ガマズミ(ビバーナム)は属の中に約141種がありますが、一般に園芸で親しまれている種は幾つかの種とその園芸品種です。例えば、枝が水平に広がり層状になる樹形と球状に咲く花が魅力的なヤブデマリ、主に暖かな地域で生垣として利用され果実と果柄がサンゴを思わせる色と形をしているサンゴジュ、光沢のある赤色の果実が食用(弱い毒性)とされる事もあるセイヨウカンボクやアメリカカンボク等が親しまれています。
ガマズミ(ビバーナム)属の種ごとの育て方は写真か育て方をクリックすると出てくる為よかったらそちらをご覧下さい!
このページでは主な種の種類と特徴、園芸品種の種類と特徴を紹介しています。
ガマズミ(ビバーナム)の主な種の目次
ヤブデマリの特徴や園芸品種
- 原産:日本/中国/台湾
- 学名:Viburnum plicatum var. tomentosum
- 草丈:約200~600cm
- 分類:落葉低木
- 開花時期:4月~6月
- 花色:桃色●白色〇
- 葉色:緑色●
- 耐暑性:強い
- 耐寒性:強い
- 誕生花:6月22日
- 花言葉:今日の幸福/決死の覚悟/年輪を美しく重ねる
- 用途:
ヤブデマリとは!?
ヤブデマリは学名Viburnum plicatum var. tomentosum、別名「ダブルファイル ビバーナム(doublefile Viburnum)」とも呼ばれる日本及び中国、台湾が原産の落葉低木です。日本では本州や四国、九州に分布しており、沢などの水辺や湿り気のある林縁等に自生しています。
ヤブデマリの語源(由来)
- 属名のViburnumはViburnum lantanaのラテン語名に由来します。
- 種小名のtomentosumは「毛の多い」を意味します。
- 変種名のplicatumは「折りたたまれる」を意味します。
ヤブデマリの特徴(魅力)
- ヤブデマリは垂直に伸びる幹と水平に伸びる枝から層状になる個性的な樹形をつくり、またアジサイのように装飾花と両性花で構成される個性的な花の形をしている所が特徴の植物です。
- 園芸では主に美しい樹形を景観として利用したり、花を鑑賞したりする目的で利用されます。
- 花の大きさは直径約5~10cmあり、花の形は装飾花と両性花の構成により変わります。
- 装飾花と両性花で構成される花は、平面状の形をしており、装飾花が外周に並び、両性花が中央に集まる【ガクアジサイ型】の様な花の形をしています。
- 装飾花は直径約1.5~4cm、花弁のように見える部分は萼片で内側が著しく小さい形をしており、雄蕊と雌蕊が未発達のため、果実を実らせません。
- 両性花は稔性のため花が終わると赤色の果実を実らせます。
- 装飾花のみで構成される花は、球状もしくは半球状の形をしており【テマリ型アジサイ】の様な花の形をしています。
- 装飾花と両性花で構成される花は、平面状の形をしており、装飾花が外周に並び、両性花が中央に集まる【ガクアジサイ型】の様な花の形をしています。
- 葉は幅広でぽっちゃりとした可愛らしい外観をしており、深い溝の入る葉脈が目立ちます。
- 葉は冬になると落葉しますが、落葉前の秋になると橙色から赤色へと変わり紅葉するため美しい景観をつくります。
- ヤブデマリは夏の暑さや冬の寒さに強く丈夫で育てやすいです。
ヤブデマリの樹高は約200(~600)cm、幹は直立して枝を水平に伸ばす傾向にあります。1年目の枝には星状毛があり、樹皮の色は灰褐色もしくは灰黒色です。
葉序は対生葉序、葉色は緑色、葉柄はあり、葉身の大きさは長さ約5(~12)cm、幅約3(~7)cm、葉身の形は広卵形もしくは広楕円形、ふち部分に鋸歯があり、葉裏と葉柄に星状毛があります。
花序は散房花序、散房花序は直径約5(~10)cm、装飾花と両性花で構成された平面状の花形をしています。※園芸品種(オオデマリなど)の中には装飾花のみで構成された半球状の花形もある。装飾花は直径約1.5(~4)cm、萼片は5個(内側の萼片が小さくなる)、萼片の色は白色、雄蕊と雌蕊は未発達で不稔性です。両性花は直径約0.4(~0.5)cm、花弁は5個、花弁の色は白色(~薄黄色)、雄蕊は5個、雌蕊は1個、稔性です。果実は核果(薄い外果皮・多肉質な中果皮・殻状の硬い内果皮がある)です。核果は長さ約0.5(~0.7)、形は楕円形、色は赤色から黒色へと熟します。
