リシマキア(オカトラノオ)属は属の中に約193種がある多年草もしくは一年草です。一般に園芸では、花の頭が下がる上品な花姿が茶花としての人気もある日本原産のオカトラノオ、背が高く群生する様な草姿を作り非常にボリューミーな黄色い花を咲かせるプンクタータ種、しばしばその侵襲性の高さから問題にもなる一方でグランドカバーとして魅力が高いヌンムラリア種、地下茎で広がりながら倒伏が殆どない直立する茎を何本も伸ばし黄色の花を咲かせるキリアタ種等が親しまれます。
リシマキア(オカトラノオ)属は丈夫で育てやすい一方で、不定根や地下茎等で侵襲的に広がりしばしば問題になる事があります。また多くの種が湿地等に自生する事から乾燥をやや苦手にしており、やや湿り気のある土壌を好みます。
種毎の育て方は写真か育て方をクリックすると出てくるためそちらで確認して下さい。
このページでは種の種類と特徴、園芸品種の種類と特徴を記載しています。
①オカトラノオ 開花時期:6月~8月 | ②プンクタータ種 開花時期:5月~7月 |
③ヌンムラリア種 開花時期:5月~6月 | ④コンゲスティフローラ種 開花時期:5月~6月 |
⑤キリアタ種 開花時期:6月~8月 | ⑥アトロプルプレア種 開花時期:5月~9月 |
原産:日本/中国
学名:Lysimachia clethroides
草丈:約60~100cm
分類:多年草
開花時期:6月~8月
花色:白色〇
葉色:緑色●
耐暑性:強い
耐寒性:強い
誕生花:6月25日
花言葉:「忠実」「貞操」「騎士道」「清純な恋」
特徴:オカトラノオは学名Lysimachia clethroides、英名「gooseneck loosestrife」とも呼ばれる日本及び中国原産の多年草(宿根草)で、日本では本州、四国、九州の日当たりの良い平地から山地に自生しています。和名「オカトラノオ」の由来は湿地等に自生するヌマトラノオと違い日当たりの良い丘の様な場所に自生しており、また虎の尻尾の様な花穂をもつ事からきています。属名のリシマキア(Lysimachia)はマケドニア(トラキア)王国のリュシマコス王への献名で、リュシマコス王が怒った雌牛に襲われた際、足元にあったこの植物を振ったら怒りが収まったという伝説に由来します。また種小名のclethroidesは「リョウブ」に似ている事に由来しています。
オカトラノオの特徴(魅力)
- 花穂の途中から折れ曲がる個性的な花姿
- ↳その個性的な花姿から海外ではガチョウの首(gooseneck)に例えられる
- ↳切り花や茶花に利用される
- 中国では若い葉が炒めもの等にされて食べられています
- 地下の根茎で広がる
- ↳垂直に茎が何本も伸びて群生する
オカトラノオは地面下を根茎で広がりながら、茎を垂直に100cmまで伸ばし成長します。葉は長さ7~11cmで幅が3~5cmの長楕円形の形をしており、花は個々の花が深く5裂して直径約0.8~1.2cmになり、小花が穂状(総状花序)に連なり途中で花穂が曲がりながら開花します。
開花時期は初夏から晩夏、花色は白色、個々の花は花先が5裂して直径約0.8~1.2cmになり、花序は小花が穂状に集まり長さ約10~25cmの総状花序に咲かせます。草姿は直立して地下茎により広がり高さは約60(100)cm × 幅は約60(120)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は長楕円形もしくは狭卵形、葉序は互生葉序につきます。
オカトラノオの栽培
オカトラノオは基本的に夏の暑さや冬の寒さに強く、ほったらかしで育つ程に丈夫で、初心者でも簡単に育てられます。ただし根茎で広範に広がる可能性があるため注意が必要です。増やす方法は春もしくは秋に株分けするか、採取した種を秋に播種する事によっても増やせます。
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原産:コーカサス地方/南東ヨーロッパ
学名:Lysimachia punctata
草丈:約60~100cm
