ナンテン属の種は約1種のみがあり、園芸ではこの種の様々な品種が親しまれています。 また上記の他にも、このページでは育て方や購入する際のリンクも用意しています。よければ、そちらもご活用ください。
■目次
■ナンテン属の主な種と園芸品種の紹介
ナンテンの特徴



ナンテンとは!
ナンテン(学名: Nandina domestica)は、別名で「ナンテンショク」「ナンテンチク」「ヘブンリーバンブー(heavenly bamboo)」「セイクリッドバンブー(sacred bamboo)」とも呼ばれメギ科ナンテン属に分類される種です。
ナンテンの原産地は日本や中国で、自生地は森林や林縁などに見られます。
ナンテンの特徴
- 形態:樹高は約100~300cm、生育型は叢生型で地際から垂直に伸びる幹(主枝)が多数伸びます。葉は2~3回羽状複葉、花は円錐花序につきます。
- ライフサイクル:春は生育旺盛で新梢や枝が勢いよく伸び早ければ晩春頃から開花が始まります。夏も成長が続き開花が最盛期を迎えます。秋は生育が緩やかになり晩秋頃から果実が見られます。冬は葉を残したまま生育が止まり果実も樹上に多く残ります。
- 花の魅力:本種は白花が円錐状についてボリューム感のある花姿をつくります。そのため、鑑賞価値は高く、お庭に明るさや清潔感を感じさせる色彩効果を生み出すことができます。
- 実の魅力:本種の実は多くの植物が休眠する冬の時期に実が赤く熟し、この実は色鮮やかな赤色で円錐状にたわわに実ります。そのため、冬の寂しい時期のお庭を華やかに彩り、またこの実が野鳥の餌となり、お庭に活気を生み出します。
- 葉の魅力:葉は2~3回羽状複葉で、小葉も細長いため、鳥の羽根やレースの編み物を思わせる繊細な形状をしています。そのため、洗練された見た目をしており、エレガントなお庭にも調和します。またこの葉の色は、一般的に緑色ですが、秋になると赤色・橙色に紅葉します。さらに、園芸品種の中には桃色・黄色・紫色・白色も見られるため、品種を選べばカラーリーフが楽しめる点も本種の魅力です。
- フラワーアレンジメント:花や実は収穫して花瓶に生けて切り花として楽しんだり、ドライフラワーやプリザーブドフラワーに加工し、アレンジメントの素材として活用できます。特に、本種の実は、お正月飾りなどによく利用されており、それ以外にもリースやスワッグ等、様々な用途で利用可能です。
- 生垣:本種は生育型が叢生型(株立ち)で、多数の幹(主枝)が直立に伸び、また3回羽状複葉の葉が水平に伸び密生することで、目隠しのような機能性を発揮します。そのため、株を等間隔に並べて、生垣として利用することが可能です。生垣として利用する場合は、品種により変わりますが、株同士の間隔は50cm程にして植栽します。
- シェードガーデン:本種は耐陰性があるため、午前中だけ日光に当たる場所から、日光が当たらず間接光しか入らないような明るい日陰までで栽培が可能です。
- 盆栽:本種は底の浅い盆栽鉢などに植えられ、鉢の中で小さく美しい自然な樹姿が表現されたりします。盆栽仕立てでも、本種の清楚な花、たわわに実る実、美しい紅葉はしっかりと楽しめます。
- 縁起物:和名である「ナンテン」は「難(災難)を転じる」からきています。そのため、縁起物の植物として扱われており、例えば、鬼門や裏鬼門の縁起が悪い場所に植えられたり、正月の縁起物として葉や実が正月飾りに利用されたりしており、さらに福寿草と組み合わせて「災い転じて福となす」といった扱われ方もしています。
ナンテンの園芸品種の紹介
●オタフクナンテン

学名:Nandina domestica cv.
開花時期:5月~7月
花の色:白色
葉の色:緑色・赤色
樹高:約30~50cm
備考:江戸時代に作出された矮性品種です。そのため、スモールガーデンや鉢植えで栽培がしやすい品種です。秋から冬に見られる真っ赤に染まる紅葉が美しいです。ただし、花は咲きにくい傾向があり、実を付けません。ナンテンは「難を転じる」縁起物ですが、さらにここに「お多福」が加わる事で、より縁起の良い植物として扱われています。
●トワイライト
学名:Nandina domestica ‘twilight’
開花時期:5月~7月
花の色:白色
葉の色:緑色・白色・桃色・赤色
樹高:約30~50cm
備考:葉は若葉を中心に白色の散斑が入り、また新芽から若葉は全体が桃色に染まります。そのため、柔らかで可愛らしい雰囲気を呈す、カラーリーフとして楽しめます。また紅葉期になると葉の色は赤色に染まります。矮性品種のため、スモールガーデンや鉢植えで栽培がしやすい品種です。
●オブセス
学名:Nandina domestica ‘Obsess’
開花時期:5月~7月
花の色:白色
葉の色:緑色・赤色
樹高:約100~150cm
備考:春から夏に現れる若葉が鮮やかな赤色を呈し、派手で華やかな印象を与えるカラーリーフとして楽しめる品種です。
●フルート
学名:Nandina domestica ‘flute’
開花時期:5月~7月
花の色:白色
葉の色:緑色・紫色・赤色
樹高:約30~50cm
備考:3回羽状複葉の葉が水平に大きく広がり、また矮性品種のため、地被植物のように利用することができます。春から夏に現れる若葉が紫色を呈し、上品な印象を与えるカラーリーフとして楽しめます。また紅葉期になると葉の色は赤色に染まります。
●レモンライム
学名:Nandina domestica ‘Lemon lime’
開花時期:5月~7月
花の色:白色
葉の色:緑色・黄緑色(黄色)
樹高:約50~100cm
備考:春から夏に現れる若葉が黄緑色(黄色)を呈し、爽やかでフレッシュな印象を与えるカラーリーフとして楽しめます。また紅葉期になると葉の色は赤色に染まります。
