原産:南・西ヨーロッパ 科:シソ(Lamiaceae) 属:ミント/ハッカ(Mentha) 種:アップルミント/スアヴェオレンス(suaveolens) 英名:アップル・ミント(apple mint) 別名:マルバハッカ/パイナップル・ミント(pineapple mint)/ウーリー・ミント(woolly mint) 開花時期:6月~7月 花の色:白色〇桃色●紫色● 葉色:緑色●黄色●白色〇 分類:多年草 草丈:約30~100cm 誕生花:3月16日/7月21日 花言葉:「美徳」「温厚」「爽快感」「思いやり」 | ||
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
アップルミントは学名Mentha suaveolens、別名「マルバハッカ」や「パイナップル・ミント(pineapple mint)」等とも呼ばれる南・西ヨーロッパ原産の多年草です。属名のミント(mentha)の由来はギリシャ神話に出てくる「メンテー(mínthē)」からきており、冥王ハーデスとメンテーの浮気に嫉妬したペルセポネーが、嫉妬に狂い「お前等くだらない雑草に変わってしまえ」とメンテーを踏み付け雑草(ミント)に変えたという伝説に由来しています。また種小名のスアヴェオレンス(suaveolens)はラテン語で「甘い香りがする/芳香が良い」を意味しており、香りが良い茎葉に由来しています。
アップルミントの特徴(魅力)
- 根茎で旺盛に広がる(特に湿地)
- ↳しばしば植えてはイケナイと言われる所以
- ↳ただ引っ張れば簡単に取り除ける
- 最大100cmの高さまで茎を何本も伸ばして群生する
- 茎や葉には白色の毛が密生する事からしばしば霞んでいるように見える
- 葉は丸く他のミントと比べて小さめ
- ↳葉には深い皺がある
- 花は節を囲うように多数の小花が集まり密な花穂をつくる
- 精油成分にはカルボン(約30~50%)とリモネン(約20%)が含まれスパイシーな香りとフルーティな香りがある
- ↳他のミントと比べて落ち着いた香りで料理等によく利用されます
- ↳葉には胃腸の調子を整える等の薬効がある
- 環境が合えば放ったらかしでも育つ
アップルミントは地面下を根茎で広範に広がり、節から茎を垂直に伸ばして高さ約30~100cmまで成長します。葉は毛深く白色の長い毛が密生しており、葉の形は長さ約3(5)cm × 幅約2(4)cmと小さめで卵形もしくは円形をしており、葉先は丸く、また縁部分に細かい鋸葉があります。花は花先が深く4裂する筒状の小花が、節を囲うように沢山付き連続する密な花穂をつくります。
開花時期は晩夏と秋、花色は白色もしくは薄紫色か薄桃色、個々の花は花先が深く4裂して、花序は節に小花が多数集まり輪散花序に花が咲きます。草姿は直立で根茎により広範に広がり高さ約30(100)cm × 幅は約30(100)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は卵形もしくは円形で縁部分に鋸歯があり、葉序は対生葉序につきます。
アップルミントの香り
アップルミントの精油成分にはカルボン(30~50%)が最も多く含まれており、一般的なメントールを由来とするミントの香りではなく「スパイシーで甘い香り」をもっています。またその他にも精油成分にはリモネン(約20%)やシネオール等が含まれており、特にリモネンはオレンジの様な柑橘系の甘い香りがあり食品の香料等にも利用されています。
アップルミントの香りは一般的に葉を触ったり潰す事で強い香りがします。これは香りの成分を生成している白色の腺毛が茎や葉、花(萼)にあり、これらを触る事で腺毛が潰されて香り成分が流失しているからです。ちなみに葉や茎等が傷つけられる事で香りが出るのは、害虫等の外的から身を守り食べられない様にする為と考えられています。
アップルミントの防虫効果
アップルミントに多く含まれるカルボンは、蚊に対して殺虫効果があり、また蚊が忌避する作用があるとしてアメリカ合衆国環境保護庁でも承認されています。
アップルミントの楽しみ方
アップルミントの葉は、スパイシーな香りとフルーティな香りがあり、またクセが少ない(刺激的なメントールと比べて)ため、サラダや肉料理等に利用される事が多く、またハーブティーに利用されたり、ケーキなゼリー等の飾り付け香り付け等にも利用されています。
アップルミントの葉を料理で楽しむ場合は一般的に新鮮な葉をそのまま料理に入れて利用されます。例えばトマトやチーズ等が入ったサラダにアップルミントも一掴み入れたり、また出来上がったパスタの上に新鮮なスペアミントを一掴み入れる等です。
アップルミントをハーブティーとして楽しむ場合は「新鮮な葉」もしくは「乾燥させた葉」どちらも利用可能です。新鮮な葉を利用する場合はミントの葉を一掴み程度(10g)とワンカップのお湯を(180~200ml)をポットに入れて1~2分間蒸らします。蒸らす間はポット蓋をきちんと閉めておかないと香り(揮発性分)が抜けて美味しくなくなるので注意して下さい。蒸らし終わったらポットのハーブティーをカップに移します。その際、お好みで蜂蜜やレモン等を加えるのもいいでしょう。※乾燥させた葉を利用する場合は上記の手順で葉の量を1g程度にします。
アップルミントの栽培
園芸では、一般的に香りの良い葉を収穫する目的でハーブガーデン等で育てられます。植える場所は花壇や鉢植え等が一般的ですが、花壇に植えると縦横無尽に根茎が広がるため雑草化する可能性があります。手で抜くこと自体は簡単なためそこまで問題になりませんが、囲いを作り逸出しない様に育てたり、鉢植えの中で育てた方が無難です。
アップルミントを育てる際は、強い日差しに当たらない場所を選んだり、湿り気が保てる土壌を選べば、基本的にほったらかしでも育てられます。ただし放ったらかしにすると、どんどん根茎で広がっていくため駆除しにくい場所等に入り込まれたら面倒くさい事になるでしょう。増やし方は根茎で広がるため株分けが最も簡単です。また挿し木やこぼれ種でも増やす事が出来ます。