分類:多年草
開花時期:5月~7月
花色:黄色●
葉色:緑色●黄色●白色〇
耐暑性:強い
耐寒性:強い
特徴:リシマキア(プンクタータ)は学名Lysimachia punctata、別名「ドット ルーズストライフ(dotted loosestrife)」や「ラージイエロー ルーズストライフ(large yellow loosestrife)」とも呼ばれコーカサス地方及び南東ヨーロッパを原産とする多年草(宿根草)です。属名のリシマキア(Lysimachia)はマケドニア(トラキア)王国のリュシマコス王への献名で、リュシマコス王が怒った雌牛に襲われた際、足元にあったこの植物を振ったら怒りが収まったという伝説に由来します。また種小名のプンクタータ(punctata)は「斑点のある」という意味があります。
リシマキア(プンクタータ)の特徴(魅力)
- 花穂は節ごとに何個も小花が付き非常にボリュームある花姿になる
- ↳個々の花は色鮮やかな黄色で直径2.5cmと大きい
- ↳切り花としても魅力的
- 地面下の根茎で広がる
- ↳垂直に茎が何本も伸びて群生する
リシマキア(プンクタータ)は地面下を根茎で広がりながら、殆ど分枝しない茎を垂直に100cmまで伸ばし成長します。葉は細長く披針形で白色の毛が生えており、花は個々の花が直径約2.5cmで節に何個かの花が束生して穂状に連なりボリュームある花を咲かせます。
開花時期は初夏から晩夏、花色は黄色、個々の花は花先が深く5裂して直径約2.5cmになり、花序は小花が節に束生して穂状に集まり総状花序の様に咲かせます。草姿は直立して地下茎により広がり高さは約60(100)cm × 幅は約60(90)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は長楕円形もしくは披針形、葉序は輪生葉序もしくは対生葉序につきます。
リシマキア(プンクタータ)の栽培
リシマキア(プンクタータ)は基本的に夏の暑さや冬の寒さに強く、ほったらかしで育つ程に丈夫で、初心者でも簡単に育てられます。ただし根茎で広範に広がる可能性があるため注意が必要です。増やす方法は春もしくは秋に株分けするか、採取した種を秋に播種する事によっても増やせます。
リシマキア(アレクサンダー)は葉の縁部分に白色(~薄黄色)の覆輪が入る事で爽やかな雰囲気をつくる魅力的な園芸品種です。白色の覆輪が入る葉と色鮮やかな黄色の花との相性もとても良く明るく開放感のあるお庭によくあうでしょう。高さは約60cm × 幅は約50cmまで成長します。 | プンクタータ (´・ω・)p楽天で購入q |
原産:ヨーロッパ
学名:Lysimachia nummularia
草丈:約5~15cm
分類:多年草
開花時期:5月~7月
花色:黄色●
葉色:緑色●黄色●
耐暑性:普通
耐寒性:強い
花言葉:「強気」「勝負好き」
特徴:コバンコナスビは学名Lysimachia nummularia、別名「リシマキア・ヌンムラリア」や「セイヨウコナスビ」とも呼ばれるヨーロッパ原産の多年草(宿根草)です。属名のリシマキア(Lysimachia)はマケドニア(トラキア)王国のリュシマコス王への献名で、リュシマコス王が怒った雌牛に襲われた際、足元にあったこの植物を振ったら怒りが収まったという伝説に由来します。また種小名のヌンムラリア(nummularia)はラテン語で「コインの様な」という意味があり丸い葉の形に由来します。
コバンコナスビの特徴(魅力)
- 非常に背が低く茎は地面を這い密なグランドカバーを作る
- ↳地面に接触した節からは不定根を出して無制限に広がる
↳ハンギングバスケットに植えると茎葉が下垂する優雅な草姿が見られる - 葉は丸い形からコインによく例えられる
- ↳葉の大きさは直径約2cm
- ↳品種の中には黄色の葉色もありカラーリーフとして楽しめる
- 池の周り等の湿地を好む
