- 原産:ヨーロッパ/アジア/北アメリカ
- 科:バラ(Rosaceae)
- 属:ワレモコウ(Sanguisorba)
- 種:ワレモコウ/オフィキナリス(officinalis)
- 別名:吾亦紅/吾木香/吾妹紅/割木瓜/グレートバーネット(great burnet)
- 品種:レッドサンダー(red thunder)
- 開花時期:6月~10月
- 花の色:赤色●
- 葉の色:緑色●
- 分類:多年草
- 草丈:約60~120cm
- 誕生花:8月25日/10月28日/10月30日
- 花言葉:愛慕/変化/移ろい/もの思い
- 用途:カラーリーフ/背が高い花/切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ワレモコウ(レッドサンダー)とは!?
ワレモコウ(レッドサンダー)はオランダのPiet Oudolfによる選抜品種で、非常に濃い赤色の花色と背の高い丈夫な茎が魅力の園芸品種です。重厚感を感じさせる濃い赤色の花は、神秘的な印象を与えたり、ゴシック調の雰囲気をつくったりします。そのため独特な世界観のある不思議なお庭や、チャーミングで小悪魔的な印象を与えるお庭などによく合うでしょう。草姿は茎が何本も伸びて叢生して、高さは約90~120cmまで成長するため花壇の中央や後方に植えて背景や立体感を作るのに利用しやすく、また茎が長いため切り花として利用しやすい所も魅力です。
ワレモコウとは!?
ワレモコウは学名Sanguisorba officinalis、別名では「吾亦紅/吾木香/割木瓜」や「グレートバーネット(great burnet)」等とも呼ばれるヨーロッパおよびアジア、北アメリカが原産の多年草です。日本でも北海道から九州まで分布しており、日当たりの良い草地などに自生しています。
ワレモコウの語源(由来)
- 属名のSanguisorbaはラテン語で「血の」を意味する「sangui」と、「吸収する」を意味する「sorba」の2語からなり、止血する目的で利用されていた事に由来します。
- 種小名のofficinalisはラテン語で「薬用の」を意味しており、治療特性を有する事に由来します。
- ワレモコウの由来は諸説あります。
- 一説には、香りが線香の原料になる木香の匂いに似ている事から「吾木香(ワレモコウ)」となったとう説があります。
- 一説には、ワレモコウ自身が「吾もまた紅なり」と唱えたことが由来という説があります。
- 一説には、織田家家紋のモッコウ紋が割れた形に見える事から「割木瓜(ワレモコウ)」となった説等があります。
ワレモコウの特徴(魅力)
- ワレモコウは上部に殆ど葉がないため茎の枝分かれするシルエットが目立ち、赤紫色の小ぶりな花が上品な印象を与える植物です。
- 花は切り花やドライフラワー等にも利用されます。
- ワレモコウは地面下に太い根茎があり、地際から多数の茎を出し叢生する草姿をつくります。
- 葉は下部に集まり上部に殆どないため茎と花だけの様な洗練された印象を与えやすいです。ただし上部の茎は枝分かれがよく繁茂して交差しやすいため、やや雑多な印象を与える場合があります。
- ワレモコウの花は長さが約1~3cmあり、長球状に小花が多数集まり出来ています。
- 花には花弁がなく、花弁として見られている部分は、ふつう赤紫色に着色された萼片です。
- 赤紫色の花は華やかでありながら円熟して落ち着いた雰囲気があるため、優雅な雰囲気漂うエレガントなお庭や、現実世界から離れたような幻想的な雰囲気があるお庭などによくあうでしょう。
- 花はカット後の日持ちがよく、また楚々とした雰囲気があるため切り花や茶花などにして楽しまれます。
- 日持ちは管理の方法などでも左右されますが約7~10日です。
- 花(萼片)は乾燥しても型崩れや色褪せが少ないためドライフラワーやフラワーアレンジメントの花材として重宝されます。
- 花は色鮮やなため花束の中でアクセントとして利用すると良いかもしれません。
- 若葉は収穫して食用にされることもあり、味は「キュウリ」等に例えられます。
- スープやサラダ等にして食べられています。
- 根茎は漢方薬などにも配合されており、生薬名は「地楡」と呼ばれています。
- タンニンやサポニンを多く含んでおり、収斂薬や止血、火傷の治療等に利用されています。
ワレモコウは草丈が約60(~120)cm、地面下に短い地下茎があり、草姿は叢生(根元から多くの茎が出る)します。茎は直立で所々で分枝して、茎の色は緑色もしくは赤みを帯びます。葉序は根生葉もしくは互生葉序、葉色は緑色、葉身は奇数羽状複葉、奇数羽状複葉は小葉が約5(~15)個あり、小葉の形は卵形もしくは楕円形、縁部分に鋸歯があります。花序は穂状花序、穂状花序は長さ約1(~3)cmの円筒型です。花は直径約0.2(~0.3)cm、萼片が4個、萼片の色は赤色・紫色・桃色・白色があり、雄蕊が4個、雌蕊は心皮が3個あります。果実は痩果(果実は成熟すると乾燥して裂開せず、中に1個の種子を包みます)です。
ワレモコウの切り花の楽しみ方
- 収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 水揚げは水切りもしくは湯揚げを行います。
