原産:地中海沿岸
科:オオバコ(Plantaginaceae)
属:キンギョソウ(Antirrhinum)
種:キンギョソウ(majus)
別名:スナップドラゴン(snapdragon)/コモン・スナップドラゴン(common snapdragon)/アンテリナム・マユス
開花時期:4月~9月(5月~6月に最も開花)
花の色:赤色●桃色●橙色●黄色●紫色●白色〇
葉色:緑色●黒色●
分類:多年草(短命)
草丈:約20cm~100cm
誕生花:4月15日/7月2日/7月10日
花言葉:おしゃべり/でしゃばり/おせっかい/図々しい/騒々しい
用途:開花期間長い/カラーリーフ/切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
キンギョソウとは!?
キンギョソウは学名Antirrhinum majus、別名「スナップドラゴン(snapdragon)」や「アンテリナム・マユス」とも呼ばれる地中海沿岸が原産の多年草(短命)です。
キンギョソウの語源(由来)
- 属名のAntirrhinumは古代ギリシャ語で「子牛の鼻」を意味する「ἀντίρρινον」に由来しており、花後に出来る果実が牛の花に似ている所から来ていると言われています。
- 種小名のmajusはラテン語で「巨大な」「より大きい」を意味しています。
- キンギョソウの由来は花の形が「金魚の口」や「金魚の姿」に似ている所からきています。
- 英名スナップドラゴン(snapdragon)の由来は花の側面を押すと口が開き「ドラゴンの口」の様に見える所からきています。
キンギョソウの特徴(魅力)
- キンギョソウは「金魚」や「竜の口」にも例えられる個性的な花姿が魅力の多年草(短命)です。
- 花は中央部の口部分が大きく盛り上がる仮面状花冠です。
- 花は色鮮やかな花色からパステルカラーまで様々あるためお庭の雰囲気に合わせて品種選びが出来る所も魅力です。
- 草姿は直立して高さ20cm程度の矮性な品種から100cmに達する高性な品種まであります。
- 矮性な品種は花壇に並べられて縁取りに利用されたり寄せ植えに利用されたりします。
- 高性な品種は花壇に植えて立体感をつくったり収穫されて切り花にされたりします。
- 切り花としては管理の仕方にも左右されますが日持ち5~10日程度です。
- キンギョソウの葉は下部では対生になり上部では互生になります。
- 葉の色は通常緑色ですが幾つかの品種では黒色があるためカラーリーフとしても楽しめます。
- キンギョソウは種から簡単に育てる事が出来るため大量植栽しやすい所も魅力です。
キンギョソウの茎は緑色もしくは赤みを帯びて白色の毛が生えており、成熟すると木質化して褐色(~灰褐色)になります。茎は殆ど分枝する事なく直立して高さ約20(~100)cmの間で伸びます。葉は茎の下部では対生葉序になり上部では互生葉序になります。葉色は緑色もしくは黒色、葉身の大きさは長さ1(~7)cm、幅約0.5(~2.5)cmあり、葉身の形は披針形です。花序は総状花序に複数の花が密に集まり、個々の花は仮面状花冠(唇形に似るが上唇と下唇の間に膨らみがある)、上唇は直立して上部が2裂して、下唇は浅く3裂にさけており、雄蕊が4個、雌蕊が2個あります。花後の果実は袋状の蒴果で熟すと頂部が避けて穴があき、多数の黒色の種子を放出します。
キンギョソウの切り花の楽しみ方
- キンギョソウの収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 収穫の前に水を入れたバケツを準備しておきます。
- 花穂が3分の1以上開いてるものを選んで収穫しると日持ちが良いです。
- 不要な葉は花の水揚げが悪くなり蒸散により乾きやすくなるため出来るだけ取り除きます。
- 水揚げは水に漬けて水切りと必要に応じて湯揚げを行います。
- 花を生ける花瓶には延命剤(栄養入り)いれましょう。
- キンギョソウは延命剤の効果が高く蕾が開きやすくなったり日持ちが長くなります。
- 管理場所は出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)で楽しみましょう。
- 管理は数日(約1~3日)ごとに水切りと水換えを行い萎れた蕾は手でこまめに摘みます。
- また水揚げが悪いと感じる場合は必要に応じて湯揚げをしましょう。
- 管理場所や管理の方法でも左右されますが日持ちは5~10日程度です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
湯揚げ法
湯揚げ法とは、切り花の切り口をお湯の中と冷水につけて、吸水を改善する水揚げ方法です。※水切りなどをしても、水揚げが上手くいかない場合等に行われます。
湯揚げは、導管内にある空気を熱で膨張させて外に押し出す効果があり、また熱のショックで一気に吸水する効果があります。またお湯で熱するため、切り口部分の雑菌が死滅して、微生物の影響が抑えられます。
湯揚げの方法
- お湯(約60~100度)と冷水を準備します。
- 切り花の花や葉が湯気で弱らないように、新聞紙で切り花を覆います。ただし、切り口の部分はお湯につけるため、茎の下部は新聞紙から出しておきましょう。
- 切り口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
- お湯(約60~100度)の中に切り口を付けて、切り口から空気が出てこなくなるのをまちます。お湯につける時間はおおよそ20~60秒です。
- お湯から切り花を出して、そのまま冷水の中に2時間程度浸けて水揚げします。
- 水揚げが終わったら必要に応じて水切りを行い花瓶に生けて楽しみます。
おすすめの延命剤
キンギョソウの栽培方法
園芸では、明るく華やかな花を鑑賞する目的や、幾つかの品種で見られる黒葉をカラーリーフとして楽しむ目的で育てられる事が多いです。キンギョソウは最大100cm迄の高さになるため、高性な品種では花壇の中央や後方等に植えて高さと立体感を出したり切り花として利用され、また矮性な品種では花壇の前方や中央部に並べて楽しまれたり、管理のしやすい鉢植えに植えて様々な場所で楽しまれたりします。
