- 原産:日本
- 科:アジサイ(Hydrangeaceae)
- 属:ウツギ(deutzia)
- 種:ヒメウツギ(gracilis)
- 別名:スレンダー デューツィア(slender deutzia)/デューツィア・グラキリス
- 開花時期:4月~6月
- 花の色:白色〇桃色●
- 葉の色:緑色●黄色●
- 分類:落葉低木
- 草丈:約50~150cm
- 誕生花:4月14日/6月4日
- 花言葉:秘密/風情/古風/夏の訪れ/秘めた恋
- 用途:カラーリーフ/生垣
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ヒメウツギとは!?
ヒメウツギは学名Deutzia gracilis、別名では「デューツィア・グラキリス」や「スレンダー デューツィア(slender deutzia)」とも呼ばれる日本原産の落葉低木です。日本では本州(関東以西)・四国・九州に分布しており、日当たりの良い山地や岩場等に自生しています。
ヒメウツギの語源(由来)
- 属名のDeutziaは18世紀のオランダ出身で、植物学者達の支援者だったJohann van der Deutzへの献名です。
- 種小名のgracilisはラテン語で「細い」を意味しています。
- ヒメウツギは、近縁と比べて「小さい」事を意味する「ヒメ」がウツギについている事からもわかる通り、ウツギと比べて小さい事に由来します。
ヒメウツギの特徴(魅力)
- ヒメウツギはウツギと比べて背の低い樹形をしているため管理がしやすく、弧を描くように中央から外側へと広がる優雅な樹形と、白色の花が円錐状に集まり咲くボリュームある花姿が魅力の植物です。
- 園芸では花を鑑賞する目的で庭木として育てられたり、境界を示す目的で生垣として利用されたりします。
- ヒメウツギの樹形は株立ち状で、地際から多数の茎を伸ばします。
- 茎は弧を描くように優雅に広がり地面を覆うため地被植物としても利用されます。
- 花は円錐状に小花が集まるため、ボリュームある雰囲気をつくり、また白い花色が明るい印象や清潔感を感じさせるため、鑑賞価値が非常に高いです。
- 花はふつう花弁が5個ですが、八重咲きする品種もあり、より豪華で華やかな印象を与える事もあります。
- ヒメウツギは葉の表に星のように放射状に伸びる毛(星状毛)が疎らにありますが、裏面には星状毛がありません。
- ウツギは葉裏に星状毛が密生するためヒメウツギと比較する事ができます。
- ヒメウツギの生垣は、とりあえず境界を示す目的で利用されることが多く、優雅に広がる美しい樹形や花を楽しむ目的でインフォーマルヘッジとして利用されます。
- 優雅に広がる樹形をつくるために数年ごとに花後ある程度バッサリと切り戻しましょう。
- ヒメウツギの生垣の植え付け間隔は成熟時の横幅を目安にして最低でも100cm以上の間隔をとりましょう。
ヒメウツギの樹高は約50(~150)cm、樹形は株立ち状(地際付近から幹・枝が立ち上がる茂る樹形)です。茎はよく枝分かれして、茎は湾曲して横に広がる傾向にあります。樹皮の色は若い時は褐色、成熟すると灰褐色になり、樹皮は縦に割れます。
葉序は対生葉序、葉色は緑色、表面は星状毛が疎らに生え、裏面は星状毛がありません。葉柄はあり、葉身の大きさは長さ約4(~8.5)cm、幅約1.5(~3)cm、葉身の形は楕円形(~狭楕円形)もしくは披針形、縁部分に鋸歯があります。
花序は円錐花序もしくは総状花序、円錐花序は長さ約5(~12)cm、幅の狭い円錐状に花が多数集まります。花の花弁は5個、花弁の色は白色、雄蕊は10個、花柱が3(~4)個、花柱は翼があります。果実は蒴果(複数の心皮からなり果皮が裂開して種子を放出する)、蒴果は直径約0.3(~0.4)cm、形は球状もしくは半球形、先端に雌蕊が残ります。
ヒメウツギの園芸品種の紹介
- ライムシャンデリア(deutzia gracilis ‘lime chandelier’)は明るく爽やかな印象を甘えるライムグリーンの葉色と、明るく清潔感を感じさせる白色の花が魅力の園芸品種です。白色の花とライムグリーン(黄緑色)の葉は相性がとてもよく、爽やかで清潔感のあるオシャレなお庭などによくあいます。樹形は株立ち状、高さ約50(~100)cm、幅は約50(~100)cmに成長します。
