オトギリソウ(ヒペリカム)属は属の中に約238種があり世界の広い地域に分布する低木もしくは多年草か一年草です。一般に園芸では、花後に長持ちする赤色や桃色、白色等の実をつけ切り花としても親しまれるコボウズオトギリ、放射状に枝を広げお庭の生垣としても利用されるキンシバイ、地下茎により広がり斜状に伸びる茎で地面を被覆するセイヨウキンシバイ等が親しまれます。
オトギリソウ(ヒペリカム)は基本的には夏の暑さや冬の寒さに強いですが、種によっては強い霜に耐えられない種等もあるため育てる際は育て方を調べる必要があります。
種毎の育て方は写真か育て方をクリックすると出てくるためそちらで確認して下さい。
このページでは種の種類と特徴、園芸品種の種類と特徴を記載しています。
![]() 開花時期:6月~7月 | ![]() 開花時期:6月~7月 |
![]() 開花時期:5月~7月 | ![]() 開花時期:5月~7月 |
![]() 開花時期:5月~7月 | ![]() 開花時期:6月~8月 |
原産:ヨーロッパ/北アフリカ/西アジア
学名:Hypericum perforatum
草丈:約30~90cm
分類:多年草
開花時期:6月~7月
花色:黄色●
葉色:緑色●
耐暑性:強い
耐寒性:強い
特徴:セイヨウオトギリは学名Hypericum perforatum、別名「セントジョーンズワート」とも呼ばれるヨーロッパ及び北アフリカ、西アジアが原産の多年草です。英名である’セントジョーンズワート’の名前の由来は、聖ヨハネの日までに花が咲き、その日の前後に花が収穫される事に由来しています。セイヨウオトギリの花は悪霊を祓うと信じられており、収穫された花は家のドア等に吊るしておかれ人や家畜等を危険や病気等から守ると言われます。
セイヨウオトギリは園芸や健康食品(薬の効果を薄める可能性があり注意が必要)として利用される事も多いですが、逸出しやすく在来生物に影響を与える可能性があり、また家畜に有毒なため有害雑草として多くの国でリスト化されています。育てる際は逸出しない様に注意する必要があるでしょう。
園芸では地下茎とこぼれ種により広範に広がりやすいためグランドカバー等に使われます。しかし制御が難しくなる事もあるため鉢植え等で育てる方がいいかもしれません。直立に伸びる茎は非常に分枝が良く、初夏から夏に咲く黄色の花は花穂が何本も集まり円錐状になる事で非常にボリューミーな花姿が見られます。
開花時期は初夏から夏、花色は黄色、花弁が5枚(5数花)ある直径約1.5~2.5cmの小花を円錐花序に咲かせます。草姿は直立して地下茎により広がり高さ約30(90)cm × 幅は約30(60)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は披針形で葉序は対生葉序につきます。
セイヨウオトギリは株分けや挿し木、種まきによって増やす事が出来ます。基本的に殆どが手がかからず丈夫で育てやすい植物です。
![]() セイヨウオトギリ |
原産:中国
学名:Hypericum patulum
草丈:約30~150cm
分類:常緑低木
開花時期:6月~7月
花色:黄色●
葉色:緑色●
耐暑性:強い
耐寒性:強い
誕生花:6月16日/6月30日
花言葉:「秘密」「きらめき」「悲しみを止める」
特徴:キンシバイは学名Hypericum patulum、別名「ビヨウオトギリ」や「ダンダンゲ」や「ヒペリカム」とも呼ばれる中国原産の常緑低木です。和名の「キンシバイ’金糸梅’」は花の形が梅の花に似ることから由来がきており、初夏から夏にかけてコロンとした黄色の可愛らしい花を枝先に数個咲かせます。樹形は根元から何本も枝を出して株立ち状になり、アーチ状に枝を枝垂れさせながら放射状に広がり高さ幅共に1mを越えて成長します。
キンシバイとビヨウヤナギは葉の形や花の形等が似るため比べられる事が多いですが、比較するとキンシバイの花弁は梅の花の様にカップ状に付いて雄蕊は短く環状につきますが、ビヨウヤナギは花弁が後ろに反るように開き雄しべが花弁より長いのが特徴です。またキンシバイは常緑のため冬も葉がついたままで耐寒性が強いですが、ビヨウヤナギは半落葉低木のため寒い地域では冬に落葉することもあり耐寒性も劣ります。
