原産:中国
科:モクセイ(Oleaceae)
属:ハシドイ(Syringa)
種:ヒメライラック/ミクロフィラ(pubescens subsp. microphylla)
別名:シリンガ・ミクロフィラ/チャボハシドイ/リトルリーフ ライラック(littleleaf lilac)
開花時期:4月~6月
花の色:赤色●桃色●白色〇
葉色:緑色●
香り:花
分類:落葉低木
草丈:約150~210cm
用途:カラーリーフ/背が高い花/香りが良い
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ヒメライラックとは!?
ヒメライラックは学名Syringa pubescens subsp. microphylla、別名「シリンガ・ミクロフィラ」や「リトルリーフ ライラック(littleleaf lilac)」とも呼ばれる中国原産の落葉低木です。
ヒメライラックの語源(由来)
- 属名のSyringaは古代ギリシャ語で「パイプ」や「チューブ」を意味する「syrinx」からきており、中空の枝に由来しています。
- 種小名のミクロフィラ(microphylla)はラテン語で「小さな葉の」を意味しており、小さな葉が由来です。
ヒメライラックの特徴(魅力)
- ヒメライラックは一般的なライラックと比べて、高さが200cm程度と背が低くコンパクトなため育てやすい所が魅力です。
- 花はライラックと比べると長さが約10cm程度と小ぶりですが、ボリューミーな花穂が楽しめます。
- 花にはライラック同様に甘い香りがあります。
- 葉は一般的なライラックと比べ小さいです。
- 葉の形はぽっちゃしたハートの様な形をしています。
- 落葉性のため冬になると葉が落ちます。
- ヒメライラックは冬の寒さに強く夏の暑さがやや苦手です。
開花時期は春から初夏、花色は桃色や赤色、白色があり、個々の花は筒状で花先が4裂して、花序は円錐状に花が集まり長さ約10cmの円錐花序に咲きます。樹形は高さは約150(210)cm × 幅は約150(300)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は卵形もしくは三角形か心形、葉序は対生葉序もしくは稀に輪生葉序につきます。
ヒメライラックの栽培方法
ヒメライラックは大きくボリュームある花を鑑賞する目的で花木として育てられたり、底の浅い鉢で根域を制限して盆栽として育てられたりします。庭木として育てる場合は高さ幅ともに大きく成長するため十分スペースをとって植えてあげる必要があるでしょう。園芸品種には、蕾の時はルビーの様な赤色で花が開くと薄桃色の可愛らしい花を咲かせる「レッド ピクシー(Red Pixie)」や濃い桃色と薄桃色の2色の花色がロマンチックな雰囲気をつくる「スペルバ」等があり、それぞれお庭の雰囲気に合わせて品種を選ぶと良いでしょう。
ヒメライラックを育てる際に注意する事は「極端な暑さ」です。ライラックは基本的には丈夫な植物ですが、暑さの厳しい地域では枯れ込んだり、花芽が上手くつかない等の生育不良を引き起こす可能性があります。そのため、地域によっては日向よりも午後から日陰になる涼しい環境に植えてあげた方が良いこともあるでしょう。
ライラックの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ライラックの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
ヒメライラックの育て方
花壇の土づくり
日当たり
ヒメライラックは直射日光が6時間以上当たる日向で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。ただし暑さの厳しい地域では、環境ストレスで枯れることもあるため西日の当たらない半日影で育てる方がよいかもしれません。
ヒメライラックがしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。苗(根鉢)の1.5~3倍の深さまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
ヒメライラックは通気性と保水性のバランスがよく肥沃な壌土を好みます。基本的には幅広い土壌で育てる事が出来ますが、粘土質な土壌は生育不良を引き起こす可能性があるため避けた方がよいでしょう。植え付け前にしっかり土壌診断を行い、通気性と保水性のバランスがよく肥沃な壌土に改善してから植え付けを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
生育初期
ヒメライラックは、活着するまでの生育初期は土が乾燥しないように水やりをしっかり行いましょう。活着後は乾燥に強くなります。
地植え
ヒメライラックは乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。ただし土の中に指を入れて湿り気がない場合、葉や茎が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
