ノウゼンハレン(ナスタチウム)は属の中に約74種がありますが、一般に園芸で親しまれている種は幾つかの種とその園芸品種です。例えば、蓮の葉を小さくしたような丸く可愛らしい葉と色鮮やかな花が魅力的なナスタチウム、子供の手のような可愛らしい外観をした葉と黄色の花が魅力的なカナリークリーパー等が親しまれています。
属属の種ごとの育て方は写真か育て方をクリックすると出てくる為よかったらそちらをご覧下さい!
このページでは主な種の種類と特徴、園芸品種の種類と特徴を紹介しています。
ノウゼンハレン(ナスタチウム)の主な種の目次
ナスタチウムの特徴や園芸品種
- 原産:南アメリカ
- 学名:Tropaeolum majus
- 草丈:約30~240cm
- 分類:一年草/多年草(短命)
- 開花時期:4月~10月(7月に最も開花する)
- 花色:赤色●橙色●黄色●紫色●白色〇
- 葉色:緑色●黄色●白色〇
- 耐暑性:強い
- 耐寒性:弱い
- 誕生花:4月6日/5月11日
- 花言葉:勝利/愛国心/困難に打ち克つ
- 用途:開花期間長い/カラーリーフ/グランドカバー/壁面緑化
ナスタチウムとは!?
ナスタチウムは学名Tropaeolum majus、一般にナスタチウムと言うとこの種をさしており、別名では「キンレンカ」や「インディアンクレス(Indian cress)」とも呼ばれる南アメリカが原産の一年草または短命の多年草です。
ナスタチウムの語源(由来)
- 属名のTropaeolumは古代ギリシャ語で「勝利」「トロフィー」を意味する「τρόπαιον(trópaion)」からきています。
- 種小名のmajusはラテン語で「より大きい」を意味しています。
ナスタチウムの特徴(魅力)
- ナスタチウムは、葉の形が「蓮の葉」のように丸く可愛らしい外観をしており、「蓮の葉」と同様にロータス効果があり水が葉に乗るとコロコロと弾きます。また橙色や黄色の明るい花色はトロピカルな印象を与える事はもちろん、夕暮れ時になると発光しているように見えることがあると言われており、この現象をエリザベス・リンネ現象と呼びます。
- 草姿はツル性、 茎は基本的に自立することなく匍匐するようにして地面を広がり、壁面を垂れ下がったり、逆に柵をよじ登る事もあります。
- ナスタチウムはカスケード状に垂れ下がる優雅な草姿を鑑賞する目的で、鉢植えやハンギングバスケットなどに植えられられたり、壁面の上等に植えられる事が多いです。
- ナスタチウムは壁面を登る事もある事から、トレリス等を準備して、軽く誘引しながら壁面緑化植物として利用される事もあります。
- 開花期は4月~10月、7月に最も沢山の花をつける傾向にあり、葉腋から長い花柄を伸ばして1個の花をつけます。
- 花は直径約2~6cm、形は5個の花弁が平開して、後ろ側に管上に伸びる距があります。
- 花色は赤色・橙色・黄色と非常に色鮮やかで明るくトロピカルな雰囲気をつくり、また夕暮れ時に「閃光」を放つように輝いて見える事があります。この発光するように見える現象はエリザベス・リンネ現象と呼ばれます。
- エリザベス・リンネ現象とは、二名法を作った事で知られる植物学者のカール・リンネの娘、エリザベス・リンネが発見した現象です。現象はナスタチウムが夕暮れ時になると、稲妻が走ったように発光しているように見える所からきています。かつては、その発光現象から電気が関係していると見られていましたが、現在は橙色の花色と葉の緑色のコントラストが引き起こす目の錯覚と考えられています。
- 葉の形は盾形と呼ばれる形をしており、盾形は葉の中央付近に葉柄があり、また葉は丸いため「蓮の葉」を連想させる外観をしています。
- 葉は水をコロコロと弾くロータス効果があるため自浄作用をもちます。ロータス効果により葉に落ちた水滴は零れるため、その際に泥や小さな虫を巻き込み落とし、葉を綺麗に保つことが出来ます。
- 葉はふつう緑色ですが、幾つかの品種では葉に白色(薄い黄色)の班が入るため、品種を選べば明るい印象を与えるカラーリーフとして楽しむ事も出来ます。
- ナスタチウムには鑑賞用と食味の良い食用ナスタチウムがあり、食用ナスタチウムは地上部の茎・葉・花・果実の全てが食用になります。
- ナスタチウムは「クレソン」や「胡椒」に似たピリッとしたスパイシーな風味があり、花や葉はサラダや炒め物に入れられてよく食べられています。