園芸では美しく広がる樹形と密に茂る丸みのある葉から生垣としてよく利用されており、高さ幅ともに1mを越えて成長するため十分なスペースが必要でしょう。初夏から夏にかけては鮮やかな黄色の花がお庭を明るく彩り、また花が終わると真っ赤で光沢のある実が続きお庭を装飾的に彩ります。
開花時期は初夏から夏、花色は黄色、花弁が5枚(5数花)ある直径約2.5~7cmの小花を枝先に集まる様に集散花序に咲かせます。草姿は株立ち状で直立する茎が放射状に広がり高さ約30(150)cm × 幅は約30(150)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は披針形もしくは卵形、葉序は対生葉序につきます。
キンシバイは株分けや挿し木によって増やす事が出来ます。基本的に殆ど手がかからず丈夫で育てやすい植物です。
![]() キンシバイ(ヒドコート)は高さ幅ともに約120cmまでの成長する生垣として主に利用され、直径約7cmの大きく色鮮やかな黄色の花を咲かせる園芸品種です。太陽の輝きを思わせる様な明るい黄色の花はポジティブでカラフルな雰囲気のお庭によく合うでしょう。 (´・ω・)p楽天で購入q |
原産:中国
学名:Hypericum monogynum
草丈:約60~130cm
分類:半落葉低木
開花時期:5月~7月
花色:黄色●
葉色:緑色●
耐暑性:強い
耐寒性:普通
誕生花:6月23日/6月26日
花言葉:「多感」「薬用」「有用」「気高さ」「あきらめ」
特徴:ビヨウヤナギは学名Hypericum monogynum、別名「ビジョヤナギ」とも呼ばれる中国原産の半落葉低木です。日本には中国時代に渡来したと言われており生垣として庭や公園等で見かける事があります。和名の由来は雄蕊が長く伸びた美しい花と枝先がやや垂れ下がり柳に似た葉の形を持つことから名付けられています。
非常に繊細な雰囲気を感じさせる花姿は花弁より長い糸状の雄しべが多数(約25~35)つく事で作られていますが、雄しべは雨等で傷みやすくその花姿と同様に繊細です。樹形は下部でよく分枝してアーチ状に枝をしならせながらブッシュ状に茂り自然樹形では高さ幅共に1mを越えて成長する事もあるため育てる際は十分なスペースが必要でしょう。また地面下を地下茎により広がり、しばしば吸枝(サッカー)を地面から出す事もあります。
ビヨウヤナギとキンシバイは葉の形や花の形等が似るため比べられる事が多いですが、比較するとビヨウヤナギは花弁が後ろに反るように開き雄しべが花弁より長いのが特徴ですが、キンシバイの花弁は梅の花の様にカップ状に付いて雄蕊は短く環状につきます。またビヨウヤナギは半落葉低木のため寒い地域では冬に落葉することもあり耐寒性も劣りますが、キンシバイは常緑のため冬も葉がついたままで耐寒性が強いです。
開花時期は晩春から夏、花色は黄色、雄しべは5束に分かれ30~40本あり花弁が5枚(5数花)ある直径約3~5cmの小花を集散花序に咲かせます。草姿は下部でよく分枝してブッシュ状に茂り高さ約60(130)cm × 幅は約60(130)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は披針形もしくは楕円形、葉序は対生葉序につきます。
ビヨウヤナギは株分けや挿し木によって増やす事が出来ます。育てる際は冬の寒さに気をつければ基本的に手がかからず丈夫で育てやすい植物です。
![]() ビヨウヤナギ |
原産:ヨーロッパ/西アジア/北アフリカ
学名:Hypericum androsaemum
草丈:約30~90cm
分類:半常緑低木
開花時期:5月~7月
花色:黄色●
葉色:緑色●
耐暑性:強い
耐寒性:強い
特徴:コボウズオトギリは学名Hypericum androsaemum、別名「ヒペリカム アンドロサエマム」とも呼ばれるヨーロッパ及び西アジア、北アフリカが原産の半常緑低木です。主に花後に出来る非常に長持ちする真っ赤(熟すと黒色)な実を鑑賞したり切り花にする目的で育てられ、花は同属にあるビヨウヤナギと同様に長い雄蕊のある花を咲かせます。樹形はよく分枝してブッシュ状に茂り背が高い品種では1m近くまで成長する事もありますが、鉢植えでコンパクトに育てられる品種等もあります。