- シャルドネパール(deutzia gracilis ‘chardonnay pearls’)は葉全体が爽やかな印象を甘えるライムグリーンをしており、花は明るく清潔感を感じさせる白色をしています。白色とライムグリーン(黄緑色)の相性はとてもよく、爽やかで清潔感のあるオシャレなお庭などによくあいます。樹形は株立ち状、高さ約50(~100)cm、幅は約50(~100)cmに成長します。
- ニッコー(deutzia crenata ‘nikko’)は一般的なウツギと比べて非常に背が低く、大きく優雅に横へと広がるため、地被植物や背の低い生垣などにおすすめの園芸品種です。樹形は株立ち状、高さ約50(~100)cm、幅は約100(~200)cmに成長します。
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ウツギの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ウツギの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
ヒメウツギの育て方
花壇の土づくり
日当たり
ヒメウツギは直射日光6時間以上当たる日向から、直射日光3~5時間までの半日影までで育てられます。
土壌の土質
ヒメウツギは通気性と保水性のバランスがよく水分が均一に保たれる状態にあり、また有機物(腐植)がしっかり入る肥沃な土壌を好みます。そのため植え付け前にしっかり土壌診断を行い、通気性と保水性のバランスがよい肥沃な壌土に改善してから植え付けを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ヒメウツギは直射日光6時間以上当たる日向から、直射日光3~5時間までの半日影までで育てられます。
培養土
ヒメウツギは一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 黒土+腐葉土+パーライト(極小粒)=5:3:2
水やりの仕方
ヒメウツギは茎葉の健康な成長や大きな花を咲かせる為にも、生育期間中は十分な水分を必要とします。過剰な水分の含まれるジメジメとした土壌はよくないですが、水分が均一に含まれる状態を好むため、土壌の表面が乾燥してきたら水をしっかり与えるようにしましょう。
肥料の与え方
ヒメウツギの肥料は、晩冬に1回、花後に1回、計2回行います。基本的に肥沃な土壌を好むことから、晩冬は堆肥と寒肥を与え、花後には翌年の開花のためお礼肥を与えましょう。
ヒメウツギの寒肥と堆肥の与え方
- 寒肥は晩冬に与える肥料です。
- 肥料の種類は、肥沃な土を好むため有機肥料(配合肥料)が理想ですが、緩効性肥料でも問題ありません、成分は水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)を選びましょう。
- 寒肥は株元から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れるか置き肥しましょう。
- 有機肥料の場合は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離した場所に穴を掘り肥料を与えた方が良いでしょう。
- 緩効性肥料の場合は株の近くの土の上に置く、置き肥で問題ありません。
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
- 堆肥は寒肥を与える時期(初冬から早春の間)に、寒肥と一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って堆肥を埋めましょう。
ヒメウツギのお礼肥の与え方
- ヒメウツギのお礼肥は開花後の初夏頃に行います。
- お礼肥は翌年の開花のため株を充実させる目的で有機肥料(発酵油カス)もしくは配合肥料を与えると良いでしょう。追肥に近いため、効果が早く出る発酵済みのものがおすすめです。
- 有機肥料は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れて土を上から被せましょう。
剪定のやり方
ヒメウツギの剪定は12月~2月に1回、花後の6月頃に1回行います。剪定のやり方(切り戻し剪定)によっては、花芽を落としてしまい、翌年の冬の開花に影響を与える事があるため注意が必要です。
