ケマンソウは属の中に約1種がありますが、一般に園芸では、ハート形の可愛らしい小花をイヤリングの様に垂らし連なる様に花を咲かせるケマンソウとその園芸品種が親しまれます。
ケマンソウ属の種ごとの育て方は写真か育て方をクリックすると出てくる為よかったらそちらをご覧下さい!
このページでは主な種の種類と特徴、園芸品種の種類と特徴を紹介しています。
ケマンソウの主な種の目次
①ケマンソウ 開花時期:4月~6月 |
ケマンソウの特徴や園芸品種
原産:東アジア/シベリア
学名:Lamprocapnos spectabilis(syn.Dicentra spectabilis)
草丈:約60~90cm
分類:多年草
開花時期:4月~6月
花色:赤色●桃色●白色〇
葉色:緑色●黄色●
耐暑性:普通
耐寒性:強い
誕生花:4月12日/5月20日/6月26日
花言葉:恋心/失恋/従順/冷め始めた恋/あなたに従います
用途:カラーリーフ/切り花/日陰植物
ケマンソウとは!?
ケマンソウは学名Lamprocapnos spectabilis(syn.Dicentra spectabilis)、 別名「タイツリソウ」や「ブリーディング ハート(bleeding heart)」とも呼ばれる東アジア及びシベリアを原産とする多年草です。
ケマンソウの語源(由来)
- 属名のLamprocapnosの由来は不明です。
- 種小名のスペクタビリス(spectabilis)はラテン語で「見事な/壮観の/素晴らしい」を意味しており、花姿が美しい事に由来しています。
- 和名ケマンソウの由来は仏具の華鬘(ケマン)から来ていると言われています。
- 別名タイツリソウは花姿が釣竿に吊り下がる鯛を思わせる所からきています。
ケマンソウの特徴(魅力)
- ケマンソウの花は「ハート」を中心に「華鬘」や「リラ(楽器)」等と様々なものに例えられています。
- 個人的には下に突き出る花弁と成熟すると開く袋状の花弁から「くす玉」を連想させます。
- ハートの形をした花は幾つもイヤリングの様に吊り下がりロマンチックな雰囲気をつくります。
- 茎は垂直に伸び花序は水平もしくは弧状に優雅にしなります。
- 葉は縁部分が深くカットされた装飾的な形をしており幾つかの品種では黄色の葉色もありカラーリーフとしても楽しめます。
- 種にはエライオソームと呼ばれる蟻が好む粒子が付いています。
- そのため蟻によって種が運ばれ予想外の場所から芽を出すかもしれません。
- 耐陰性が高くシェードガーデン等で重宝されます。
ケマンソウは地面下に根茎をもちます。茎は直立ですが花序の重みで弓状にしなるように曲がり高さ約60~90cm(稀に120cmに達する事もある)の間で成長します。葉は緑色もしくは黄色、葉身は2回3出複葉に縁部分が浅裂~深裂する小葉をつけます。花は一定間隔で7~15個の小花が吊り下がり総状花序をつくり、個々の花はハート形をしていて花弁が4個あり、外側の2個は袋状で成熟すると左右に割れ、内側の2個は下に突き出ます。
開花時期は春から初夏、花色は赤色や桃色、白色があり、個々の花は花弁が4個あり外側の2個は袋状で成熟すると左右に割れ内側の2個は下に突き出ます、花序は総状花序に花を咲かせます。草姿は直立もしくは弧状に曲がり高さ約60(90)cm × 幅は約30(60)cmまで成長します。葉色は緑色もしくは黄色、葉身は2回三出羽状複葉して、葉序は対生葉序につきます。
ケマンソウの切り花の楽しみ方
- ケマンソウの収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 葉は水揚げを悪くして蒸散により乾きやすくなるため出来るだけ取り除きます。
- 水揚げは水に漬けて水切りもしくは燃焼を行いましょう。
- 切口から出る白色の液はアルカロイドを含み触ると人によっては炎症を引き起こす可能性があるため触らないようにしましょう。