開花時期は晩春から夏、花色は黄色、雄しべは5束に分かれ約25本あり花弁が5枚(5数花)ある直径約2.5~4cmの小花を集散花序に咲かせ、花が終わると赤色もしくは桃色か白色の実を付けます。草姿は分枝がよくブッシュ状に茂り高さ約30(90)cm × 幅は約30(90)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は卵形、葉序は対生葉序につきます。
コボウズオトギリは株分けや挿し木によって増やす事が出来ます。基本的に殆どが手がかからず丈夫で育てやすい植物です。
![]() コボウズオトギリ(赤実) (´・ω・)p楽天で購入q | ![]() コボウズオトギリ(赤実) (´・ω・)p楽天で購入q |
原産:日本/朝鮮
学名:Hypericum erectum
草丈:約20~80cm
分類:多年草
開花時期:6月~8月
花色:黄色●
葉色:緑色●
耐暑性:強い
耐寒性:強い
誕生花:6月24日/11月19日
花言葉:「迷信」「恨み」「敵意」「盲信」「秘密」
特徴:オトギリソウは学名Hypericum erectum、別名「タカノキズグスリ」とも呼ばれる日本及び朝鮮が原産の多年草です。日本では北海道から九州まで日当たりの良い山地や平地等に自生しており、夏になると鮮やかな黄色の花が道端等でも見られます。オトギリソウ(弟切草)には兄が弟を切り殺すと言う恐ろしい和名の由来があり、その理由は平安時代にこの植物を原料とした薬の秘密を弟が隣の恋人に漏らした事に、鷹匠の兄が激怒して弟を斬り殺したという伝説に由来しています。またこの伝説に関連して花言葉も「迷信」「恨み」「敵意」等の物騒な花言葉が並んでおりプレゼントする場合等は注意が必要でしょう。
茎は殆ど分枝をせずに垂直に伸びて、根元から何本も茎を伸ばし叢生します。花は日中の1日(1日花)だけ咲き茎頂に数個咲きます。また茎や葉、萼や花には腺体があるため黒い点として見えますが、言い伝えでは切り殺された弟の飛び血が黒い点として見えると伝えられます。
開花時期は初夏から晩夏、花色は黄色、花弁が5枚(5数花)ある直径約1.5~2.5cmの小花を集散花序に咲かせます。草姿は根元から直立する茎を何本も伸ばす叢生型で高さ約20(80)cm × 幅は約20(50)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は披針形をしており葉序は対生葉序につきます。
オトギリソウは春もしくは秋に播種する事で増やす事が出来ます。基本的には殆どが手がかからず丈夫で育てやすい植物です。
![]() オトギリソウ |
原産:小アジア
学名:Hypericum calycinum
草丈:約30~60cm
分類:半常緑低木
開花時期:6月~8月
花色:黄色●
葉色:緑色●
耐暑性:強い
耐寒性:強い
特徴:セイヨウキンシバイは学名Hypericum calycinum、別名「ヒメキンシバイ」や「ヒペリカム カリシナム」とも呼ばれる小アジア原産の半常緑低木です。地下茎を介して広範に広がり斜状に茎が伸び地面をよく被覆するため園芸では半常緑(寒い地域では葉が落ちる)のグランドカバーとして利用されます。花はビヨウヤナギに似て花弁より長い雄しべがありますが、セイヨウキンシバイは雄しべの数(約120)がビヨウヤナギの倍以上あるため、よりふんわりとした優しい見た目の花姿を作ります。
開花時期は初夏から夏、花色は黄色、雄しべは約120本あり花弁が5枚(5数花)ある直径約3~5cmの花を咲かせます。草姿は地面下の地下茎で広がりながら茎を斜状に伸ばし高さ約30(60)cm × 幅は約30(60)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は楕円形、葉序は対生葉序につきます。
セイヨウキンシバイは株分けや挿し木によって増やす事が出来ます。基本的に殆ど手がかからず丈夫で育てやすい植物です。
![]() セイヨウキンシバイ (´・ω・)p楽天で購入q |