枝型で主軸が不明瞭で基部付近からよく分枝し、線形の葉が茎から対生して、開花期になると輪散花序に萼と花弁が目立つ穂状の花を咲かせます。
- 近縁種との比較:本種は親種であるイングリッシュラベンダーと比べて、株のサイズが大きくなる傾向があります。開花期間は1ヶ月程度遅く初夏から初秋頃に見られ、花穂は6~15cm程と長くなるため、花数が多くなります。そのため、精油の生産量が多くて商業的な栽培が多かったり、花材の利用で重宝されたりします。一方で、スパイクラベンダーにも由来があるため、花の香りに個体差がありますが、樟脳が多く含有する傾向にあり、薬品のようなスッキリした香りになりやすいです。ただし、樟脳が少ない品種では甘い香りを漂わせます。耐熱性が高いため夏越しがイングリッシュラベンダーよりしやすいとされますが、多湿には弱いため、栽培する際は夏越し対策が重要になります。
- 花の装飾性:本種の花は丸い蕾(萼)と花弁が際立ち、穂状に長く伸びるため、シャープでスタイリッシュな花姿が楽しめます。そのため、洗練されたエレガントなお庭によく調和するでしょう。また花の色は青色・紫色・桃色・白色と多彩なため、お庭の雰囲気に合わせて色が選べます。例えば、恋心をくすぐるようなロマンチックなお庭を作るのであれば桃色の花色を選んだり、また上品なエレガントなお庭作りをしたい場合は青色や紫色の花を選ぶのも良いでしょう。
- 葉の装飾性:本種の葉は、茎と同様に細長い線形のため野暮ったさを感じさせにくく洗練された印象を感じさせやすいです。さらに、葉表面には白色の毛が生えるため、個体差がありますが、白色の毛が多い品種では葉の色が白銀色に見え、さらに光に反射してシルクのような光沢を感じさせることがあります。そのため、宝飾品のような高級感のあるシルバーリーフとして楽しむことが可能であり、ラグジュアリーなお庭やエレガントなお庭などによく調和するでしょう。
香りの特徴:本種は茎・葉・萼の腺毛に精油を溜めており、腺毛が風に吹かれたり指で触るなどの刺激を受けることで、精油が外に溢れ周囲に強い芳香が充満します。この香りは、薬品を思わせるようなスッキリした香りから、果物を想像させるような甘い香りまであり、複雑で奥行きのある香りが楽しめます。この芳香を生みだす主要な精油成分は「リナロール(約30~40%)」「酢酸リナリル(約20~30%)」「樟脳(約3~15%)」「シネオール」で、この「樟脳」の含有率が低い品種では香りがフルーツのような甘い香りになる傾向があります。園芸では、この心地よい香りをたのしむ目的で様々な用途で利用されます。
蜜源:本種は多くのシソ科の植物と同様に蜜蜂などの花蜂に非常に好まれる蜜源です。1個1個の花の中に、頭を突っ込んで蜜を集める蜜蜂の姿は非常に可愛らしく、また花の周りで飛び回る蜜蜂の姿もお庭に活気を与え、楽しげな雰囲気を作り出します。そのため、昆虫と共生するお庭作りをしたい人にもおすすめの植物です。
- 生垣:生育型は分枝型で、基部からよく分枝し、枝は放射状に広がりドーム状の樹形を形成します。そのため、生垣としては自然風の生垣となります。本種は高さ約50~100cm、幅約60~150cmに成長しますが、生垣として利用する場合は、一般的に株同士の間隔は30~50cmほどにして植栽をします。多湿を苦手にしていることから、土壌の通気性・排水性を高めて植栽しましょう。
- ロックガーデン:本種は砂礫が多い場所や栄養の乏しい土壌にも耐えるため、土壌層が浅くて乾燥しやすいロックガーデンにも最適な植物のひとつとなります。
- その他:精油を抽出する目的で商業的に栽培され、この精油は香水やアロマテラピーなどに利用されたりします。
ラベンダー・ラバンディンの切り花とドライフラワーの楽しみ方
切り花の作り方

- 収穫:切り花の収穫は花が十分水分を含んでいる朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 水揚げ:葉は水揚げを悪くするため必要な分を除いて茎から全て取り外します。茎の切り口は水切りを行います。
- 花を生ける:花瓶の中に入れる水の量は少なく入れて浅水で花を生けます。
