- 原産:地中海東部沿岸/イラン/トルクメニスタン
- 科:キジカクシ(Asparagaceae)
- 亜科:ツルボ(Scilloideae)
- 属:ヒヤシンス(Hyacinthus)
- 種:ヒヤシンス(orientalis)
- 別名:にしきゆり(錦百合)/飛信子/風信子/コモン・ヒヤシンス(common hyacinth)/ガーデン・ヒヤシンス(garden hyacinth)/ダッチ・ヒヤシンス(Dutch hyacinth)
- 品種:オディッセウス(Hyacinthus orientalis ‘odysseus’)
- 開花時期:2月~4月
- 切り花寿命:10~14日
- 花の色:橙色●
- 葉の色:緑色●
- 香り:花
- 分類:多年草
- 草丈:約15~30cm
- 誕生花:4月11日
- 花言葉:紫色:悲しみ/悲哀/初恋のひたむきさ青色:変わらぬ愛/赤色:「 嫉妬/桃色:ゲーム/スポーツ/しとやかなかわいらしさ/黄色:勝負/あなたとなら幸せ/白色:控えめな愛らしさ/心静かな愛
- 用途:香りが良い/切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ヒヤシンス(オディッセウス)とは!?
ヒヤシンス(オディッセウス)は「ピーチ(桃)」や「マカロン」等の甘い果物やお菓子を連想させる花色と、小花が密に並び穂状に咲く豪華な花姿が魅力の園芸品種です。薄橙色の柔らかな花色は、甘くて優しい印象を与えるため、心が癒される様な優しい雰囲気のお庭や、ロマンチックなお庭などにオススメです。
ヒヤシンスとは!?
ヒヤシンスは学名Hyacinthus orientalis、別名「にしきゆり(錦百合)」や「飛信子」等とも呼ばれる地中海東部沿岸およびイラン、トルクメニスタンが原産の多年草です。
ヒヤシンスの語源(由来)
- 属名のHyacinthusはギリシャ神話に登場する美少年のヒュアキントスの名前に由来しており、ヒュアキントスの血液からヒヤシンスが生まれたという逸話があります。
- スパルタンの王子ヒュアキントスはアポローンに愛される恋人でした。ある時、アポローンとヒュアキントスは交代で円盤を投げる遊戯をしていました。アポローンの投げる円盤は雲を割るほどの強さがあり、アポローンが投げた円盤を捕まえるためにヒュアキントスは円盤を追いました。しかし円盤は地面にぶつかった際にヒュアキントスの方へ強く跳ね返ってきてしまい、ヒュアキントスは円盤を捕まえる事ができず、額に円盤を受けて致命傷を負ってしまいます。その時、流れた血液からヒヤシンスが生まれたと言われています。
- 種小名のorientalisはラテン語で「東」を意味しています。
- 和名の飛信子や風信子の由来は、1863年に渡来した際に「Hyacinthus」を当て字で名付けられた事からきています。
ヒヤシンスの特徴(魅力)
- ヒヤシンスの花はユリを思わせる様な小花が穂状に連なる豪華な花姿をしています。
- 花は1個の球根から複数の花茎を出す「ローマン系」と、1個の花茎に沢山(30以上)の花を豪華に咲かせる「ダッチ系」に分けられる事があります。
- その他にも、花が一重咲きする「シングル系」と、花が八重咲きする「ダブル系」と、1個の球根から沢山の花茎を出して疎らな花序で花を咲かせる「マルチフローラ系」の3パターンに分けられる場合もあります。
- 花(小花)は花被片が緩くカールしており優雅な雰囲気をつくります。
- 花には心地よさを感じさせるフレッシュでスパイシーな強い香りがあり、心地よい香りから香水としても高い人気があります。
- ヒヤシンスの精油には安息香酸ベンジル・シンナミルアルコール・酢酸ベンジル・p-シメン・テルピネンなどの成分が含まれています。
- 花は1個の球根から複数の花茎を出す「ローマン系」と、1個の花茎に沢山(30以上)の花を豪華に咲かせる「ダッチ系」に分けられる事があります。
- ヒヤシンスの花はカット後の日持ちが約14日と長く非常に豪華な花姿のため切り花として高い人気があります。
- 花には心地よいフレッシュな香りがあり切り花にして部屋に飾ると心地よい芳香が部屋全体に広がります。
- 葉は肉質で細長く球根から立ち上がるように4~6個つきます。
- ヒヤシンスはシュウ酸カルシウムやアルカロイド(リコリン)を含み全草(特に球根)が有毒なため食べられせん。
- 多量に摂取した場合は亡くなることもあります。
