- 原産:熱帯アフリカ/熱帯アジア
- 科:ヒルガオ(Convolvulaceae)
- 属:イポメア/サツマイモ(Ipomoea)
- 種:モミジヒルガオ(cairica)
- 別名:タイワンアサガオ/モミジバアサガオ/モミジバヒルガオ/メッシーナ・クリーパー(Messina creeper)/カイロ・モーニング・グローリー(Cairo morning glory)
- 開花時期:4月~11月(理想的な環境では周年)
- 花の色:青色●紫色●白色〇
- 葉の色:緑色●
- 分類:多年草
- 登攀方法:巻き付き茎
- 草丈:約500cm以上
- 誕生花:
- 花言葉:
- 用途:壁面緑化
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
モミジヒルガオとは!?
モミジヒルガオは学名Ipomoea cairica、別名では「タイワンアサガオ」や「モミジバアサガオ」とも呼ばれる熱帯アフリカおよび熱帯アジアが原産の多年草です。
モミジヒルガオの語源(由来)
- 属名のIpomoeaは、古代ギリシア語で「芋虫」や「木食い虫」を意味する「ἴψ(ips)」と、古代ギリシア語で「似ている」や「共有」を意味する「ὅμοιος(homoios)」の2語からなり、芋虫のように植物に絡みつく性質からきています。
- 種小名のcairicaは、エジプトの「カイロ」を意味します。
モミジヒルガオの特徴(魅力)
- モミジヒルガオは、和名からも分かる通り葉の形が「紅葉」のように掌状に裂けている所と、春から秋にかけて長期間に渡り開花する所、ラッパのような形をした上品な紫色の花を咲かせる所が魅力の植物です。
- 園芸では、紫色の花を鑑賞する目的や、ツルをネットに絡ませてグリーンカーテンとして利用する目的で育てられる事が多いです。
- 草姿はツル性、茎は基本的に自立せず、他の植物や物体に接触すると茎先端が旋回するように動き、茎を巻き付けて体を固定します。
- そのため、あんどん仕立て用の支柱やネット等の資材を準備して育てる必要があります。
- 花はふつう春から秋にかけて開花しますが、温暖な理想的な環境であれば1年を通して開花が見られます。
- 花の大きさは長さ約4~6cm、花弁が5個合着した合弁花で漏斗形をしています。
- 薄い紫色の花色は、心を癒すような印象を与えたり、繊細でシックな雰囲気を作ったりします。そのため、緊張が解れリラックス出来るようなお庭や、シックで落ち着いた雰囲気のあるエレガントなお庭などにおすすめです。
- 葉は楕円形の小葉が掌のように約5~7個つくため「紅葉の葉」や手のひらを思わせるような装飾的な外観をしています。
モミジヒルガオの草姿はツル性(巻き付き茎)、茎の長さは約500cm以上、茎の色は緑色、滑らかで無毛です。※巻き付き茎は茎頂が物体に接触すると、茎の先端が旋回するように動き、他の植物や物体に茎を巻き付けて体を固定します。
葉序は互生葉序、葉色は緑色、葉柄はあり、葉身の大きさは長さ約3(~10)cm、幅約3(~10)cm、葉身の形は5(~7)回掌状全裂、小葉は楕円形です。
花序は腋花、葉腋に1個もしくは数個までの花を集散花序につけます。花冠の大きさは長さ約4(~6)cm、大きさは漏斗形、漏斗形は5個の花弁が合着する合弁花、花弁の色は紫色・白色です。果実は蒴果(複数の心皮からなり果皮が裂開して種子を放出する)、蒴果は卵形、大きさは直径約1cm、色は淡褐色をしています。
モミジヒルガオの園芸品種の紹介
- アルバ(ipomoea cairica ‘alba’)は、明るく清潔感を感じさせるような白色の花を咲かせるモミジヒルガオの園芸品種です。
イポメア(サツマイモ)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
イポメア(さつまいも)属の珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
モミジヒルガオの育て方
花壇の土づくり
日当たり
モミジヒルガオは日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上当たる日向、もしくは3時間から5時間の半日影で育てましょう。
土壌の土質
モミジヒルガオは通気性と保水性のバランスがよく水分が均一に保たれる状態にあり、また有機物(腐植)がしっかり入る肥沃な土壌を好みます。そのため植え付け前にしっかり土壌診断を行い、通気性と保水性のバランスがよい肥沃な壌土に改善してから植え付けを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
モミジヒルガオは日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上当たる日向、もしくは3時間から5時間の半日影で育てましょう。
培養土
モミジヒルガオは一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+鹿沼土(小粒)+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
モミジヒルガオは健康な成長と花をしっかり咲かせるために、光と同様に十分な量の水を必要とします。そのため基本的には土の表面が乾いてきたタイミングで、定期的にしっかり水やりを行いましょう。
肥料の与え方
