- 原産:中国/インド
- 科:キョウチクトウ(Apocynaceae)
- 属:テロスマ(Telosma)
- 種:トンキンカズラ/コルダータ(Telosma cordata)
- 流通名:イエライシャン(夜来香)
- 別名:テロスマ・コルダータ/カウスリップ・クリーパー(cowslip creeper)/パカラナ・バイン(Pakalana vine)/トンキンジャスミン(Tonkin jasmine)/トンキニーズ・クリーパー(Tonkinese creeper)
- 開花時期:6月~9月
- 花の色:黄色●
- 葉の色:緑色●
- 分類:常緑ツル性木本
- 登攀方法:巻き付き茎
- 長さ:約200~500cm
- 誕生花:
- 花言葉:高貴
- 用途:壁面緑化/香りが良い
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
イエライシャン(夜来香)とは!?
イエライシャン(夜来香)は学名Telosma cordata、和名では「トンキンカズラ」とも呼ばれ、別名では「テロスマ・コルダータ」や「カウスリップ・クリーパー(cowslip creeper)」等とも呼ばれる中国およびインドが原産の常緑ツル性木本です。
イエライシャン(夜来香)の語源(由来)
- 属名のTelosmaはラテン語で「終わり」「完成」を意味する「Telo」と、ギリシャ語で「匂い」を意味する「osma」の2語からなり、花の香りに由来します。
- 種小名のcordataは新ラテン語で「ハート形」を意味しており、恐らく葉の形に由来します。
- 夜来香(イエライシャン)の由来は、夜になると花から芳しき香りを放つ所からきています。
イエライシャン(夜来香)の特徴(魅力)
- イエライシャンは、開花期になると昼夜を問わず(特に夜)に甘く重厚な香りを花から漂わせます。花は筒状の小花が房状に集まるため、とてもボリューミーな花姿をしており、ツル性の茎が他の植物や物体に絡みながら成長する習慣(決まりのように繰り返す癖)をもつ植物です。
- 樹形はツル性、茎は基本的に自立せず、巻き付き茎を他の植物や物体に絡ませて自らの体を固定して登ります。
- 巻き付き茎とは、茎自体が他の植物や物体に巻きついて登る習慣がある茎の事です。巻き付き茎は茎頂が物体に接触すると、茎の先端が右か左に旋回するように動き、他の植物や物体に茎を巻き付けて体を固定して登る事が出来ます。
- 巻き付き茎は巻き付く事が出来ない岩壁等は登る事が出来ません。そのため、ツルを巻き付ける支柱やネット等の資材を準備して育てましょう。
- 開花時期は6月~9月、花は散房花序のように花が10~30個集まり咲くため房状のボリュームある花姿をつくります。
- 花は筒状で上部で5個の裂片が平開して広がり直径約1.5cmの大きさになります。
- 花は「レモン」などの柑橘類や「蜂蜜」等を想像させるような重厚な香りがあり、花の香りを構成する精油には「ゲラニオール」や「β-イオノン」や「ジヒドロ-β-イオノン」などが含まれています。
- ゲラニオールは「柑橘類」「ローズ」等に例えられる甘く華やかな香りがあり、風味はフルーティーで、精油は食品の香料やアロマオイル等にも利用されています。
- β-イオノンは「スミレ」「ラズベリー」等に例えられる甘くフルーティーな香りがあり、精油は食品や香水等に幅広く利用されています。
- イエライシャンの実は先の尖る楕円形で「オクラ」の様な外観をしており、中に入っている種はふさふさとした冠毛が生えます。
- イエライシャンの新鮮な花(蕾)は、食用として利用されており、味はレモンの様な香りと野菜特有の風味があり、生のまま食べられたり、加工されて食べられたりします。
- 収穫した花は、卵に入れてオムレツの様にして食べられたり、他の野菜や肉と合わせて炒め物にされて食べられたり、生のままサラダとして食べられる事もあります。
- イエライシャンにはタンパク質・ビタミンA・ビタミンB群・ビタミンC等の栄養が豊富に含まれます。
- イエライシャンは耐寒性が低く、基本的に霜に耐えられないため冬越しさせたい場合は管理に注意が必要です。
イエライシャン(夜来香)の樹形はツル性(巻き付き茎)、茎の長さは約200(~500)cm、茎の色は緑色、成熟すると木質化して褐色から灰褐色になります。
※巻き付き茎は茎頂が物体に接触すると、茎の先端が旋回するように動き、他の植物や物体に茎を巻き付けて体を固定します。
葉序は対生葉序、葉色は緑色、葉柄の長さは約1(~5)cm、葉身の長さ約6(~11)cm、幅は約4(~8)cm、葉身の形は心形をしています。
花序は散房花序のように約10~30個の花が密に集まります。花は筒状で先端は5裂して横に平開ており、直径は約1.5cmです。花の色は黄色または緑色です。
果実は袋果(1枚の心皮からなり、成熟すると果皮は乾燥して、癒合してできた縫合線から縦に裂けて種子を放出します)、袋果は楕円形で先端が尖り、色は緑色から成熟すると褐色になります。内部には多数の種があり、種には白色の毛が付いており綿状になっています。