- 管理:直射日光を避けた15~20度の涼しい環境で管理すると日持ちがよくなります。また徐々に水揚げが悪くなるため、必要に応じて水切りを再度して水換えをしましょう。管理の方法にも左右されますが日持ちは2~3日程度です。
浅水法
浅水法とは、花瓶などの花器に入れる水の量を少なくして、浅い水で花を生ける方法です。一般的に、茎が柔らかく水に浸かると腐敗しやすい植物において、水に浸かる面積を減らして腐敗リスクを下げるために行われます。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水中につけた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの切り花で行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切り法は、水中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切り法を行うことで茎が詰まっている原因(微生物・空気・樹液など)を取り除いて、切り口の状態を正常に戻す効果があります。
水切り法のやり方
- 準備:花材と水の入った容器を準備する
- 茎の切断:切り花の切り口を水中に漬けて、その中で切り口の根元から上に約1~5cmの場所で斜めにカットします。※斜めにカットする事で吸水部が増えて水揚げ効率がよくなります。
- 切り花を生ける:切り口を別の容器にいれて水揚げするか、花器に入れて飾ります。
ドライフラワーの作り方

- 準備:花材・麻紐・洗濯物干しを準備します。※花材は花が十分に開花している物を選んで下さい。
- 花材の下処理:花材が大きい状態のままでは乾燥に時間がかかったり、綺麗に乾燥しなかったりします。そのため花材を使いやすい大きさに切り分けて大きさを調整しましょう。花材の下葉は基本的に不要で、束ねる時などに邪魔になるため、茎の下部の不要な葉は落とします。
- 花材を束ねる:花材を1本または2~3本程度で束ねて、麻紐で茎の下部分をくくり固定しましょう。※花材を多く束ね過ぎると花材同士がくっついて乾燥した時に歪んだり、花材同士がくっつく事で風通しが悪くなり乾燥までに時間がかかり色落ちが進んだりします。
- 植物を吊るす:花材を逆さまにして、洗濯物干しに掛けたり、壁と壁の間に麻紐を張ってその間に花材を吊るしましょう。花材同士を密着させると風通しが悪くなり乾燥までに時間がかかり色落ちが進む事があるため、花材同士は離して乾かします。
- 管理する時の注意点:花は紫外線の影響で色褪せが進み痛みやすいため直射日光が当たる場所は避ける。多湿環境では乾燥までに時間がかかるため、風通しのよい部屋などに花を吊るして自然乾燥させたり、エアコン・除湿機を利用して部屋の湿度を減らす。またサーキュレーターで部屋全体の空気を循環させて花材を素早く乾燥させることも出来ます。
- 完成までの時間:温度・湿度・風通し等で変化しますが、普通は約1~2週間です。
- 完成後:花材として一時保管するか、スワッグやリース等のフラワーアレンジメントに利用できます。
■ラベンダー・ラバンディンの生活形と形態

●生活形・茎の形態
- 生活形:常緑低木
- ライフサイクル:春は新芽が出て枝葉が茂ります。夏は初夏頃から開花が始まり晩夏頃まで花が咲きます。秋は成長がやや鈍化します。冬は葉が保持され常緑ですが生育は緩慢です。
- ラウンケルの生活形:地表植物
- 樹高:約50~100cm
- 生育型:分枝型で、主軸が不明瞭で基部付近からよく分枝します。
- 茎の毛:腺毛および星状毛が生えています。この毛は白色のため密生すると茎が白っぽく見えます。
- 茎の性質:茎は成熟すると木質化します。
- 茎の色:若い茎の色は緑色・灰緑色・白色、木質化した茎の色は褐色から灰褐色です。
- 備考:風や刺激により腺(腺毛)から精油が分泌されるため周囲に芳香が広がります。この芳香は虫への忌避効果があり、株を守ると考えられています。
●葉の形態
- 葉序:対生葉序
- 葉身の概形:線形または倒線状披針形で、イングリッシュラベンダーと比べて葉幅がやや広めです。
- 葉縁:全縁
- 葉の毛:腺毛および星状毛が生えています。この毛は白色のため密生すると葉が白っぽく見えます。
- 葉の色:緑色・灰緑色・白色
