原産:日本
科:キク(Asteraceae)
属:アザミ(Cirsium)
種:ノアザミ(japonicum)
別名:コアザミ/ドイツアザミ(品種群)/ジャパニーズ・シスル(Japanese thistle)
開花時期:5月~8月
花の色:赤色●桃色●紫色●白色〇
葉色:緑色●
分類:多年草
草丈:約50cm~100cm
誕生花:6月19日
花言葉:独立/権利/触れないで/素直になれない恋
用途:切り花
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ノアザミとは!?
ノアザミは学名Cirsium japonicum、別名「コアザミ」や「ドイツアザミ(品種群)」とも呼ばれる日本原産の多年草です。日本では本州・四国・九州に分布しており、日当たりの良い山野や野原、道端等に自生しています。
ノアザミの語源(由来)
- 属名のCirsiumは古代ギリシャ語で「アザミの1種」を意味する「κίρσιον」に由来します。
- 種小名のjaponicumは「日本の」を意味しており自生地に由来します。
- ノアザミの由来は「野(ノ)」に生える「アザミ」です。
- ↳アザミの由来は諸説ありますが一説には花を摘む際に棘に刺さり「あざむかれた」という気持ちになった事からついたと言われています。
ノアザミの特徴(魅力)
- ノアザミは花を基部で支える総苞の総苞片が合着しているため総苞がツルツルした見た目をしています。
- ↳総苞には蜜腺があり粘液を出すため粘着質です。
- ↳蟻に盗蜜させない目的があると言われています。
- 花は雄蕊や雌蕊が突出するためふわふわとした柔らかな見た目をしています。
- 雄蕊は集葯雄蕊と言われるもので5個の雄蕊が合着して筒状になっていて
- ↳集葯雄蕊に虫が接触すると先端に白色の花粉が湧き出てきます。
- 雄蕊が花粉を出して縮むと次に雌蕊があらわれます。
- 花は筒状花が集まる頭花で蜜が豊富にあるため蝶々や蜜蜂等の蜜源植物に最適です。
- ↳また日本固有種のためビオトープに植える植物としてもおすすめです。
- 花は切り花としても魅力的で7~10日程度の日持ちがあります。
- 開花期間は一般的に5月~8月ですが稀に10月まで咲く事もあります。
- 葉は縁部分が深くカットされた装飾的な形をしています。
- ↳縁部の鋸歯の先には鋭い棘があるため扱う際には注意が必要です。
ノアザミの茎は緑色で白色の毛が密生もしくは少なく生えており、茎は直立して上部で分枝する草姿を作り、高さ約50(~100)cmの間で成長します。葉は根生葉と茎葉があり、根生葉は花期にも残り、茎葉は互生葉序に配置され、葉色は緑色、葉身は羽状中裂(~深裂)して縁部分にある鋸歯の先には鋭い棘があります。花序は筒状花のみが集まる直径約4(~5)cmある頭花で、花序の基部を包む総苞は2(~4)cmの球状で総苞片は反り返らず6(~7)列に付き粘液を出すため粘る、個々の花(筒状花)は裂片が5個と雄蕊が5個(集葯雄蕊)で虫等が接触すると花粉が湧き出て、後に雌蕊(花柱)があらわれます。花後の果実は痩果でたんぽぽの様な冠毛があります。
開花時期は晩春から晩夏、花色は紫色や桃色、赤色や白色があり、花序は筒状花が集まる頭花です。草姿は直立高さ約50(~100)cm × 幅約30(45)cmに成長します。葉色は緑色、葉身は羽状中裂(~深裂)して縁部分に鋸歯と鋭い棘があり、葉序は根生葉と互生葉序があります。
ノアザミの切り花の楽しみ方
- ノアザミの収穫は朝の涼しい時間帯におこないましょう。
- 収穫の前に水を入れたバケツを準備しておきます。
- ノアザミの収穫は花が開いてるものを選びます。
- 収穫したノアザミはバケツの中で不要な葉を取り除きます。
- 葉を取り除いたら水に漬けて水切りを行いましょう。
- 水切りしたら花瓶に生けて楽しみます。
- ↳日持ちは7~10日程度です。
- 管理は必要に応じて数日(約1~3日)ごとに水切りと水換えを行います。
水切り
水切りとは茎の根元を水の中に浸けた状態で、茎の根元から上に約1~5cmの部分でハサミを使い斜めにカットして、吸水面を広げ水揚げしやすくする方法です。水の中で切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。※導管に気泡が入ると水揚げが悪くなり萎れやすくなります。
ノアザミの栽培方法
園芸では、綿毛の様にふわふわした花を鑑賞する目的で育てられたり、また蝶々や蜜蜂が飛び交うようなお庭(ビオトープ・バタフライガーデン等)をつくる目的で育てられる事が多いです。茎は垂直に伸びて、比較的に背が高くなるため花壇の中央や後方等に植えて高さと立体感を出したり、また切り花として利用する目的で植えられたりします。
