ヒヤシンスは属の中に約3種がある多年草です。一般に園芸で親しまれるのは花が豪華で香りよく切り花や精油等にもされるヒヤシンス(H.orientalis)です。
ヒヤシンスは基本的には夏の暑さや冬の寒さに強いですが、過湿を苦手にしているため梅雨時期や夏の長雨等には注意が必要でしょう。
種毎の育て方は写真か育て方をクリックすると出てくるためそちらで確認して下さい。
このページでは種の種類と特徴、園芸品種の種類と特徴を記載しています。
![]() 開花時期:2月~4月 |
原産:地中海東部沿岸/イラン/トルクメニスタン
学名:Hyacinthus orientalis
草丈:約15~30cm
分類:多年草
開花時期:2月~4月
花色:赤色●桃色●青色●紫色●橙色●白色〇
葉色:緑色●
耐暑性:強い
耐寒性:強い
誕生花:4月11日
花言葉:紫色:「悲しみ」「悲哀」「初恋のひたむきさ」/青色:「変わらぬ愛」/赤色:「嫉妬」/桃色:「ゲーム」「スポーツ」「しとやかなかわいらしさ」/黄色:「勝負」「あなたとなら幸せ」/白色:「控えめな愛らしさ」「心静かな愛」
特徴:ヒヤシンスは学名Hyacinthus orientalis、別名「にしきゆり(錦百合)」や「飛信子」等とも呼ばれる地中海東部沿岸及びイラン、トルクメニスタン原産の多年草です。
ヒヤシンスの語源(由来)
- 属名のヒヤシンス(Hyacinthus)はギリシャ神話に登場する美少年のヒュアキントスの名前に由来しており、ヒヤシンスはヒュアキントスの血液から生まれたとされています。
- 種小名のオリエンタリス(orientalis)はラテン語で「東」を意味しています。
- 和名の飛信子や風信子は、1863年に渡来した際に当て字として名付けられました。
ヒヤシンスの特徴(由来)
- ヒヤシンスは1つの花穂に約20~100個の小花がつき
- ↳非常に豪華な花姿をしています
- 個々の花は花被片が緩くカールする優雅な花の形をしており
- ↳光沢のある色鮮やかな花色をしています
- 花の香りはシャープ(鋭く)でフローラルな香りをしています
- ↳切り花にすれば室内でも香りが楽しめます
- ↳水揚げがよく約1~2週間の花もち
- ペットボトルや瓶を利用して水耕栽培で育てる事も可能です
ヒヤシンスは地面下に直径約3~7cm球根があり、分球する事で栄養繁殖します。葉は柔らかな肉質で、長さ約15(~35)cm × 幅約1(~3)cmの細長い剣形をしており、基部から渦巻き状に根生します。花茎は20cm~50cm迄の高さになり、20~100個の小花を連ねて総状花序をつくり、個々の花は花被片が6個あるユリの様な花を咲かせます。ただし幾つかの品種では八重咲きする花もあります。
開花時期は晩冬から春、花色は赤色や桃色、紫色や青色、橙色や白色があり、個々の花は直径約2~4cmあり漏斗状で花被片が6個あり、花序は小花が穂状に集まり総状花序に花を咲かせます。草姿は直立で高さは約15(50)cm × 幅は約10(15)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は剣形で、葉序は根生に渦巻き状につきます。
ヒヤシンスの香りの印象と精油成分
ヒヤシンスの花には、フローラルでシャープ(鋭い)な香りがあり、花の香りを特徴づける精油には「安息香酸ベンジル」「シンナミルアルコール」「酢酸ベンジル」「p-シメン」「テルピネン」等が含まれています。
- 安息香酸ベンジルは「イランイラノキ」「バルサミコ酢」「フローラル」等に例えられる甘く快い香りがあり、風味(フレーバー)はフルーティでバルサミコ酢の様な味をもっています。一般に植物ではイランイラノキやゲッキツ等に含まれています。
- シンナミルアルコールは「ヒヤシンス」「バルサミコ酢」「フローラル」等に例えられる甘く快い香りがあり、一般に植物ではヒヤシンス等に含まれています。精油は香水等に利用されています。
- 酢酸ベンジルは「ジャスミン」「フルーティー」「フローラル」等に例えられる甘く快い香りがあり、風味(フレーバー)はフルーティでバルサミコ酢の様な味をもっています。一般に植物ではジャスミンやイランイラノキやクチナシ等に含まれていて、精油の効果には「催淫作用」「気分の高揚」等があります。
- クミンアルデヒドは「クミン」「スパイス」等に例えられる辛みを感じさせるスパイシーな香りがあり、クミンを思わせるスパイシーで辛い風味(フレーバー)があります。一般に植物ではユーカリやクミン等に含まれており、精油は香水等に利用されています。精油の効能には「抗酸化作用」「抗炎症作用」「鎮静作用」等があります。
- p-シメンは「木の香り」や「柑橘系(僅か)」に例えられる心地よい香りをもっています。植物ではタイムやクミン等に精油が含まれており、一般的には石鹸等の香料に利用されています。p-シメンの精油には抗菌作用(殺菌作用)があるとされています。
- テルピネンは「木の香り」「柑橘類」「スパイス」等に例えられる爽やかでシャープな香りがあり、ウッディで柑橘類を感じさせる風味(フレーバー)をもっています。一般に植物ではマジョラムやカルダモン等に含まれており、香水等の原料に利用されています。
ヒヤシンスの毒性(既知の危険性)
ヒヤシンスは全草に毒性のあるシュウ酸カルシウムやアルカロイド(リコリン)を含み、特に球根部分には高い濃度で含まれているため食べるべきではありません。またペットに対しても同様に有毒なため、育てる際は注意が必要でしょう。
- シュウ酸カルシウムを摂取すると症状として、口内が荒れたり、尿路結石になるリスクが高まります。
- リコリンを間違えて摂取すると、嘔吐や悪心、下痢や発汗、頭痛や昏睡等の症状を引き起こす事があり、多量に摂取した場合は死亡する事もあります。
ヒヤシンスの栽培
園芸では、華やかで豪華な花を鑑賞する目的であったり香りの良い花を楽しむ目的で育てられる事が多いです。一般的には花壇や鉢植えに植えて楽しまれますが、水耕栽培で育てる事も出来ます。
水耕栽培で育てる際は、水を張り球根を置く容器が必要です。容器は簡単なものでよければペットボトルや瓶を利用して出来ます。また専用のオシャレなガラス容器もあるので好みに合わせて選ぶと良いでしょう。準備が出来たら容器に水を張り、球根を置いてお尻に水を当てて吸水出来るようにしておきましょう。暫くしたら根が出てくるため、それまでは水をたっぷり入れます。白い根が長く伸びてきたら水の量を減らして水の入れ替えも週に一度のペースに落としても大丈夫です。※根が張った後も球根に水をつけたままにすると腐敗する事もあるため注意して下さい。また寒さに当たらないと花が咲かないため、事前に球根を冷蔵庫に1ヶ月程入れて寒さを経験させておいてください。
ヒヤシンスを育てる際に注意する事は「浸水」や「多湿」です。夏の暑さや冬の寒さに強く、水やりも殆ど必要としないため環境が合えば放ったらかしで育てる事も出来ますが、長雨等で長く浸水したり多湿が続くと球根が腐敗して枯れる事もあります。そのため土壌の排水性を高める等の対策が必要でしょう。ヒヤシンスの増やし方は一般的に分球ですが、子球ができにくい傾向にあるためどうしても増やしたい場合はノッチングが必要になる事もあります。