- 原産:南ヨーロッパ
- 科:オオバコ(Plantaginaceae)
- 属:ツタバウンラン(Cymbalaria)
- 種:ツタバウンラン(Cymbalaria muralis)
- 別名:ツタガラクサ/ウンランカズラ/アイビーリーブ・トードフラックス(ivy-leaved toadflax)/ケニルワース・アイビー(Kenilworth ivy)
- 開花時期:5月~9月
- 花の色:黄色●紫色●白色〇
- 葉の色:緑色●
- 分類:多年草
- 草丈:約5~15cm(長さ60cm)
- 誕生花:
- 花言葉:遠い夢
- 用途:グランドカバー/壁面緑化/日陰植物
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ツタバウンランとは!?
ツタバウンランは学名Cymbalaria muralis、別名では「ツタガラクサ」や「ウンランカズラ」とも呼ばれる南ヨーロッパが原産の多年草です。
ツタバウンランの語源(由来)
- 属名のCymbalariaは、楽器の「シンバル(Cymbal)」からきており、丸みを帯びた葉の形がシンバルに似ている所からきています。
- 種小名のmuralisは、ラテン語で「壁」を意味しており、恐らく壁などによく自生している事に由来します。
ツタバウンランの特徴(魅力)
- ツタバウンランは、ふつう匍匐性に地面を張って成長しますが、「割れ目」や「隙間」などを利用して登る習慣もあるため岩壁や樹木などにへばりつくようにした自生する姿もよく見られる植物です。
- 草姿は匍匐性、茎は地面を這うようにして伸びながら節から不定根を出して地面に定着して無制限に広がります。そのためグランドカバーとして利用される事もあります。
- また茎はツル性に、岩壁の隙間などを利用して上に向かい成長する事があります。恐らく節から出る不定根を隙間などに入れて体(茎)を固定しながら登っています。
- ツタバウンランの花は初め太陽(光)に向かって伸びる性質がありますが、受粉後は太陽(光)から離れるように地面に向かう性質がある事で知られています。
- この現象は花茎に「正の光屈性(光に向かう)」と「負の光屈性(光から離れる)」がある事からきており、受粉後は花茎が負の光屈性になり曲がる事で、花が暗い方に向かい、花(種)を暗い岩壁の隙間に押し込み、発芽率を高めると考えられています。
- 花は小さな「金魚草の花」に例えられる事もあり、花中央の喉部が金魚草のように膨らんでいます。また花には距と呼ばれる、角状の突起があり、後ろ側に伸びています。
- 花の中央の喉部にある黄色の班は、蜜蜂などの昆虫が花蜜や花粉を探す際の目印になる花蜜標識(ネクターガイド)となっています。
- 葉はふち部分が3~7回浅く裂けており、アイビーの葉を小さくした様な上品な外観をしています。
- 葉は食用として食べられる事もあり、南ヨーロッパ等ではサラダに入れたり、お湯に1分程度潜らせて食べられたりします。
- 味はクレソンに似た刺激的な風味と苦味があり、人によって味の好みが分かれます。
- 食用で南ヨーロッパでは古くから食べられてきた植物ですが、僅かに毒性があると言われているため、大量に摂取するのは避けた方がよいでしょう。
- ツタバウンランは侵略的植物として見られており、多くの国に広がり帰化しており、雑草として見られる事が多い植物です。そのため可愛らしい外観をしていますが駆除される事も多いです。
ツタバウンランの草丈は約5(~15)cm、茎の長さ約60cm、草姿は匍匐性(茎が地面を這うように伸びる性質)、茎の色は赤色または赤茶色です。
葉序は互生葉序、葉色は緑色、葉柄はあり、葉身は長さ約1(~3)cm、幅は約1(~4.5)cm、葉身の形は先端が丸みを帯びる腎形、葉のふち部分は3~7回浅裂します。
花序は腋花、花冠の長さ約0.7(~1)cm、直径約0.7(~1)cm、花冠の形は唇形花、上唇は2裂、下唇は3裂、喉部に2つの膨らみと後ろに伸びる距があります。花色は薄い紫色、上唇に紫色の筋状の班が入り、中央部の膨らみは白色で頂部に黄色の班が入ります。
果実は蒴果(複数の心皮からなり果皮が裂開して種子を放出する)、蒴果は球形、大きさは直径約0.4cm、色は褐色です。
ツタバウンラン属の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ツタバウンランの育て方
花壇の土づくり
日当たり
ツタバウンランは、西日の当たらない半日影で育てる事が理想ですが、日向から間接光のみがあたる日陰まで、幅広い環境で育てる事が可能です。
土壌の土質
ツタバウンランは基本的に土質を選びません。土壌の通気性が良ければ幅広い土壌で育てることが出来ます。植え付けの前に土壌診断を行い通気性がよく適度に肥沃な土壌をつくりましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ツタバウンランは、西日の当たらない半日影で育てる事が理想ですが、日向から間接光のみがあたる日陰まで、幅広い環境で育てる事が可能です。
培養土
ツタバウンランは一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
挿し木や株分けで増やす
ツタバウンランは株分けや挿し木によって増やす事ができます。
株分け手順
- ツタバウンランの株分け時期は早春もしくは秋が最適です。
- スコップを使い株を掘りあげます。
- 株から少し土を落として茎から出る不定根の位置を確認します。
- 茎に不定根をつける形でナイフやハサミ等を使い個々に切り分けましょう。
- 株分けした株は、必要な場所に植え直して水をたっぷり与えます。
挿し木の方法
- ツタバウンランの挿し木時期は晩春から初夏が適します。
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットしましょう。
- 挿し穂 の長さ約5~7cmにわけます。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を残します。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。
- 切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
ツタバウンランの種蒔の方法
播種時期:3月~5月・9月~10月
発芽適温:約20度
発芽日数:約14日~28日
発芽条件:
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。
- もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。