原産:スペイン
科:オオバコ(Plantaginaceae)
属:キンギョソウ(Antirrhinum)
種:ヒスパニカム(hispanicum)
別名:スパニッシュ・スナップドラゴン(Spanish snapdragon)/クリーピング・スナップドラゴン(Creeping Snapdragon)
開花時期:春・秋
花の色:桃色●黄色●白色〇
葉色:緑色●
分類:多年草
草丈:約20cm~30cm
用途:
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)とは!?
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)は学名Antirrhinum hispanicum、別名「スパニッシュ・スナップドラゴン(Spanish snapdragon)」や「クリーピング・スナップドラゴン(Creeping Snapdragon)」とも呼ばれるスペイン原産の多年草です。
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)の語源(由来)
- 属名のAntirrhinumは古代ギリシャ語で「子牛の鼻」を意味する「ἀντίρρινον」に由来しており、花後に出来る果実が牛の花に似ている所から来ていると言われています。
- 種小名のhispanicumは「スペインの」を意味しており、自生地に由来します。
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)の特徴(魅力)
- 宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)は「金魚」や「竜の口」にも例えられる個性的な花姿が魅力の多年草です。
- ↳花色は薄桃色と白色で中心部の膨らみに黄色の斑点が入ります。
- 茎や葉は白色の腺毛で覆われているため灰緑色の外観をしています。
- 茎は直立もしくは匍匐する様に広がり通常高さより横へと大きく広がります。
- ↳また匍匐する性質から英名で「Creeping(這う) Snapdragon(キンギョソウ)」と呼ばれます。
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)の茎は緑色で全体に白色の腺毛が密に生えてふさふさした見た目をしています。茎は基部で直立もしくは斜上に成長して、しばしば茎の途中で曲がり横臥し地面を這い高さ約20(~30)cm、幅約30(~60)cmに成長します。葉は茎の下部では対生葉序になり上部では互生葉序になります。葉色は緑色で白色の腺毛が密に生えるためビロードの様な外観があり、葉身の大きさは長さ0.5(~3.5)cm、幅約0.2(~2)cmあり、葉身の形は線形もしくは披針形か卵形です。花序は総状花序に花が集まり、個々の花の色は白色もしくは桃色で下唇の膨らみ部分に黄色の斑点があり、花冠は仮面状花冠(唇形に似るが上唇と下唇の間に膨らみがある)です。花後の果実は袋状の蒴果で熟すと頂部が避けて穴があき、多数の黒色の種子を放出します。
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)の栽培方法
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)を育てる際に注意する事は「長雨による多湿」です。何故なら宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)は長雨に当たったり多湿環境になると、真菌性の病気や細菌性の病気にかかり、株が弱ったり枯れてしまったりするからです。そのため、出来るだけ長雨の影響が少ない場所に植えたり、土壌の排水性を高めておく等の対策が必要でしょう。
キンギョソウの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
キンギョソウの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)は日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。日当たりの悪い場所でも育てられますが茎が細く徒長して倒伏しやすくなったり開花が悪くなったりします。そのため基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。
土壌のPH
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)は土壌のPH6.0~7.0の間を好みます。PHが高すぎたり低すぎたりすると生育不良になる可能性が高くなります。そのため植付け前にPHを診断して、PHが高い場合はピートモスを入れたり、PHが低い場合は苦土石灰を入れる等してPHの改善を行いましょう。
土壌の土質
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)は土壌の土質をあまり選びません。基本的には通気性と排水性が良く、適度に肥沃な土壌であれば問題なく育ちます。
植付けの前に土壌診断を行いましょう。
①土を掘る時に硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
②土を濡らして握った時にバラバラと崩れる場合は保水性がない可能性があります。逆に土の塊が出来ても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。
③肥沃な土の場合は土の色が黒っぽくなるため、土の色が薄い場合は土壌の肥沃さが足りない場合があります。
土壌診断後、必要に応じて通気性を高めるパーライトや川砂を入れたり、保水性や保肥力を高める田土や黒土を混ぜたり、肥沃さが足りない場合は牛ふん堆肥や腐葉土等の堆肥を混ぜこみ土壌改善を行いましょう。
鉢土づくり
日当り
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)は日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。そのため基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。ただし長雨が当たると根腐れや病気を引き起こす原因にもなるため、必要に応じて雨の当たらない場所(軒下等)に移動しましょう。