コバンコナスビの茎は地面に沿って這うように広がり、地面に接触した節からら不定根を出し深く根を張り定着して、そこからまた無制限に広がっていきます。葉は直径が約2cmの円形をしており、通常は緑色で光沢があり光に当たると反射して輝いている様に見えます。花は黄色で花弁が深く5裂に避け直径約2cmになり、葉腋(腋生)に一個の花を咲かせます。
開花時期は晩春から夏、花色は黄色、個々の花は花先が深く5裂(~稀に6裂)して直径約2cmになり、花序は腋生で各1個の花を咲かせます。草姿は這性で高さは約5(15)cm × 幅は約30(60)cmまで成長します。葉色は緑色や黄色、葉身は円形もしくは腎形で、葉序は互生葉序につきます。
コバンコナスビの栽培
園芸では、丸く可愛らしい葉や夏に咲く色鮮やかな黄色の花を鑑賞したり、また這うように広がる草姿を利用する目的で育てられます。植え場所は、池の縁ぞいや花壇の縁沿い等に植えられる事が多く、縁部分と小道の境界を曖昧(自然)にするために利用されます。また鉢植えやハンギングバスケット等に植えられて鉢の縁部分から優雅に枝垂れる草姿を鑑賞するために利用される事も多いです。
育てる際は、健康的な成長を促すためによく陽の当たる場所で管理しましょう。湿り気のある土壌を好むため、植え付けの前に土の保水性を高めたりまた池の周り等に植えて上げるのも良いでしょう。基本的には夏の暑さや冬の寒さに強く丈夫で育てやすいです。ただ条件のよい場所ではどんどん成長していき、いつの間にか逸出して雑草化なんて可能性もあるため注意が必要でしょう。取り除く際も根を深く張るため引っこ抜くのがなかなか大変で、また断片を残すとそこから根を伸ばし再度定着するため駆除するのもなかなか大変です。増やす際は株分けを行えば簡単に増やせます。
リシマキア(オーレア)は明るく爽やかなイエローグリーンの葉が魅力の園芸品種です。花のない時期も足元を明るく彩りカラーリーフとして楽しめる事はもちろん、開花期間中は色鮮やかな黄色の花が沢山咲きます。 (´・ω・)p楽天で購入q | リシマキア(ゴルディロックス)は丸く可愛らしい葉の形とイエローリーフが魅力的な園芸品種です。足元を彩る色鮮やかな黄色の葉は足元を明るく彩り、また対比を活かして赤色や青色等の葉や花と合わせればカラフルで元気なお庭になるでしょう。 |
原産:中国/台湾/東南アジア/インド
学名:Lysimachia congestiflora
草丈:約15~30cm
分類:多年草
開花時期:5月~6月
花色:黄色●
葉色:緑色●黄色●白色〇
耐暑性:強い
耐寒性:強い
特徴:リシマキア(コンゲスティフローラ)は学名Lysimachia congestiflora、和名「タニガワコナスビ」とも呼ばれる中国及び台湾、東南アジア、インドが原産の多年草です。非常に矮性で茎は匍匐(傾状)しながら節から不定根を出して制限なく広がり、やや盛り上がりのグランドカバーを作ります。花は晩春から初夏に黄色の花が頂部に集まる様に穂状(総状花序)に咲き、また花のない時期も品種により赤紫色(ミッドナイトサン)やクリーム色の班が入る品種(アウトバックサンセット)等もありカラーリーフとして楽しむ事ができます。
開花時期は晩春から初夏、花色は黄色、花先が5(稀に6)裂する直径約2cmの小花を単生もしくは総状花序に咲かせます。草姿は這性(傾状)で節から不定根を出して制限なく広がり高さ約15(30)cm × 幅は約30(60)cmまで成長します。葉色は緑色や黄色、紫色や黒色があり、葉身は円形もしくは卵形、葉序は対生葉序につきます。
リシマキア(コンゲスティフローラ)は早春もしくは秋に株分けするか、採取した種を秋に播種する事によっても増やせます。育てる際は乾燥を苦手にしているため土が完全に乾燥しない様に水やりには気を付けて下さい。また侵襲的に広がりやすいため、定期的に切り戻しを行うといいでしょう。
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原産:北アメリカ
学名:Lysimachia ciliata
草丈:約60~120cm
分類:多年草
開花時期:6月~8月
花色:黄色●
葉色:緑色●紫色●黒色●
