ジンチョウゲは属の中に約97種があり、園芸でも様々な種と品種が親しまれています。このページでは4種類の原種と、いくつかの園芸品種等を紹介しています。
上記の他にも、このページでは育て方や購入する際のリンクも用意しています。よければ、そちらもご活用ください。
■目次
■ジンチョウゲ属の簡易比較

学名:Daphne odora
生活形:常緑低木
樹高:約100~150cm
開花:2月~4月
花色:赤色・桃色・赤紫色・紫色・白色
葉色:緑色・黄色・白色
生育型:直立型・分枝型
備考:花に柑橘系に似た甘く繊細な強い芳香がある事から、多くの地域で香りの良い木として親しまれる植物です。樹形は剪定をせずとも球状のまとまる外観になる傾向があり、剪定を基本的に必要としません。また花は蝋質で宝飾品のような美しい光沢があり、茎頂に球状に集まり咲くためラグジュアリーな雰囲気とボリューム感を感じさせる豪華の花姿が楽しめます。そのため、この花の美しさと芳香を楽しむ目的で栽培されています。注意する点は、この植物が有毒であり誤食すると体調を崩したり最悪死亡する可能性があり、また樹液に触れるだけで肌が炎症を引き起こすことがある事です。

学名:Daphne cneorum
生活形:常緑低木
樹高:約20~30cm
開花:4月~6月
花色:赤色・桃色・赤紫色
葉色:緑色
生育型:匍匐型
備考:一般的なジンチョウゲと違い、樹形が匍匐性でマット状に広がる性質があり、一方でジンチョウゲと同様に花は球状に集まり、強い芳香があります。こうした特性から、園芸では、地表を覆う地被植物として仕立てられて、この花の美しさと芳香を楽しむ目的で栽培されています。また、この植物は乾燥に強いためロックガーデンで岩面を覆う事も可能です。注意する点は、この植物がジンチョウゲと同様に有毒であり誤って食べると体調を崩したり最悪死亡する可能性があり、また樹液に触れるだけで肌が炎症を引き起こすことがある事です。

学名:Daphne pseudomezereum
生活形:常緑低木
樹高:約50~150cm
開花:2月~4月
花色:黄緑色・黄色
葉色:緑色
生育型:直立型・分枝型
備考:ジンチョウゲ(Daphne odora)とは異なる黄色の花を咲かせる事から、別名で黄花ジンチョウゲとも呼ばれています。芳香はジンチョウゲほど強くないですが、花には甘く繊細な香りがあります。また、夏場に一時的に休眠する性質があるため別名でナツボウズと呼ばれており、さらに樹皮が非常に強靭で枝が折れても樹皮が切れずに残る点からオニシバリと呼ばれている点も、この植物の特筆するべき特徴といえます。注意する点としては、この植物が有毒であり誤食すると重篤な体調不良を引き起こしたり、最悪の場合は死亡する可能性がある所です。また樹液に触れるだけでも肌が腫れたり炎症を引き起こすことがあるため、取り扱いにも十分に注意する必要があるでしょう。

学名:Daphne genkwa
生活形:落葉低木
樹高:約100~150cm
開花:3月~5月
花色:紫色・桃色
葉色:緑色
生育型:直立型・分枝型
備考:この植物は、葉が展開する前に開花が始まり、ライラック色の花が枝を覆い尽くすように咲き誇るため、非常に豪華な花姿が楽しめる植物です。そのため、一般的にこの花を鑑賞する目的で栽培されています。注意する点は、この植物も他のジンチョウゲ属の植物と同様に有毒であり、誤って食べると体調を崩したり最悪死亡する可能性があり、また樹液に触れるだけで肌が炎症を引き起こすことがある事です。

学名:Daphne mezereum
生活形:落葉低木
草丈:約100~150cm
開花:3月~4月
花色:桃色
葉色:緑色
生育型:分枝型
備考:葉が展開する前に開花が始まり、桃色の花が枝を覆い尽くすように咲き誇ります。また開花後には鮮やかな赤色の果実が実るため、園芸では、これらの非常に装飾的な花と実を楽しむ目的で栽培されることもあります。ただし、この植物は猛毒である事でも知られており、植物にはメゼレインやダフニンと呼ばれる非常に有毒な化合物が含まれていて致死性があるため、量によっては死に至る可能性があります。特に果実は見た目が美しく、子供やペットが誤って食べる恐れもあるため、栽培する際は厳重な注意が必要となる植物です。
■ジンチョウゲ属の主な種と園芸品種の紹介
ジンチョウゲ