ノアザミを育てる際に注意する事は「強い乾燥」や「花がら摘み」です。何故ならノアザミは乾燥をやや苦手にしており、また花後に株が衰え枯れてしまう事があるからです。
アザミの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
アザミの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
ノアザミの育て方
花壇の土づくり
ノアザミは日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。そのため植える場所は、直射日光が6時間以上当たる日向が理想です。また3時間~5時間の半日影までに植えて育てる事が出来ます。
ノアザミは土質をあまり選びませんが、水捌けがよく有機物がしっかり入る肥沃な土壌を好みます。
植付けの前に土壌診断を行い、土壌が粘土質で硬かったりする場合は、必要に応じて通気性を高める川砂やパーライト等を入れたり、また肥沃さと膨軟性を高める目的で腐葉土やバーク堆肥を入れ土壌改善を行いましょう。
鉢土づくり
ノアザミは基本的には直射日光が6時間以上あたる日向で管理しましょう。
ノアザミは一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性が良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒)6割+腐葉土4割+元肥(適量)
水やりの仕方
ノアザミは乾燥にそこまで強くありません。そのため土が乾燥してきたらしっかり水やりを行いましょう。
水やりの方法
- 基本的には土の表面が乾燥してきた事を確認したら水やりを行います。
- 土の表面の乾燥は、目視(土の色)もしくは土を触って確かめます。
- ↳触って確かめる場合は指の第1関節を土にさして、乾き具合を確かめると良いでしょう。
- ただし土の乾燥とは関係なく茎葉が萎れ気味になっている場合は直ぐに水を上げてください。
- また冬は成長がとまるため、水やりを控えめにして乾燥気味に育てます。
肥料の与え方
ノアザミは有機物がしっかり入る肥沃な土壌であれば、多くの肥料はいりません。
植え付け時もしくは休眠中の晩冬に元肥を入れておけば基本的には追肥不要です。鉢植えで育てていて栄養が足りなくなると感じる場合は必要に応じて追肥を与えましょう。
- 肥料は元肥(①②)と必要に応じて追肥を与えましょう。
- ①元肥(植え付け時)は窒素・リン・カリがバランスよく入る緩効性肥料を選び全面施肥(培養土もしくは土に均一に混ぜ込む)しましょう。
- ②晩冬に入れる元肥(寒肥)は窒素・リン・カリがバランスよく入る緩効性肥料もしくは配合肥料を選び、株元から少し離した場所に穴を掘り施しましょう。
- ↳また、土質は風雨等でどうしても年々劣化するため、元肥(寒肥)と一緒に土質を改善する堆肥や腐葉土等も入れてあげるといいでしょう。
- 追肥は窒素・リン・カリがバランスよく入る水平型の緩効性肥料肥料を選び、規定量を1~3ヶ月に一度施しましょう。
剪定のやり方
ノアザミの剪定は「摘芯」と「花がら摘み」の2つに分かれます。
摘芯
摘芯とは生育初期に茎の成長点を指やハサミで摘む事で、頂芽の成長を止めてしまい側芽の成長を促す方法です。
摘芯は必ず必要な作業というわけではありませんが、摘芯を行う事で草丈を抑えて茎の数を増やしたり、また茎の数が増える事で花の数が増えます。ただし花が増えると花の大きさは小さくなります。また草丈が抑えられると切り花には使いにくくなるかもしれません。
花がら摘み
開花期間中は一般的に花がら摘みが必要です。何故なら枯れた花を残すと見た目が悪いばかりか、種を作り初めて株が弱り枯れてしまったり、新しい花がつくられにくくなったりするからです。また枯れた花を摘む事は、新しい花の開花を促す事に繋がります。
冬越しする方法
Hardiness:5b~9a
ノアザミは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にありません。
春からの成長に備えて株の周囲に穴を掘り寒肥(配合肥料)を入れたり、腐葉土を入れるかマルチングして上げるといいでしょう。
播種で増やす
ノアザミの種蒔の方法
播種時期:3月~4月・9月~11月
発芽適温:約15~20度
発芽日数:約5~14日
発芽条件:
種まき手順
- ポットに種まき用の培養土を準備するか、直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せるか、被せずそのままにします。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、必ず土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。