- ナスタチウムは冬の寒さに非常に弱く、また一年草または短命の多年草のため、基本的に冬越しさせることなく一年草として育てられます。
ナスタチウムの草姿はツル性、茎の長さ約240cm、茎の色は緑色もしくは赤みを帯びます。
葉序は互生葉序、葉色は緑色、葉柄は長さ約5(~15)cm、葉身の長さ約3(~15)cm、葉身の形は盾形をしています。※葉脈(主脈)は9個あり中央から外側へと放射状に広がります。
花序は腋花、花の直径約2(~6)cm、花弁は5個、距は長さ約2(~3.5)cm、花色は黄色・橙色・赤色・紫色・白色、雄蕊は8個あります。
果実は分離果(1個の雌蕊が複数の子房を持っており、熟すと各心皮が離れて縦に割れて、各部が分離します。分離した果実は分果と呼ばれます)、分離果は3個の分果に分かれ、大きさは直径約3cm、色は緑色からやや赤みを帯びます。
ナスタチウムの園芸品種の紹介
- トールクライミングは、エディブルフラワーまたは食草として利用されるナスタチウムの園芸品種です。花や葉はクレソンを思わせるような「ピリッ」とした風味があり、サラダや炒め物などに利用されています。基本的に種はミックスのため、花の色は赤色・橙色・黄色のどれかです。草姿はツル性、長さ約180cmに成長します。
- インドの皇后(Tropaeolum majus ‘empress of india’)は、口紅の色を連想させるような上品な紅色の花色と、丸く可愛らしい印象を与える緑色の葉とのコントラストが美しい園芸品種です。花や葉は食用としても利用されており、サラダや炒め物などして食べられたりします。草姿はツル性質、高さ幅共に約30~45cmに成長します。
- アフリカン・クイーン(tropaeolum majus ‘African Queen’)は、葉全体に飛沫のような黄色の班(散班)が入るため、明るい印象を与えるカラーリーフとしても楽しめる園芸品種です。基本的に種はミックスのため、花の色は赤色・橙色・黄色のどれかが咲きます。草姿はつる性、長さ約150cmまで成長します。
- ジュエル ピーチ メルバ(Tropaeolum majus ‘Jewel Peach Melba’)は、花の色が薄い黄色と橙色の2色からなり、赤く染まる頬を連想させるような可愛らしい花色が魅力の園芸品種です。花は花弁が5個、花の色は薄い黄色で花弁の芯部分に橙色の小さな班があります。草姿はツル性、長さ約240cmまで成長します。
- カメレオン(Tropaeolum majus ‘Chameleon’)は、花弁の基部に「王冠」や「飛沫」を思わせる様な濃い赤色の班が入り、薄い黄色と赤色の2色の花色が個性的な雰囲気をつくる園芸品種です。草姿はツル性質、高さ幅共に約30~45cmに成長します。
- チップトップ(tropaeolum majus ‘tip top’)は、成長が早いため育てやすく、花や葉は「ピリッ」とした風味のある食草としてサラダや炒め物に利用される園芸品種です。種はミックスもしくは赤色・橙色・黄色の花色ごとに分けられています。草姿はツル性、高さ幅共に約30~45cmに成長します。
- レッドトロイカ(tropaeolum majus ‘Red Troika’)は、葉の全体に飛沫のようなクリーム色の班が入るため、明るい印象を与えるカラーリーフにもなり、また花色が驚く程に色鮮やかな赤色をしているため、華やかで情熱的な雰囲気をつくる園芸品種です。草姿はツル性、高さ幅共に約30~45cmに成長します。
- サーモン・ベビー(tropaeolum majus ‘Salmon baby’)は、花が一重咲きもしくは半八重咲きに咲く花姿をしており、また花弁が波打つためフリルドレスのような華やかな印象を与える園芸品種です。花色は薄い橙色(サーモンピンク)をしており、薄い橙色の花色は「ピーチ(桃)」や「マカロン」等の甘い果物やお菓子を連想させるため、可愛らしいロマンチックなお庭などにオススメです。草姿はツル性、高さ幅共に約30~45cmに成長します。
- マンボ(tropaeolum majus ‘Mambo’)は、カスケード状に広がる習慣があり、赤色もしくは薄い黄色の花を咲かせる園芸品種です。草姿はツル性、長さ約150cmまで成長します。