ヤブデマリの園芸品種の紹介
- オオデマリ(viburnum plicatum var. plicatum f. plicatum)は花が装飾花のみで構成されており、直径約10cmまでの球形のボリュームある花姿をつくるヤブデマリの園芸品種です。花は一般的なヤブデマリの両性花と装飾花で構成される平面状の花と比べて、盛り上がりのある球状の花を咲かせるため豪華な雰囲気をつくります。また白色の美しい花色は清潔な印象を与えたり、輝いている様な明るい印象を与えたりします。そのため、明るく清潔感のあるお庭や、洗練された品の良いお庭などによくあうでしょう。高さは約200cm~600cmまで成長します。
- ジェミニ(viburnum plicatum var. tomentosum ‘Gemini’)は桃色の花を咲かせるタイプのオオデマリです。花は装飾花のみで構成されており、直径約10cmまでの球状の花姿をつくります。一般的な平面状の花と比べ球状の花は豪華な雰囲気をつくります。また桃色の花色は可愛らしい印象を与えたり、心が癒される様な優しい印象を与えたりするため、甘い雰囲気をつくるロマンチックなお庭などにオススメです。木は成熟すると高さ約200cm~600cmまで成長します。
- サマースノーフレーク(viburnum plicatum var. tomentosum ‘Summer Snowflake’)は開花期になると木を覆うほどに沢山の花が咲く所と、レース模様のように光を通す上品な外観の花が魅力の園芸品種です。花は直径約10cm、外周に白色の装飾花が並び、中央に両性花が集まる平面状の形をしています。両性花は稔性のため花がおわると赤色の果実が実ります。そのため鳥なども遊びにくることもあります。高さは約150~250cm、幅は200(~300)cmに成長します。
- ヒメヤブデマリ(viburnum plicatum f. tomentosum)は似た植物と比較して小ぶりな時に使われる「ヒメ」がついてることからも分かる通り、ヤブデマリの矮性品種です。あまり背が高くならないことから小さな庭でも管理しやすい所が魅力で、花は装飾花と両性花で構成される平面状の形をした花を咲かせます。成熟した高さは約100~300cmです。
- ピンクビューティ(viburnum plicatum var. tomentosum ‘pink beauty’)は、可愛らしい印象を与える薄いピンク色の花色と、レース模様のように光を通す上品な花の形が魅力の園芸品種です。花はガクアジサイを思わせる様な形をしており、外周に薄い桃色(白色)の装飾花が並び、中央に両性花が集まる平面状の形をしています。樹形は成熟すると高さ約200~400cm、幅は200(~400)cmに成長します。
- キリマンジャロ・サンライズ(viburnum plicatum tomentosum ‘kilimanjaro sunrise’)は、ほんのりピンク色に色付く白色の花色と、ガクアジサイを思わせる様な上品な花姿、小さなお庭でも育てやすいコンパクトな樹形が魅力の園芸品種です。花は平面状の形に小花が集まり、小花は外周に装飾花と中央に両性花があり、装飾花の色は薄い桃色から白色へと変化します。樹形は成熟すると高さ約300cm、幅は200cmに成長します。
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サンゴジュの特徴や園芸品種
- 原産:日本/中国/台湾/朝鮮/ミャンマー/タイ/ベトナム/フィリピン
- 学名:Viburnum odoratissimum
- 草丈:約300~900cm
- 分類:常緑小高木
- 開花時期:6月~7月
- 花色:黄色●白色〇
- 葉色:緑色●
- 耐暑性:強い
- 耐寒性:普通
- 誕生花:10月23日
- 花言葉:端麗/負けず嫌い
- 用途:カラーリーフ/生垣/香りが良い
サンゴジュとは!?
