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原産:地中海沿岸 科:シソ(Lamiaceae) 属:ラヴァンドラ(Lavandula) 種:アングスティフォリア(angustifolia) 英名:ラベンダー(lavender) 別名:イングリッシュ・ラベンダー(English lavender)/コモン・ラベンダー(common lavender)/ラベンダー・アングスティフォリア/トゥルー・ラベンダー(true lavender)/ガーデン・ラベンダー(garden lavender) 品種:スイート・ロマンス(sweet romance) 花の色:紫色●青色● 葉色:緑色● 分類:常緑低木 草丈:約50cm 開花時期:5月~6月 誕生花:6月19日/7月2日 花言葉:「沈黙」「誘惑」「あなたを待っています」 | ||
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ラベンダー(スイート・ロマンス)は春化が基本的に必要がないため初年度から開花する能力があり、また一般的な種よりも早くから開花し初め、ふっくらした小降りで可憐な濃い青色(紫色)の花穂を咲かせる魅力的な園芸品種です。
開花時期は晩春から初夏、花色は青色もしくは紫色、個々の花は唇形で上唇は2裂して下唇は3裂する、花序は小花が穂状に集まり輪散花序もしくは穂状花序に花を咲かせます。樹形は基部付近でよく分枝して枝は直立しドーム状になり高さ約50cm × 幅は50cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は線形で全円、葉序は対生葉序もしくは輪生葉序につきます。
ラベンダーは学名Lavandula angustifolia、一般的にラベンダーと呼ぶ場合は属全体をさすかアングスティフォリア種(Lavandula angustifolia)の事をさしていて、別名「イングリッシュ・ラベンダー(English lavender)」や「ラベンダー・アングスティフォリア」とも呼ばれる地中海沿岸を原産とする常緑低木です。
ラベンダーの語源(由来)
- 属名のラヴァンドラ(Lavandula)は洗っているを意味するラテン語の「lavo」もしくは洗浄を意味する「lavare」からきており、古代ローマ人が入浴時の香水として利用したり洗濯等に利用したりした事に由来しています。
- 種小名のアングスティフォリア種(angustifolia)は「狭い」を意味するラテン語の「angusti」と「葉」を意味する「folia」からきており、ラベンダーの「幅の狭い葉」に由来しています。
ラベンダー(L. angustifolia)の特徴(魅力)
- ラベンダーの花には柑橘類やバラ等を連想させる様な華やかで甘い香りがあります
- ↳香りの効果には「鎮静作用」「抗不安作用」等があるためリラックスしたい時に嗅ぐのがオススメです
- 開花期にはムスカリや葡萄を連想させる丸いフォルムの可愛らしい花姿を鑑賞できます
- 葉は緑色ですが白色の腺毛が薄ら生えているため灰緑色の外観をつくります
- ↳葉・茎・萼の腺毛には香りの元になる精油が溜まっているため
- ↳潰したり傷つけると心地よい香りが広がります
- ラベンダーの香り良い花は様々な用途で利用されます
- ↳例えばドライフラワー・料理用ハーブ・アロマテラピー・ハーバルバス・ラベンダー石鹸等
- 乾燥や肥料を殆ど必要とせず環境が合えば放ったらかしで育ちます
- ↳ただし長雨や高温多湿には極端に弱いです
ラベンダーの茎は若い時は緑色で白色の腺毛があり灰緑色の外観をしていますが、成熟すると木質化して樹皮は褐色から灰褐色になります。樹形は基部でよく分枝して直立に伸び高さ約30~90cmの間で成長します。高さは品種により幅があるため「矮性(40cm以下)」「半矮性(50~60cm)」「高性(90cm前後)」の3パターンに分けられる事もあります。葉は緑色ですが白色の腺毛があるため灰緑色の外観をつくり、また腺毛で精油が生成されているため潰すと香りがします。葉の形は長さ約2(~6)cm幅約0.4(~0.6)cmの線形で、茎に対生葉序もしくは輪生葉序に配置されます。花は節を囲うように腋生に小花が数個ずつつき輪生花序に咲き、個々の花は苞に支えられた円筒状の萼から唇形(上唇2裂・下唇3裂)をしています。
ラベンダー(L. angustifolia)の香りの印象と精油成分
ラベンダー(L. angustifolia)の花(葉)には、「柑橘類」や「フローラル(花)」を想像させる華やかで甘い香りがあり、花の香りを特徴づける精油は季節や育てられる環境等によって含有率が変わりますが主に「シネオール」や「リナロール」や「酢酸リナリル」等が含まれています。
ラベンダー(L. angustifolia)の香りは他の種と比較して、ウッディ(木)の香りや薬品の様な香りが少なく、華やかで甘くフルーティな香りがするため、最も魅力的な香りをもつラベンダーと考えられています。またリナロールや酢酸リナリルの香りの作用により鎮静作用や抗不安作用等があるため、香りを嗅ぐ事でイライラや興奮を抑えたり、不安や緊張から解放されリラックスする等の効果が期待できます。そのため、アロマテラピーでも人気の高い香りの1つです。