- パープルエンペラー(tropaeolum majus ‘purple emperor’)は、ナスタチウムでは珍しい紫色の花を咲かせる園芸品種です。花色は濃い紫色から始まり、徐々に薄い紫色へとフェードアウトしていきます。草姿はツル性でカスケード状に広がる傾向があり、長さ約200cmまで成長します。
- ゴールデン・ジュエル(tropaeolum majus ‘golden Jewel’)は、花弁がフリルドレスのように波打つ形をしており、また八重咲きするため豪華な印象を与える花姿をつくります。色鮮やかな黄色の花色は、明るく開放的な印象を与えたり、レモンのような爽やかな印象を与えたりします。そのため気分が向上する様な爽やかで明るいお庭や、様々な花色を組み合わせたカラフルなお庭などにおすすめです。草姿はツル性、高さ幅共に約30~45cmに成長します。
- アラスカ(tropaeolum majus ‘alaska’)は、葉全体に飛沫のようなクリーム色の班(散班)が入るため、明るい印象を与えるカラーリーフとしても楽しめる園芸品種です。基本的に種はミックスのため、花の色は赤色・橙色・黄色のどれかです。草姿はツル性、高さ幅共に約30~45cmに成長します。
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カナリークリーパーの特徴や園芸品種
- 原産:南アメリカ
- 学名:Tropaeolum peregrinum
- 草丈:約250cm
- 分類:多年草
- 開花時期:6月~11月
- 花色:黄色●
- 葉色:緑色●
- 耐暑性:強い
- 耐寒性:弱い
- 誕生花:
- 花言葉:
- 用途:開花期間長い/壁面緑化
カナリークリーパーとは!?
カナリークリーパーは学名Tropaeolum peregrinum、別名「カナリアヅル」や「カナリーバード・フラワー(canarybird flower)」とも呼ばれる南アメリカ原産の多年草です。
カナリークリーパーの語源(由来)
- 属名のTropaeolumは古代ギリシャ語で「勝利」「トロフィー」を意味する「τρόπαιον(trópaion)」からきています。
- 種小名のperegrinumはラテン語で「海外」を意味する「peregrē」と、接尾辞の「-īnus」からきています。
- 英名のカナリークリーパー(canary-creeper)は「カナリア(canary)」と「這うもの(creeper)」の2語からきており、カナリアの鳥の色を思わせるような黄色の花と這うように成長する草姿に由来します。
カナリークリーパーの特徴(魅力)
- カナリークリーパーは、カナリアを思わせるような鮮やかな黄色の花と、ツル性に壁面を登る草姿、子供の手の平を可愛らしい外観の葉っぱが魅力の植物です。
- 草姿はツル性、茎は基本的に自立せず、まきヒゲ(葉柄)を他の植物や物体に絡ませて自らの体を固定しながら登ります。
- まきヒゲは巻き付く事が出来ない岩壁等を上手く登る事が出来ません。そのため、まきヒゲを巻き付ける支柱やネット等の資材を準備して育てましょう。
- 開花期は6月~11月、葉腋から花柄を伸ばして黄色の花を咲かせます。
- 花は直径約2~4cm、花弁は上に2個と下に3個あり、仮面のような個性的な外観をした花を咲かせます。
- 葉はふち部分が大きく裂け丸みを帯びている事から、動物の子供の手の平のような可愛らしい外観をしています。
- 葉は盾形と呼ばれる形をしており、葉柄は葉のふち部分ではなく、内側につきます。
カナリークリーパーの草姿はツル性(まきヒゲ)、茎の長さ約250cm、茎の色は緑色です。
葉序は互生葉序、葉色は緑色、葉柄はあり、葉身の長さ約2(~5)cm、葉身の形は盾形、葉のふち部分は5(~7)回掌状に浅裂(~深裂)します。※葉柄は、まきヒゲ(葉まきヒゲ)になっており、他の植物や物体に葉柄を巻き付けて植物体を固定します。
花序は腋花、花の直径は約2(~4)cm、花の形は花弁が5個、花弁2個は大きく上部にあり深い切れ込みがあり、花弁3個は小さく下部についており、長さ約1.2cmの距が後ろ側に伸び、雄蕊が8個あります。花の色は黄色です。
カナリークリーパーの園芸品種の紹介
フレーム・ナスタチウムの特徴や園芸品種
フレーム・ナスタチウムとは!?