サンゴジュは学名Viburnum odoratissimum、別名では「ヤブサンゴ」や「スイートビバーナム(Sweet viburnum)」とも呼ばれる日本及びアジア原産の常緑小高木です。
サンゴジュの語源(由来)
- 属名のViburnumはViburnum lantanaのラテン語名に由来します。
- 種小名のodoratissimumは「とても香りの良い」を意味します。
- サンゴジュの由来は、秋に実る赤色の果実と果柄がサンゴのように見える所からきています。
サンゴジュの特徴(魅力)
- サンゴジュは香りがよく円錐状にボリュームよく咲く白色の花と、秋に真っ赤に実る赤色の果実が魅力的な植物です。またサンゴジュの果実は果柄まで赤くなり実るため「サンゴ」を思わせるような外観をしており、和名の由来にもなっています。
- 園芸では主に花や果実を鑑賞する目的で庭木として育てられたり、定期的に刈り込み剪定しながら生垣などとして利用する目的で育てられる植物です。
- 花は円錐状に小花が集まるため、ボリュームある雰囲気をつくり、また白い花色が明るい印象や清潔感を感じさせるため、花を鑑賞する目的で育てられる事もあります。
- 花には心地よい香りがあるため、種小名odoratissimum(とても香りの良い)やSweet viburnum(甘いガマズミ属の植物)の由来にもなっています。
- 果実は晩夏から秋頃に熟し、花柄まで赤くなるため「サンゴ」のような外観をしており非常に装飾的です。
- 果実はメジロなどが食べにくる事もあるため、木に集って赤色の果実を食べる鳥の姿を観察する事が出来ることもあります。
- 葉は光沢があり美しく長さ約7~20cmと大きめです。
- 葉はふつう緑色ですが、明るく爽やかな印象を与える黄色の班がはいったり、落ち着いた印象を与える赤茶色の葉色等があるため、品種を選んでカラーリーフとして楽しむ事も出来ます。
- サンゴジュの生垣は形状が整えられたフォーマルヘッジの生垣して利用されます。
- サンゴジュは背が高く、常緑性があり、枝葉は密で、水分を多く含む事から生垣としての機能性(目隠し効果・侵入防止効果・防火効果・防音効果・防風効果等)をしっかり発揮する事が出来ます。
- サンゴジュはやや葉が大きいため全体的に緩い印象を与えたり、刈り込み剪定を行った時に剪断された葉が少し気になる場合があります。
- サンゴジュの生垣の植え付け間隔は100cm以上です。
- サンゴジュは基本的に強い霜に耐えられないため、普通は暖地や平地などで育てられます。
サンゴジュの樹高は約300(~900)cm、樹形はブッシュ状(Bushy)で枝分かれがよくふさふさとしており、樹皮の色は灰褐色です。
葉序は対生葉序、葉色は光沢のある緑色、葉柄はあり、葉身の大きさは長さ約7(~20)cm、幅約4(~9)cm、葉身の形は楕円形、ふち部に鋸歯があり、葉の質感は革質です。
花序は円錐花序、円錐花序は円錐状に花が多数集まります。花の色は白色、花の直径約0.7cm、形は筒状で筒上部が広がり裂片が5個、雄蕊は5個、雌蕊は1個あります。果実は液果(果皮のうち特に中果皮が水分を多く含む細胞になり液質もしくは多肉質な果実)です。液果は楕円形、直径約0.7(~0.8)cm、色は赤色から熟すと黒色に変わる。
サンゴジュの園芸品種の紹介
- 班入りサンゴジュは、葉にクリーム色の班が入る事から明るい印象や洗練された印象を与えるカラーリーフとしても楽しめる園芸品種です。樹形はブッシュ状、樹高は約500~900cmに成長します。
- アワブキ(viburnum odoratissimum ver. awabuki)は、枝に水分が多く含まれており、燃やすと泡をふく姿からアワブキの名前がついています。非常に燃えにくいため防火対策として生垣などによく利用されます。
- エメラルド・ラスター(viburnum odoratissimum ‘emerald lustre’)は、宝石のように光沢のあるエメラルドグリーンの濃い葉色が魅力の園芸品種です。花は白色の小花が半球状に集まりボリュームよく咲きます。樹形はブッシュ状、高さ約200(~400)cm、幅約200(~400)cmに成長します。
- コッパートップ(viburnum odoratissimum ‘coppertop’)は、若葉で見られるチョコレートを思わせるような茶色の葉色が、落ち着いた雰囲気をつくるカラーリーフとして楽しめる園芸品種です。花は白色の小花が半球状に集まりボリュームよく咲きます。樹形はブッシュ状、高さ約250cm、幅約150cmに成長します。
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トキワガマズミの特徴や園芸品種
- 原産:ヨーロッパ/北アフリカ
- 学名:Viburnum tinus
- 草丈:約200~500cm
- 分類:常緑低木
- 開花時期:3月~4月
- 花色:桃色●白色〇
- 葉色:緑色●黄色●
- 耐暑性:強い
- 耐寒性:普通
- 花言葉:結合/私を無視しないで
- 用途:カラーリーフ/生垣/香りが良い
トキワガマズミとは!?