ジンチョウゲとは!
ジンチョウゲ(学名: Daphne odora)は、別名では「ダフネ・オドラ」「瑞香」「輪丁花」「七里香」「千里花」「ウィンター・ダフネ(Winter daphne)」とも呼ばれるジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の常緑低木です。
ジンチョウゲの原産地は中国にあり、自生地は山地の森林や林縁などにあります。
ジンチョウゲの特徴
- ジンチョウゲの魅力:花に柑橘系に似た甘く繊細な強い芳香がある事から、多くの地域で香りの良い木として親しまれる植物です。樹形は剪定をせずとも球状のまとまる外観になる傾向があり、剪定を基本的に必要としません。また花は蝋質で宝飾品のような美しい光沢があり、茎頂に球状に集まり咲くためラグジュアリーな雰囲気とボリューム感を感じさせる豪華の花姿が楽しめます。そのため、この花の美しさと芳香を楽しむ目的で栽培されています。注意する点は、この植物が有毒であり誤食すると体調を崩したり最悪死亡する可能性があり、また樹液に触れるだけで肌が炎症を引き起こすことがある事です。さらに、ウィルス感染しやすく、剪定などの強いストレスで枯れこみやすい所も栽培時の注意点となるでしょう。
- 樹形の特徴:生育型は基本的に分枝型になり、主軸がハッキリせず多数の側枝を出します。株全体の概形は自然に球状にまとまりやすく、剪定を基本的に必要としません。逆に剪定を行うと枯れこみやすいため、注意が必要です。
- 花の特徴:開花期は2月~4月頃、冬に花が咲くため英名ではウィンター・ダフネ(Winter daphne)とも呼ばれています。花序は頭花で、花が茎頂に約12~20個集まり球状の外観を呈します。花は花弁を持っておらず、花托・萼・雄蕊・雌蕊で構成され、一般的に花弁として見られている部分は萼です。萼は萼筒で上部に4枚の裂片があり、蕾の時期は濃い赤桃色・桃色をしていますが、開花した内側は白色をしています。そのため、桃色と白色の美しいコントラストが楽しめる植物です。
- 香りの特徴:ジンチョウゲの花には特有の芳香を生み出す精油が含まれており、開花期には柑橘類を想像させる甘く繊細な強い芳香が数メートル先まで漂います。そのため、お庭のガーデンファニチャーの傍に植栽して休憩時に香りを楽しめるようにしたり、またよく通る小道の傍に生垣のように植栽することで行き交う歩行者にも香りを届け楽しめるようにすることができます。
- カラーリーフ:葉の色は緑色の他、品種を選べば黄色や白色の斑入り葉も楽しめます。そのため、開花期以外も明るく元気な印象を与えるカラーリーフとしてお庭を彩ることが出来ます。
- 毒性:ジンチョウゲは、株全体に有毒成分であるメゼレイン(mezerein)が含まれており、これを誤って摂取した場合、数時間後に口の周りや口腔内が腫れて焼け付くような痛みが出たり、また嚥下障害・悪心・嘔吐・血液を含む下痢・衰弱・昏睡等の症状を引き起こす事があり、また致死量を超えて摂取した場合は死に至る事もあります。さらに、枝が折れた時などに出る樹液は触るだけでも炎症を引き起こすことがあります。そのため、子供やペットのいる家庭で、この植物を栽培する際は、注意が必要です。
ジンチョウゲの園芸品種の紹介
斑入りジンチョウゲ

学名:Daphne odora ‘aureomarginata’
花の色:赤桃色・白色
葉の色:緑色・黄色
樹高:約100~120cm
備考:葉の中に黄色の斑が入るため、開花期以外も明るい印象を感じさせるカラーリーフとして楽しめる品種です。
信濃錦(シナノニシキ)
学名:Daphne odora cv.
花の色:桃色・白色
葉の色:緑色・黄色
樹高:約50~150cm
備考:葉の色が緑色と黄色の複色で、葉の中に中斑または三光中斑と呼ばれる珍しい斑がはいる。
ダフネ・クネオルム

