- 原産:中国
- 科:ノウゼンカズラ(Bignoniaceae)
- 属:ノウゼンカズラ/カンプシス(Campsis)
- 種:ノウゼンカズラ/グランディフローラ(Campsis grandiflora)
- 別名:ノウゼンカツラ/カンプシス・グランディフローラ/チャイニーズ トランペット クリーパー(Chinese Trumpet Creeper)
- 開花時期:7月~9月
- 花の色:赤色●橙色●黄色●
- 葉の色:緑色●
- 分類:落葉ツル性木本
- 登攀方法:気根(付着根)
- 草丈:約300cm~1000cm
- 誕生花:7月14日/7月20日
- 花言葉:名声/名誉/栄光/豊富な愛情/華のある人生
- 用途:壁面緑化
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ノウゼンカズラとは!?
ノウゼンカズラは学名Campsis grandiflora、別名では「ノウゼンカツラ」や「チャイニーズ トランペット クリーパー(Chinese Trumpet Creeper)」等とも呼ばれる中国が原産の落葉ツル性木本です。
ノウゼンカズラの語源(由来)
- 属名のCampsisはギリシャ語で「湾曲」「曲がっている」を意味する「kampsis」からきており、雄蕊の曲がった形に由来します。
- 種小名のgrandifloraはラテン語で「大きい」を意味する「grandis」と、ラテン語で「花」を意味する「flos」の2語からきており、大きな花を意味しています。
ノウゼンカズラの特徴(魅力)
- ノウゼンカズラは、花の形が「漏斗」や「ラッパ」を思わせる個性的な外観をしており、橙色や黄色の明るい花色がトロピカルな印象を与える植物です。またツル性の茎は他の植物や岩壁などにくっつき登る習慣(決まりのように繰り返す癖)があるため、園芸では壁面緑化植物としても利用されています。
- 樹形はツル性、茎は基本的に自立せず、気根(付着根)を他の植物や物体に絡ませるか接着して自らの体を固定します。
- 気根(付着根)とは、地上部の茎から伸びる根(気根)のうち、他の植物や物体に張り付き、植物体を支える気根(付着根)の事をさしています。茎から出る根は、浸透もしくは付着して物体に張り付く事が出来るため、岩壁や木造の構造物などを登る事が出来ます。
- そのため園芸では、気根の付着しやすいパネル(登ハンマット)を準備したり、岩壁等に這わせて上げると良いでしょう。
- 気根(付着根)とは、地上部の茎から伸びる根(気根)のうち、他の植物や物体に張り付き、植物体を支える気根(付着根)の事をさしています。茎から出る根は、浸透もしくは付着して物体に張り付く事が出来るため、岩壁や木造の構造物などを登る事が出来ます。
- ノウゼンカズラの開花時期は7月から9月、花は円錐状に沢山集まり咲くため非常にボリューミーな印象を与えます。
- 花は筒状で上部が広がるためラッパの様な個性的な外観をしており、橙色や黄色の明るい花色は開放的でトロピカルな雰囲気をつくります。
- 花は蝶々や蜜源の蜜源にもなるため開花期(7月~9月)になると、花の周りを優雅に飛ぶ蝶々の姿や、花の中に入り込む可愛らしい蜜蜂の姿を観察できるかもしれません。
- ノウゼンカズラの花の蜜は有毒と考える人と、毒性は殆どないと考える人がいます。
- 花の蜜には「ラパコール」と呼ばれる成分が含まれており、この成分が原因で有毒と考える人や、大した毒性がなく毒があるのは迷信と捉える人もいるようです。
- ラパコールは抗がん作用や抗ウィルス・抗菌作用等があるため、ある種の治療法として長く研究されており、健康食品などで利用されることもあります。
- ただし花蜜を触ると人によっては皮膚炎を起こす事があったり、またネズミを使った動物実験では流産リスクが高まる事や抑うつ行動を示したり、下痢や皮膚炎を引き起こす事があるようです。そのため花の蜜を直接食べるのはやめておいた方がよいでしょう。
- 花の蜜には「ラパコール」と呼ばれる成分が含まれており、この成分が原因で有毒と考える人や、大した毒性がなく毒があるのは迷信と捉える人もいるようです。
- 葉は小葉が5個~13個集まり羽状に広がる形から、装飾的なな印象を与えます。
- ノウゼンカズラは、管理されてる場所でないと根茎が地面下を広がりツルが繁茂してあらゆる場所に侵入する事から有害な雑草と感じる事もあります。
- ノウゼンカズラを駆除したい場合は根が深くまであり、根を残すとそこから芽を出す事もあるため、除草剤を利用した方が良いでしょう。除草剤は葉にかける事も出来ますが、茎を剪定した後に原液を切り口に塗るのも効果的です。
- ノウゼンカズラが繁茂してる場合は1年での駆除は難しい事も多いです。駆除を続けると少しずつ減るため数年かけるつもりで駆除作業を行いましょう。
ノウゼンカズラは根茎が地面下にあり、蘖を多数出します。樹高は約300(~1000)cm、樹形はツル性(気根)、茎の色は緑色、成熟すると淡褐色から灰褐色になり、樹皮は縦に裂けます。
※気根(付着根)は、地上部の茎から伸びる根(気根)のうち、他の植物や物体に張り付き、植物体を支える気根(付着根)の事をさしています。茎から出る根は、浸透もしくは付着して物体に張り付き体を固定します。
