ムラサキツユクサ(トラデスカンチア)属は属の中に約75種がある多年草です。一般に園芸では、雄しべの葯以外は全てが紫色で上品で妖艶な雰囲気の茎葉が魅力的なムラサキゴテン、ロゼット状の美しい草姿を作り紫色と青緑色のコントラストが上品な雰囲気を作るムラサキオモト、這うように広がる草姿からグランドカバーやハンギングバスケット等に利用され縞模様に紫色や緑色などの美しい葉色があるシマムラサキツユクサ等が親しまれています。
ムラサキツユクサ(トラデスカンチア)は冬の寒さに気をつければ基本的には夏の暑さに強く丈夫で育てやすい植物です。
種毎の育て方は写真か育て方をクリックすると出てくるためそちらで確認して下さい。
このページでは種の種類と特徴、園芸品種の種類と特徴を記載しています。
![]() ①ムラサキゴテン | ![]() ②ムラサキオモト |
![]() ③トキワツユクサ | ![]() ④シマムラサキツユクサ |
原産:メキシコ
学名:Tradescantia pallida ‘Purpurea'(syn.Setcreasea purpurea ‘purple heart’)
草丈:約15~60cm
分類:常緑多年草
開花時期:6月~10月
花色:桃色●紫色●
葉色:緑色●紫色●
耐暑性:強い
耐寒性:普通
誕生花:6月30日
花言葉:「誠実」「優しい愛情」「変わらぬ愛」
特徴:ムラサキゴテンは学名Tradescantia pallida ‘Purpurea'(syn.Setcreasea purpurea ‘purple heart’)、別名「ムラサキオオツユクサ」や「セトクレアセア」等とも呼ばれるメキシコ原産の常緑多年草です。和名「ムラサキゴテン」の由来は雄蕊の葯を除いて葉や茎、花に至るまで全部が紫色をしている所からきています。属名のトラデスカンチア(Tradescantia)の由来はジョン・トラデスカント (John Tradescant the Elder)への献名です。また種小名のパリダ(pallida)は「青白い」を意味しており、恐らく花色に由来します。
ムラサキゴテンの特徴(魅力)
- 気品や高貴さを感じさせる美しい紫色の茎葉
- ↳葉は肉質で長さ18cm迄あり葉先が尖って剣を連想させる形
- ↳葉は薄ら毛が生える事で艶消しされ落ち着いた印象を与える
- ↳葉は茎を抱く様に付くため内側に緩く巻く
- 茎は這う傾向にあり高さ60cm迄盛り上がるグランドカバーになる
- ↳鉢植えに植えると優美に枝垂れる茎葉が見られる
- ↳花壇の縁どりとして利用すると境界線が曖昧になり自然に仕上がる
- ↳茎は折れやすく頻繁に通る場所に植えるとぶつかって折れやすい
- ↳折れた茎は培養土や水に挿しておくと容易に根が出て増やせる
ムラサキゴテンの茎は肉質で、節の所で不規則に曲がりジグザグになる傾向にあり衝撃で折れやすい所があります。茎は最大60cmの高さまで成長する事がありますが通常は高さ30cmまでで、横へと這って大きく広がります。花は初夏から秋(他の季節では散発的)に、葉よりも薄い紫色(~薄桃色)の直径1.7cmの花を咲かせますが、目立たず重要視されません。
開花時期は初夏から秋、花色は紫色もしくは桃色、個々の花は直径約1.7cmで花弁が3個(3数花)と黄色の雄蕊が6本、花序は茎頂に1個もしくは数個咲きます。草姿は直立もしくは這性で高さ約15(60)cm × 幅は約30(60)cmまで成長します。葉色は紫色、葉身はやや肉質で剣形(長さ約8~18cm)、葉序は互生葉序につきます。
ムラサキゴテンの栽培
園芸では、ムラサキゴテンの紫色の美しい茎葉と優雅に広がる草姿を鑑賞する目的で育てられます。冬の寒さに弱い事から、管理のしやすい鉢植えの中で育てられる事が多いですが、暖地であれば屋外での越冬も可能なため花壇の中で伸び伸びと大きく育てられる事もあります。紫色の美しい茎葉は、鮮やかな黄色の花や葉との相性よく対比を活かしたカラフルなお庭作りが出来ます。また同系色の赤色や桃色の花と合わせれば落ち着いた雰囲気の上品なお庭になるでしょう。