トキワガマズミは学名Viburnum tinus、別名では「ビバーナム・ティヌス」や「ラウルス・ティヌス(laurustinus)」等とも呼ばれるヨーロッパ及び北アフリカが原産の常緑低木です。
トキワガマズミの語源(由来)
- 属名のViburnumはViburnum lantanaのラテン語名に由来します。
- 種小名のtinusはガマズミ属の木を意味するラテン語の名前からきています。
- トキワガマズミ(常盤莢蒾)の由来は、常緑を意味する「トキワ(常盤)」と「ガマズミ(属)」の植物からきています。
トキワガマズミの特徴(魅力)
- トキワガマズミは桃色の蕾から咲く白色の香りのよい花と、花後に実る青黒色(メタリックブルー)の果実が魅力的な植物です。
- 園芸では主に花や果実を鑑賞する目的で自然樹形のまま庭木として利用されたり、花を楽しんだ後に刈り込み剪定してインフォーマルヘッジ(生垣)として利用されたりします。
- 花は半球状に小花が集まるため、ボリュームある雰囲気をつくり、また桃色と白色の花色が可愛らしさや清潔感を感じさせるため、花を鑑賞する目的で育てられます。
- 花は蕾の時は桃色、開花すると白色です。
- 花には心地よい香りがあります。
- 果実は植物では珍しいメタリックブルーの光沢ある美しい色をしており、その装飾性の高さから実を鑑賞する目的で育てられることもあります。
- ただし剪定時期が花後のため、多くの果実は鑑賞前に剪定でなくなります。
- 果実は鳥などが食べにくる事もあるため、木に集って青色の果実を食べる鳥の姿を観察する事が出来ることもあります。
- 葉はふつう緑色ですが、明るく爽やかな印象を与える黄色の班が入る葉色等があるため、品種を選んでカラーリーフとして楽しむ事も出来ます。
- トキワガマズミの生垣は花を楽しみながら利用するインフォーマルヘッジの生垣して一般的に利用されます。
- トキワガマズミは背が高く、常緑性があり、枝葉は密に茂ることから生垣としての機能性(目隠し効果・侵入防止効果・防音効果・防風効果等)をしっかり発揮する事が出来ます。
- トキワガマズミはやや葉が大きいため全体的に緩い印象を与えたり、刈り込み剪定を行った時に剪断された葉が少し気になる場合があります。
- トキワガマズミの生垣の植え付け間隔は100cm以上です。
- トキワガマズミは基本的に強い霜に耐えられないため、普通は暖地や平地などで育てられます。
トキワガマズミの樹高は約200(~500)cm、幅約300cm、樹形はブッシュ状(Bushy)で枝分かれがよくふさふさとしており、樹皮の色は灰褐色です。
葉序は対生葉序、葉色は光沢のある緑色、葉柄はあり、葉身の大きさは長さ約4(~10)cm、幅約2(~4)cm、葉身の形は卵形もしくは楕円形をしており、葉の質感は革質です。
花序は散房花序、散房花序は直径約5(~10)cmで半球状に花が多数集まります。花の色は白色(蕾は桃色)、花の直径約0.3(~0.5)cm、形は筒状で筒上部が広がり裂片が5個、裂片は丸みを帯びる、雄蕊は5個あります。果実は液果(果皮のうち特に中果皮が水分を多く含む細胞になり液質もしくは多肉質な果実)です。液果は楕円形、直径約0.5(~0.7)cm、色は青黒色(メタリックブルー)です。
トキワガマズミの園芸品種の紹介
- イブ・プライス(Viburnum tinus ‘eve price’)は非常に濃い桃色の蕾と白色の花のコントラストが美しい園芸品種です。桃色と白色の2色の花色は、上品で清潔感を感じさせる中に可愛らしい印象や華やかな印象を与えます。そのためポップで明るいお庭や可愛らしいロマンチックなお庭などによく合うでしょう。樹形はブッシュ状、高さ約100(~300)cm、幅約100(~300)cmに成長します。
- フレンチホワイト(viburnum tinus ‘french white’)は桃色の蕾から真っ白な花を咲かせる園芸品種です。花後にはメタリックブルーの果実が実り、樹形はブッシュ状、高さ約100(~300)cm、幅約100(~300)cmに成長します。
- グエンリリアン(viburnum tinus ‘gwenllian’)は非常に濃い桃色の蕾と白色の花のコントラストが美しい園芸品種です。桃色と白色の2色の花色は、上品で清潔感を感じさせる中に可愛らしい印象や華やかな印象を与えます。そのためポップで明るいお庭や可愛らしいロマンチックなお庭などによく合うでしょう。樹形はブッシュ状、高さ約100(~300)cm、幅約100(~300)cmに成長します。
- バリエガータム(viburnum tinus ‘variegatum’)は葉にクリーム色の班が入る事から明るい印象や洗練された印象を与えるカラーリーフとしても楽しめる園芸品種です。樹形はブッシュ状、高さ約150(~250)cm、幅約150(~250)cmに成長します。
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ビバーナム(マクロセファラム)の特徴や園芸品種
- 原産:中国
- 学名:Viburnum macrocephalum
- 草丈:約200~400cm
- 分類:半常緑低木
- 開花時期:4月~5月
- 花色:赤色●桃色●橙色●黄色●紫色●青色●緑色●黒色●白色〇
- 葉色:緑色●黄色●赤色●桃色●紫色●青色●橙色●白色〇黒色●灰色●
- 耐暑性:強い
- 耐寒性:強い
- 用途:
ビバーナム(マクロセファラム)とは!?