ダフネ・クネオルムとは!
ダフネ・クネオルム(学名: Daphne cneorum)は、別名では「ガーランド・フラワー(garland flower)」「ローズ・ダフネ(rose daphne)」とも呼ばれるジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の常緑低木です。
ダフネ・クネオルムの原産地はヨーロッパにあり、自生地は針葉樹林の多い山岳地帯の草原やヒース(荒れ地)、岩場や潅木地帯などにあります。
ダフネ・クネオルムの特徴
- ダフネ・クネオルムの魅力:一般的なジンチョウゲと違い、樹形が匍匐性でマット状に広がる性質があり、一方でジンチョウゲと同様に花は球状に集まり、強い芳香があります。こうした特性から、園芸では、地表を覆う地被植物として仕立てられて、この花の美しさと芳香を楽しむ目的で栽培されています。また、この植物は乾燥に強いためロックガーデンで岩面を覆う事も可能です。注意する点は、この植物がジンチョウゲと同様に有毒であり誤って食べると体調を崩したり最悪死亡する可能性があり、また樹液に触れるだけで肌が炎症を引き起こすことがある事です。さらに、ウィルス感染しやすく、剪定などの強いストレスで枯れこみやすい所も栽培時の注意点となるでしょう。
- 樹形の特徴:生育型は匍匐型になり、茎は這いながら、マット状に地表面を覆うように成長します。
- 花の特徴:開花期は4月~6月頃、花序は頭花で、花が茎頂に集まり半球状の外観を呈します。花は花弁を持っておらず、花托・萼・雄蕊・雌蕊で構成され、一般的に花弁として見られている部分は萼です。萼は萼筒で上部に4枚の裂片があり、花の色は赤色・桃色・赤紫色です。
- 香りの特徴:ダフネ・クネオルムの花には強い芳香があるため、お庭のガーデンファニチャーの傍に植栽して休憩時に香りを楽しめるようにしたり、またよく通る小道の傍に植栽することで行き交う歩行者にも香りを届け楽しめるようにすることができます。
- ロックガーデン:ダフネ・クネオルムは自生地が山岳地帯のヒース(荒れ地)や岩場などにあり、乾燥気味の環境に適応する事からも分かる通り、ロックガーデンに利用できます。この植物は樹形が匍匐型のため、ロックガーデンの中では岩肌に沿って覆うように広がったり、垂れ下がる様子が楽しめます。
- 地被植物:ダフネ・クネオルムは、株が匍匐して地表をマット状に広がる性質があるため、特に岩の隙間や斜面などの乾燥しやすい場所などの地被植物(グランドカバー)として利用されることが多いです。
ダフネ・クネオルムの園芸品種の紹介
オニシバリ
オニシバリとは!
オニシバリ(学名: Daphne pseudomezereum)は、別名では「ナツボウズ(夏坊主)」「黄花ジンチョウゲ」とも呼ばれるジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の常緑低木です。
オニシバリ(鬼縛り)の原産地は日本、中国、朝鮮半島にあり、自生地は山岳地帯の森林や林縁などにあります。
オニシバリの特徴
- オニシバリ(鬼縛り)の魅力:この植物は、ジンチョウゲ(Daphne odora)とは異なる黄色の花を咲かせる事から、別名で黄花ジンチョウゲとも呼ばれています。芳香はジンチョウゲほど強くないですが、花には甘く繊細な香りがあります。また、夏場に一時的に休眠する性質があるため別名でナツボウズと呼ばれており、さらに樹皮が非常に強靭で枝が折れても樹皮が切れずに残る点からオニシバリと呼ばれている点も、この植物の特筆するべき特徴といえます。注意する点としては、この植物が有毒であり誤食すると重篤な体調不良を引き起こしたり、最悪の場合は死亡する可能性がある所です。また樹液に触れるだけでも肌が腫れたり炎症を引き起こすことがあるため、取り扱いにも十分に注意する必要があるでしょう。
- 樹形の特徴:生育型は基本的に分枝型になり、主軸がハッキリせず多数の側枝を出します。株全体の概形は自然にまとまりやすく、剪定を基本的に必要としません。逆に剪定を行うと枯れこみやすいため、注意が必要です。