ムラサキゴテンを育てる際は、紫色の美しい葉色を維持するためによく日の当たる場所で育てて下さい。何故かというと、暗い日陰では葉色が緑色に戻る傾向があるからです。また冬の寒さに弱く霜に当たると枯れてしまうため、基本的には屋内に持ち込む必要があります。ただ軽い霜に当たって地上部が枯れても、根が無事であれば春に根から芽を出す事もあるため諦めず待ってみましょう。一般的に増やす方法は挿し木ですが、種による繁殖も可能です。
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原産:メキシコ/グアテマラ
学名:Tradescantia spathacea(syn.Rhoeo spathacea)
草丈:約15~30cm
分類:常緑多年草
開花時期:7月~8月
花色:白色〇
葉色:緑色●紫色●黄色●
耐暑性:強い
耐寒性:普通
誕生花:8月18日
花言葉:「旅行」「航海」
特徴:ムラサキオモトは学名Tradescantia spathacea(syn.Rhoeo spathacea)、別名「シキンラン」や「ロエオ」等とも呼ばれるメキシコ及びグアテマラが原産の常緑多年草で、日本では栽培されていたものが逸出して小笠原諸島で帰化しています。和名「ムラサキオモト」の由来は葉裏が紫色で草姿がオモトに似ている所からきています。また属名のトラデスカンチア(Tradescantia)の由来はジョン・トラデスカント (John Tradescant the Elder)への献名です。
ムラサキオモトの特徴(魅力)
- 茎は太く短く直立する
- 葉は密に付きロゼットの様な優雅な草姿をつくる
- ↳葉は長さが約30cm迄に達し葉先が尖る剣の様な形をしています
- ↳葉にはワックスを塗ったかの様な光沢がある
- ↳葉の色は表面が落ち着いた濃い緑色で裏面は上品な紫色
- ↳若い葉が立ち上がるため裏面の紫色の葉も鑑賞しやすい
- 肉質の根茎が広がる事でしばしば群生を作る
- 室内で観葉植物として育てられる
- ↳ガラス容器の中で子株を育てハイドロカルチャーとしても楽しめます
- 青々として枯れない草姿(常緑)から縁起が良いものとして扱われる
- 花言葉が「旅行」や「航海」と旅に関する花言葉をもつ事から引越しのお祝い等に贈られる
ムラサキオモトの茎は太く短く基本的に分枝をしません。葉は短い茎に密に配置されるためロゼットの様になり、中央から外側へと葉が広がる優雅な草姿をつくります。葉は長さが約15~30cmで幅が約3~7cmと細長く先の尖った剣の様な形をしており、表面の緑色の葉色と裏面の紫色の葉色のコントラストが非常に美しく装飾的です。花は白色で、ゆりかごの様な苞葉に包まれる事から「揺り籠の中のモーゼ(Moses-in-the-cradle)」の別名を持ちます。
開花時期は夏、花色は白色、個々の花には花弁が3個(3数花)、花序は腋生で苞葉に包まれて数個咲きます。草姿は直立で高さ約15(30)cm × 幅は約30(60)cmまで成長します。葉色は緑色と紫色、葉身は剣形(長さ約15~30cm × 幅が約3~7cm)、葉序は互生葉序につきます。
ムラサキオモトの栽培
園芸では、ムラサキオモトの紫色の美しい茎葉と優雅に広がる草姿を鑑賞する目的で育てられます。冬の寒さに弱い事から、管理のしやすい鉢植えの中で育てられる事が多いですが、暖地であれば屋外での越冬も可能なため花壇の中で伸び伸びと大きく育てられる事もあります。また室内で育てる際はプランターに培養土を入れて育てる事も出来ますが、ガラス容器等にハイドロボールを入れて子株を挿しておけば、ハイドロカルチャーでお洒落に楽しむ事も出来ます。また耐陰性があるため、シェードガーデンや観葉植物として育てる事も出来ます。濃い緑色と紫色の上品な葉色と草姿は、格式高い雰囲気がありエレガントなお庭等によく合うでしょう。
ムラサキオモトを育てる際は、強い日差しに当てると葉が枯れる(葉焼け)事もあるため、西日を避けた場所でで育てて下さい。また冬は軽い霜であれば耐えますが、強い霜に当たると枯れるため基本的には屋内に持ち込む必要があります。ムラサキオモトは根茎で広がるため、株を個々に切り分け増やす事ができます。またその他にも茎を挿し木したり水挿しする事でも増やす事が可能です。