葉序は対生葉序、葉色は緑色、葉柄はあり、葉身は羽状複葉、羽状複葉は小葉が約5(~13)個、小葉は長さ約3(~7)cm、幅は約2(~4)cm、小葉の形は卵形もしくは楕円形、葉の縁部分には目立つ粗い鋸歯があります。
花序は円錐花序、花冠は漏斗形、漏斗形は5個の花弁が合着する合弁花で、筒部は下部は細く上部が広がり、先端は5裂しています。花の色は赤色・橙色、黄色があります。雄蕊は4個、雄蕊の2個は短く2個は長くなっています。
果実は蒴果(複数の心皮からなり果皮が裂開して種子を放出する)、蒴果は長さ約10(~15)cm、形は扁平な楕円形、色は緑色から成熟すると褐色から灰色になります。
ノウゼンカズラの園芸品種の紹介
- タカラヅカゴールドは、花が在来種やりも大きいため、より華やかな印象を与える花姿をつくり、また鮮やかな黄色の花色が明るく開放的な印象を与える園芸品種です。樹形はツル性、高さ約300cmに成長します。
- オランジュタカラヅカ(campsis grandiflora ‘Orange Takarazuka’)は、雑種のマダムガレンとノウゼンカズラの交雑品種です。在来種と比べて、花の筒の長さや直径が小さく、可愛らしい印象を与える花姿をしており、花色は赤橙色に赤色の花脈がはしります。
- モーニングカーム(campsis grandiflora ‘morning calm’)は、一般的なノウゼンカズラよりも成長が抑制されているため管理がしやすく、また個々の花が大きいため、より華やかな印象を与える園芸品種です。花は長さ約7cmの漏斗形、花の色は橙色、樹形はツル性、高さ約300~600cmに成長します。
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ノウゼンカズラの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ノウゼンカズラの育て方
花壇の土づくり
日当たり
ノウゼンカズラは日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上あたる日向が理想です。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
土壌の土質
ノウゼンカズラは、基本的には幅広い土壌で育てる事が出来ます。通気性と保水性のバランスがよく適度に肥沃な壌土、もしくは通気性や排水性が高めの砂壌土に土壌改良を行い植え付けを行うと良いでしょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ノウゼンカズラは日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上あたる日向から、3時間から5時間の半日影で育てましょう。
培養土
ノウゼンカズラの培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
赤玉土+鹿沼土+腐葉土=4:2:4
赤玉土(中粒)+バーク堆肥=5:5
水やりの仕方
地植え
ノウゼンカズラは乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。ただし土の中に指を入れて湿り気がない場合、葉や茎が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
ノウゼンカズラを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。ただし水やりを行い過ぎてジメジメとした環境が続くと根腐れしてしまうため、土が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
ノウゼンカズラは、ある程度、有機物を含んだ肥沃な土壌であれば多くの肥料を必要としません。必要に応じて毎年晩冬から早春に1回、肥料(寒肥)と土質を改善する堆肥を与えるだけで追肥は不要です。
寒肥と堆肥の与え方
- 寒肥は晩冬から早春に与える肥料です。
- 肥料の種類は、肥沃な土を好むため有機肥料(配合肥料)が理想ですが、緩効性肥料でも問題ありません、成分は水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)を選びましょう。
- 寒肥は株元から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れるか置き肥しましょう。
- 有機肥料の場合は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離した場所に穴を掘り肥料を与えた方が良いでしょう。
- 緩効性肥料の場合は株の近くの土の上に置く、置き肥で問題ありません。
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
- 堆肥は寒肥を与える時期(初冬から早春の間)に、寒肥と一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って堆肥を埋めましょう。
剪定のやり方
ノウゼンカズラは剪定せずに育てる事も出来ます。ただし剪定せずに育てた場合、ツルが奔放に伸びて本来あるべき場所から逸出してしまったり、外観を崩してしまったり、またツルが成熟して古くなると木のようになり葉の生産性が落ちる事があります。そのため必要に応じて剪定が行われます。