キンギョソウを育てる際に注意する事は「長雨による多湿」です。何故ならキンギョソウは長雨に当たったり多湿環境になると、真菌性の病気や細菌性の病気にかかり、株が弱ったり枯れてしまったりするからです。そのため、出来るだけ長雨の影響が少ない場所に植えたり、土壌の排水性を高めておく等の対策が必要でしょう。
キンギョソウの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
キンギョソウの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
キンギョソウの育て方
花壇の土づくり
日当たり
キンギョソウは日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。日当たりの悪い場所でも育てられますが茎が細く徒長して倒伏しやすくなったり開花が悪くなったりします。そのため基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。
土壌のPH
キンギョソウは土壌のPH6.0~7.0の間を好みます。PHが高すぎたり低すぎたりすると生育不良になる可能性が高くなります。そのため植付け前にPHを診断して、PHが高い場合はピートモスを入れたり、PHが低い場合は苦土石灰を入れる等してPHの改善を行いましょう。
土壌の土質
キンギョソウは土壌の土質をあまり選びません。基本的には通気性と排水性が良く、適度に肥沃な土壌であれば問題なく育ちます。
植付けの前に土壌診断を行いましょう。
①土を掘る時に硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
②土を濡らして握った時にバラバラと崩れる場合は保水性がない可能性があります。逆に土の塊が出来ても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。
③肥沃な土の場合は土の色が黒っぽくなるため、土の色が薄い場合は土壌の肥沃さが足りない場合があります。
土壌診断後、必要に応じて通気性を高めるパーライトや川砂を入れたり、保水性や保肥力を高める田土や黒土を混ぜたり、肥沃さが足りない場合は牛ふん堆肥や腐葉土等の堆肥を混ぜこみ土壌改善を行いましょう。
鉢土づくり
日当り
キンギョソウは日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。そのため基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。ただし長雨が当たると根腐れや病気を引き起こす原因にもなるため、必要に応じて雨の当たらない場所(軒下等)に移動しましょう。
培養土
キンギョソウは一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
生育初期(2~3週間)
キンギョソウの生育初期(2~3週間)は土が乾燥しないように水やりをしっかり行います。
株の活着後
根が活着したら水やりの頻度をかえて、乾燥気味に育てます。水やりの最高のタイミングは茎葉が萎れてきたタイミングですが、萎れたタイミングを逃すと株に致命的なダメージを残す可能性があるため、基本的には土の表面(数cm)が乾いてきタイミングで水やりを行うといいでしょう。乾燥の確認は土の色を目視で見て確認するか、指の第1関節まで入れて土の乾燥を確認します。
キンギョソウは乾燥と湿潤を繰り返す事で、根を深く張り丈夫に成長します。そのため水をやり過ぎない事が大切です。
水やり時の注意点
キンギョソウは灰色カビ病や疫病や斑点病などの様々な病気にかかるリスクを抱えています。その原因の多くは「水のやり過ぎ」「泥はね」「葉の上で停滞する水」等です。
病気のリスクを避けるために、浸水による多湿を避ける(長雨を避けたり土壌改善)、株元に優しく水やりを行い泥はねさせない、葉や花に水をかけない事が大切になります。
肥料の与え方
キンギョソウの肥料は、成長段階で与え方が変わります。何故ならキンギョソウは生育初期に肥料を必要とせず、開花が始まると肥料を必要とするからです。
キンギョソウの肥料は、開花期間中に行います。基本的には液肥で与えるといいでしょう。液肥はリン酸が多めのものを選び、与える頻度は10~14日に一度のペースで水やりと一緒に与えましょう。
剪定のやり方
キンギョソウの剪定は「花がら摘み」「切り戻し」の2つに分かれます。
花がら摘み
キンギョソウは開花期間中の花がら摘みが大切です。何故なら枯れた花を残すと見た目が悪いばかりか、種を作り初めて株が弱り生育が衰えたり、蕾の花が咲にくくなったりするからです。 枯れた花を摘む事は、沢山の新しい花を咲かせる事に繋がります。
花がら摘みの方法は萎れた花を、指で個々に摘み取るだけです。
切り戻し
キンギョソウの切り戻しは、開花が一段落して来た頃に行います。多くの場合は気温が25度をこえてくると開花が一段落してきます。切り戻しを行う事で、夏越しがしやすくなります。
切り戻しの方法は、株の3分の1から3分の2を目安にして切り戻しましょう。
播種で増やす
キンギョソウの種蒔の方法
播種時期:3~4月・9月~10月
発芽適温:約15~20度
発芽日数:約7~21日
発芽条件:好光性種子
種まき手順
- ポットに種まき用の培養土を準備するか、直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種は好光性種子のため光がないと発芽しません。そのため種の上に土は被せません。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、必ず土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。