- 水を入れた花瓶に花を生け出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)で楽しみましょう。
- 管理は数日(約1~3日)ごとに水切りと水換えを行い、水揚げが悪いと感じる場合は必要に応じて燃焼をしましょう。
- 管理場所や管理の方法でも左右されますが日持ちは5~7日程度です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
燃焼法
燃焼法とは、切り花の切り口の先端を火で炙り炭化させた後に、冷水に漬けて、吸水を改善する水揚げ方法です。※水切りなどをしても、水揚げが上手くいかない場合等に行われます。
燃焼は、導管内にある空気を熱で膨張させて外に押し出す効果があり、また熱のショックで一気に吸水する効果があります。また火で熱するため、切り口部分の雑菌が死滅して、微生物の影響が抑えられます。
燃焼は湯揚げと原理が似ていますが、燃焼な向いているのは、茎が硬く水揚げが悪い花材等に向きます。水分を多く含んでいて柔らかい茎の花材には向きません。
燃焼の方法
- 切り花の花や葉が熱気で弱らないように、濡れた新聞紙で切り花を覆います。ただし、切り口の部分は火につけるため、茎の下部は濡れた新聞紙から出しておきましょう。
- 切り口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
- 切り口の先端(約1~3cm)を火で炙り、炭化するまで待ちます。
- 切り口が炭化したら、火から離して、冷水の中に2時間程度浸けて水揚げします。
- 水揚げが終わったら必要に応じて水切りを行い花瓶に生けて楽しみます。
ケマンソウの毒性(既知の危険性)
ケマンソウは全草に毒性のあるアルカロイドを含み、人間や家畜(犬や猫等)に対して有毒です。主な症状としては樹液が皮膚に接触すると1部の人に炎症を引き起こす可能性があります。また摂取した場合は嘔吐・下痢・痙攣・心臓麻痺などを引き起こす可能性があるため食べられません。
ケマンソウの栽培方法
園芸では、ケマンソウの可愛らしい花を鑑賞する目的であったり、幾つかの品種で見られる黄色の美しい葉をカラーリーフとして楽しむ目的で育てられます。ケマンソウを植える際は比較的に背が高くなるため、花壇の中央付近に植えて高さと立体感を出したり、また鉢植えの中でコンパクトに育てて玄関先に飾ったりするといいでしょう。耐陰性があるためシェードガーデン等にもおすすめです。
ケマンソウを育てる際に注意する事は「夏の暑さ」「乾燥」「多湿」の3つです。基本的に夏の暑さや乾燥等に弱いため日向を避けた場所で管理したり、水やりをしっかりする等の対策が必要になるでしょう。また多湿によって根が腐敗して枯れる事もあるため、長雨に当たる事を避けたり土壌の排水性を高める等の対策も必要です。
ケマンソウの主な園芸品種
タイツリソウ(バレンタイン)はハート形に膨らむ赤色の花弁と下垂する白色の花弁の対比が美しい園芸品種です。高さ幅はともに60cmまで成長して、弧状に枝垂れる枝に連々と並ぶように咲く紅白の花はカラフルでポップな雰囲気のお庭によく似合うでしょう。
タイツリソウ(ゴールドハート)は爽やかで明るい黄色の葉と、ハート形に膨らむ赤色の花弁と下垂する白色の花弁の対比が美しい園芸品種です。高さは60cm幅は90cmと通常高さよりも横への広がりがよく、弧状に枝垂れる枝に連々と並ぶように咲く紅白の花と黄色のカラーリーフはカラフルでポップな雰囲気のお庭によく似合うでしょう。
タイツリソウ(アルバ)はハート形に膨らむ花弁と下垂する花弁が両方ともに白く清楚な雰囲気のある園芸品種です。高さ幅はともに60cmまで成長して、弧状に枝垂れる枝に連々と並ぶように咲く白色の花は明るく上品な雰囲気あるお庭によく似合うでしょう。
タイツリソウ(ホワイトゴールド)は爽やかで明るい黄色の葉と白色のハート形の清楚な花が輝くような明るいお庭によく合う園芸品種です。高さ約60cm × 幅は約90cmまで成長します。