![]() ムラサキオモト (´・ω・)p楽天で購入q | ![]() ムラサキオモト(トリカラー)は葉の表面にクリーム色と桃色の縞模様の班が入り柔らかでロマンチックな雰囲気をつくる魅力的な園芸品種です。高さ約15(30)cm × 幅は約30(60)cmまで成長します。 (´・ω・)p楽天で購入q |
原産:南アメリカ
学名:Tradescantia fluminensis
草丈:約15~30cm
分類:常緑多年草
開花時期:5月~8月
花色:白色〇
葉色:緑色●紫色●桃色●黄色●白色〇
耐暑性:強い
耐寒性:普通
誕生花:
花言葉:
特徴:トキワツユクサは学名Tradescantia fluminensis、別名「ノハカタカラクサ」とも呼ばれる南アメリカ原産の常緑多年草で、日本では昭和初期に渡来して観賞用に栽培されていたものが逸出して帰化しており、比較的暖かな地域の水辺や民家周辺等に自生しています。和名「トキワツユクサ」の由来はツユクサに葉が似ていて1年を通して葉のある所からきています。また属名のトラデスカンチア(Tradescantia)の由来はジョン・トラデスカント (John Tradescant the Elder)への献名です。種小名のfluminensisはラテン語で「川」を意味する「flumen」と「産(場所を意味する)」を意味する「ensis」の2語からきており自生地に由来しています。
トキワツユクサの特徴(魅力)
- 非常に背が低く茎は地面を這う
- ↳地面に接触した節からは不定根を出して無制限に広がる
↳ハンギングバスケットに植えると茎葉が下垂する優雅な草姿が見られる - 葉はやや肉質で水滴を連想させるぽっちゃりした形
- ↳葉の大きさは長さ3~7cmと小ぶり
- ↳葉に美しい班が入る品種が幾つもあり人気の高い観葉植物
- ↳葉は常緑のため一年を通して楽しめる
- 暗めの日陰も許容するため室内で観葉植物として育てられる
- ↳シェードガーデンにも利用出来る
トキワツユクサの茎は肉質でよく分枝しながら地面に沿って這うように広がります。また茎の節が地面に触れると不定根を出して定着し、そこからまた無制限に広がっていきます。葉は長さが約3~7cmで幅が約2~3cmと小ぶりで、ぽっちゃりとした水滴(卵形)を連想させる形をしており、光沢があり滑らかで、通常は黄緑色ですが栽培品種では紫色や桃色等の班が入ります。花は茎の頂部(頂生)もしくは葉腋(腋生)に数個から十数個を束生につけて咲きますが、目立たずあまり重要視されません。
開花時期は晩春から晩夏、花色は白色、個々の花には花弁が3個(3数花)、花序は頂生もしくは腋生で数個から十数個の小花が集まる束生に咲きます。草姿は這性で高さ約15(30)cm × 幅は約30(60)cmまで成長します。葉色は緑色や紫色、桃色や黄色、白色があり、葉身は卵形、葉序は互生葉序につきます。
トキワツユクサ(要注意外来生物生態系被害防止外来種)
トキワツユクサは世界の広い地域で有害雑草として扱われており、日本でも現在(2021年)規制はされていませんが生態系被害防止外来種に指定されています。耐陰性が強いことから林床等で非常に密に地面を被覆する可能性があり、他の植物の成長を阻害して生態系を破壊する可能性があります。そのため、栽培する際は逸出しないように十分注意する必要があるでしょう。
また除草する際も薬剤に耐性が強く、また草を刈った後に残る断片からも再生するため、いざ駆除するとなるとなかなか厄介な雑草になります。トキワツユクサを薬剤で除草する場合は根までしっかり枯らすサンフーロンがいいようです。また広範に広がっていない場合は手作業で取り除く事も出来るでしょう。比較的に簡単に根は引っこ抜けますが、断片が残らないように気を付ける必要があります。また数ヶ月は元に戻らないか監視する必要があるでしょう。
トキワツユクサの栽培