庭木として剪定する方法
- ヒメウツギの剪定時期は冬(12月~2月)と初夏(6月)の2回です。
- 冬は完全に不要な枝を間引く目的で剪定されます。
- 初夏の剪定は樹形を整える目的と花がら摘みを行い枝葉の元気な成長を促す目的で剪定されます。
- 冬の剪定
- 株全体を観察して枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎を探して、これを根元から間引き剪定して取り除きます。
- 何故ならこれらの茎は日当りや風通しを阻害したり、健康に成長している茎に悪影響を及ぼしやすいからです。
- 基本不要ですが、株全体のバランスを見ながら、生産性の落ちた古い枝、樹形を乱す逆さ枝や徒長枝などを間引き剪定することも出来ます。
- 不要な枝を間引く事で、エネルギーの分散を防ぎ、春からの新しい成長を促したり、大きな花を咲かせやすいです。
- 冬の剪定で気をつける事は全体を一律に切り戻し剪定してしまい花芽を切ってしまう事です。必ず不要な枝を見極めて根元から間引き剪定しましょう。
- 株全体を観察して枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎を探して、これを根元から間引き剪定して取り除きます。
- 初夏の剪定
- 剪定は花が終わったら花がら摘みをかねて樹形を整えるように軽く切り戻します。
- 数年に1回ある程度、形を揃えてバッサリと強く切り戻し、樹形をリセットします。
- ヒメウツギは枝が優雅に広がりカスケードしながら広がる樹形が美しいですが、枝分かれが増え大きくなるとボサボサとした印象になることがあるからです。
- 剪定した後は枝葉をしっかり成長させるために肥料(お礼肥)を与えて下さい。
剪定をプロに任せる
剪定を自分で行う事が不安な場合は、剪定のプロに任せて綺麗に仕上げて貰う事も出来ます。また剪定する時間がとれない、他にも庭の作業を依頼したい時などもプロに作業を任せてしまう事が可能です。
- 剪定作業を自分で行う時に不安がある時
- 剪定は重労働になるため体力が最後までもつか不安がある。
- 大きな木を剪定する時は高所作業になるため怪我をするリスクがあり不安がある。
- 間違った剪定を行う事で、数年後に不格好な樹形になったり、スカスカした生垣になるかもしれない不安がある。※必要な枝と不要な枝の見極めが素人には難しい場合があり、太い枝や古い枝などを残すと不格好な樹形になることもある。
- 剪定を行う時間がとれず放ったらかしになっている
- 生垣の管理が疎かになると枝が暴れるため見た目が悪くなったり、枝が歩行者の邪魔になり怪我をさせるリスクがある。
- 木がどんどん成長していくと管理が難しくなったり、鑑賞したい花が上の方に咲いてしまったり、電線の近くだと枝が電線にかかる可能性がある。
- 剪定の他にも作業を依頼したい
- 庭の草が育って薮のようになっている、芝が伸びてボウボウになっている、庭石を並べたり外壁工事を頼みたい、庭にある不要物を撤去して欲しい等の相談も、剪定依頼をする時に一緒に行うことが可能です。
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夏越しする方法
ヒメウツギは夏の暑さに強く基本的に夏越し対策は不要です。
冬越しする方法
Hardiness:5a~9b
ヒメウツギは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
ヒメウツギは挿し木によって増やす事ができます。
- ヒメウツギの挿し木時期は熟枝挿し(晩冬から早春)もしくは半熟枝(初夏)が適します。
- 挿し穂の長さ約10~15cmにわけます。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き、上部の葉は残します。
- 熟枝挿しの場合はふつう葉がありません。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
ヒメウツギの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
植物の病気
ヒメウツギの病気
- うどんこ病
- さび病
ヒメウツギの害虫
- アブラムシ