イボタノキ(リグストルム)属は属の中に約43~50種がある低木もしくは小高木です。一般に園芸では、園芸品種が豊富にあり花のない時期も白色や黄色のカラーリーフが楽しめるコミノネズミモチ、強剪定にとても強く生垣やトピアリー等で親しまれるヨウシュイボタ、底の浅い鉢等で育てられ盆栽等にもされるイボタノキ等が親しまれます。
イボタノキ(リグストルム)は基本的には夏の暑さや冬の寒さに強いですが、種によっては強い霜に耐えられない種等もあるため育てる際は育て方を調べる必要があります。また樹勢が強いため剪定を行わないと奔放に枝が伸び樹形が乱れる事があります。
種毎の育て方は写真か育て方をクリックすると出てくるためそちらで確認して下さい。
このページでは種の種類と特徴、園芸品種の種類と特徴を記載しています。
![]() 開花時期:5月~6月 | ![]() 開花時期:5月~6月 |
![]() 開花時期:5月~6月 | ![]() 開花時期:5月~6月 |
原産:中国/台湾/ベトナム
学名:Ligustrum sinense
草丈:約200~450cm
分類:落葉低木
開花時期:5月~6月
花色:黄色●白色〇
葉色:緑色●黄色●白色〇
耐暑性:強い
耐寒性:強い
特徴:コミノネズミモチは学名Ligustrum sinense、別名「シナイボタ」や「トウイボタ」とも呼ばれる中国及び台湾、ベトナムが原産の落葉低木です。種小名のシネンシス(sinense)は「中国の/中国産の」と言う意味をもちます。
コミノネズミモチの最大特徴は個々の小花から突き出た雄蕊と赤みを帯びる葯にあり、花序(円錐花序)も長く(約11cm)多くの小花が付き非常に装飾的です。また花の香りも他の種と比べて嫌味が少なく甘い香りで好まれます。樹形は株立ち状で四方八方に枝が伸びてふさふさと茂り高さ幅ともに4m程度まで伸びますが、多くの場合は定期的に刈り込みされて生垣等に利用されます。園芸品種も多く青緑色の葉に白色(クリーム色)の覆輪が入り清潔感を感じさせる「プリペット(Ligustrum sinense ‘variegatum’)」や黄金色の葉が太陽の輝きを思わせる「サンシャイン」等があり、花のない時期もカラーリーフとして楽しめるでしょう。
開花時期は晩春から初夏、花色は白色もしくは黄色(クリーム色)、個々の小花は筒状で花先が4裂しており2個の雄蕊は付き出て葯が赤色(桃色)、花序は長さが約4~11cmの円錐花序をつくります。樹形は株立ち状で枝は密に繁り高さは約250(450)cm × 幅は約250(450)cmまで成長します。葉色は緑色もしくは黄色か白色で光沢があり、葉身は卵形もしくは楕円形(長さ約5cm × 幅は約2.5cm)、葉序は対生葉序につきます。
コミノネズミモチは樹勢が強く挿し木で容易に増やす事ができます。育てる際は樹勢が強く奔放に枝が伸びるため剪定が必要になる場合がありますが、基本的には夏の暑さや冬の寒さに強く丈夫で、育てやすい植物です。
![]() レモン&ライム (´・ω・)p楽天で購入q | ![]() シルバープリペット (´・ω・)p楽天で購入q |
原産:日本/中国/朝鮮
学名:Ligustrum obtusifolium
草丈:約200~400cm
分類:落葉低木
開花時期:5月~6月
花色:黄色●白色〇
葉色:緑色●黄色●
耐暑性:強い
耐寒性:強い
誕生花:
花言葉:「禁制」「よい友を持つ」
特徴:イボタノキは学名Ligustrum obtusifolium、別名「コバノイボタ」や「ボーダープリベット(border privet)」とも呼ばれる日本及び中国、朝鮮が原産の落葉低木で、日本では北海道から九州まで各地の山野に自生しています。和名「イボタノキ」の名前は樹皮にイボ取りや家具の艶出しに利用される’イボタロウムシ’と呼ばれるカイガラムシが寄生する事に由来しています。
樹形は株立ち状になりやすく高さと幅が同程度まで成長します。またよく芽吹き枝葉を密につける事からお庭等の生垣に利用される事も多く、底の浅い鉢で育て盆栽仕立てにされる事もあります。晩春から初夏に咲く花は甘く刺激的な香りのため不快と感じる人と良い香りと感じる人に大きく分かれます。白色(薄黄色)の小花は穂状に集まり、さらに花穂が円錐状に並ぶため非常にボリューミーな花姿を作ります。また園芸では黄色の覆輪が入るオーレアム(L.obtusifolium ‘Aureum’)等があり、花のない時期も明るいカラーリーフでお庭に彩りを与えます。※青緑色のに白色の覆輪が入るシルバープリペット(L.sinense ‘Variegatum’)はコミノネズミモチの品種です。
開花時期は晩春から初夏、花色は白色もしくは黄色(クリーム色)、個々の小花は筒状で花先が4裂、花序は円錐花序をしています。樹形は分枝が良く密に繁り高さは約200(400)cm × 幅は約300(450)cmまで成長します。葉色は緑色で光沢があり(品種により黄色の覆輪)、葉身は楕円形(長さ約2~5cm幅は0.7~2cm)、葉序は対生葉序につきます。