フレーム・ナスタチウムは学名Tropaeolum speciosum、別名では「トロパエオルム・スペシオサム」や「フレーム・フラワー(flame flower)」とも呼ばれるチリが原産の多年草です。
フレーム・ナスタチウムの語源(由来)
- 属名のTropaeolumは古代ギリシャ語で「勝利」「トロフィー」を意味する「τρόπαιον(trópaion)」からきています。
- 種小名のspeciosumは「素晴らしい」「派手」等を意味しており華やかな花に由来します。
フレーム・ナスタチウムの特徴(魅力)
- フレーム・ナスタチウムは、フレームの名前からも分かる通り花の色が深紅の色をしている所が特徴です。花の形は花弁が5個と尻尾のように後ろ側に伸びる目立つ距があるため個性的な外観をしており、また「クローバー」や「子供の手のひら」を思わせるような可愛らしい葉が魅力の植物です。
- 草姿はツル性、他の植物や物体にツルを絡ませて自らの体を固定しながら登ることが出来ます。
- 開花期は6月~9月、葉腋から花柄を伸ばして赤色の花を咲かせます。
- 花は赤色の花弁が5個と管上の目立つ距が後ろ側に伸びます。
- 葉は先端が丸みを帯びる小葉が5~7個集まり掌状に広がる形から、動物の子供の手の平のような可愛らしい外観をつくります。
フレーム・ナスタチウムの草姿はツル性、茎の長さ約300cm、茎の色は緑色です。葉序は互生葉序、葉色は緑色、葉柄はあり、葉身は掌状複葉、掌状複葉は小葉が5(~7)個、小葉は倒卵形または狭楕円形をしています。花序は腋花、花の直径は約2(~4)cm、花の形は花弁が5個と筒状の距が後ろ側に長く伸び、雄蕊が8個あります。花の色は赤色です。
トロパエオルム(トリカラー)の特徴や園芸品種
- 原産:チリ
- 学名:Tropaeolum tricolor
- 草丈:約300cm
- 分類:多年草
- 開花時期:冬から春
- 花色:赤色●橙色●黄色●黒色●
- 葉色:緑色●
- 耐暑性:普通
- 耐寒性:普通
- 用途:壁面緑化
トロパエオルム(トリカラー)とは!?
トロパエオルム(トリカラー)は学名Tropaeolum tricolor、別名「チリアン・ナスタチウム(Chilean nasturtium)」や「スリーカラード・インディアン・クレス(three-coloured Indian cress)」とも呼ばれるチリ原産の多年草です。
トロパエオルム(トリカラー)の語源(由来)
- 属名のTropaeolumは古代ギリシャ語で「勝利」「トロフィー」を意味する「τρόπαιον(trópaion)」からきています。
- 種小名のtricolorは「3色の」を意味しており花色に由来しています。
トロパエオルム(トリカラー)の特徴(魅力)
- トロパエオルム(トリカラー)は、トリカラーの名前からも分かる通り花の色が赤色(橙色)・黄色・黒色の三色ある所が特徴の植物です。
- 草姿はツル性、他の植物や物体にツルを絡ませて自らの体を固定しながら登ることが出来ます。
- 開花期は冬から春、葉腋から花柄を伸ばして花を咲かせます。
- 花は外側に目立つ萼と内側に花弁があります。萼は筒状で後ろ側に細長く伸びる管上の距があり、萼の色は赤色(橙色)と先端が黒色をしており、萼の内部にある花弁が黄色をしています。
- 葉は先端が丸みを帯びる小葉が5~7個集まり掌状に広がる形から、動物の子供の手の平のような可愛らしい外観をつくります。
- トロパエオルム(トリカラー)は地面下に塊根をもっており、夏になると地上部が枯れてしまい休眠します。
トロパエオルム(トリカラー)は地面下に塊根をもちます。草姿はツル性、茎の長さ約300cm、茎の色は緑色です。葉序は互生葉序、葉色は緑色、葉柄はあり、葉身は盾形で殆ど円形をしており、葉のふち部分が5(~7)深裂します。花序は腋花、花の長さ約3cm、萼は漏斗形で先端が5裂しており後ろ側に距が長く伸びており、萼の色は赤色(橙色)で裂片の部分が黒色をしています。花弁は5個、花弁の色は黄色、雄蕊は8個、雄蕊の色は黄色です。