- 備考:風や刺激により腺(腺毛)から精油が分泌されるため周囲に芳香が広がります。この芳香は虫への忌避効果があり、株を守ると考えられています。
●花の形態
- 花序:輪散花序で、集散花序が各節から対に出て、この集散花序の花柄が殆ど伸びないため、花は節の周囲を囲んでいるような見た目になります。この花序の長さは約6~15cmで、イングリッシュラベンダーと比べ節間が長い傾向にあります。
- 花柄:極短い
- 苞:花柄の基部にあり、苞の形は卵形・披針形です。
- 花:花托・萼・花冠・雄蕊・雌蕊で構成されています。
- 花托:萼・花冠・雄蕊・雌蕊を支えています。
- 萼:萼片が合着して筒状になる萼筒です。萼筒の先端にある裂片は5個、萼には腺毛が生えており、この腺毛は白色を呈し、萼の色は暗灰色・灰緑色・青色・紫色です。
- 花冠:唇形花冠、花冠筒部は細長い筒状で、花冠裂片は全5枚、上唇の裂片は2枚、下唇の裂片は3枚、色は青色・紫色・桃色・白色です。
- 雄蕊:全部で4本で、2本は長く、2本は短い二強雄蕊です。
- 雌蕊:1本
●果実・種子の形態
- 果実の分類:分離果で、果実が熟すと心皮ごとに縦に分離します。この分離した各部は分果で、小堅果となります。
※植物の形態についてはこちらのページも参考にしてください。
■ラヴァンドラ属(ラベンダー)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■ラベンダー・ラバンディンの育て方
花壇の土づくり
●日照条件
ラベンダー・ラバンディンは、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的に日向で育てることが理想ですが、半日陰までで育てることが可能です。
日照条件の分類(参考)
- 日向:直射日光が一日を通して6時間以上当たる場所です。一般的に全方位に障害物がない、またはお庭の向きが南向きの場所になります。
- 半日陰:直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。一般的には、午前中のみ日が当たり、午後から日陰になる場所となります。そのため、お庭の向きは東向き、または木漏れ日がはいるような場所です。
- 明るい日陰:直射日光が二時間程度までしか当たらないか、殆ど当たらずに間接光だけで明るい場所です。一般的にお庭の向きが北向き、または建物の影など日差しを遮る障害物が多い環境です。
- 暗い日陰:森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
●土壌の土質
- 土質:基本的に高い通気性と排水性を兼ね備える土壌を好みます。そのため土質は水捌けのよい砂壌土が適します。水分が停滞してジメジメと湿りやすい粘土質の土質は許容せず、根腐れを引き起こすため避けた方が良いでしょう。
- 肥沃さ:肥沃さは基本的に必要ありません。肥沃すぎる土壌は、特に夏場に蒸れやすく、根腐れの原因となるため注意が必要です。土壌の状態を見て、極端に痩せていると感じる場合は、必要に応じ適度に堆肥を入れて上げるとよいでしょう。
- pH:自生地が石灰岩の岩地などにある事からも分かる通り、pHは中性から弱アルカリ性を好みます。土壌のpHを診断して適正範囲外にある場合は土壌改良材などを用いてpHを調節しましょう。酸性土壌では微量要素などの栄養吸収が上手くいかずに生育不良になる場合があります。
土壌診断と改善の行い方(参考)
- 排水性の診断:深さ30cm程度・幅30cm程度の穴を掘り、穴の中を水で完全に満たす。一時間あたり約3~10cmの排水があれば、一般的な植物を育てるのに適した排水性になります。※それ以下またはそれ以上である場合は排水が悪い、または排水がよすぎる可能性があります。
- 排水性の改善:花壇を高くしたり、ロックガーデンを作り、植物を植える場所を周囲より高くする。また縦穴暗渠(縦穴排水)や排水溝をつくる。
- 作土層の診断:調べたい箇所の土壌に支柱を出来るだけ深くまでさします。支柱の入った部分が30cm前後あれば一般的な植物であれば、根を張るのに十分な作土層がありますが、それ以下であれば改善が必要です。また土壌を観察して石やゴミがあれば根を伸ばすのに邪魔になるため取り除いた方が良いでしょう。
