原産:地中海沿岸/南西アジア/中央アジア 科:セリ(Apiaceae) 属:イノンド(Anethum) 種:イノンド(graveolens) 英名:ディル(Dill) 開花時期:5月~7月 花の色:黄色● 葉色:緑色● 香る部位:実/葉 草丈:約60~150cm 草姿:直立 分類:一年草 誕生花:12月26日 花言葉:「知恵」 | ||
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
イノンド(ディル)は学名Anethum graveolens、 英名「ディル(Dill)」とも呼ばれる地中海沿岸及び南西アジア、中央アジアが原産の一年草です。属名のAnethumはギリシャ語で「イノンド/アニス」を意味する「anison」かりきており、また種小名のgraveolensはラテン語で「重い香り/強い香り」を意味しています。
イノンド(ディル)の最大の特徴(魅力)
- 葉や果実はハッカや柑橘系を連想させる様な心地よい香りがある
- ↳葉は爽やかな風味がありスープやサラダで食べられる
- ↳果実は葉より香りがよくハーブティーやお菓子等に練り込まれて食べられる
- 茎は高さ150cmまで成長することがある
- 葉は非常に細く裂け羽毛の様なふわふわした質感を感じさせる
- 花は小さな黄色の小花が茎頂部に集まり傘をさした様な花を咲かせます
- 種は扁平で
色合いがゴキ〇リに似る - 種から育てる事が出来るため大量植栽しやすい
- アゲハチョウ等の食草となる
イノンド(ディル)の茎は中空で分枝がよく高さ60~150cmの間で成長します。葉は非常に細く糸状で2~3回羽状複葉しており、茎に対して互生につきます。花は黄色で非常に小さく5個ある花弁は内側に強く巻き、茎の頂部に小花が集まり直径約10cmまでの半球状に花(複散形花序)を咲かせます。果実は扁平で淡褐色と褐色の2色、10月頃にできます。
開花時期は初夏から晩夏、花色は黄色、個々の小花は花弁が5枚の5数花、花序は茎の頂部に小花が集まり複散形花序に花を咲かせます。草姿は直立で分枝がよく高さは約60(150)cm × 幅は約30(90)cmまで成長します。葉色は緑色、小葉は糸状で2回~3回羽状複葉して、葉序は互生葉序もしくは根生葉につきます。
イノンド(ディル)の香りと効果
イノンド(ディル)の香りは、僅かに「スパイシー」で「柑橘系」の甘みを感じさせる爽やかな香りがあり、風味は甘く僅かに苦味がある所が特徴です。イノンド(ディル)の香りの由来となる精油には「フェランドレン」「リモネン」「p-シメン」「カルボン」等が含まれており、リモネンの精油の効果からは肥満の改善や血行促進作用、鎮静効果や抗不安効果等が期待されます。
フェランドレンの香りは「ペパーミント(メントール)」や「柑橘系(僅か)」に例えられる、心地よい香りをもっています。植物ではイノンド(ディル)等に精油が含まれます。
リモネンの香りは「柑橘系(オレンジ)」に例えられる人気の高い香り成分の一つです。植物ではディルやベルガモット等に豊富に含まれており、一般的には食品(ガム・飲料等)の香料や洗剤、医薬品等に利用されています。リモネンの精油には肥満の改善や血行促進作用、抗ウィルス作用や抗がん作用等があるとされており(十分な科学的根拠はまだありません)、食品や医薬品にも利用されています。またリナロールの香りの効果にはイライラや興奮といった神経系の過活動を抑える働き(鎮静効果)や、不安や緊張を和らげる効果(抗不安効果)があるため、精油がアロマテラピー等にも使われます。
p-シメンの香りは「木の香り」や「柑橘系(僅か)」に例えられる心地よい香りをもっています。植物ではタイムやクミン等に精油が含まれており、一般的には石鹸等の香料に利用されています。p-シメンの精油には抗菌作用(殺菌作用)があるとされています。
カルボンの香りは「スパイシー」や「甘い」に例えられる心地よい香りをもっています。植物ではスペアミントやキャラウェイ等に精油が含まれており、一般的には化粧品や殺虫剤等に利用されています。
イノンド(ディル)の利用方法
イノンド(ディル)は種や葉が食用として利用出来ます。イノンド(ディル)は食欲を刺激するスパイシーで柑橘系の爽やかな香りがあり、また風味にも甘味や苦味があり美味しいです。イノンド(ディル)の種を利用する場合は焼き菓子にの生地に混ぜこんで使われたり、ハーブティーとして飲用されたり、またカレー粉の原料にもなっています。イノンド(ディル)の葉は魚介類との相性がよい事で知られており、焼き魚やカルパッチョの上に乗せられたり、またスープの仕上げにイノンドの葉が加えられ飾り付けと香り付けに利用されたりします。
イノンド(ディル)の種をハーブティーとして楽しむ場合は、まずスプーン1杯~2杯の乾燥させた種を砕きます。砕いた種とワンカップのお湯を(180~200ml)をポットに入れて2~3分間蒸らします。蒸らす間はポット蓋をきちんと閉めておかないと香り(揮発性分)が抜けて美味しくなくなるので注意して下さい。蒸らし終わったらポットのハーブティーをカップに移します。その際、お好みで蜂蜜やレモン等を加えるのもいいでしょう。
イノンド(ディル)の栽培
イノンド(ディル)は秋もしくは春のおだやかな気温(約20度)の時期に種を撒き、晩春から夏に花を鑑賞して種を収穫した後は枯れる一年草として楽しみます。基本的には夏の暑さや冬の寒さに強く、土質も殆ど選ぶことなく丈夫に育ちます。ただしアゲハチョウの幼虫等が食草として利用しているため食害される事はあるでしょう。どうしても、食べられたくない場合は防虫ネットをかけて卵を産ませないようにする方法が一般的です。
イノンド(ディル)の収穫
- 葉の収穫は、生育期間中であれば何時でも出来ます。若く柔らかなものを選んで収穫しましょう。花が咲くと葉は苦くなるため葉の収穫をメインにする場合は花を咲かせないようにします。
- 種の収穫は花が枯れて乾き種が褐色になってきたら行います。花の下から剪定して収穫して、収穫したら花を逆さまに吊るして、トレイか皿を下に置き、種が乾燥して自然に落ちるのを待ちます。
イノンドの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。