クチナシは属の中に約134種がありますが、一般に園芸で親しまれている種は幾つかの種とその園芸品種です。例えば、花にココナッツやジャスミンを思わせる様な強い香りがあり清楚な雰囲気が漂う白色の花が魅力的なクチナシ、ハワイ等ではレイ(花のネックレス)に使われモノオイルの原料にも使われるティアレ・タヒチ等がしたしまれます。
クチナシ属の種ごとの育て方は写真か育て方をクリックすると出てくる為よかったらそちらをご覧下さい!
このページでは主な種の種類と特徴、園芸品種の種類と特徴を紹介しています。
クチナシの特徴や園芸品種
原産:日本/東アジア
学名:Gardenia jasminoides
草丈:約30~300cm
分類:常緑低木
開花時期:6月~7月
花色:黄色●黒白色〇
葉色:緑色●
耐暑性:強い
耐寒性:普通
誕生花:6月7日/6月28日
花言葉:沈黙/清潔/洗練/喜びを運ぶ/とても幸せです
用途:香りが良い/切り花
クチナシとは!?
クチナシは学名Gardenia jasminoides、別名「センプク」や「サンシン」や「ガーデニア(gardenia)」とも呼ばれる常緑低木です。クチナシは日本及び東アジアが原産で、日本では本州の静岡県以西・四国・九州に分布して森の中等に自生しています。
クチナシの語源(由来)
- 属名のガーデニア(Gardenia)の由来はスコットランドの植物学者兼医者のDr. Alexander Gardenへの献名です。
- 種小名のjasminoidesはラテン語で「ジャスミン」を意味する「jasminum」とギリシャ語で「に似た」を意味する「oides」の二語からきており、ジャスミンに似ていることに由来します。
- 和名のクチナシの由来は諸説ありますが花後に出来る実に口がない所からきています。
クチナシの特徴(魅力)
- クチナシは他の香りの花も圧倒する程の強い香りがあります。
- ↳香りはココナッツやジャスミンの香りに例えられ開花期は数メートル離れても香りが感じられます。
- クチナシは切り花にすれば屋内でも香りが楽しめます。
- ↳ただし切り花としての寿命は短く日持ち2~3日程度です。
- クチナシの花は中国では花弁を蜂蜜漬けにしたりお茶の香り付けにしたりして食用として利用されています。
- 花後に出来るクチナシの果実は非常に装飾的で秋頃に収穫されます。
- ↳クチナシの果実は様々な薬効があり生薬名「サンシシ」で漢方薬に配合されています。
- クチナシは背が低く地面を被覆する様に成長する品種や背が高く成長する品種等がありお庭の雰囲気に合わせて品種選びが出来る所も魅力です。
クチナシの茎は若い時は緑色で成熟すると樹皮の色は灰褐色になります。茎は直立もしくは、幾つかの品種では這うように広がり高さ30(~300)cmの間で成長します。葉は茎に対して対生葉序もしくは輪生葉序につきます。葉色は緑色で艶のある光沢があり、葉身の大きさは長さ約3(~25)cm、幅約1.5(~8)cmあり、葉身は楕円形です。花は香りがよく、最大直径10cmまでになり、花弁は通常5~6個、八重咲きする事もあります。花後の果実は長さ約2(~3)cmの楕円形で、側面に5~7の稜があり、果実は成熟するにつれて緑色から黄色、橙色へと色が変わっていきます。
開花時期は初夏から夏、花色は白色もしくは黄色で、個々の花は直径が5~10cmで花は(5~)6裂するか、八重咲きします。樹形は這性のものや直立するものがあり高さは約30(300)cm × 幅は30(180)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は楕円形、葉序は対生葉序もしくは輪生葉序につきます。
クチナシの香りと効果
クチナシは花には「ココナッツ」「柑橘類」「ジャスミン」等に表現される濃厚でエレガントな芳香があり、開花期間中は数メートル離れた場所でも漂う強い香りがあります。そのため花を切り花としてお部屋に飾るとクチナシの香りが部屋の中に充満します。
クチナシの香りの由来となる主な精油
リナロールは「フローラル」「柑橘系(オレンジ)」「ブルーベリー」「ローズ」等に例えられる華やかな香りがあり、風味(フレーバー)は甘くフルーティーです。一般に植物ではイングリッシュラベンダーやスズラン等に豊富に含まれており、精油は化粧品やアロマテラピー等の様々な場面にも使われています。リナロールの香りの効果にはイライラや興奮といった神経系の過活動を抑える働き(鎮静効果)や、不安や緊張を和らげる効果(抗不安効果)があるため、落ち着きたい時や集中したい時などに嗅ぐとよいでしょう。
α-ファルネセンは「柑橘系」「ラベンダー」「木の香り」等に例えられるマイルドで甘い香りがあり、一般に植物ではクチナシ等に含まれています。
テルピネオールは「木の香り」「柑橘系」「ライラック」「フローラル」等に例えられる爽やかで優しい香りがあり、風味(フレーバー)はウッディな中に柑橘類の甘みを感じさせます。一般に植物では月桂樹やローズマリー、マジョラム等に含まれており、精油は食品(飲料等)の香料や化粧品等に利用されています。テルピネオールの精油の効果には、株式会社ファンケルが研究発表した「作動記憶に関わる脳領域の活動を高める効果」があり会話能力や読み書き能力を高める効果や、また認知症の予防効果等が期待されています。またカビやバクテリアによる食品の腐敗を防ぐ抗菌・殺菌作用があります。