ヒメライラックを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。ただし水やりを行い過ぎてジメジメとした環境が続くと根腐れしてしまうため、土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
水やりの仕方
生育初期
ヒメライラックは、活着するまでの生育初期は土が乾燥しないように水やりをしっかり行いましょう。活着後は乾燥に強くなります。
地植え
ヒメライラックは乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。ただし土の中に指を入れて湿り気がない場合、葉や茎が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
ヒメライラックを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。ただし水やりを行い過ぎてジメジメとした環境が続くと根腐れしてしまうため、土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
ヒメライラックはある程度、有機物を含んだ肥沃な土壌であれば多くの肥料を必要としません。肥料の与えすぎは、葉が大きくなりすぎたり、花が少なくなったり、花が目立たなくなったりして、鑑賞価値が損なわれる可能性があります。そのため肥料の与え方には注意が必要です。
肥料は必要に応じて毎年晩冬から早春に1回のみ、寒肥と土質を改善する堆肥を与えましょう。
元肥(寒肥)
寒肥は元肥と同様に肥効が長い物を選びましょう。具体的には配合肥料や緩効性肥料を選びます。また肥料の成分も元肥と同様に水平型肥料(窒素・リン・カリがバランスよく入る)を選びます。
寒肥の施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か数cmの穴を掘り、その中に肥料を施すか、もしくは土の上に置き肥しましょう。
堆肥
堆肥は有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。自然な循環のない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
堆肥の与え方
堆肥は寒肥を与える時期(初冬から晩冬の間)に一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って埋めましょう。
剪定のやり方
ヒメライラックは一般的なライラックと違い定期的な剪定は殆ど必要としません。必要に応じて枯れた茎や損傷した茎(折れた茎等)を根元から剪定して取り除き、開花期間中は花がら摘みをおこないます。花がら摘みは枝分かれした部分もしくは葉の下から行いましょう。
夏越しする方法
ヒメライラックは夏の暑さを苦手にしており暖地等では、枯れ込んだり、花芽が上手くつかない等の生育不良を起こす事があります。
夏の暑さの厳しい地域では、午前中のみ日が当たり午後からは日陰になる涼しい半日影で育てた方がよいでしょう。
冬越しする方法
Hardiness:4b~8a
ヒメライラックは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にありません。
春からの成長に備えて株の周囲に穴を掘り寒肥(配合肥料)を入れたり、腐葉土を入れるかマルチングして上げましょう。
挿し木や株分けで増やす
ヒメライラックは挿し木や接ぎ木、取り木によって増やす事ができます。
挿し木
ヒメライラックは挿し木から発根しにくく乾燥しやすいため、取り木などで増やされるのが一般的ですが、挿し木で増やす事も可能です。
挿し木時期は五月から六月です。新しく成長した健康な茎を選び切りとり、10~15cm前後で茎を切り分けましょう。上部にある葉を2枚程残し下部の葉は取り除きます。切り口に発根ホルモンを付け湿らせた培地に挿して下さい。
取り木(高取り法)
取り木(高取り法)とは茎が曲げにくい植物で行われる取り木の技法です。茎の1部に切れ込みを入れて剥がし湿った水苔等でくるんで発根させます。
- 取り木(圧条法)を行う時期は春が適します。
- 茎に切れ込みを入れて発根させる場所を選びます。
- 葉や茎の成長が良好で健康的な部分が良いでしょう。
- 太さは鉛筆程度のものがオススメです。
- 茎に切れ込みを入れます。
- 切れ込みを入れる場所は葉の下です。
- ナイフを使い、茎に対して斜め上に向かい1/3の深さまで切れ込みを入れます。
- 切れ込みの少し下から再度切れ込みを入れて「▷」の様な形をつくり、茎の肉質を少し取り除きましょう。
- 切り口が出来たら、その部分に湿らせた水苔を詰めます。
- 茎の周りも湿らせた水苔で包みましょう。
- 乾燥対策のために、水苔の上からラップもしくはビニールを被せて、上下で紐で縛ります。
- 外から根が確認出来るようになるまで待ちます。
- 発根が確認出来たら、発根した部分の下から切り取って、新しい用土に定植しましょう。
播種で増やす
ヒメライラックの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
植物の病気
ヒメライラックの病気
- うどんこ病
- 灰色カビ病
- 輪紋病
ヒメライラックの害虫
- アブラムシ
- カイガラムシ
- オリーブアナアキゾウムシ
- アオムシ