ビバーナム(マクロセファラム)は学名Viburnum macrocephalum、別名では「ムーシューチュー」や「チャイニーズスノーボール(Chinese Snowball)」とも呼ばれる中国が原産の半常緑低木です。
ビバーナム(マクロセファラム)の語源(由来)
- 属名のViburnumはViburnum lantanaのラテン語名に由来します。
- 種小名のmacrocephalumは「頭が大きい」を意味しており、大きな花に由来します。
ビバーナム(マクロセファラム)の特徴(魅力)
- ビバーナム(マクロセファラム)はアジサイを思わせる様な花の形をしている所が特徴の植物で、またアジサイと同様に花は装飾花と両性花で構成されています。
- 園芸では主に花を鑑賞する目的で自然樹形のまま庭木として利用されます。
- 花の大きさは直径約8~20cmあり、花の形は装飾花と両性花の構成により変わります。
- 装飾花のみで構成される花は、球状もしくは半球状の形をしており【テマリ型アジサイ】の様な花の形をしています。
- 装飾花は直径約1.5~4cm、花弁のように見える部分は萼片で、雄蕊と雌蕊が未発達のため、果実を実らせません。
- 装飾花と両性花で構成される花は、平面状の形をしており、装飾花が外周に並び、両性花が中央に集まる【ガクアジサイ型】の様な花の形をしています。
- 両性花は稔性のため花が終わると赤色の果実を実らせます。
- 装飾花のみで構成される花は、球状もしくは半球状の形をしており【テマリ型アジサイ】の様な花の形をしています。
- 葉は半常緑の性質があるため、冬の寒さの厳しい地域では落葉します。
- ビバーナム(マクロセファラム)の年間の成長率は約30~60cmです。
- ビバーナム(マクロセファラム)は夏の暑さや冬の寒さに強く丈夫で育てやすいです。
ビバーナム(マクロセファラム)の樹高は約200(~400)cm、幅約200(~400)cm、樹形はブッシュ状(Bushy)で枝分かれがよくふさふさとしており、樹皮の色は灰褐色です。
葉序は対生葉序、葉色は緑色、葉柄はあり、葉身の大きさは長さ約5(~11)cm、幅約2(~5)cm、葉身の形は卵形もしくは楕円形、ふち部分に鋸歯があります。
花序は複集散花序、複集散花序は直径約8(~20)cm、装飾花のみで構成された半球状の花形もしくは装飾花と両性花で構成された平面状の花形をしています。装飾花は直径約1.5(~4)cm、萼片は5個、萼片の色は白色、雄蕊と雌蕊は未発達で不稔性です。両性花は直径約1cm、花弁は5個、花弁の色は白色、雄蕊は5個、雌蕊は1個、稔性です。果実は長さ約1.2cm、形は楕円形、色は赤色から熟すと黒色になる。
ビバーナム(マクロセファラム)の園芸品種の紹介
セイヨウカンボクの特徴や園芸品種
- 原産:ヨーロッパ/北アフリカ
- 学名:Viburnum opulus
- 草丈:約400~500cm
- 分類:落葉低木
- 開花時期:5月~6月
- 花色:白色〇
- 葉色:緑色●
- 耐暑性:強い
- 耐寒性:強い
- 用途:生垣
セイヨウカンボクとは!?
セイヨウカンボクは学名Viburnum opulus、別名「ヨウシュカンボク」や「ゲルダーローズ(guelder rose)」等とも呼ばれるヨーロッパ及び北アフリカが原産の落葉低木です。
セイヨウカンボクの語源(由来)
- 属名のViburnumはViburnum lantanaのラテン語名に由来します。
- 種小名のopulusはラテン語で「楓」を意味しており、掌状に裂ける葉の形に由来します。
セイヨウカンボクの特徴(魅力)
- セイヨウカンボクは「楓の葉」を思わせる掌のように裂ける葉の形をしている所が特徴です。また花はアジサイのような外観をしており、花後にはサクランボのように透明感と光沢がある赤色の果実を実らせます。
- 花の大きさは直径約4~11cmあり、花の形は装飾花と両性花の構成により変わります。
