キケマン(コリダリス)属は属の中に約470~586種があり北半球とアフリカに分布する多年草もしくは一・二年草です。一般に園芸では、品種が多く地下部に塊根をもつ多年草のコリダリス(ソリダ)、空色の様な美しい青色の花を咲かせるヒマラヤエンゴサク、日本在来種で一・二年草タイプのムラサキケマン等が親しまれます。
キケマン(コリダリス)は冬の寒さに強い一方で、夏の暑さに弱く多くは花が終わり夏に入ると枯れてしまうか、地上部が枯れて休眠します。
種毎の育て方は写真か育て方をクリックすると出てくるためそちらで確認して下さい。
このページでは種の種類と特徴、園芸品種の種類と特徴を記載しています。
①コリダリス(ソリダ) 開花時期:4月~6月 | ②ヒマラヤエンゴサク 開花時期:4月~6月 |
③ムラサキケマン 開花時期:4月~6月 |
原産:アジア/ヨーロッパ
学名:corydalis solida
草丈:約15~25cm
分類:多年草
開花時期:4月~6月
花色:赤色●桃色●紫色●白色〇
葉色:緑色●
耐暑性:普通
耐寒性:強い
特徴: コリダリス(ソリダ)は学名corydalis solida、 英名「fumewort」とも呼ばれるアジア及びヨーロッパを原産の多年草です。
コリダリス(ソリダ)は地面下に根茎ではなく塊茎(球状)があるタイプの多年草です。一般的に春に茎や葉を急速に成長させ晩春から花を咲かせて種を付けると急速に株は衰えはじめ夏に入ると地上部は枯れ休眠状態に長く入ります。花は斜め下を向くように後ろ側に距が付き出た個性的な花を最大20個、穂状に連ね円錐状の花姿で咲き、また花後の種にはエライオソームと呼ばれる蟻が好む粒子が付いているため、しばしば蟻によって種が運ばれ予想外の場所から芽を出す事もあります。
園芸では美しい花やレース状の装飾的な葉を鑑賞する目的で育てられ、主に地面を被覆するグランドカバーとして主に利用されますが、花後は地上部は枯れ地下の塊茎で長く過ごすため留意が必要です。園芸品種には、真っ赤な花がポップで明るい雰囲気を作る「ジョージ ベイカー」や、濃い桃色の花がガーリーポップな雰囲気を出す「ベス エバンス」等があり、それぞれお庭の雰囲気に合わせて品種を選ぶと良いでしょう。
開花時期は春から初夏、花色は赤色や桃色、紫色や白色があり、個々の花は外側に2個と内側に2個の全部で4個の花弁があり外側の花弁には後ろ側に突き出る距があります、花序は総状花序です。草姿は直立して高さ約15(25)cm × 幅は約15(25)cmまで成長します。葉色は緑色、1~2回三出複葉して葉序は互生葉序につきます。
コリダリス(ソリダ)は自家採種した種を撒く事でも増やすか分球する事で増やせます。育てる際は冬の寒さに強い一方で、夏の高温をやや苦手にしているため注意が必要です。
コリダリス(ベス エバンス)は強く目を引く濃い桃色の花が魅力の園芸品種で、個々の花は斜め下を向くように咲き最大20個穂状に付きます。高さ約25cm × 幅は約25cmまで成長します。 | コリダリス(ジョージ ベイカー)は明るくエネルギッシュな赤色の花が魅力の園芸品種で、個々の花は斜め下を向くように咲き最大20個穂状に付きます。高さ約25cm × 幅は約25cmまで成長します。
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原産:中国
学名:corydalis flexuosa
草丈:約30~45cm
分類:多年草
開花時期:4月~6月
花色:青色●
葉色:緑色●
耐暑性:普通
耐寒性:強い
特徴:ヒマラヤエンゴサクは学名corydalis flexuosa、 別名「コリダリス・フレクスオーサ」とも呼ばれる中国原産の多年草で、山林や山岳地帯の主に日陰に自生しています。種小名の「flexuosa」はラテン語で「ジグザグ/曲がる」という意味があり、よく枝分かれする草姿におそらく由来します。
