ストック(アラセイトウ)は属の中に約50種がありますが、一般に園芸で親しまれている種は幾つかの種とその園芸品種です。例えば、垂直に太い茎が伸びて直径約2~4cmの大きな花を密に咲かせるストック(アラセイトウ)、夜に花が開きバニラを思わせる様な強い香りを漂わせるヨルザキアラセイトウ等が親しまれています。
ストック(アラセイトウ)属の種ごとの育て方は写真か育て方をクリックすると出てくる為よかったらそちらをご覧下さい!
このページでは主な種の種類と特徴、園芸品種の種類と特徴を紹介しています。
ストック(アラセイトウ)の主な種の目次
![]() 開花時期:5月~7月(春撒き)・11月~1月(夏撒き)・2月~4月(秋撒き) | ![]() 開花時期:5月~8月 |
③その他の種や園芸品種 |
ストック(アラセイトウ)の特徴や園芸品種

原産:南ヨーロッパ
学名:Matthiola incana
草丈:約30~90cm
分類:一年草/多年草(短命)
開花時期:5月~7月(春撒き)・11月~1月(夏撒き)・2月~4月(秋撒き)
花色:赤色●桃色●黄色●紫色●白色〇
葉色:緑色●
耐暑性:弱い
耐寒性:強い
誕生花:1月20日/7月16日/12月21日
花言葉:全体「求愛」「愛の絆」「豊かな愛」/赤色「私を信じて」/桃色「ふくよかな愛情」/紫色「おおらかな愛情」/黄色「寂しい恋」/白色「思いやり」「ひそやかな愛」
用途:香りが良い/切り花
ストック(アラセイトウ)とは!?
ストック(アラセイトウ)は学名Matthiola incana、 別名「マッティオラ・インカナ」や「ホアリー・ストック(hoary stock)」とも呼ばれる南ヨーロッパ原産の多年草もしくは一年草です。
ストック(アラセイトウ)の語源(由来)
- 属名のMatthiolaはイタリアの医師で植物学者のPietro Andrea Matthioliへの献名です。
- 種小名のincanaはラテン語で「白っぽい」「灰色がかった」を意味しており、白っぽく灰緑色をした葉の色に由来します。
- ストック(Stock)の由来は茎が木質化して丈夫で直立する事に由来します。
ストック(アラセイトウ)の特徴(魅力)
- ストック(アラセイトウ)は太く垂直に伸びる茎に直径約2(~4)cmの花が密に集まり咲くボリューミーな花穂が魅力です。
- ストック(アラセイトウ)の茎はあまり分枝しませんが品種や環境(温度)等によりよく分枝します。
- 分枝が良いストック(アラセイトウ)はスプレータイプと呼ばれたりしています。
- ストック(アラセイトウ)の茎・葉・萼等は白色の毛で覆われており灰緑色の柔らかな外観をしています。
- そのため種小名のincana(白っぽい)の由来にもなっています。
- ストック(アラセイトウ)の草姿は直立して高さ30cm程度の矮性な品種から90cmに達する高性な品種まであります。
- ↳矮性な品種は花壇に並べられて縁取りに利用されたり寄せ植えに利用されたりします。
- ↳高性な品種は花壇に植えて立体感をつくったり収穫されて切り花にされたりします。
- ↳切り花としては管理の仕方にも左右されますが日持ち5~10日程度です。
- ストック(アラセイトウ)の花は一般的に花弁が4個ですが園芸品種では殆どが八重咲きです。
- 八重咲きストックは不稔性(種を作らない)のため毎回一重咲きのストックから種をとり育て選別されています。
- 種からダブル(八重咲き)が出来る比率は一般的に50%(現代では80%に達する株もある)です。
- ストック(アラセイトウ)の花には甘くスパイシーな強い香りがあります。
- ストック(アラセイトウ)は多年草(短命)ですが一般的に花が終わると夏に枯れる一年草として扱われています。
- 暖地・中間地では夏から秋に種を撒き晩秋から春の間で花が楽しまれます。
- 寒冷地では3月以降に種を撒いて晩春から夏に花が楽しまれます。
ストック(アラセイトウ)の茎は緑色で白色の毛が生えるため灰緑色の外観をしており、茎は直立で殆ど分枝せず高さ約15(~75)cmの間で成長します。葉は根生葉と茎葉があり、茎葉は互生葉序につきます。葉色は緑色で白色の毛が生え灰緑色の外観をしており、葉身の大きさは長さ約2.5(~22)cm、幅約0.5(~2.5)cmあり、葉身の形は線形もしくは狭楕円形か倒披針形で、縁部分は全円もしくは波状縁になります。花序は総状花序に花を付け、個々の花は直径約2(~4)cmあり花弁は4個(稔性)もしくは八重咲き(不稔性)します。花後の果実は長角果で長さ約4(~15)cmあり、熟すと縫合線に沿って弾け直径0.2(~0.3)cmの種子を放出します。