- 装飾花と両性花で構成される花は、平面状の形をしており、装飾花が外周に並び、両性花が中央に集まる【ガクアジサイ型】の様な花の形をしています。
- 装飾花は直径約1.5~2cm、花弁のように見える部分は萼片で、萼片の大きさは殆ど均一な大きさをしており、雄蕊と雌蕊が未発達のため、果実を実らせません。
- 両性花は稔性のため花が終わると赤色の果実を実らせます。
- 装飾花のみで構成される花は、球状もしくは半球状の形をしており【テマリ型アジサイ】の様な花の形をしています。
- 基本的に装飾花のみで構成されているため果実は実りません。
- 装飾花と両性花で構成される花は、平面状の形をしており、装飾花が外周に並び、両性花が中央に集まる【ガクアジサイ型】の様な花の形をしています。
- 果実は小さく直径約1cmの球形をしており、光沢のある赤色の実はサクランボのような外観をしています。
- 果実は酸味がありゼリー等として1部地域で食べられる事があります。ただし弱い毒性があるため多量に食べた場合、下痢や嘔吐などを引き起こし健康に害を及ぼす可能性があります。そのため多量には食べられません。
- 果実は鳥などが食べにくる事もあるため、木に集って赤色の果実を食べる鳥の姿を観察する事が出来ることもあります。
- 葉は掌状に3裂しており、楓の葉を思わせるような形をしています。
- 葉は冬になると落葉しますが、落葉前の秋になると橙色から赤色へと変わり紅葉するため美しい景観をつくります。
- セイヨウカンボクの生垣は花を楽しみながら利用するインフォーマルヘッジの生垣して一般的に利用されます。
- セイヨウカンボクはやや葉が大きいため全体的に緩い印象を与えたり、刈り込み剪定を行った時に剪断された葉が少し気になる場合があります。
- セイヨウカンボクの年間の成長率は20~40cmです。
- セイヨウカンボクは夏の暑さや冬の寒さに強く育てやすい植物です。
セイヨウカンボクの樹高は約400(~500)cm、幅約400(~500)cm、樹形は株立ち状(地際付近から幹・枝が立ち上がる茂る樹形)で、樹皮の色は灰褐色です。
葉序は対生葉序、葉色は緑色、葉柄は蜜腺をもち、葉身の長さ約5(~10)cm、葉身の形は卵形もしくは広卵形、ふち部分が掌状に3裂します。
花序は散房花序、散房花序は直径約4(~11)cm、装飾花のみで構成された半球状の花形もしくは装飾花と両性花で構成された平面状の花形をしています。装飾花は直径約1.5(~2)cm、萼片は5個、萼片の色は白色、雄蕊と雌蕊は未発達で不稔性です。両性花は直径約0.5cm、花弁は5個、花弁の色は白色、雄蕊は5個、雌蕊は1個、稔性です。果実は核果(薄い外果皮・多肉質な中果皮・殻状の硬い内果皮がある)です。核果は直径約1cm、形は球形、色は透明感のある赤色です。
セイヨウカンボクの園芸品種の紹介
- セイヨウテマリカンボク(viburnum opulus ‘sterile’)は、テマリ型のアジサイのような花の形をしている所が特徴です。花は白色の装飾花のみで構成されており、直径6cmまでの大きさの球状の形をした花を咲かせます。樹形は株立ち状、高さ約200(~400)cm、幅約200(~400)cmまで成長します。
- スノーボール(viburnum opulus ‘roseum’)は、花序の中に非常に多くの装飾花が集まりモコモコとした雪玉の様な外観をつくるボリューミーな花姿が魅力の園芸品種です。花はテマリ型のアジサイのような花の形をしている所が特徴です。花は白色の装飾花のみで構成されており、直径7cmまでの大きさの球状の形をした花を咲かせます。樹形は株立ち状、高さ約200(~400)cm、幅約200(~400)cmまで成長します。
アメリカカンボクの特徴や園芸品種
- 原産:北アメリカ
- 学名:Viburnum trilobum
- 草丈:約200~400cm
- 分類:落葉低木
- 開花時期:5月~6月
- 花色:白色〇
- 葉色:緑色●
- 耐暑性:強い
- 耐寒性:強い
- 用途:生垣
アメリカカンボクとは!?