イボタノキは樹勢が強く挿し木で容易に増やす事ができ、また生命力が強い事からライラック等の台木にも利用されます。育てる際は夏の暑さや冬の寒さに強く丈夫で、気をつける事は基本的にありません。
![]() イボタノキ |
原産:ヨーロッパ/北アフリカ/小アジア
学名:Ligustrum vulgare
草丈:約250~500cm
分類:落葉低木/半常緑低木
開花時期:5月~6月
花色:黄色●白色〇
葉色:緑色●
耐暑性:強い
耐寒性:強い
特徴:ヨウシュイボタは学名Ligustrum vulgare、別名「セイヨウイボタ」や「リグストルム・ブルガレ」とも呼ばれるヨーロッパ及び北アフリカ、小アジアが原産の落葉低木もしくは半常緑低木です。
ヨウシュイボタは株立ち状にふさふさと茂る樹形をしており、通常高さ幅ともに3m程度まで成長しますが、稀に成熟すると高さが5mまで達す事があります。一般に園芸では樹勢が強くよく芽吹くため、定期的に刈り込みされて生垣として利用される事が多く、また幾何学模様や動物等の造形に刈り込まれトピアリーとして利用される事もあります。晩春から初夏に咲く花は刺激的な香りのため不快と感じる人と良い香りと感じる人に大きく分かれます。白色(薄黄色)の小花は円錐状に花穂が集まり長さが約6cmまで小ぶりな円錐花序を作ります。
開花時期は晩春から初夏、花色は白色もしくは黄色(クリーム色)、個々の小花は筒状で花先が4裂して直径約0.6cmになり、花序は長さが約3~6cmの円錐花序をつくります。樹形は株立ち状で枝は密に繁り高さは約250(500)cm × 幅は約250(450)cmまで成長します。葉色は緑色で光沢があり、葉身は楕円形もしくは披針形(長さ約2~6cm幅は0.5~1.5cm)、葉序は対生葉序につきます。
ヨウシュイボタは樹勢が強く挿し木で容易に増やす事ができます。育てる際は夏の暑さや冬の寒さに強く丈夫で、気をつける事は基本的にありません。
![]() ヨウシュイボタ |
原産:日本/台湾/中国
学名:Ligustrum japonicum
草丈:約250~500cm
分類:常緑小高木
開花時期:5月~6月
花色:黄色●白色〇
葉色:緑色●
耐暑性:強い
耐寒性:普通
花言葉:「名より実」
特徴:ネズミモチは学名Ligustrum japonicum、別名「タマツバキ」等とも呼ばれる日本及び台湾、中国が原産の常緑小高木で、日本では関東以西の山林や林縁等に自生しています。和名「ネズミモチ」の由来は、花後に出来る楕円形の実がネズミの糞に見える事と、葉がトリモチに似ている事からきており、種小名のジャポニカム(japonicum)は「日本の」と言う意味をもちます。
ネズミモチの最大の魅力はネズミの糞に例えられる実にあります。花後に出来る楕円形で藍色の実はパッと見た感じ糞に見える事はありませんが、冬に完熟して乾燥したものは黒褐色に変色して皺がより、小動物の糞に近い感じになります。その見た目からあまり食べようと言う気にはなりませんが、実は滋養強壮や利尿作用、便秘改善や強心作用等と様々な効果があり生薬(女貞子・女貞実)として漢方等で利用されています。またネズミモチの実はコーヒーの代用品として、実を乾燥させた後に焙煎して、コーヒーミルで挽き、コーヒーと同様にして飲む事が出来ます。
ネズミモチは同じ属の中にあるトウネズミモチ(要注意外来生物)に非常に似ている事から、しばしば比較対象される事があります。比べてみると、ネズミモチは葉が厚く太陽にかざしても葉脈が透けませんが、トウネズミモチは太陽にかざすと葉脈が透けます。ネズミモチは葉が卵状楕円形で長さ5(8)cm × 幅2(5)cmと小さめですが、トウネズミモチは葉の先端が鋭く尖り(鋭尖形)卵状楕円形で長さ約6(12)cm幅は約3(5cm)と大きめです。ネズミモチは花冠の長さが0.6cmで4裂する裂片が緩く反り花序の長さは約5~12cmと短めですが、トウネズミモチは花冠の長さが約0.4cmで4裂する裂片が強くカールして花序の長さは約10~20cmと長めにつきます。ネズミモチの実は細長い楕円形で乾燥すると茶褐色(黒褐色)になりますが、トウネズミモチの実は殆ど球形で乾燥すると黒褐色(藍色)をしています。
開花時期は晩春から初夏、花色は白色もしくは黄色(クリーム色)、個々の小花は筒状で花先が4裂してカールおり2個の雄蕊は付き出て葯が黄色、花序は長さが約5~12cmの円錐花序をつくります。樹形は株立ち状で高さは約250(500)cm × 幅は約250(300)cmまで成長します。葉色は緑色で光沢があり、葉身は卵形もしくは楕円形(長さ約5~8cm × 幅は約2~5cm)、葉序は対生葉序につきます。
ネズミモチは樹勢が強く挿し木で容易に増やす事ができます。育てる際は一般的な種と比較すると冬の寒さに弱いため暖地以外で育てる際は最低温度を確認する必要があります。
![]() ネズミモチ |