ストック(アラセイトウ)の切り花の楽しみ方

- ストック(アラセイトウ)の収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- ストック(アラセイトウ)の収穫は3分の1以上の花が開いてきたタイミングで行いましょう。
- 収穫したら水揚げを悪くする葉を出来るだけ取り除きます。
- 水に漬けて水切りと必要に応じて湯揚げを行います。
- 水切りしたら延命剤(栄養入り)入りの花瓶に生けましょう。
- 延命剤の効果によって蕾が開きやすくなり日持ちが長くなり葉の黄化も防げます。
- 管理場所は出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)でエチレン発生源から離した場所で楽しみましょう。
- 高温環境では極端に日持ちが悪くなり、またエチレンの感受性が高い事からエチレンが発生する場所の近くに置くと花が萎れやすくなります。
- 管理は数日(約1~3日)ごとに水切りと水換えを行い、水揚げが悪いと感じる場合は必要に応じて湯揚げをしましょう。
- ↳管理場所や管理の方法でも左右されますが日持ちは5~10日程度です。
水切り
水切りとは茎の根元を水の中に浸けた状態で、茎の根元から上に約1~5cmの部分でハサミを使い斜めにカットして、吸水面を広げる水揚げ方法です。水切りを行う目的は「細菌」「空気」「その他」が原因で茎が詰まり水揚げが悪くなってる部分を、水の中で切り戻して正常な状態に戻し水揚げを改善する事です。水切りは水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。
湯揚げ
湯揚げとは約80度に沸騰させたお湯に切り花の切り口をつけて、内部の気泡(空気)を膨張させて外に押し出し、水揚げを改善する方法です。
①湯上げする際は熱や水蒸気が余計な部分に当たらないように切り花の下部(約20cm)を残して花全体を新聞紙で包みます。
②切り花をお湯につけた後は冷水に浸ける必要があるため、予めバケツ等に冷水を入れて準備しておきましょう。
③鍋で沸騰させたお湯(約80度)に約30秒ほど切り花の切り口をつけましょう。
④お湯に浸け終わったら予め準備しておいた冷水に浸けて2時間程度水揚げを行います。
⑤水揚げが終わったら必要に応じて水切りを行い再度花瓶に生けて楽しみます。
エチレン
エチレンは植物の世界では植物ホルモンの一つとして働いています。一般的には植物の成長の阻害や老化、成熟等に関与しており、切り花の世界では日持ちが短縮する要因として知られています。エチレンの感受性が低い切り花(キク・ガーベラ等)はエチレンの影響を受けにくいですが、エチレンの感受性が高い切り花(カスミソウ・スイートピー等)はエチレンの発生源から遠ざけて管理した方が良いでしょう。
エチレンの発生源
果実(バナナ・リンゴ・アボカド等)・枯れた植物(花がら等)・植物が病原菌に感染した部位・植物が損傷部位・たばこ・線香の煙・排気ガス等
おすすめの延命剤
おすすめの延命剤
- 花に十分な栄養を与え、花を大きく咲かせ、蕾をしっかり開かせます。
- 水のみと比べて切り花の日持ちが大幅に長くなります。
- pHを下げて雑菌の増殖を抑制して、水揚げを促進します。
- 萎凋や変色を抑制します。
- 花瓶の中の水のぬめりを抑え水を清潔に保ちます。
- 全ての切り花に利用できます。
ストック(アラセイトウ)の栽培方法
園芸では、ストック(アラセイトウ)の色鮮やかで大きく豪華な花を鑑賞する目的や、花を収穫して切り花として利用する目的で育てられます。草丈は最大90cmになる高性な品種から30cm程度の矮性な品種があるため、育てる品種に合わせて花壇の中央や後方等に植えて高さと立体感を出したり、花壇の前方や中央部に並べて縁どりとして楽しんだりすると良いでしょう。またストック(アラセイトウ)は豊富な花色があるため、赤色や黄色等の色鮮やかな複数の花を組み合わせてカラフルなお庭をつくるのもいいかもしれません。
ストック(アラセイトウ)の主な園芸品種
ヨルザキアラセイトウの特徴や園芸品種

原産:南ヨーロッパ
学名:Matthiola longipetala
草丈:約15~60cm
分類:一年草
開花時期:5月~8月
花色:桃色●黄色●紫色●白色〇
葉色:緑色●
耐暑性:普通
耐寒性:-
用途:香りが良い/切り花
ヨルザキアラセイトウとは!?