耐暑性:強い
耐寒性:強い
特徴:リシマキア(キリアタ)は学名Lysimachia ciliata、別名「アメリカクサレダマ」や「フリンジド・ルーズストライフ(fringed loosestrife)」とも呼ばれる北アメリカ原産の多年草です。属名のリシマキア(Lysimachia)はマケドニア(トラキア)王国のリュシマコス王への献名で、リュシマコス王が怒った雌牛に襲われた際、足元にあったこの植物を振ったら怒りが収まったという伝説に由来します。また種小名のキリアタ(ciliata)はラテン語で「縁毛のある」を意味しており、恐らく葉柄に毛が生えている事に由来します。
リシマキア(キリアタ)の特徴(魅力)
- 地面下の根茎で広がる
- 根茎から殆ど分枝しない茎が何本も伸び群生する
- ↳お庭の印象を決める景観植物にもなる
- 葉は細長く楕円形で葉柄に毛が生える
- ↳品種の中には黒色(~紫色)の葉色もありカラーリーフとして楽しめる
- 花は直径が約2.5cmあり鮮やかな黄色をしている
- ↳黒葉と黄色のコントラストが美しい
リシマキア(キリアタ)は地面下に直根性の根と這うように広がる根茎があり、殆ど分枝しない茎を垂直に120cmまで伸ばし成長します。葉は細長く楕円形もしくは披針形で葉柄に毛が生えており種小名キリアタ(ciliata)の由来にもなっています。また葉色は一般的に濃い緑色をしていますが、黒色(~紫色)の葉色の品種もありカラーリーフとして楽しむ事も可能です。花は個々の花が直径約2.5cmで節に腋生して穂状に咲きます。
開花時期は初夏から晩夏、花色は黄色、個々の花は花先が深く5裂して直径約2.5cmになり、花序は腋生して穂状に花を咲かせます。草姿は直立して地下茎により広がり高さは約60(120)cm × 幅は約60(90)cmまで成長します。葉色は緑色で品種により黒色(~紫色)、葉身は卵形もしくは披針形、葉序は対生葉序につきます。
リシマキア(キリアタ)の栽培
リシマキア(キリアタ)は基本的に夏の暑さや冬の寒さに強く、ほったらかしで育つ程に丈夫で、初心者でも簡単に育てられます。ただし根茎で広範に広がる可能性があるため注意が必要です。増やす方法は春もしくは秋に株分けするか、採取した種を秋に播種する事によっても増やせます。
リシマキア(ファイヤークラッカー)は殆ど黒色をした紫色の重厚感ある葉と、鮮やかな黄色の花との対比が強く目を引く魅力的な園芸品種です。また地植えにするとどんどん広がり繁茂する一般的な種と比べて、ファイヤークラッカーは比較的に大人しいため雑草化する心配が低く育てやすい所も魅力です。 (´・ω・)p楽天で購入q |
原産:バルカン半島
学名:Lysimachia atropurpurea ‘Beaujolais’
草丈:約30~50cm
分類:一年草/多年草(短命)
開花時期:5月~9月
花色:赤色●紫色●
葉色:緑色●
耐暑性:強い
耐寒性:強い
特徴:リシマキア(アトロプルプレア)は学名Lysimachia atropurpurea ‘Beaujolais’、バルカン半島原産の一年草もしくは短命の多年草です。最大の特徴は黒色にも見える赤紫色の長い花穂と波打つ様にフリルする葉(波打たない葉もある)にあり、上品さと優雅さを兼ね備える花姿はエレガントなお庭に良く合い、また切り花等としても高い人気があります。
開花時期は晩春から秋、紫色もしくは赤色の小花を穂状花序に咲かせます。草姿は直立して高さは約30(50)cm × 幅は約15(30)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は線形もしくはへら形で葉縁は波打ち(波打たない場合もある)、葉序は互生葉序につきます。
リシマキア(アトロプルプレア)は一般的に秋に種を撒いて増やされますが、株分けする事も出来ます。育てる際は乾燥に気を付ければ基本的に丈夫で育てやすい一年草もしくは短命の多年草です。
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