- ヒヤシンスは水耕栽培も可能でペットボトルに水を入れて育てられることもあります。
ヒヤシンスは草丈(花茎)が約15(~50)cm、地際に球根(鱗茎)があり、球根は直径約3~7cm、球根から4(~6)個の葉と花茎が出ます。葉は球根から螺旋状に出て、葉色は緑色、葉身の大きさは長さ約15(~35)cm、幅約1(~3)cm、葉身の形は剣形をしており、質感は肉質で柔らかです。花序は総状花序、総状花序は花が20(~100)個付き、花は筒状で花被片がふつう6個(八重咲き品種もある)、花被片の色は赤色・桃色・黄色・橙色・青色・紫色・白色等があり、雄蕊6個、雌蕊1個がつきます。果実は蒴果(複数の心皮からなり果皮が裂開して種子を放出する)、蒴果は乾燥すると3裂に割れ黒色の種子を放出します。
ヒヤシンスの切り花の楽しみ方
- ヒヤシンスの収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 収穫のタイミングは蕾が色付いてきたら行うと日持ちがよくなります。
- 収穫方法は球根の1部をつけて収穫すると蕾に栄養が補給され開花しやすくなりますが、球根(1部)をつけなくても問題ありません。
- 花瓶は花穂が重く倒れやすいため長めのものを準備します。
- 管理場所は出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)にすると日持ちがよくなります。
- よく水を吸うため数日ごとに必要に応じて水換えを行います。
- 日持ちは管理の方法でも左右されますが14日程度です。
浅水法
浅水法とは花瓶等の容器に入れる水の量を減らして、浅い水で花を生ける方法です。
浅水は、水に浸かる茎の面積が減るため、腐敗のリスクを低減することが出来ます。そのため浅水は主に茎が柔らかく腐敗しやすい花等で行われます。
ヒヤシンスの毒性(既知の危険性)
ヒヤシンスは全草に毒性のあるシュウ酸カルシウムやアルカロイド(リコリン)が含まれており、特に球根部分には高い濃度で含有しています。そのため人および家畜(犬や猫も含む)は食べる事が出来ません。
- シュウ酸カルシウムを摂取すると症状として、口内が荒れたり、尿路結石になるリスクが高まります。
- リコリンを摂取すると、嘔吐や悪心、下痢や発汗、頭痛や昏睡等の症状を引き起こす事があり、多量に摂取した場合は死亡する事もあります。
ヒヤシンスの水耕栽培の楽しみ方
- 水耕栽培で育てるための容器を準備します。
- 簡単なものではペットボトルや瓶が利用出来ます。
- 専用のオシャレなガラス容器もあるので好みに合わせて選ぶと良いでしょう。
- 容器に水を張り、球根を置いてお尻に水を当てて吸水出来るようにしておきましょう。
- 球根から根が出てくるまでは、水をたっぷり入れて球根のおしりから吸水出来るようにしておきましょう。
- 球根から白い根が長く伸びてきたら水の量を減らします。
- 水の量を変えずに球根に水をつけて管理すると腐敗する事もあるため注意して下さい。
- 水の入れ替えの頻度も週に一度のペースに落としても基本的には問題ありません。ただし水が汚れてる場合は直ぐにかえましょう。
- 補足として、ヒヤシンスは寒さに当たらないと花が咲かないため、事前に球根を冷蔵庫に1ヶ月程入れて寒さを経験させておいてください。
おすすめの水耕栽培の容器
ヒヤシンスの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ヒヤシンスの珍しい種類、主な種や園芸品種の紹介【2021】
ヒヤシンス(オディッセウス)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
ヒヤシンス(オディッセウス)はしっかりと光に当てることで球根が肥え、美しい花を咲かせます。しっかり肥えた球根は日陰でも花を咲かせますが、翌年の開花に悪影響を与えるため出来るだけ光に当てた球根を育てる事が大切です。理想は直射日光が6時間以上当たる日向です。
土壌の土質