- シネオールは「ユーカリ」「樟脳」「薬」「ミント」等に例えられるスッキリと爽やかな香りがあり、風味(フレーバー)はミントの様なスっとした味があります。一般に植物ではユーカリやローズマリー、月桂樹等に含まれており、精油は食品の香料や化粧品等に利用されています。シネオールの精油の効果には、香りが集中力を高め記憶力を上げる効果があります。また落ち込んだ時には気分を高揚させる働きがあるため、アロマテラピー等にもよく利用されます。
- リナロールは「フローラル」「柑橘系(オレンジ)」「ブルーベリー」「ローズ」等に例えられる華やかな香りがあり、風味(フレーバー)は甘くフルーティーです。一般に植物ではイングリッシュラベンダーやスズラン等に豊富に含まれており、精油は化粧品やアロマテラピー等の様々な場面にも使われています。リナロールの香りの効果にはイライラや興奮といった神経系の過活動を抑える働き(鎮静効果)や、不安や緊張を和らげる効果(抗不安効果)があるため、落ち着きたい時や集中したい時などに嗅ぐとよいでしょう。
- 酢酸リナリルの香りは「ラベンダー」「ベルガモット」「木の香り」等に例えられるスイートな香りがあり、風味(フレーバー)は柑橘系の甘みを感じさせます。一般に植物ではクラリセージやベルガモット、ラベンダー等に含まれており、精油はアロマセラピー等に利用されています。酢酸リナリルの香りの効果には、痛みを抑える鎮痛作用や、イライラや興奮といった神経系の過活動を抑える働き鎮静作用がある事からアロマセラピー等に利用されます。
- 樟脳は「クスノキ」「防虫剤(衣服)」等に例えられるスッキリと爽やかな香りがあり、風味(フレーバー)はミントの様なスっとした冷感のある味があります。一般に植物ではクスノキやローズマリー等に含まれており、精油は医薬品や防虫剤等に幅広く利用されています。樟脳の精油の効果には「抗菌作用(防腐効果)」「抗ウィルス作用」「防虫作用」等があります。
- オシメンは「マンゴー」「柑橘類」「ウッディ(木の香り)」等に例えられるトロピカルな香りがあります。一般に植物ではスイートピー等に豊富に含まれており、精油は香水等にふくまれています。
ラベンダーの用途(使い方)
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ラベンダー(L. angustifolia)は他のラベンダーと比べて、香りが華やかで良いため様々な用途で利用されます。特に料理では殆どラベンダー(L. angustifolia)のみが利用されていて、他のラベンダー(フレンチラベンダー等)が使用される事は基本的にありません。 ただしラベンダー(ラバンディン)と比べると、ラベンダー(L. angustifolia)は花数が少ない傾向にあるため、使用できる量は限られてくるかもしれません。
ラベンダー・ティー
ラベンダーのハーブティーは、その香りから鎮静作用・抗不安作用がありリラックス効果をうみます。またいくつかの研究では、寝る前にラベンダーのハーブティーを飲む事でよりよい睡眠に繋がる事が示唆されています。
- ヤカン(or電気ポット)・急須・カップ・新鮮な花(ドライフラワーの場合小さじ1杯分)・お湯を準備
- ヤカンや電気ポット等でお湯を沸かします
- 新鮮な花の蕾をティーバッグもしくはそのまま急須に小さじ4杯入れます
- 沸かしたお湯を急須の中に180~200ml入れて蓋をします
- ↳蓋をきちんと閉めておかないと香り(揮発性分)が抜けるため注意です
- 5分~10分蒸らしましょう
- ラベンダー・ティーをカップに注ぎます
- ↳お好みで蜂蜜やレモン等を加えてください
ラベンダーの栽培
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園芸では、香りの良い花をドライフラワーやポプリ等で楽しむ目的だったり、紫色の花と灰緑色の葉の上品な草姿を鑑賞する目的で育てられます。一般的には長雨等の多湿を苦手にしているため、管理しやすい鉢植え等で育てられる事が多いですが、花壇に並べて縁どり等で楽しむ事も出来ます。園芸品種には濃い青色の花と甘さを感じさせる強い香りが魅力的な「アロマティコブルー」や淡く優しい桃色の花がロマンチックな雰囲気をつくる「ミスキャサリン」等があり、それぞれお庭の雰囲気に合わせて品種を選ぶと良いでしょう。※その他の種や園芸品種は下のリンクから見れます。
ラベンダーを育てる際に1番注意する事は「長雨を避ける」事です。基本的には水やりも肥料も殆ど必要とせず、環境が合えば放ったらかしで育つ事もありますが、梅雨の長雨に当たったり夏の高温多湿のせいで枯れてしまう事が多いです。何故なら雨に当たる事で病気になったり根腐れを引き起こすからです。そのため、雨に当たらない対策が重要です。例えば雨が続く場合は鉢植えを軒下等に移動したり、雨が当たらない様な日当たりのよい場所に地植えしたり、また泥はねが葉に当たり病気になる事も多いためマルチングをしておくと良いでしょう。増やし方は一般的に挿し木によって行われますが、種でも増やす事が出来ます。
ラベンダーの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。