アメリカカンボクは学名Viburnum trilobum、別名「ビバーナム トリロバム」や「ハイブッシュクランベリー(high bush cranberry)」等とも呼ばれる北アメリカ原産の落葉低木です。
アメリカカンボクの語源(由来)
- 属名のViburnumはViburnum lantanaのラテン語名に由来します。
- 種小名のtrilobumは「3つの葉」を意味しており、3裂する葉の形に由来します。
アメリカカンボクの特徴(魅力)
- アメリカカンボクは酸味のある赤色の果実が食用として利用される植物です。また「楓の葉」を思わせる掌のように裂ける葉の形と、アジサイのような外観をした大きな花が特徴です。
- 花は直径約5~13cm、白色の装飾花と白色の両性花で構成されるガクアジサイの様な花の形をしており、形は平面状で、装飾花が外周に並び、両性花が中央に密に集まります。
- 果実は小さく長さ約1.5cmの楕円形をしており、光沢のある赤色の実は果柄まで赤く色づきます。
- 果実は酸味がありジャムやゼリー等として1部地域で食べられる事があります。ただしとても弱い毒性があるため多量に食べた場合、下痢や嘔吐などを引き起こし健康に害を及ぼす可能性があります。そのため多量には食べられません。
- 果実は鳥などが食べにくる事もあるため、木に集って赤色の果実を食べる鳥の姿を観察する事が出来ることもあります。
- 葉は掌状に3裂しており、楓の葉を思わせるような形をしています。
- 葉は冬になると落葉しますが、落葉前の秋になると橙色から赤色へと変わり紅葉するため美しい景観をつくります。
- アメリカカンボクの生垣は花を楽しみながら利用するインフォーマルヘッジの生垣して利用される事があります。
- アメリカカンボクはやや葉が大きいため全体的に緩い印象を与えたり、刈り込み剪定を行った時に剪断された葉が少し気になる場合があります。
- アメリカカンボクは夏の暑さや冬の寒さに強く育てやすい植物です。
アメリカカンボクの樹高は約200(~400)cm、樹形は株立ち状(地際付近から幹・枝が立ち上がる茂る樹形)で、樹皮の色は褐色もしくは灰褐色です。
葉序は対生葉序、葉色は緑色、葉柄はあり、葉身の長さ約6(~12)cm、幅約5(~10)cm、葉身の広卵形、ふち部分が3裂します。
花序は散房花序、散房花序は直径約5(~13)cm、装飾花と両性花で構成された平面状の花形をしています。装飾花は直径約1.5(~2.5)cm、萼片は5個、萼片の色は白色、雄蕊と雌蕊は未発達で不稔性です。両性花は直径約0.5cm、花弁は5個、花弁の色は白色、雄蕊は5個、雌蕊は1個、稔性です。果実は核果(薄い外果皮・多肉質な中果皮・殻状の硬い内果皮がある)です。核果は長さ約1.5cm、形は楕円形、色は光沢のある赤色です。
アメリカカンボクの園芸品種の紹介
カンボクの特徴や園芸品種
- 原産:日本/東北アジア
- 学名:Viburnum sargentii
- 草丈:約200~700cm
- 分類:落葉小高木
- 開花時期:5月~7月
- 花色:白色〇
- 葉色:緑色●
- 耐暑性:普通
- 耐寒性:強い
- 花言葉:年老いた
- 用途:生垣
カンボクとは!?
カンボクは学名Viburnum sargentii、別名「ケナシカンボク」とも呼ばれる日本及び東北アジアが原産の落葉低木です。日本では北海道・本州(中部以北)に分布しており、山地の疎林や林縁等に自生しています。
カンボクの語源(由来)
- 属名のViburnumはViburnum lantanaのラテン語名に由来します。
- 種小名のsargentiiはアメリカの植物学者Charles Sprague Sargent(1841~1927)への献名です。
カンボクの特徴(魅力)
- カンボクは葉の形が「楓の葉」のように裂ける所が特徴です。また花はガクアジサイのような外観をしており、花後には光沢がある赤色の果実を実らせます。
- 花は白色の装飾花と白色の両性花で構成されるガクアジサイの様な花の形をしており、形は平面状で、装飾花が外周に並び、両性花が中央に密に集まります。
- 果実は小さく球形をしており、果柄まで赤色をしています。
- 果実は野鳥などが食べにくる事もあるため、木に集って赤色の果実を食べる鳥の姿を観察する事が出来ることもあります。
- 葉は掌状に3裂しており、楓の葉を思わせるような形をしています。
- 葉は冬になると落葉しますが、落葉前の秋になると橙色から赤色へと変わり紅葉するため美しい景観をつくります。
カンボクの樹高は約200(~700)cm、樹形は株立ち状(地際付近から幹・枝が立ち上がる茂る樹形)で、樹皮の色は褐色から灰褐色です。葉序は対生葉序、葉色は緑色、葉柄はあり、葉身の形は広卵形で縁部分が3裂します。花序は散房花序、散房花序は装飾花と両性花で構成された平面状の花形をしています。装飾花の萼片は5個、萼片の色は白色、雄蕊と雌蕊は未発達で不稔性です。両性花の花弁は5個、花弁の色は白色、雄蕊は5個、雌蕊は1個、稔性です。果実は核果(薄い外果皮・多肉質な中果皮・殻状の硬い内果皮がある)です。核果は球形、色は光沢のある赤色です。
カンボクの園芸品種の紹介
オオカメノキの特徴や園芸品種
- 原産:日本/台湾
- 学名:Viburnum furcatum
- 草丈:約200~400cm
- 分類:落葉低木
- 開花時期:5月~6月
- 花色:白色〇
- 葉色:緑色●
- 耐暑性:強い
- 耐寒性:強い
- 花言葉:以心伝心/黙っていても通じる私の心
- 用途:
オオカメノキとは!?