ヒヤシンス(オディッセウス)は浸水するような土壌やジメジメとした環境が長く続く排水性の悪い土壌を許容しません。そのため、土壌の診断と改良を行い通気性と排水性がよく適度に肥沃な土壌で育てる必要があります。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。必要に応じて田土や黒土などを入れ土壌を改善しましょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ヒヤシンス(オディッセウス)はしっかりと光に当てることで球根が肥え、美しい花を咲かせます。しっかり肥えた球根は日陰でも花を咲かせますが、翌年の開花に悪影響を与えるため出来るだけ光に当てた球根を育てる事が大切です。理想は直射日光が6時間以上当たる日向です。
培養土
ヒヤシンス(オディッセウス)は一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
地植え
ヒヤシンス(オディッセウス)は乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。ただし土の中に指を入れて湿り気がない場合、葉や茎が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
ヒヤシンス(オディッセウス)を鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
ヒヤシンス(オディッセウス)の肥料は、球根の植え付け時期(10月~11月)に元肥を入れて、芽が出てくる春(3月~4月)に追肥をもう1度入れるのが一般的です。
元肥
元肥は肥効が長い物を選びましょう。具体的には配合肥料や緩効性肥料を選びます。肥料の成分は水平型肥料(窒素・リン・カリがバランスよく入る)もしくは山型肥料(リンが多めに入る)を選びとよいでしょう。
元肥の施し方は基本的には全面施肥です。植え付けの前に土に均一に混ぜこみましょう。※植えっぱなしの場合は、秋に置き肥するか株元から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れましょう。
追肥
追肥は必ず必要というわけではありませんが、芽が出てくる時期(早春から春)に化成肥料を与えることもできます。
剪定のやり方
ヒヤシンス(オディッセウス)の剪定は、花が終わったら花茎の根元から切り戻します。ただし葉は光合成を行い球根にエネルギーを貯めるため残す必要があります。
夏越しする方法
ヒヤシンス(オディッセウス)は夏の暑さに耐えますが、ジメジメした高温多湿を苦手にしています。
ヒヤシンス(オディッセウス)の夏越し対策
- 湿度の高い環境を嫌うため乾燥気味の場所で管理しましょう。
- 梅雨前に球根を掘りあげる場合
- 花が終わり葉が枯れてきたら梅雨前に球根を掘りあげます。
- 球根を掘りあげたら、葉を切り落として、腐敗の原因となる土を水洗いで綺麗に落とします。
- 直射日光の当たらない風通しの良い環境で暫く乾燥させます。
- 古い皮や根は病気の原因となる菌が潜んでおり腐敗の原因となるため取り除きます。
- 球根をネット袋などの中に入れて、風通しがよく雨の当たらない日陰で管理しましょう。
- 秋に植え直します。
- 雨に当たることが少ない場所
- 鉢植えの場合は雨に当たらない場所に移動します。
- 地植えの場合は雨の当たりにく場所で育てるといいでしょう。
- 土壌が排水性がよく通気性が高い場所
- 植付けの際に土壌改良をしっかりおこないましょう。
- 周りより高い場所に植えると、水が下に流れやすく、排水性が高まり根腐れしにくくなります。
- 梅雨前に球根を掘りあげる場合
冬越しする方法
Hardiness:4a~8b
ヒヤシンス(オディッセウス)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
ヒヤシンスは分球によって増やす事ができます。
分球の方法
ヒヤシンスの分球する時期は球根を掘りあげる5月~6月頃が最適です。掘りあげた球根は夏の間、乾燥保存しておき、秋に植える時に子球と親球を切り離してそれぞれ植えてあげるといいでしょう。
ヒヤシンスの球根は分球しにくく掘り上げた時に子球がない場合も多々あります。どうしても分球して株を増やしたい場合は、夏の貯蔵時期にノッチングと呼ばれる技法を使いましょう。
ノッチングとはナイフを使って、球根の裏に十字の切れ込みを入れて、分球しやすくする技法です。
播種で増やす
ヒヤシンスの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
植物の病気
ヒヤシンスの病気
- 灰色カビ病
- 黄腐病
- 白腐病
- 軟腐病
ヒヤシンスの害虫