- 作土層の改善:植物を植える箇所とその周囲をシャベルを使って30cm程度の深さまで掘り起こして解します。また石がある場合は土ふるいを使用して取り除きましょう。
- 土壌(土性)の性質の診断:土壌の通気性・保水性・保肥力を知るために、土壌を砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土に分類して、植物に合わせて土壌の改良をしましょう。
- 砂土:排水性と通気性が高く乾燥しやすいため、水分過剰による根腐れを引き起こしにくい。診断は、適度に湿らせた土を触った時にザラザラとした砂の粗い感触がある。手のひらや指で捏ねても全く固まらずに簡単に崩れる。
- 砂壌土:排水性と通気性が高く乾燥しやすい傾向がある、砂土と比べると、保水性と保肥力が少しあるため、乾燥気味の土壌を好む植物などに向いています。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねると、緩く固める事が出来るが崩れやすい。
- 壌土:通気性・保水性・保肥力のバランスが高いため土壌管理がしやすい。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、鉛筆程度の太さの棒状まで伸ばすことが出来る。 ただし伸ばした棒を曲げるのは難しい。
- 埴壌土:保水性・保肥力が高いため乾燥しにくい傾向がある。診断は、適度に湿らせた土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触があり、砂のザラザラも少し感じる。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、マッチ棒程度の太さまで伸ばすことが出来て、輪っかに曲げても切れにくい。
- 土壌(土性)の性質の改善:土壌の診断をしたら、植物が求める環境に合わせて土壌改良材をいれます。
- 通気性・排水性の改善:通気性・排水性の高い土壌改良材(パーライト・日向土・川砂・バーク堆肥 など)を混ぜ込む。
- 保水性の改善:保水性の高い土壌改良材(腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・黒土)を混ぜ込む。
- PHの診断:土壌のPHを調べる方法は土壌酸度計を土壌に突き刺すタイプ・リトマス紙を溶液に浸すタイプ・ペーハー測定器を溶液に浸すタイプ・アースチェック液を溶液に垂らすタイプ等があります。製品によって調べ方がことなるため、詳しい手順は製品の取り扱い説明書をご覧下さい。
- PHの改善:PHを診断後に植物の適正なPHに合わせて、土壌改良材を入れてPHの改善をおこないます。
- PHを酸性に改善:ピートモスを使用する場合はPHを1下げるために、1㎡あたり、ピートモスを約1.2kgを入れて混和します。
- PHをアルカリ性に改善:苦土石灰を使用してPH1上げるには、1㎡あたり苦土石灰を約100~200g入れて混和します。
- 肥沃さの診断:肥沃さは土壌の色によりある程度診断できます。土壌の色は成分や状態を示しており、簡易的に植物を育てるのに適しているか調べる事が出来ます。黒色の場合は腐植が多く肥沃な傾向があり、赤色・黄色・白色の場合は腐植が少なく肥沃でない傾向があります。
- 肥沃さの改善:土壌に堆肥または微生物資材を入れます。堆肥を入れる量は土の量に対して二割から三割程度にします。入れ過ぎると通気性・排水性・保水性のバランスが崩れて植物が育つのに不適な環境になりやすいため注意してください。
※詳しい土壌診断と改善方法はこちらのリンクからご覧下さい
鉢土づくり
●日照条件
ラベンダー・ラバンディンは、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的に日向で育てることが理想ですが、半日陰までで育てることが可能です。
●培養土
ラベンダー・ラバンディンの培養土を購入する場合は、一般的な草花の培養土よりも少し通気性・排水性を高めた培養土がおすすめです。またラベンダーの専用の培養土も売られているため、そちらを利用するのも良いでしょう。
培養土を自作する場合
