原産:南ヨーロッパ
科:アブラナ(Brassicaceae)
属:イベリス(Iberis)
種:トキワマガリバナ(sempervirens)
別名:宿根イベリス/エバーグリーン・キャンディタフト(evergreen candytuft)/パーネル・キャンディクラフト(perennial candytuft)
開花時期:3月~6月
花の色:桃色●白色〇
葉色:緑色●
分類:常緑多年草/亜低木
草丈:約15~30cm
誕生花:3月15日
花言葉:「甘い誘惑」「初恋の思い出」「心をひきつける」
用途:グランドカバー
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
宿根イベリスとは!?
宿根イベリスは学名Iberis sempervirens、別名「トキワマガリバナ」や「エバーグリーン キャンディタフト(evergreen candytuft)」とも呼ばれる南ヨーロッパ原産の常緑多年草もしくは亜低木です。
宿根イベリスの語源(由来)
- 属名のIberisは古代ギリシャ語の「ἰβηρίς(ibērís)」に由来します。
- 種小名のsempervirensは、ラテン語で「常に」「いつも」を意味する「semper」と、「緑色の」を意味する「virens」の2語からなり、常緑の葉に由来しています。
- トキワマガリバナは冬も葉が茂る「常緑(トキワ)」で、中国名でイベリスを意味する「屈曲花(マガリバナ)」からきています。
- 宿根イベリスは「宿根」タイプのイベリスを意味しますが、正しくは宿根(冬に葉がなくなる)ではなく常緑多年草です。
- 英名のエバーグリーン・キャンディタフト(evergreen candytuft)は「evergreen(常緑)」の「candytuft(イベリス)」を意味しています。
- ↳キャンディタフトはカンディア(Candia)から持ち込まれた、房状の花(tuft)をもつ植物を意味しており、カンディア(Candia)とはクレタ島の事です。
宿根イベリスの特徴(魅力)
- 宿根イベリスの茎は匍匐して途中で立ち上がる草姿をしています。
- ↳そのためグランドカバーとして利用される事が多く
- ↳花壇の縁どりや鉢植えに利用すると茎葉が枝垂れ滝を思わせる様な優雅な草姿が見られます。
- 宿根イベリスは小さく可憐な花を春に一斉に開花させ絨毯の様な美しい花姿をつくります。
- ↳花は清楚で清潔感のある白色の花から可愛いくロマンチックな雰囲気をつくる桃色の花まであります。
- 花には香りがありますが「不快」な匂いと感じる人の方が多いようです。
- 葉は非常に細く長い線形です。
- 非常に乾燥に強く肥料も殆ど不要なため環境が合えば放ったらかしでも育ちますが
- ↳水分が多い環境を苦手にしているため注意が必要です。
宿根イベリスの茎は基部でよく分枝して匍匐した後に立ち上がる傾状茎をしており、高さ約15(~30)cm幅約30(45)cmの間で成長します。葉は根生葉と茎葉があり、茎葉は互生葉序、葉色は緑色で、葉身は長さ約1(~5)cm幅は約0.2(~0.5)cmの線形もしくはヘラ形をしています。花序は茎の上部に花が密に集まる総状花序で、個々の花は白色もしくは桃色の4個の花弁(外側の2個が長く内側の2個は短い)と、6個の雄蕊と1個の雌蕊があります。
開花時期は早春から初夏、花色は白色もしくは桃色、個々の花は花弁4個(長い花弁2個と短い花弁2個)と内部に雄蕊6個と雌蕊1個があり、花序は総状花序に咲きます、草姿は匍匐して高さ約15(30)cm × 幅は約30(45)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身はヘラ形もしくは線形、葉序は根生葉もしくは互生葉序につきます。
宿根イベリスの栽培方法
園芸では、春に一斉に開花し絨毯の様に地面を覆い尽くす花を鑑賞する目的で育てられる事が多いです。匍匐して広がる草姿から、花壇の縁沿いに植えて縁部分と小道の境界を曖昧(自然)にするために利用されたり、鉢植えに植えて縁部分から優雅に枝垂れる草姿を鑑賞するために利用されたりします。
宿根イベリスを育てる際に注意する事は「ジメジメとした多湿」です。基本的には乾燥に強く肥料も殆ど必要としないため、理想的な環境では放ったらかしで育てる事も出来ますが、長雨等でジメジメした環境が続くと多湿で枯れてしまう事もあります。そのため長雨に当たらない様にしたり、土壌の排水性を高めておくなどの対策も必要になるでしょう。
イベリスの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