ノウゼンカズラは茎が基本的に自立しないため、気根(付着根)が接着するための資材を準備してあげる必要があります。資材があれば自らで茎を固定して成長するため基本的に誘引は不要です。
ツル誘引の目的と方法
ノウゼンカズラは茎から出る根を他の植物や物体に付着させて体を固定します。そのため、根が付着しやすい岩壁や木造などの近くで育てるか、必要な応じて園芸資材を準備してあげましょう。
資材:トレリス/バーゴラ/壁面ワイヤー/フェンス/パネル(登ハンマット)/岩壁/木壁など
ノウゼンカズラの剪定方法
- ノウゼンカズラの剪定は晩冬から早春に行いましょう。
- 晩冬から早春は、株が休眠しているため剪定によるストレスが少なく済みます。また春からの強い成長が期待出来るため剪定からの回復が早くなります。
- 株全体を観察して枯れた枝・損傷した枝(折れてる枝等)・病気の枝を探して、これを枝分かれしてる場所、もしくは被害を受けていない枝の途中の節(芽)の上で、剪定して取り除きましょう。
- 何故ならこれらの茎は日当りや風通しを阻害したり、エネルギーが分散されて健康に成長している枝の成長に悪影響を及ぼしたりしやすいからです。
- 株全体を観察して不要と思われる枝を剪定しましょう。
- 間違った方向に伸びた枝は、外観を崩したり、歩行者のじゃまになったり、入るべき場所じゃない所に侵入して撤去が難しくなる可能性があります。そのため根元から剪定するか枝分かれさせたい部分の芽の上で剪定しましょう。
- 絡み合い茎が混雑している部分は、日当たりや風通しが悪くなるため、生育が悪くなったり、生育が悪くなった場所から病気にかかりやすくなったり、また害虫が湧きやすくなる原因ともなります。そのため、必要に応じて枝の多い部分は間引き剪定して枝の数を減らしましょう。
- 生産性の落ちた古い枝は、太くゴツゴツとしており、葉も少なく外観を悪くする原因にもなります。古い茎を切る事でエネルギーが生産性の高い新しい芽や若い茎に向かうため、株全体のバランスを見ながら必要に応じて剪定しましょう。剪定は古い茎の根元から間引き剪定するか、もしくは枝分かれさせたい部分の芽で剪定します。
剪定をプロに任せる
剪定を自分で行う事が不安な場合は、剪定のプロに任せて綺麗に仕上げて貰う事も出来ます。また剪定する時間がとれない、他にも庭の作業を依頼したい時などもプロに作業を任せてしまう事が可能です。
- 剪定作業を自分で行う時に不安がある時
- 剪定は重労働になるため体力が最後までもつか不安がある。
- 大きな木を剪定する時は高所作業になるため怪我をするリスクがあり不安がある。
- 間違った剪定を行う事で、数年後に不格好な樹形になったり、スカスカした生垣になるかもしれない不安がある。※必要な枝と不要な枝の見極めが素人には難しい場合があり、太い枝や古い枝などを残すと不格好な樹形になることもある。
- 剪定を行う時間がとれず放ったらかしになっている
- 生垣の管理が疎かになると枝が暴れるため見た目が悪くなったり、枝が歩行者の邪魔になり怪我をさせるリスクがある。
- 木がどんどん成長していくと管理が難しくなったり、鑑賞したい花が上の方に咲いてしまったり、電線の近くだと枝が電線にかかる可能性がある。
- 剪定の他にも作業を依頼したい
- 庭の草が育って薮のようになっている、芝が伸びてボウボウになっている、庭石を並べたり外壁工事を頼みたい、庭にある不要物を撤去して欲しい等の相談も、剪定依頼をする時に一緒に行うことが可能です。
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夏越しする方法
ノウゼンカズラは夏の暑さに強いため、基本的に対策は不要です。
冬越しする方法
Hardiness:6b~9a
ノウゼンカズラは耐寒性が高く冬の寒さに強いため基本的に冬越し対策はいりません。
挿し木や株分けで増やす
ノウゼンカズラは挿し木によって増やす事ができます。
挿し木の方法
- ノウゼンカズラの挿し木時期は初夏から夏が適します。
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットしましょう。
- 挿し穂 の長さ約10~15cmにわけます。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を残します。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。
- 切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
ノウゼンカズラの種蒔の方法
播種時期:3月~5月
発芽適温:約20度
発芽日数:
発芽条件:低温要求性種子
ノウゼンカズラは低温を経験する事で休眠打破を行い発芽準備が整います。種を撒く前にポリ袋等に種を入れて冷蔵庫(約4度)に2週間以上置いておくと良いでしょう。
種は通気性と保水性のいい無菌の培地に撒き、指で種を上から軽く押し(鎮圧)たら薄く覆土します。播種した種は乾燥すると発芽率が落ちるため、必ず発芽するまで土は湿らせた状態で管理して下さい。
植物の病気
ノウゼンカズラの病気
ノウゼンカズラの害虫