- 培養土の特性:土壌は基本的に礫質で栄養が少なめでpHは中性からアルカリ性を好みます。そのため、培養土を作成する時は通気性・排水性を重視しながら、水やりの頻度も考えて適度な保水性も確保したり、またpHの値に注意しながら作成しましょう。
- 土壌改良材(無機質):一般的な植物の培養土よりも、特に通気性と排水性を高める目的で、赤玉土や日向土などの土壌改良材を7割~9割を目安にして多めに配合します。土壌改良材の土粒は小粒・中粒を利用します。大きすぎる土粒を使うと、培養土の中に大きな空隙が出来て根の活着が悪くなり、保水性も悪くなり植物の生育が悪くなる原因となるため避けてください。
- 土壌改良材(有機質):腐葉土などの堆肥は、一般的な植物よりもかなり控えめに1~3割を目安にして培養土の中に配合します。腐葉土などの有機物は培養土の水分・養分を保持して、根の活着を助け、生育を促進する効果がありますが、本種の場合は堆肥を入れ過ぎると、夏場に蒸れて過湿状態になり根腐れを引き起こす原因ともなります。そのため、バランスを考えて必要量を入れる事が大切です。加えて、本種は中性から弱アルカリ性の土壌を好むため、pHを下げる性質があるピートモスなどは利用を控えた方がよいでしょう。
培養土の配合例
- 基本の配合:赤玉土(小粒)8割+腐葉土2割+苦土石灰適量+元肥適量
- 培養土が劣化しにくい配合:日向土(細粒・小粒)4割+硬質赤玉土(小粒)3割+腐葉土2割+くん炭1割+元肥適量
- 比重が軽い配合:赤玉土(小粒)4割+パーライト3割+バーミキュライト1割+腐葉土2割+苦土石灰適量+元肥適量
水やりの仕方
ラベンダー・ラバンディンは、基本的に高い耐乾性があります。その一方で、過湿が続くと病原菌が増えて株が腐敗する原因になったり、根の呼吸を邪魔して根腐れを引き起こす原因になったりします。そのため、水やり頻度には十分な注意が必要です。
地植えで栽培する場合は、基本的に降雨に任せて育てることが出来ます。ただし、雨が全く降らずに土壌が乾燥していたり、極端な暑さで乾燥が早くなっている場合は水やりが必要となります。鉢植えで育てる場合は、地植えと比べて乾燥がかなり早いため、定期的な水やりが必要です。培養土の状態を見ながら水やりをする必要があるでしょう。
●水やりの方法
- 春の水やり:株は生育旺盛で、成長に必要な十分な水を必要とします。そのため、土壌の表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
- 夏の水やり:自生地の気候は地中海性気候で、この時期は降水量が少なく乾燥しており、日本の高温多湿を苦手にしています。この時期は、基本的に乾燥気味に管理しますが、完全に乾燥させると枯れることもあるため株の状態・土壌の状態を確認することも大切です。基本的には、多湿にならないよう注意しながら、朝の涼しい時間帯に土壌の表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
- 秋の水やり:気候が穏やかになり、再び生育が旺盛になります。そのため、土壌の表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
- 冬の水やり:生育が緩慢になる季節で、植物は水をそれほど必要としません。土壌の乾燥も他の季節と比べると緩やかに進み、水やりの頻度も少なくなります。ただし、完全に乾燥すると枯れてしまう事もあるため、土壌の表層が乾燥した数日後に水を与えると良いでしょう。
注意点
- 水やり時間帯:水やりの時間帯は、基本的に植物が水を欲しがりだす朝に与えるのが最適です。昼や夕方に与える事も出来ますが、季節によっては高温で水がお湯のようになり蒸れて根腐れを引き起こす可能性があります。また夕方に水やりを行うと、植物が水分をあまり必要としない夜間にも水がたっぷり残り呼吸を邪魔するなどして根腐れを引き起こす原因になる事があります。そのため、基本的に朝に水をやることが正しいですが、植物が萎れている場合は時間に関係なく直ぐに水やりを行って下さい。