イベリスの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
宿根イベリスの育て方
花壇の土づくり
宿根イベリスは日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。そのため、基本的には直射日光が6時間以上あたる日向で育てましょう。
宿根イベリスは排水性と通気性が良い砂質の砂壌土を好みます。一方で浸水したり水分が停滞するような多湿環境では根腐れを引き起こし株が弱りやすいため注意が必要でしょう。
植付けの前に土壌診断を行い、土質が悪い場合は必要に応じて通気性を高めるパーライトや軽石等を入れ、肥沃さと膨軟性を高める堆肥等の改良用土を入れて土壌を改善するといいでしょう。
水やりの仕方
宿根イベリスは乾燥にとても強く、水やりの頻度は低めです。水分が長く停滞している様な土壌では容易に根腐れを起こす事もあるため注意が必要です。
水やりは土の状態を見ながら、土の表層が乾燥してきたタイミング(指先を土にさして乾燥を確認)で行い、土壌中の古い空気と新鮮な空気が入れ替える程にたっぷり与えましょう。
剪定のやり方
宿根イベリスの剪定は開花後に必要に応じて行います。
イベリスは鉢植えや花壇の縁部分から枝垂れる草姿を鑑賞する目的で育てられる事もあるため一概には言えませんが、開花後に茎が間延びしやすいため、必要に応じて株の3分の1程度を切り戻ししましょう。
播種で増やす
宿根イベリスの種蒔の方法
播種時期:3月~6月・9月~10月
発芽適温:約20度
発芽日数:14~21日
発芽条件:
宿根イベリスの種まき手順
- 種まき時期を確認
- 種まきは3月~5月または9月~10月に行います。また種を撒く前に温度計(土壌テスターなど)を使うと発芽の失敗が減ります。
- 屋内で種を撒いたり、温床装置を使ったり、マルチシートを使ったりする事で、まきどきよりも早く種を撒く事も可能です。
- 植える場所を準備する
- 根は直根性のため花壇またはプランターに直植えする方が良いでしょう。倍土はバーミキュライトとパーライトを等量で配合した用土を作るか、種まき用の培土を利用しましょう。
- 移植栽培をしたい場合は根が傷つきにくい紙製のポット(ピートポット・不織布育苗ポット・ジフィーセブン)を利用して、根が回る前に早めに目的の場所に定植した方が良いでしょう。
- 種を撒く
- 種の撒き方は花壇に撒く場合は「すじまき」か「バラまき」プランターや紙製のポットに撒く場合は「点まき」です。
- ばら撒きは、土の上に概ね均一に広がるように、種をパラパラと撒きます。種を撒いたら、ふるい等を使って上から薄く土を被せましょう。上から指で軽く培土を押して鎮圧※すると種の吸水がよくなります。
- すじまきは、土の上に直線状の溝をつくります。溝の深さは数mm程度です。種を溝の中に1cm間隔位で置いていきます。種を溝の中に入れたら、溝の両側にある土を寄せて、覆土して、上から指で軽く押して鎮圧※します。
- 点まきは、種を埋めたい箇所に種を埋めたい数(1~5)だけ穴を数mm程度あけます。穴をあけたらその中に種を入れて、薄く覆土して、上から指で軽く押して鎮圧※します。
- 発芽までの管理
- プランターなどで栽培する場合は、発芽まで軒下などの雨が当たらない風通しのよい半日影で、害虫の被害が出ないように台の上で管理した方が良いでしょう。
- 1度吸水した種が乾燥すると、発芽率が極端に落ちるため、乾燥しないように水やりをしっかりと行ってください。
- 子葉が展開したら
- 植物に合わせて日向または半日陰で管理しましょう。またナメクジ等の害虫の被害が出ないように台の上で管理した方が良いでしょう。
- 発芽して子葉を展開したら、生育が一番いい苗を残して、周りにある他の苗をハサミで根元から切り取ります。
- 移植栽培をしている場合は、子葉が展開した段階、または本葉が2~4枚でて移植出来るようになったら、花壇やプランターに定植します。移植が遅れると直根が傷つき生育不良になるおそれがあります。
- 本葉が展開したら
- 本葉が展開したら種の中にある養分では丈夫に成長出来ないため、肥料を与えます。
- 肥料は1~2週間に1度の頻度で液肥を与えるか、または緩効性肥料を置き肥しましょう。
※鎮圧とは、種を撒いた後に手・足・鎮圧ローラーなどを利用して、種の上から軽く加圧を加えて、種と土の密着度を上げる事です。鎮圧を行う事で土の中の水分が種に吸収されやすくなり、発芽率が格段に向上します。