ゲラニオールは「フローラル」「柑橘系」「甘い」「ローズ」等に例えられるマイルドな香りがあり、風味(フレーバー)はフルーティーです。一般に植物ではゼラニウムやクチナシ等に含まれており、精油は食品の香料やアロマオイル等に利用されています。ゲラニオールの精油の効果には、まだ研究段階で科学的根拠が不十分なものもありますが「抗菌・抗真菌作用」「抗酸化作用」「抗炎症作用」「抗がん効果」等があります。
クチナシの切り花の楽しみ方
- クチナシの収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 収穫は花が4分の3以上開いてるものを選びます。
- 収穫したクチナシはバケツの中で不要な葉を取り除きます。
- 葉を取り除いたら茎の根元をハサミで十字に切り根元割りを行いましょう。
- 根元割りしたら花瓶に生けて楽しみます。
- 花瓶の中での日持ちは2~3日程度です。
クチナシの栽培方法
園芸では、クチナシの強烈な香りと清楚な花姿を楽しむ目的で育てられる事が多く、また品種によって這うように広がる樹形であればグランドカバーに、こんもり茂る樹形であれば生垣に、背が高くなる品種であれば庭木にして楽しまれます。園芸品種には、這うように広がり地面の被覆としても利用できる「ラディカンス(gardenia jasminoides ‘Radicans’)」や花が成熟するにつれて白色から黄色へと色がかわる「ゴールデンマジック(golden magic)」等があり、それぞれお庭の雰囲気に合わせて品種を選ぶと良いでしょう。
クチナシを育てる際は、肥沃な土壌と湿り気を好むため植える前に堆肥を入れて土質をしっかり改善しておきましょう。また暑さの厳しい地域であれば強い日差しで、葉やけを引き起こす可能性もあるため、植え場所に注意が必要です。寒さには比較的に耐えますが、強い霜の降りる地域では枯れる事もあります。寒冷地では鉢植えで育て、冬の間は屋内に入れるのも1つの方法です。増やし方は一般的に挿し木で増やしますが、果実(種)をつける品種であれば種によって増やす事もできます。
クチナシの主な園芸品種
クチナシ(ゴールデンマジック)は花が成熟するにつれて花色が白色から鮮やかな黄色へと色変わりしていき、まるでマジックを見ているかのような驚きがある魅力的な園芸品種です。花は八重咲きで直径が約5~8cmで、花弁は白色から薄黄色になり、最後は鮮やかな黄色へとかわります。
クチナシ(ベルモント)は花の直径が約10cmにもなる巨大な花姿と、白色の花弁が幾重にも重なる清楚な雰囲気が魅力的な園芸品種です。
ティアレ・タヒチの特徴や園芸品種
原産:ソシエテ諸島
学名:Gardenia taitensis
草丈:約50~600cm
分類:常緑低木
開花時期:4月~7月
花色:白色〇
葉色:緑色●
耐暑性:強い
耐寒性:弱い
誕生花:6月7日/6月28日
花言葉:沈黙/清潔/洗練/喜びを運ぶ/とても幸せです
用途:香りが良い/切り花
ティアレ・タヒチとは!?
ティアレ・タヒチは学名Gardenia taitensis、別名「タヒチアン・ガーデニア(Tahitian gardenia)」や「ガーデニア・タイテンシス」とも呼ばれる常緑低木です。ティアレ・タヒチはメラネシア及び西ポリネシアを原産としており、タヒチは原産でもなく帰化もしていません。
ティアレ・タヒチの語源(由来)
- 属名のガーデニア(Gardenia)の由来はスコットランドの植物学者兼医者のDr. Alexander Gardenへの献名です。
- 種小名のtaitensisは、1824年にJules Dumont d’Urvilleにより収集されたタヒチの標本を元に名付けられています。
- ティアレ・タヒチは由来はタヒチ語で「花」を意味するティアレとタヒチの二語からなります。ただしタヒチ自体は原産地ではないため、誤解されているとしばしば指摘される事があります。
ティアレ・タヒチの特徴(魅力)
- ティアレ・タヒチは他の香りの花も圧倒する程の強い香りがあります。
- ↳香りはココナッツやジャスミンの香りに例えられ開花期は数メートル離れても香りが感じられます。
- ティアレ・タヒチは切り花にすれば屋内でも香りが楽しめます。
- ↳ただし切り花としての寿命は短く日持ち2~3日程度です。
- 花はハワイでは「レイ」タヒチでは「ヘイ」と呼ばれる花のネックレスに利用されます。
- オイルに浸され「モノイオイル」が作られます。
- 株は成熟すると6mの高さまで成長する事があります。
開花時期は春から夏、花色は白色、個々の花は花先が5~8裂する花を咲かせます。樹高は約50~600cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は倒卵形もしくは楕円形、葉序は対生葉序につきます。
ティアレ・タヒチの切り花の楽しみ方
- ティアレ・タヒチの収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 収穫は花が4分の3以上開いてるものを選びます。
- 収穫したティアレ・タヒチはバケツの中で不要な葉を取り除きます。
- 葉を取り除いたら茎の根元をハサミで十字に切り根元割りを行いましょう。
- 根元割りしたら花瓶に生けて楽しみます。
- 花瓶の中での日持ちは2~3日程度です。
ティアレ・タヒチの栽培方法
ティアレ・タヒチを育てる際は、肥沃な土壌と湿り気を好むため植える前に堆肥を入れて土質をしっかり改善しておきましょう。また冬の寒さに弱いため、霜の降りる地域での屋外での越冬は基本的に難しいです。そのため管理のしやすい鉢植えで育て、冬の間は屋内に入れるのも1つの方法でしょう。増やし方は一般的に挿し木で増やしますが、果実(種)をつける品種であれば種によって増やす事もできます。