- 水を与える量:1回に与える水の量はたっぷりです。鉢植えで植物を栽培している場合は、鉢底から水がしっかり流れるまで与えます。その際、水を与える場所が1箇所になると水の道が出来てしまい、特定の場所に水が流れないこともあるため水を与える場所を変えながら与えましょう。地植えで水やりを行う場合は、土壌の表面だけでなく奥まで水を染み込ませるつもりでしっかりと水を与えて下さい。
- 水を与える場所:水を与える場所は基本的に株元から少し離れた場所で、植物に直接かけないようにします。植物上に水が溜まると、そこから真菌などが植物の中に侵入し、病気を引き起こし腐敗させる原因になるため注意して下さい。
- 梅雨の管理:植物を軒下に移動したり、雨避けをつくり、株に梅雨の長雨が植物に当たり、傷むことを防ぎましょう。
土壌の乾燥の確認方法
- 土壌表面の乾燥:土壌の表面の乾燥とは、土壌の最も上の部分の表面が乾燥している事です。土壌表面の乾燥の確認方法には目視・触感・専用の道具があります。
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみてます。土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
- 土壌の表層の乾燥:土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cm以下が乾燥していることになります。※土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土の表面から5cm程度の深さと定義しています。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cm以下の土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
肥料の与え方
ラベンダー・ラバンディンは多肥を好みません。腐葉土などの堆肥が配合された土壌であれば、生育に必要な一定の栄養が含まれており、肥料がなくても栽培することができます。適切な量の肥料には生育を促進する働きもありますが、過剰な栄養は、茎が徒長し草姿を乱す原因になったり、花数を減らす原因になったり、肥焼けを起こして根が傷み、根腐れを引き起こす原因になったりするため注意が必要です。肥料は基本的に不要ですが、鉢植えで栽培する場合は栄養が足りなくなることもあるため、早春に芽出し肥を与えます。
●肥料の与え方
- 芽出し肥:早春の新芽が動き出す前に、新芽の成長の促進や初期の成長を促す目的で与えられる肥料です。
- 肥料の成分:リン酸・カリが多く含む肥料を選びます。
- 肥料の製品:固形肥料(緩効性・BB肥料 など)がおすすめです。
- 施し方(固形肥料):固形肥料の与え方は製品により置き肥タイプ・差し込みタイプ・埋め込みタイプがあります。製品に合わせて、規定された分量・規定された頻度・規定された方法で施しましょう。
剪定のやり方
ラベンダー・ラバンディンは、株の老化(木質化)を抑制するため春と花後の2回の剪定が推奨されます。
●剪定方法
- 春の剪定:剪定時期は、新芽が動き出す前の早春頃に行います。これを行うことで、株の老化(木質化)を抑制し、新芽が勢いよく成長しやすくなります。剪定の方法は、株を観察して枯れたり損傷したりしている枝を根元から剪定して取り除きます。次に、株全体の外観をドーム状に整えるように、全体の3分の1から半分程度を目安にして剪定します。注意点として、必ず枝に葉(芽)が残るようにして下さい。完全に木質化した枝からは、芽が出ずに枯れることがあるためです。
- 花後の剪定:最初の花が咲き終わった頃に剪定を行います。この剪定を行うことで、風通しがよくなり多湿による株の弱りを抑制したり、株が消耗して弱ることを防いだり、また再開花しやすくなったりします。剪定の方法は、株の3分の1を目安にしてドーム状に軽く切り戻しをしましょう。その際、必ず枝に葉(芽)が残るようにして下さい。完全に木質化した枝からは、芽が出ずに枯れることがあるためです。
夏越しする方法
ラベンダー・ラバンディンは乾燥した暑さには強いです。一方で、多湿・過湿は株が蒸れて根腐れを引き起こしたり、病気にかかるなどして生育不良を引き起こしやすくなります。特に夏場の高温と多湿が組み合わさる高温多湿(複合ストレス)環境では、致命的な影響を受けて枯れてしまうことが多々あります。そのため、夏越し対策としては多湿・過湿の予防が非常に重要になります。