ヨルザキアラセイトウは学名Matthiola longipetala、 別名「ナイトセンテッドストック(night-scented stock)」や「イブニングストック(evening stock)」とも呼ばれる南ヨーロッパ原産の一年草です。
ヨルザキアラセイトウの語源(由来)
- 属名のMatthiolaはイタリアの医師で植物学者のPietro Andrea Matthioliへの献名です。
- 種小名のlongipetalaは「長い」を意味する「long」と、「花弁」を意味する「petalus」2語からなります。
- ヨルザキアラセイトウの由来は夜咲きするアラセイトウ属の植物からきています。
ヨルザキアラセイトウの特徴(魅力)
- ヨルザキアラセイトウはその名前からも分かる通り夕方から夜に花が咲きます。
- 昼間の花は萎れたような外観になります。
- ヨルザキアラセイトウの花は小花が多数つくスプレー咲きです。
- 豪華な花を咲かせるストック(アラセイトウ)と比べてヨルザキアラセイトウの花は可憐です。
- 花の香りは甘くスパイシーでバニラの香り等に例えられます。
- 香りは花が開く夕方から夜にかけ強く放出されます。
- ヨルザキアラセイトウの切り花の日持ちは管理方法でも左右されますが8日程度です。
- 切り花として部屋に飾ると心地よい芳香が屋内の空間に広がります。
- ヨルザキアラセイトウの茎は直立もしくは傾状茎(地表を這い途中で立ち上がる)です。
- 茎は細くよく分枝します。
- ヨルザキアラセイトウの茎・葉・萼等は白色の毛で覆われており灰緑色の柔らかな外観をしています。
- ヨルザキアラセイトウは一年草です。
- 早春から晩春に種を撒き夏に花を楽しんだら徐々に株が衰退していき枯れていきます。
ヨルザキアラセイトウの茎は緑色で白色の毛が生えるため灰緑色の外観をしており、茎は傾状茎(地表を這い途中で立ち上がる)もしくは直立して、高さ約15(~60)cmの間で成長します。葉は根生葉と茎葉があり、茎葉は互生葉序につきます。葉色は緑色で白色の毛が生え灰緑色の外観をしており、葉身の大きさは長さ約2(~11)cm、幅約0.2(~2)cmあり、葉身の形は線形もしくは狭楕円形か倒披針形で、縁部分は全円もしくは波状縁になります。花序は総状花序に花を付け、個々の花は直径約1(~2)cmの十字花冠(花弁4個)です。
ヨルザキアラセイトウの栽培方法
園芸では、ヨルザキアラセイトウの可憐な花を鑑賞する目的や、香りを楽しむ目的や、花を収穫して切り花として利用する目的で育てられます。ヨルザキアラセイトウは比較的にコンパクトな草姿をしている事から、花壇の前方や中央部に並べて縁どりとして楽しんだり、管理のしやすい鉢植えに植えて様々な場所で楽しまれたりします。