- 花瓶に水と延命剤を入れて花を生けましょう。
- 延命剤の効果によって日持ちが長くなります。
- 管理は必要に応じて数日ごとに水切りもしくは湯揚げを行い、水換えも同時に行いましょう。
- 日持ちは管理の方法でも左右されますが約7~10日です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
湯揚げ法
湯揚げ法とは、切り花の切り口をお湯の中と冷水につけて、吸水を改善する水揚げ方法です。※水切りなどをしても、水揚げが上手くいかない場合等に行われます。
湯揚げは、導管内にある空気を熱で膨張させて外に押し出す効果があり、また熱のショックで一気に吸水する効果があります。またお湯で熱するため、切り口部分の雑菌が死滅して、微生物の影響が抑えられます。
湯揚げの方法
- お湯(約60~100度)と冷水を準備します。
- 切り花の花や葉が湯気で弱らないように、新聞紙で切り花を覆います。ただし、切り口の部分はお湯につけるため、茎の下部は新聞紙から出しておきましょう。
- 切り口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
- お湯(約60~100度)の中に切り口を付けて、切り口から空気が出てこなくなるのをまちます。お湯につける時間はおおよそ20~60秒です。
- お湯から切り花を出して、そのまま冷水の中に2時間程度浸けて水揚げします。
- 水揚げが終わったら必要に応じて水切りを行い花瓶に生けて楽しみます。
ワレモコウのドライフラワーの作り方
- 収穫は乾燥が続く日の朝(朝露が消えた後)もしくは夕方に行いましょう。
- 収穫のタイミングは花の見栄えが良いものを選びます。
- 茎を好みの長さで剪定ハサミで切って収穫して下葉を取り除きましょう。
- 収穫した花はハンギング法で乾燥させます。
ハンギング法
ハンギング法とは、植物を壁や天井等から吊り下げて自然乾燥でドライフラワーをつくる方法です。ハンギング法は最も一般的に利用されるドライフラワーを作る手順で、用意する物も花材以外には殆ど要らず手軽に作れる所が魅力です。手順は花の茎の下部を固定する物(麻紐・洗濯バサミ等)で抑えて、逆さにし壁や天井から吊り下げます。管理する場所は基本的に直射日光の当たらない涼しく乾燥した場所です。乾燥させる時間は2~4週間程度で、自然乾燥させます。
ワレモコウの園芸品種の紹介
- レッドサンダー(red thunder)はオランダのPiet Oudolfによる選抜品種で、非常に濃い赤色の花色と背の高い丈夫な茎が魅力の園芸品種です。重厚感を感じさせる濃い赤色の花は、神秘的な印象を与えたり、ゴシック調の雰囲気をつくったりします。そのため独特な世界観のある不思議なお庭や、チャーミングで小悪魔的な印象を与えるお庭などによく合うでしょう。草姿は茎が何本も伸びて叢生して、高さは約90~120cmまで成長するため花壇の中央や後方に植えて背景や立体感を作るのに利用しやすく、また茎が長いため切り花として利用しやすい所も魅力です。
- リトルエンジェル(Sanguisorba officinalis ver.microcephala ‘Little Angel’)は一般的なワレモコウより葉が小さい変種(Sanguisorba officinalis ver.microcephala)の園芸品種です。リトルエンジェルは葉の縁部分に白色(クリーム色)の班が入る事からカラーリーフとしても楽しめる所が魅力です。白色の葉は鮮やかな赤色の花との対比も美しく遠くからでも強く目を引きつける効果があり、花が咲かない時期も洗練された印象や柔らかでロマンチックな印象を与えるカラーリーフとして楽しめます。草姿は茎が何本も伸びて叢生して高さ約25cm、幅約40cmに成長します。とても背が低くコンパクトな草姿のため、鉢植えでも育てやすく、また花壇に並べると縁どりにも利用できます。
- ピンクタンナ(sanguisorba officinalis ‘pink tanna’)は可愛らしい印象を与える桃色の花色と、ふんわりとした柔らかな印象を与える萼片から突出する淡い桃色の雄蕊が特徴の園芸品種です。草姿は茎が何本も伸びて叢生して、高さは約90cmまで成長するため花壇の中央や後方に植えて背景や立体感を作るのに利用しやすく、また茎が長いため切り花として利用しやすい所も魅力です。
- タンナ(sanguisorba officinalis ‘tanna’)は一般的な種と比較すると背が低く高さが60cm程度までにしかならないため小さな花壇や鉢植えでも育てやすく、また赤ワインなどを連想させる様な濃い赤色(赤紫色)の花が上品な印象を与える魅力的な園芸品種です。
ワレモコウの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ワレモコウの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2021】
ワレモコウ(レッドサンダー)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