オオカメノキは学名Viburnum furcatum、別名「ムシカリ」とも呼ばれる日本及び台湾が原産の落葉低木です。日本では北海道・本州・四国・九州に分布しており、ブナ林内や針葉樹林内に自生しています。
オオカメノキの語源(由来)
- 属名のViburnumはViburnum lantanaのラテン語名に由来します。
- 種小名のfurcatumは「又状の」「フォーク状の」を意味します。
オオカメノキの特徴(魅力)
- オオカメノキは殆ど円形をしたぽっちゃりした外観の可愛らしい葉の形と、ガクアジサイを思わせるような上品な花の形が特徴の植物です。
- 花は白色の装飾花と白色の両性花で構成されるガクアジサイの様な花の形をしており、形は平面状で、装飾花が外周に並び、両性花が中央に密に集まります。
- 果実は小さく球形をしており、果柄まで赤色をしています。
- 果実は野鳥などが食べにくる事もあるため、木に集って赤色の果実を食べる鳥の姿を観察する事が出来ることもあります。
- 葉は幅広でぽっちゃりとした可愛らしい外観をしており、深い皺のよる葉脈が目立ちます。
- 葉は冬になると落葉しますが、落葉前の秋になると橙色から赤色へと変わり紅葉するため美しい景観をつくります。
オオカメノキの樹高は約200(~600)cm、樹形は株立ち状(地際付近から幹・枝が立ち上がる茂る樹形)、枝は水平からやや斜上して伸びます。樹皮の色は灰褐色です。葉序は対生葉序、葉色は緑色、葉柄はあり、葉身の形は広卵形もしくは円形、ふち部分に鋸歯があり、葉脈に深い皺がよる。花序は複集散花序、複集散花序は装飾花と両性花で構成された平面状の花形をしています。装飾花の萼片は5個、萼片の色は白色、雄蕊と雌蕊は未発達で不稔性です。両性花の花弁は5個、花弁の色は白色、雄蕊は5個、雌蕊は1個、稔性です。果実は球形、色は赤色から黒色へと熟します。
オオカメノキの園芸品種の紹介
オオチョウジガマズミの特徴や園芸品種
オオチョウジガマズミとは!?
オオチョウジガマズミは学名Viburnum carlesii、別名「アローウッド(arrowwood)」とも呼ばれる日本および朝鮮が原産の落葉低木です。日本では長崎県対馬の岩場の崖などに自生しており、変種のチョウジガマズミが岡山と香川県に自生しています。
オオチョウジガマズミの語源(由来)
- 属名のViburnumはViburnum lantanaのラテン語名に由来します。
- 種小名のcarlesiiはWilliam Richard Carles (1867~1900)への献名です。
オオチョウジガマズミの特徴(魅力)
- オオチョウジガマズミは高さ200cmまでの低木で、桃色の蕾から咲く白色の香りのよい花と、花後に実る青黒色の果実が魅力的な植物です。
- 園芸では主に花や果実を鑑賞する目的で自然樹形のまま庭木として利用されたり、花を楽しんだ後に刈り込み剪定してインフォーマルヘッジ(生垣)として利用されたりします。
- 花は半球状に小花が集まるため、ボリュームある雰囲気をつくり、また桃色と白色の花色が可愛らしさや清潔感を感じさせるため、花を鑑賞する目的で育てられます。
- 花は蕾の時は桃色、開花すると白色です。
- 花には心地よい香りがあります。
- 果実は青黒色の光沢ある色をしており、その装飾性の高さから実を鑑賞する目的で育てられることもあります。
- ただし剪定時期が花後のため、多くの果実は鑑賞前に剪定でなくなります。
- 果実は鳥などが食べにくる事もあるため、木に集って青色の果実を食べる鳥の姿を観察する事が出来ることもあります。
- オオチョウジガマズミの生垣は花を楽しみながら利用するインフォーマルヘッジの生垣して一般的に利用されます。
- オオチョウジガマズミは背が高く、常緑性があり、枝葉は密に茂ることから生垣としての機能性(目隠し効果・侵入防止効果・防音効果・防風効果等)をしっかり発揮する事が出来ます。
- オオチョウジガマズミはやや葉が大きいため全体的に緩い印象を与えたり、刈り込み剪定を行った時に剪断された葉が少し気になる場合があります。
オオチョウジガマズミの樹高は約100(~200)cm、幅約100(~200)cm、樹形は株立ち状(地際付近から幹・枝が立ち上がる茂る樹形)で、樹皮の色は褐色もしくは灰褐色をしています。
葉序は対生葉序、葉色は光沢のある緑色、葉柄はあり、葉身の大きさは長さ約3(~10)cm、幅約2(~6)cm、葉身の形は卵形(~広卵形)もしくは楕円形、ふち部分に鋸歯があります。
花序は散房花序、散房花序は半球状に花が多数集まります。花の色は白色(蕾は桃色)、花の形は筒状で筒上部が広がり裂片が5個、裂片は丸みを帯びる、雄蕊は5個あります。果実は長さ約1cm、形は楕円形、色は青黒色です。
オオチョウジガマズミの園芸品種の紹介