- 原産:小アジア
- 科:オトギリソウ(Hypericaceae)
- 属:オトギリソウ/ヒペリカム(Hypericum)
- 種:セイヨウキンシバイ(calycinum)
- 別名:ヒメキンシバイ/ヒペリカム・カリキナム/アーロンズ・ベアード(Aaron’s beard)/クリーピング・セントジョーンズワート(creeping St. John’s wort)
- 開花時期:5月~7月
- 花の色:黄色●
- 葉の色:緑色●
- 分類:半常緑低木
- 草丈:約30~50cm
- 用途:グランドカバー/生垣
目次 | ||
| ||
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
セイヨウキンシバイとは!?
セイヨウキンシバイは学名Hypericum calycinum、別名「ヒメキンシバイ」や「ヒペリカム・カリキナム」とも呼ばれる小アジア原産の半常緑低木です。
セイヨウキンシバイの語源(由来)
- 属名のHypericumは古代ギリシア語で「さらに上」を意味する「ὑπέρ(huper)」と、古代ギリシア語で「宗教画」や「肖像」を意味する「εἰκών(eikon)」の2語からきており、悪霊を撃退する目的で用いられた事に由来すると言われています。
- 種小名のcalycinumは「萼」や「蕾」を意味します。
セイヨウキンシバイの特徴(魅力)
- セイヨウキンシバイは地面を匍匐する様に広がる樹形をしている事から、園芸では主に地被植物として利用されており、また花弁と同程度の長さの雄蕊が髭のようにフサフサとしている事から英名ではアーロンの髭(Aaron’s beard)と呼ばる植物です。
- アーロンとは詩篇 133 篇に登場する髭の長い族長です。
- 茎は地面を這うように横に広がる習慣(決まりのように繰り返す癖)があります。
- そのため園芸では植え込みの地面を被覆する地被植物として利用されたり、背の低い生垣などとして利用されたりします。
- 花は直径3~5cmと大ぶりで茎頂に1個もしくは2個か3個つきます。
- 花は雄蕊が著しく多く、また花弁と同程度の長さがあるため、花弁の上で球状の外観をつくります。
- 鮮やかな黄色の花色は、明るく開放的な印象を与えたり、レモンのような爽やかな印象を与えたりします。そのため気分が向上する様な爽やかで明るいお庭や、様々な花色を組み合わせたカラフルなお庭などによくあうでしょう。
- セイヨウキンシバイは夏の暑さ冬の寒さに強いです。
- また地植えしている場合は水やりも肥料も殆どいらないため放ったらかしで育てる事も可能です
セイヨウキンシバイの樹高は約30(~50)cm、幅は約100(~200)cm、地下茎が地面下にあり、樹形は匍匐性、茎の色は緑色もしくは赤色です。
葉序は対生葉序、葉色は緑色、葉柄は無しもしくは非常に短く、葉身の大きさは長さ約5(~10)cm、葉身は卵形もしくは披針形です。
花序は茎頂部にふつう1個もしくは2(~3)個をつきます。花は直径3(~5)cm、花弁は横に平開して、花弁の色は黄色、花弁の数は5個、雄蕊は束ごとに約90(~120)個、雄蕊の花糸は黄色、雄蕊の葯は橙色(~赤色)、雌蕊は複合雌しべです。果実は蒴果(複数の心皮からなり果皮が裂開して種子を放出する)です。
セイヨウキンシバイの園芸品種の紹介
オトギリソウ(ヒペリカム)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
オトギリソウ(ヒペリカム)の珍しい種類、主な種と園芸品種の紹介【2021】
セイヨウキンシバイの育て方
花壇の土づくり
日当たり
セイヨウキンシバイは日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上あたる日向が理想です。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
作土層
セイヨウキンシバイがしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。深さ約30cmまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
セイヨウキンシバイは乾燥した場所や栄養の乏しい草地等にも自生しており、通気性がよければあまり土質を選ばず幅広い環境で育てる事が出来ます。ただし基本的には通気性と保水性のバランスがよく適度に肥沃な土壌を好むため、植え付けの前に土壌診断を行いしっかり土作りを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
セイヨウキンシバイは日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上あたる日向が理想です。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
培養土
セイヨウキンシバイは培養土は通気性の高い草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性が良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=7:3
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
生育初期
セイヨウキンシバイは、活着するまでの生育初期は茎葉が萎れやすいため、土が乾燥しないように水やりをしっかり行いましょう。活着後は、ある程度の干ばつに耐えるほど乾燥に強くなります。
地植え
セイヨウキンシバイは乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。ただし土の中に指を入れて湿り気がない場合、葉や茎が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
セイヨウキンシバイを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。土が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
セイヨウキンシバイは、ある程度に有機物を含んだ肥沃な土壌であれば多くの肥料を必要としません。必要に応じて毎年晩冬から早春に1回、肥料(寒肥)と土質を改善する堆肥を与えましょう。
寒肥と堆肥の与え方
- 寒肥は晩冬から早春に与える肥料です。
- 肥料の種類は、成分がバランスよく入る有機肥料(配合肥料)もしくは緩効性肥料を選びましょう。
- 寒肥は株元から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れるか置き肥しましょう。
- 有機肥料の場合は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離した場所に穴を掘り肥料を与えた方が良いでしょう。
- 緩効性肥料の場合は株の近くの土の上に置く、置き肥で問題ありません。
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
- 堆肥は寒肥を与える時期(初冬から早春の間)に、寒肥と一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って堆肥を埋めましょう。
剪定のやり方
セイヨウキンシバイは剪定せずに育てる事も出来ますが、基本的に花は新枝に咲くため生産性の落ちた古い枝を残すと年々と花の生産は落ちてきます。そのため年に1回、剪定ん2月から3月に行うことが一般的です。
セイヨウキンシバイの剪定方法
- セイヨウキンシバイの剪定時期
- 晩冬から早春(2月~3月)の1回です。春からの成長が始まる前に剪定を行う事で、エネルギーの分散が減り新芽の成長がよくなります。
- 剪定のやり方
- 剪定は基本的には樹形を生かした形にするため株全体を一律に基部近くまで切り戻します。
- 剪定の量は株全体の大きさの1/2~3/4を目安に刈り込み剪定するとよいでしょう。
- 刈り込み剪定が終わったら、株全体を観察して枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎を探して、これを根元から間引き剪定して取り除きましょう。
- 何故ならこれらの茎は日当りや風通しを阻害したり、健康に成長している茎に悪影響を及ぼしやすいからです。
- 剪定は基本的には樹形を生かした形にするため株全体を一律に基部近くまで切り戻します。
オススメの刈り込み鋏とヘッジトリマー
夏越しする方法
セイヨウキンシバイは夏の暑さに強く基本的に夏越し対策は不要です。
冬越しする方法
Hardiness:5b~9a
セイヨウキンシバイは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
セイヨウキンシバイは挿し木もしくは株分けによって増やす事ができます。
挿し木の方法
- セイヨウキンシバイの挿し木時期は晩春から初夏が適します。
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットしましょう。
- 挿し穂 の長さ約7~10cmにわけます。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を残します。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。
- 切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
株分け手順
- セイヨウキンシバイの株分け時期は春が最適です。
- スコップを使い出来るだけ根が傷まないように株を掘りあげます。
- 株から少し土を落として根と芽の位置を確認します。
- 根に数個の芽を残すようにしてナイフやハサミ等を使い個々に切り分けましょう。
- 株分けしたらそれぞれの株を植え直して水をたっぷり与えましょう。
播種で増やす
セイヨウキンシバイの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
植物の病気
セイヨウキンシバイの病気
セイヨウキンシバイの害虫