イエライシャン(夜来香)の園芸品種の紹介
イエライシャン(夜来香)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
イエライシャン(夜来香)は、日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上あたる日向、もしくは3時間~5時間の半日影で育てましょう。
土壌の土質
イエライシャン(夜来香)は、水捌けと通気性が良い有機質が豊富な肥沃な土壌を好みます。そのため植え付けの前に土壌診断を行い通気性がよく有機物がしっかり入る肥沃な土壌をつくりましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
イエライシャン(夜来香)は、日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上あたる日向、もしくは3時間~5時間の半日影で育てましょう。
培養土
イエライシャン(夜来香)の培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
イエライシャン(夜来香)は、やや湿り気のある土壌を好みます。水やりの頻度は環境(植える場所や土質)にも左右されますが、基本的には土の表面が乾いてきたタイミングで行うといいでしょう。
肥料の与え方
イエライシャン(夜来香)は、植え付け時に元肥を入れて、生育期間中(春・夏・秋)も定期的に追肥を与えます。
元肥の与え方
- 元肥は苗の植え付け時に与える肥料の事です。
- 肥料は肥効が長く続く緩効性肥料を選び、成分は水平型肥料(成分が均一)もしくは山型肥料(リンが多め)を選びましょう。
- 元肥の与え方は土壌に均一に混ぜこむ全面施肥で行ます。
追肥の与え方
- 追肥は春から秋の生育期間中に与えます。
- 追肥は肥料の効きが早い速効性肥料(化成肥料)もしくは、緩やかに長く効く緩効性肥料を選びましょう。
- 化成肥料や緩効性肥料などの固形肥料を与える場合は、規定された量を施します。
- 液体肥料で与える場合は、規定された分量で希釈して約7~14日に1回のペースで水やりの際に一緒に液肥を与えるとよいでしょう。
剪定のやり方
イエライシャン(夜来香)は基本的に剪定せずに育てる事が出来ます。必要に応じて、日当たりや風邪通しを悪くしたり、外観を崩し邪魔になる茎を剪定して取り除く事が出来ます。
邪魔になる茎とは、枯れた枝・損傷した枝(折れてる枝等)・病気の枝・間違った方向に伸びた枝・絡み合い茎が混雑している部分・生産性の落ちた古い枝などになります。これらの茎は根元から間引き剪定するか、もしくは枝分かれさせたい部分の芽の上で剪定しましょう。
イエライシャン(夜来香)のツルの誘引の方法
イエライシャン(夜来香)は自らの茎を他の植物や物体に螺旋状に巻き付けて体を固定します。そのため、茎を巻き付けやすい園芸資材を準備してあげる必要があります。
園芸資材は、トレリスや支柱等がおすすめです。ツルを這わせる資材を準備しておけば、自らの力で茎を固定して成長するため誘引は不要です。
夏越しする方法
イエライシャン(夜来香)は夏の暑さに強いため、基本的には夏越し対策不要です。ただし水切れを起こす事もあるため、土壌が完全に乾燥する前にしっかり水やりを行い株が弱らない様に管理しましょう。
冬越しする方法
Hardiness:10b~11a
イエライシャン(夜来香)は基本的に霜の降りる地域では、対策を行わないと屋外での越冬はむずかしいです。そのため必要に応じて冬越し対策を行いましょう。
冬越し対策
- 鉢植えで育てている場合は、日当りのよい室内もしくは温室に入れて管理しましょう。
- 地植えしている場合は、株を掘り起こし鉢植えにして屋内などで管理するか、不織布等をかけて寒さや霜から株を守ります。
挿し木や株分けで増やす
イエライシャン(夜来香)は挿し木によって増やす事ができます。
挿し木の方法
- イエライシャン(夜来香)の挿し木時期は初夏から夏が適します。
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットしましょう。
- 挿し穂 の長さ約10cmにわけます。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を残します。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。
- 切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
イエライシャン(夜来香)の種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
植物の病気
イエライシャン(夜来香)の病気
- うどんこ病
イエライシャン(夜来香)の害虫
- アブラムシ