ワレモコウ(レッドサンダー)は日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上あたる日向で育てる事が理想です。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。日当たりの悪い環境で育てると茎が徒長したり花数が減ったりしますが、夏の暑さの厳しい地域では、葉やけを引き起こすこともあるため西日の当たらない半日影で育てた方がよい場合もあります。
作土層
ワレモコウ(レッドサンダー)がしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。深さ約30cmまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
ワレモコウ(レッドサンダー)は土質を選ばず育てる事が可能で、通気性がよければ幅広い土壌で育てる事が出来ます。ただし最もよく成長して、沢山の花を咲かせるのは通気性がよく有機物がしっかり入る肥沃な土壌のため、植え付け前にしっかり土壌診断を行い改善してから植え付けを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ワレモコウ(レッドサンダー)は日当り好むため、直射日光が6時間以上当たる日向もしくは、午前中のみ日が当たり午後から日陰になるような半日影で育てましょう。
培養土
ワレモコウ(レッドサンダー)は一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
地植え
ワレモコウ(レッドサンダー)は乾燥に強い植物のため、地植えしている場合は降水のみでも育てられます。 しかし、やや湿り気のある土壌で最も生産性が高まるため、余裕があれば土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
鉢植え
ワレモコウ(レッドサンダー)を鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
ワレモコウ(レッドサンダー)はある程度、有機物を含んだ肥沃な土壌であれば多くの肥料を必要としません。必要に応じて毎年晩冬から早春に1回、肥料(寒肥)と土質を改善する堆肥を与えましょう。
元肥(寒肥)
寒肥は元肥と同様に肥効が長い配合肥料や緩効性肥料を選びましょう。また肥料の成分は水平型肥料(窒素・リン・カリがバランスよく入る)もしくは山型肥料(リンが多めに入る)を選びましょう。
寒肥の施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か数cmの穴を掘り、その中に肥料を施すか、もしくは土の上に置き肥します。
堆肥
堆肥は有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。自然な循環のない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
堆肥の与え方
堆肥は寒肥を与える時期(初冬から晩冬の間)に一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って埋めましょう。
剪定のやり方
ワレモコウ(レッドサンダー)の剪定は基本的に不要です。秋から冬に枯れた部分を剪定して取り除きましょう。
夏越しする方法
ワレモコウ(レッドサンダー)は夏の暑さに強いため基本的には夏越し対策は不要です。ただし、乾燥をやや苦手にしているため、土壌が乾燥してきたら水やりをしっかり行いましょう。また葉焼け(葉の先端や縁部分等が褐色に変色して萎れや落葉を招く症状)する事もあるため、夏の暑さと日差しが強い地域では西日の当たらない半日影に移動するといいかもしれません。
冬越しする方法
Hardiness:4b~8a
ワレモコウ(レッドサンダー)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
ワレモコウは株分けによって増やすことが出来ます。
ワレモコウの株分け手順
- ワレモコウの株分け時期は早春もしくは秋が最適です。
- スコップを使い株を掘りあげます。
- 株から少し土を落として根と芽の位置を確認します。
- 根に数個の芽を残すようにしてナイフやハサミ等を使い個々に切り分けましょう。
- 株分けした株は、必要な場所に植え直して水をたっぷり与えます。
播種で増やす
ワレモコウの種蒔の方法
播種時期:3月~4月・9月~11月
発芽適温:約20度
発芽日数:
発芽条件:低温要求性種子
種まき手順
- 自家採取した種子は発芽の為に寒さの経験が必要なため、秋に種を撒いて冬の寒さを経験させるか、低温処理した後で種を撒き発芽を揃えます。
- 発芽を揃えたい場合は、やや湿らせたバーミキュライトに種を混ぜポリ袋の中に入れて、冷蔵庫(約4度)の中で約4週間保管して寒さを経験させます。
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 次に種が隠れるように薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
ワレモコウの病気
- うどんこ病
ワレモコウの害虫
- ハダニ
- ナメクジ