- 花の特徴:開花期は2月~4月頃、長枝の節から伸びる短枝(短い側枝)に約2~10個の花が束生して球状の外観を呈します。花は花弁を持っておらず、花托・萼・雄蕊・雌蕊で構成され、一般的に花弁として見られている部分は萼です。萼は萼筒で上部に4枚の裂片があり、色は黄緑色から黄色を呈します。
フジモドキ
フジモドキとは!
フジモドキ(学名: Daphne genkwa)は、別名では「チョウジザクラ」「サツマフジ」「シゲンジ」「ライラック・ダフネ(Lilac Daphne)」「芫花(ゲンカ)」とも呼ばれるジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の落葉低木です。フジモドキの原産地は中国、台湾、朝鮮半島にあり、自生地は標高約300~1000mの丘陵地の斜面、森林、林縁、崖地などにあります。
フジモドキとは!
- フジモドキの魅力:この植物は、葉が展開する前に開花が始まり、ライラック色の花が枝を覆い尽くすように咲き誇るため、非常に豪華な花姿が楽しめる植物です。そのため、一般的にこの花を鑑賞する目的で栽培されています。注意する点は、この植物も他のジンチョウゲ属の植物と同様に有毒であり、誤って食べると体調を崩したり最悪死亡する可能性があり、また樹液に触れるだけで肌が炎症を引き起こすことがある事です。
- 樹形の特徴:生育型は基本的に分枝型になり、主軸がハッキリせず多数の側枝を出します。
- 花の特徴:開花期は3月~5月頃、葉が展開を始める前に花が咲きます。長枝から短枝を出して、枝頂に約3~7個の花を束生させて、散形花序のように花を咲かせます。花は花弁を持っておらず、花托・萼・雄蕊・雌蕊で構成され、一般的に花弁として見られている部分は萼です。萼は萼筒で上部に4枚の裂片があり、色はラベンダー色(紫色・桃色)をしています。
セイヨウオニシバリ
セイヨウオニシバリとは!
セイヨウオニシバリ(学名: Daphne mezereum)は、別名では「ヨウシュジンチョウゲ」「メゼレウム(mezereum)」「フェブラリー・ダフネ(February daphne)」とも呼ばれるジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の落葉低木です。
セイヨウオニシバリの原産地はヨーロッパと西アジアにあり、自生地は高山帯の草原や潅木地、森林などにあります。
セイヨウオニシバリの特徴
- セイヨウオニシバリの魅力と注意点:葉が展開する前に開花が始まり、桃色の花が枝を覆い尽くすように咲き誇ります。また開花後には鮮やかな赤色の果実が実るため、園芸では、これらの非常に装飾的な花と実を楽しむ目的で栽培されることもあります。ただし、この植物は猛毒である事でも知られており、植物にはメゼレインやダフニンと呼ばれる非常に有毒な化合物が含まれていて致死性があるため、量によっては死に至る可能性があります。特に果実は見た目が美しく、子供やペットが誤って食べる恐れもあるため、栽培する際は厳重な注意が必要となる植物です。
- 樹形の特徴:生育型は基本的に分枝型になりますが、基部から分枝して叢生型のようになる場合もあります。 株全体の概形は自然にまとまりやすく、剪定を基本的に必要としません。逆に剪定を行うと枯れこみやすいため、注意が必要です。
- 花の特徴:開花期は3月~4月頃、葉が展開を始める前に花が咲きます。花序は腋生で、節ごとに2~4個の花を束生するため、散形総状花序のような見た目となります。花は花弁を持っておらず、花托・萼・雄蕊・雌蕊で構成され、一般的に花弁として見られている部分は萼です。萼は萼筒で上部に4枚の裂片があり、色は桃色です。
- 毒性:セイヨウオニシバリは、株全体に有毒成分であるメゼレイン(mezerein)とダフニン(Daphnin)が含まれており、これを誤って摂取した場合、数時間後に口の周りや口腔内が腫れて焼け付くような痛みが出たり、また嚥下障害・悪心・嘔吐・血液を含む下痢・衰弱・昏睡等の症状を引き起こす事があり、また致死量を超えて摂取した場合は死に至る事もあります。さらに、枝が折れた時などに出る樹液は触るだけでも炎症を引き起こすことがあります。そのため、子供やペットのいる家庭で、この植物を栽培する際は、注意が必要です。