培養土
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)は一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
生育初期(2~3週間)
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)の生育初期(2~3週間)は土が乾燥しないように水やりをしっかり行います。
株の活着後
根が活着したら水やりの頻度をかえて、乾燥気味に育てます。水やりの最高のタイミングは茎葉が萎れてきたタイミングですが、萎れたタイミングを逃すと株に致命的なダメージを残す可能性があるため、基本的には土の表面(数cm)が乾いてきタイミングで水やりを行うといいでしょう。乾燥の確認は土の色を目視で見て確認するか、指の第1関節まで入れて土の乾燥を確認します。
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)は乾燥と湿潤を繰り返す事で、根を深く張り丈夫に成長します。そのため水をやり過ぎない事が大切です。
水やり時の注意点
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)は灰色カビ病や疫病や斑点病などの様々な病気にかかるリスクを抱えています。その原因の多くは「水のやり過ぎ」「泥はね」「葉の上で停滞する水」等です。
病気のリスクを避けるために、浸水による多湿を避ける(長雨を避けたり土壌改善)、株元に優しく水やりを行い泥はねさせない、葉や花に水をかけない事が大切になります。
肥料の与え方
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)の肥料は、成長段階で与え方が変わります。何故ならキンギョソウは生育初期に肥料を必要とせず、開花が始まると肥料を必要とするからです。
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)の肥料は、開花期間中に行います。基本的には液肥で与えるといいでしょう。液肥はリン酸が多めのものを選び、与える頻度は10~14日に一度のペースで水やりと一緒に与えましょう。
剪定のやり方
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)の剪定は「花がら摘み」「切り戻し」の2つに分かれます。
花がら摘み
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)は開花期間中の花がら摘みが大切です。何故なら枯れた花を残すと見た目が悪いばかりか、種を作り初めて株が弱り生育が衰えたり、蕾の花が咲にくくなったりするからです。 枯れた花を摘む事は、沢山の新しい花を咲かせる事に繋がります。
花がら摘みの方法は萎れた花を、指で個々に摘み取るだけです。
切り戻し
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)の切り戻しは、開花が一段落して来た頃に行います。多くの場合は気温が25度をこえてくると開花が一段落してきます。切り戻しを行う事で、夏越しがしやすくなります。
切り戻しの方法は、株の3分の1から3分の2を目安にして切り戻しましょう。
夏越しする方法
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)は夏の暑さ耐えますが、長雨等により過湿が続くと根腐れを起こしたり病気にかかり株が弱り枯れやすくなります。そのため必要に応じて夏越し対策を行う事が大切です。
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)の夏越し対策
- 地植えする場合は雨にあたりにくい場所に植えてあげるのも1つの対策です。
- 鉢植えで育てている場合は軒下等に移動して雨に当てない工夫をするといいでしょう。
- 土壌の排水性を高め浸水しないようにしておく事も大切です。
冬越しする方法
Hardiness:7a~10b
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)は挿し木で増やす事が出来ます。
挿し木の方法
- 宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)の挿し木時期は生育が活発で発根力が高い春から夏が適します。
- ↳翌年の為に秋に挿し木をとり冬のあいだ屋内で管理する事も可能です。
- 挿し穂は今年成長した部分を利用します。
- ↳長さ約5~7cmでカットしましょう。
- 下部の葉を落として上部の葉を残しましょう。
- 挿し穂を湿らせた培養土に挿して下さい。
- 日向は蒸散が早く萎れやすくなるため、明るい日陰で管理して、土壌が完全に乾燥しない様に水やりをしっかり行いましょう。
播種で増やす
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)の種蒔の方法
播種時期:3~4月・9月~10月
発芽適温:約15~20度
発芽日数:約7~21日
発芽条件:好光性種子
種まき手順
- ポットに種まき用の培養土を準備するか、直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種は好光性種子のため光がないと発芽しません。そのため種の上に土は被せません。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、必ず土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)の病気
- うどんこ病
- 灰色カビ病
- 斑点病
- 褐斑病
- 炭疽病
- 疫病
- 白絹病
- さび病
- 根腐れ病
- 半身萎凋病
- 斑点細菌病
- ウィルス病
宿根キンギョソウ(ヒスパニカム)の害虫
- アブラムシ