モミジヒルガオは持続的な開花のために多くの肥料を必要とします。そのため植え付け前に元肥を入れて、生育期間中もしっかりと追肥を与えましょう。
元肥の与え方
- 元肥は苗の植え付け時に与える肥料の事です。
- 肥料は肥効が長く続く緩効性肥料を選び、成分は水平型肥料(成分が均一)もしくは山型肥料(リンが多め)を選びましょう。
- 元肥の与え方は土壌に均一に混ぜこむ全面施肥です。
追肥の与え方
- 追肥は春から夏の生育期間中に与えます。
- 追肥は肥料の効きが早い速効性肥料(化成肥料)を選びましょう。また肥料の成分の中で、窒素が多いと葉ばかりが茂るため、リン酸が多めの肥料を選ぶと良いでしょう。
- 化成肥料や緩効性肥料などの固形肥料を与える場合は、規定された量を定期的に施します。
- 液体肥料で与える場合は、規定された分量で希釈して約7~14日に1回のペースで水やりの際に一緒に液肥を与えるとよいでしょう。
剪定のやり方
モミジヒルガオは茎が巻き付くための園芸資材を準備して育てれば基本的に剪定不要です。ただし茎の多い密度の高い草姿を作りたい時は摘芯をしたり、花を長く楽しみたい時はしっかり花がら摘みをしたりして育てる事も必要です。
摘芯
摘芯は必ず必要な作業ではありませんが、生育初期に摘芯することで茎の数を増やし密度の高い草姿をつくったり、花の数を増やしたりすることが出来ます。ただし摘芯する事で開花が遅れたり、茎が短くなり希望の高さまでツルが伸びなかったりする事もあるため、目的に合わせて摘芯を行う必要があります。
摘芯のやり方は、まだ本葉が5~10枚ほどの苗が小さな時期に行います。茎の成長点を指で摘みとり分枝を促しましょう。
花がら摘み
モミジヒルガオの花は一日花のため開花後の萎れるスピードも早いです。萎れた花をそのまま残すと種をつくり始めますが、種を作り始めるとエネルギーがたくさん使われるため、株が弱ったり次の花が咲きにくなったりします。そのため、種が欲しい場合を除いて出来るだけこまめに花を摘むようにしましょう。
ツル誘引の目的と方法
モミジヒルガオの茎は基本的に自立する事が出来ません。自らの茎を他の植物や物体に螺旋状に巻き付けて体を固定します。そのため、茎を巻き付けやすい園芸資材を準備してあげる必要があります。
園芸資材は、あんどん仕立て資材やネット等がおすすめです。ツルを這わせる資材を準備しておけば、自らの力で茎を固定して成長するため誘引は不要です。
夏越しする方法
モミジヒルガオは夏の暑さに強く基本的には夏越し対策を必要としません。
冬越しする方法
Hardiness:
モミジヒルガオは基本的に霜の降りる地域では、対策を行わないと屋外での越冬はむずかしいです。そのため必要に応じて冬越し対策を行いましょう。
モミジヒルガオの冬越し対策
- 鉢植えで育てている場合は、日当りのよい室内もしくは温室に入れて管理しましょう。
- 地植えしている場合は、株を掘り起こし鉢植えにして屋内などで管理するか、不織布等をかけて霜から株を守ります。
挿し木や株分けで増やす
モミジヒルガオは挿し木によって増やす事ができます。
モミジヒルガオの挿し木の方法
- モミジヒルガオの挿し木時期は晩春から初夏が適します。
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットしましょう。
- 挿し穂 の長さ約10cmにわけます。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を残します。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。
- 切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
モミジヒルガオの種蒔の方法
播種時期:5月
発芽適温:約20~25度
発芽日数:約7日~14日
発芽条件:硬実種子
モミジヒルガオの種は、種皮に透水性のない硬実種子です。硬実種子は種皮の透水性が低く水分を殆ど吸収できないため深い休眠状態にあり、そのまま種を撒いても発芽まで何年もかかることがあります。そのため、自家採取した種などは発芽促進処理を行い発芽を揃える必要があります。※市販の種はふつう発芽促進処理がされています。記載された説明分を読んで確かめましょう。
硬実種子の発芽促進処理のやり方は、一般的にヤスリで削るかカッター等で傷つけるの2通りで行われます。種の先端のへその部分を削ると発芽不良になる事もあるため、背面の丸みを帯びた部分の1部をヤスリで削るか、カッターで軽く傷つけて水の吸水がしやすいようにしておきましょう。
種まき手順(発芽促進処理済み)
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。
- もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 種は丸みを帯び帯びた背を上向きに土に置き、そのまま1cmほど土の中に押し込みます。※鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくします。
- 種の上に1cmほど土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
モミジヒルガオの病気
- うどんこ病
- モザイク病
モミジヒルガオの害虫
- アブラムシ
- ヨトウムシ
- ハダニ