- 原産:ヨーロッパ/北アフリカ/西アジア
- 科:オトギリソウ(Hypericaceae)
- 属:オトギリソウ/ヒペリカム(Hypericum)
- 種:セイヨウオトギリ(perforatum)
- 別名:セントジョーンズワート(St. John’s wort)
- 開花時期:5月~7月
- 花の色:黄色●
- 葉の色:緑色●
- 分類:多年草
- 草丈:約30~100cm
- 誕生花:
- 花言葉:
- 用途:
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
セイヨウオトギリとは!?
セイヨウオトギリは学名Hypericum perforatum、別名「セントジョーンズワート」とも呼ばれるヨーロッパ及び北アフリカ、西アジアが原産の多年草です。
セイヨウオトギリの語源(由来)
- 属名のHypericumは古代ギリシア語で「さらに上」を意味する「ὑπέρ(huper)」と、古代ギリシア語で「宗教画」や「肖像」を意味する「εἰκών(eikon)」の2語からきており、悪霊を撃退する目的で用いられた事に由来すると言われています。
- 種小名のperforatumはラテン語で「穴のあいた」「貫通した」を意味しており、葉全体に小さな腺点(明点)があり、その部分は光にかざすと穴があいているように見える事に由来します。
- セントジョーンズワート(St. John’s wort)の由来は、6月24日の聖ヨハネの日までに花が咲き、その日の前後に花が収穫される事に由来しています。
- 収穫した花を家のドア等に吊るしておくことで、人や家畜は悪霊・魔女・危険・病気から守られると信じられています。
セイヨウオトギリの特徴(魅力)
- セイヨウオトギリは葉に半透明の斑点(腺点)がある所が特徴で、腺点は豊富な精油を含んでいるため、潰すと暗赤色の精油(ヒペリシン等)が滲み出てきます。
- 精油はうつ病に対する臨床研究がされており、今のところプラセボ効果よりも有効性があり、抗うつ薬と同等の効果があり、副作用が少ないと言われています。
- 日本ではセイヨウオトギリを乾燥させたものがハーブとして販売されている事があり、ハーブティーなどにして飲まれる事があります。
- ただし様々な薬剤の作用を弱める事があるため、薬を常用している場合などは、セイヨウオトギリのハーブティーを飲む前にお医者に相談した方がよいかもしれません。
- セイヨウオトギリは地面下に匍匐して広がる地下茎があり、地下茎から何本も茎を伸ばし群生をつくります。
- 花は散房状(茎下部の花柄ほど長く頂部に花が集まる)に黄色の花が集まり装飾的です。
- 花は直径約2cm、5個の黄色の花弁があり、花弁の縁部分を中心に黒点が散在します。
- セイヨウオトギリは地下茎と種から広がり雑草化しやすく、アメリカやオーストラリア等の多くの国で侵襲的で有害な雑草として扱われています。
- 日本でも1部の地域で逸出して帰化しており、野生に自生しています。
- 1部の国と地域では、セイヨウオトギリの花が人や家畜等を悪霊・魔女・危険・病気から守ってくれると信じられているため、儀式的な用途で収穫した花を家のドア等に吊るす風習があります。
セイヨウオトギリは草丈が約30(~100)cm、地下茎は匍匐して広がり、草姿は地下茎から茎を何本も伸ばして群生をつくります。茎は直立してよく分枝しており、茎の両端には隆起した線があります。茎の色は緑色もしくは赤みを帯び、黒色の腺が疎らにあります。
葉序は対生葉序、葉色は緑色、葉には小さな腺点(明点)があり光にかざすと透けます。葉柄は無し、葉身の長さ約1(~3)cm、葉身は楕円形(~狭楕円形)もしくは披針形です。
花序は散房花序、散房花序は茎下部の花柄ほど長く頂部に花が集まります。花は直径約2cm、花弁は平開して、花弁の色は黄色(縁部分を中心に黒点がある)、花弁の数は5個、雄蕊は多数、雌蕊は3個の心皮が融合する複合雌しべです。果実は蒴果(複数の心皮からなり果皮が裂開して種子を放出する)です。
セイヨウオトギリの園芸品種の紹介
オトギリソウ(ヒペリカム)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
オトギリソウ(ヒペリカム)の珍しい種類、主な種と園芸品種の紹介【2021】
セイヨウオトギリの育て方
花壇の土づくり
日当たり
セイヨウオトギリは日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上あたる日向が理想です。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
作土層
セイヨウオトギリがしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。深さ約30cmまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
セイヨウオトギリは乾燥した場所や栄養の乏しい草地等にも自生しており、通気性がよければあまり土質を選ばず幅広い環境で育てる事が出来ます。ただし基本的には通気性と保水性のバランスがよく適度に肥沃な土壌を好むため、植え付けの前に土壌診断を行いしっかり土作りを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
セイヨウオトギリは日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上あたる日向が理想です。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
培養土
セイヨウオトギリは培養土は通気性の高い草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性が良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=7:3
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
生育初期
セイヨウオトギリは、活着するまでの生育初期は茎葉が萎れやすいため、土が乾燥しないように水やりをしっかり行いましょう。活着後は、ある程度の干ばつに耐えるほど乾燥に強くなります。
地植え
セイヨウオトギリは乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。ただし土の中に指を入れて湿り気がない場合、葉や茎が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
セイヨウオトギリを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。土が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
セイヨウオトギリは、ある程度に有機物を含んだ肥沃な土壌であれば多くの肥料を必要としません。必要に応じて毎年晩冬から早春に1回、肥料(寒肥)と土質を改善する堆肥を与えましょう。
寒肥と堆肥の与え方
- 寒肥は晩冬から早春に与える肥料です。
- 肥料の種類は、成分がバランスよく入る有機肥料(配合肥料)もしくは緩効性肥料を選びましょう。
- 寒肥は株元から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れるか置き肥しましょう。
- 有機肥料の場合は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離した場所に穴を掘り肥料を与えた方が良いでしょう。
- 緩効性肥料の場合は株の近くの土の上に置く、置き肥で問題ありません。
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
- 堆肥は寒肥を与える時期(初冬から早春の間)に、寒肥と一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って堆肥を埋めましょう。
剪定のやり方
セイヨウオトギリの剪定は基本的に不要です。必要に応じて新しい成長の邪魔になる枯れた茎を根元から取り除きます。
夏越しする方法
セイヨウオトギリは夏の暑さに強く基本的に夏越し対策は不要です。
冬越しする方法
Hardiness:3b~8a
セイヨウオトギリは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
セイヨウオトギリは挿し木もしくは株分けによって増やす事ができます。
挿し木の方法
- セイヨウオトギリの挿し木時期は晩春から初夏が適します。
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットしましょう。
- 挿し穂 の長さ約7~10cmにわけます。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を残します。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。
- 切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
株分け手順
- セイヨウオトギリの株分け時期は春が最適です。
- スコップを使い出来るだけ根が傷まないように株を掘りあげます。
- 根茎に数個の芽をつけるようにしてナイフやハサミ等を使い切り分けます。
- 株分けしたらそれぞれの株を植え直して水をたっぷり与えましょう。
播種で増やす
セイヨウオトギリの種蒔の方法
播種時期:3月~4月・9月~10月
発芽適温:約15~25度
発芽日数:14~28日
発芽条件:
種まき手順
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。
- もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
セイヨウオトギリの病気
セイヨウオトギリの害虫