●夏越し対策一覧
- 鉢植えの移動:長雨で株が傷みやすいため、軒下などに移動します。
- 雑草の除去:周囲の雑草は風の流れや太陽光を遮り、育てている植物の成長を妨げたり、多湿を生み出す原因になったりします。そのため、不要な雑草は抜きましょう。ただし、土壌が剥き出しになることで乾燥が早まる場合もあります。
- 排水性の改善:雨水などが周囲から集まりやすい環境にあったり、硬盤があったりすると排水が上手くいかない場合があります。対策として排水溝をつくったり、縦穴暗渠(縦穴排水)をつくり雨水が外に流れる仕組みをつくりましょう。
- 花壇を高くする:花壇をレイズドベットにしたり、岩を並べてロックガーデンなどにしたりして、植物を植える環境を周囲よりも高くすることで排水性が改善されます。
- 雨避けをつくる:植物の上に雨が当たらないように雨避けを張り、雨から植物を守ります。
- 土壌の改善:土壌は土質により乾燥のしやすさが変わります。植物の植え付け時や植え替え時に、植物に合わせた土壌の改善をしましょう。詳しくは花壇土からご覧下さい。
挿し木や株分けで増やす
ラベンダー・ラバンディンは挿し木や取り木によって増やす事ができます。
●挿し木の方法
- 概要:茎を採取して、この茎の長さや葉の数を調節し、切り口を土に挿して繁殖させる無性生殖の1種です。
- 挿し木時期:発根率の高い晩春から初夏頃が適します。
- 培養土の準備:培養土は切り口が腐敗して吸水を阻害しないように、無菌のものを利用します。一般的にはバーミキュライト・赤玉土・パーライト・ピートモスなどが利用されていますが、専用の培養土もあるため近くのホームセンターで探すのも良いでしょう。
- 挿し穂の採取:挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットして利用しましょう。また花芽分化が始まり生殖成長をしている茎は、発根率が極端に下がるため挿し穂に使うのは避けた方がよいでしょう。
- 挿し穂の整形:挿し穂は長さを7~10cm程度にわけて、挿し穂の上部の葉を残して、下部の葉を取り除きます。茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くしておきましょう。
- 水揚げ:整形した挿し穂の切り口をボウルなどに入れた水に約1時間浸し、十分に吸水させます。
- 培養土に挿し穂を挿す:挿し穂を挿す場所を決めます。培養土の中に、割り箸等を利用して、事前に穴を開けておきます。挿し穂の切り口を下向きにして、培養土の中に挿し穂を入れましょう。通常は挿し穂の1/3程度を入れます。
- 管理:明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
●取り木(圧条法)の方法
- 概要:柔軟で長く伸びる枝の1部を土に埋めて発根させる圧条法と呼ばれる取り木の技法の1種です。
- 取り木の時期:植物の生育が旺盛な春から初夏の季節が取り木に最適な季節となります。
- 枝の選定:取り木を行う枝は、前年もしくは当年成長した、充実した枝の中から選定します。枝は柔軟で曲げることが可能で、鉛筆程度の太さがあり、健康なものを選びましょう。
- 培養土:枝を埋める場所は、雑菌が多いと病気になる原因となるため、水捌けが良い清潔な培養土を入れたポットを準備するか、または礫質で雑菌が繁殖しにくい土壌で行いましょう。
- 加工:枝の発根させたい部分の表皮を剥がすために、リング状(枝の周りを1周)に刃物で浅く切れ込みを入れて、表皮を剥離(環状剥離法)します。
- 埋める:枝を曲げながら剥離した部分を地面に埋め、残りの枝は地表から出します。地面に埋めた部分が地表に出てこないように、枝をピンなどで固定して、必要に応じて地表に出ている部分も支柱で上向きに固定しましょう。
- 管理:土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理します。発根して株が固定するまで数ヶ月かかります。
- 定植:土中に埋めた茎から根が長く伸び、株が安定したのを確認出来たら、親株から切り離し、子株の方を好きな場所に定植しましょう。