園芸では、トキワツユクサの美しい葉色や優雅に枝垂れる草姿を鑑賞する目的で育てられます。一般的には管理のしやすい鉢植えやハンギングバスケットの中で育てられる事が多く、室内で観葉植物として育てられたり、玄関先等に飾られたりして楽しまれます。また耐陰性が強いため、シェードガーデンにもおすすめです。
トキワツユクサを育てる際は、強い日差しに当てると葉が枯れる(葉焼け)事もあるため、西日を避けた場所でで育てて下さい。また冬は軽い霜であれば耐えますが、強い霜に当たると枯れるため基本的には屋内に持ち込む必要があります。トキワツユクサは挿し木や株分けによって増やす事が出来ます。
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原産:メキシコ/中央アメリカ/コロンビア
学名:Tradescantia zebrina
草丈:約15~20cm
分類:常緑多年草
開花時期:周年(散発的)
花色:紫色●白色〇
葉色:緑色●紫色●灰色●白色〇
耐暑性:強い
耐寒性:普通
誕生花:
花言葉:
特徴:シマムラサキツユクサは学名Tradescantia zebrina、別名「ゼブリナ」や「トラデスカンチア・ゼブリナ」とも呼ばれるメキシコ及び中央アメリカ、コロンビアが原産の常緑多年草です。属名のトラデスカンチア(Tradescantia)の由来はジョン・トラデスカント (John Tradescant the Elder)への献名です。種小名のゼブリナ(zebrina)はポルトガル語のゼーブラ(シマウマ)を意味しており、縞模様の葉を由来にしています。
シマムラサキツユクサの特徴(魅力)
- 非常に背が低く茎は地面を這い密なグランドカバーを作る
- ↳地面に接触した節からは不定根を出して無制限に広がる
↳ハンギングバスケットに植えると茎葉が下垂する優雅な草姿が見られる - 葉はやや肉質で先の尖る卵の様な形
- ↳葉の大きさは長さ4~10cmと大きめ
- ↳葉にシルバーや紫色の縞模様の上品な班が入る
- ↳葉は常緑のため一年を通して楽しめる
- 耐陰性があり室内で観葉植物として育てられる
- ↳シェードガーデンにも利用出来る
シマムラサキツユクサの茎は肉質でよく分枝しながら地面に沿って這うように広がります。また茎の節が地面に触れると不定根を出して定着し、そこからまた無制限に広がっていきます。葉は長さが約4~10cmで幅が約1.5~3cmと先の尖った卵の様な形をしており、光沢があり滑らかで光に当たると輝いている様に見える事もあります。葉色は光の量が減ると紫色が緑色へと変わる事もあり、通常は葉の中央が紫色(~緑色)で次が銀色で次が紫色(~緑色)の縞模様になります。花は茎の頂部(頂生)もしくは葉腋(腋生)に一個から数個を束生につけて咲きますが、目立たずあまり重要視されません。
開花時期は晩春から晩夏、花色は紫色もしくは白色、個々の花には花弁が3個(3数花)、花序は頂生もしくは腋生で数個から十数個の小花が集まる束生に咲きます。草姿は這性で高さ約15(30)cm × 幅は約30(60)cmまで成長します。葉色は緑色や紫色、銀色や白色があり、葉身は卵形、葉序は互生葉序につきます。
シマムラサキツユクサの栽培
園芸では、シマムラサキツユクサの美しい葉色や優雅に枝垂れる草姿を鑑賞する目的で育てられます。一般的には管理のしやすい鉢植えやハンギングバスケットの中で育てられる事が多く、室内で観葉植物として育てられたり、玄関先等に飾られたりして楽しまれます。また耐陰性が強いため、シェードガーデンにもおすすめです。
シマムラサキツユクサを育てる際は、強い日差しに当てると葉が枯れる(葉焼け)事もあるため、西日を避けた場所でで育てて下さい。また耐陰性がありますが、暗い場所では葉の色が落ちたり下葉が無くなる事もあるため、明るい間接光の当たる場所で育てましょう。また冬は軽い霜であれば耐えますが、強い霜に当たると枯れるため基本的には屋内に持ち込む必要があります。シマムラサキツユクサは挿し木や株分けによって増やす事が出来ます。
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