ヒマラヤエンゴサクは地下に塊茎のない根茎タイプの多年草です。一般的に春に花を咲かせ種を付けると急速に株は衰え夏に地上部は枯れ休眠状態に入ります。無事な夏越しすると秋に芽をだし冬はロゼット状の草姿で越冬します。
ヒマラヤエンゴサクの最大の特徴は空の色を連想させる様な美しい花色とよく枝分かれする草姿にあります。花は斜め下を向くように咲き、後ろ側に距が付き出る個性的な花の形をしています。葉は深く裂けレース状の編み物の様な装飾的な葉姿をしており、根茎で広がりながら地面を覆うようにふんわりした草姿を作ります。
開花時期は春から初夏、花色は青色、個々の花は外側に2個と内側に2個の全部で4個の花弁があり外側の花弁には後ろ側に突き出る距があります、花序は総状花序です。草姿は直立して高さ約30(45)cm × 幅は約30(60)cmまで成長します。葉色は緑色、2~3回三出複葉して葉序は互生葉序もしくは根出葉につきます。
ヒマラヤエンゴサクは自家採種した種を撒く事で増やすか、株分けする事で増やせます。育てる際は冬の寒さに強い一方で、夏の高温をやや苦手にしているため注意が必要です。
ヒマラヤエンゴサク | ヒマラヤエンゴサク(チャイナブルー)はエレガントでレースの様な葉と、小魚が群れたような濃い青色の花が魅力的な園芸品種です。高さ約30cm × 幅は約20cmまで成長します。 |
原産:日本/東アジア
学名:corydalis incisa
草丈:約20~50cm
分類:多年草
開花時期:
花色:桃色●紫色●白色〇
葉色:緑色●
耐暑性:-
耐寒性:強い
誕生花:「喜び」「あなたの助けになる」
花言葉:3月4日
特徴:ムラサキケマンは学名corydalis incisa、 別名「ヤブケマン」や「コリダリス・インチサ」とも呼ばれ日本及び東アジアを原産とする一・二年草で、日本では全国各地に分布して野原や林縁等に自生しています。和名「ムラサキケマン」の由来は花色が紫色で下向きに咲く花姿が仏具の華鬘(ケマン)を連想させる所から来ていると言われており、また種小名はラテン語で「鋭く裂けた」という意味があり、深く裂ける葉の形に由来しています。
ムラサキケマンは地下に塊茎(多年草)のない根茎タイプの一・二年草です。一般的に種からの発芽が春以降のものはゆっくりと成長していき冬をロゼット状の草姿で過ごして春に茎を最大50cmまで伸ばして紫色の花を咲かせ、その後、種を付けたら株は急速に弱り枯れていきます。
ムラサキケマンの花は斜め下を向くように咲き、後ろ側に距が付き出る個性的な花の形をしており、小花が穂状に集まるボリューミーな花姿を作ります。また花後に出来る種は熟すとサヤが勢いよく弾け種を遠くまで飛ばし、また種にはエライオソームと呼ばれる蟻が好む粒子が付いているため、しばしば蟻によって種が運ばれ予想外の場所から芽を出す事もあります。
ムラサキキケマンはアルカロイド(プロトピン)を含み全草が有毒で摂取すると嘔吐や心臓麻痺、呼吸麻痺等を引き起こす可能性があります。茎葉は揉むと悪臭がするため食べる事はないと思いますが、子供や犬猫のいる家庭等では間違って食べないように注意する必要があるでしょう。
開花時期は春から初夏、花色は桃色や紫色、白色があり、個々の花は外側に2個と内側に2個の全部で4個の花弁があり外側の花弁には後ろ側に突き出る距があります、花序は総状花序です。草姿は直立して高さ約20(50)cm × 幅は約20(30)cmまで成長します。葉色は緑色、2~3回三出複葉して葉序は互生葉序もしくは根出葉につきます。
ムラサキケマンは一般的に自家採種した種を撒く事で増やします。
ムラサキケマン |