原産:ヨーロッパ 科:キク(asteraceae) 属:カマエメルム(Chamaemelum) 種:ローマンカモミール(nobile) 英名:ローマンカモミール(Roman chamomile) 品種:ノンフラワーカモミール(chamaemelum nobile ‘treneague’) 分類:多年草 開花時期:5月~6月 花の色:- 葉色:緑色● 香る部位:花・葉 草丈:5~10cm 草姿:這性 花言葉:「逆境に耐える」「苦難の中の力」「逆境のなかでのエネルギー」「苦さ」 誕生花:6月23日 | ||
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ノンフラワーカモミールは、その名前からも分かりますが花が咲きません。一般的には茎が殆ど立ち上がらず匍匐する様に広がる草姿から、芝生の代わりとしてグランドカバーに利用されている園芸品種です。
花は基本的に咲きません。草姿は匍匐して広がり高さは約5(10)cm × 幅は約30(60)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は2回羽状複葉して、葉序は互生葉序につきます。
ローマンカモミールは学名Matricaria nobile、 別名「ローマカミツレ」や「アンセミス・ノビリス(Anthemis nobilis)」等とも呼ばれる多年草です。カモミールは東・南ヨーロッパ及び南西アジアを原産としており、野原などに自生しています。
ローマンカモミールの語源(由来)
- 属名のカマエメルム(Chamaemelum)の由来はギリシャ語の「χαμαίμηλον(khamaimēlon)」からきており、「地面」を意味する「khamai」と「リンゴ」を意味する「mēlon」の2語の造語で地面のリンゴをいみします。
- 種小名のnobileは「高貴/高潔」を意味しており、カモミール(Matricaria chamomilla)より優れていると考えられている所からきています。
- 英名のローマンカモミール(Roman chamomile)の由来は1598年に初めてローマで発見され名前が付けられた事からきています
ローマンカモミールの特徴(由来)
- 古くは中世から薬用ハーブとして利用されてきました
- ↳現代でも医療や家庭の薬草として利用されています。
- ↳一般的には花の部分をハーブティーにして利用されます
- 花にはフルーツや薬を連想させる香りがあります
- ↳乾燥しても色褪せが少なく香りがいいためドライフラワーとしても魅力的です
- 背が低く茎が匍匐するためグランドカバーとして利用されます
- ↳ただし踏圧にはそこまで強くないため歩行者の少ない場所に向きます
- 種から育てられるため大量植栽も容易です
ローマンカモミールの茎は、直立もしくは匍匐した後に途中で立ち上がり高さ最大30cmまで成長します。葉は非常に細く羽毛を連想させる形で2回羽状複葉しており、茎に対して互生につきます。花は白色の舌状花と黄色の筒状花の組み合わさる頭花で散房花序に多数の花を咲かせます。
ローマンカモミールの香りの特徴や効果
ローマンカモミールの香りは、「フルーツ」「薬」「甘み」を連想させる香りが特徴で、口に入れた時の風味(フレーバー)には薬の様な苦味と木の味を連想させます。ローマンカモミールの香りの由来となる精油には「カマズレン」が最も多く踏まれており、その他には「α-ビサボロール」「β-ファルネセン」「α-ピネン」「β-ピネン」「シネオール」等が含まれています。
ローマンカモミールの精油の効果には「抗炎症」「抗菌性」「抗アレルギー作用」「皮膚保護」「喘息を沈める」等があります。例えば、カマズレンやα-ビサボロールには細菌や真菌の増殖を抑制したり除菌する抗菌性がある事から、出がらしを使って、うがいを行えば口内のバクテリアを退治して歯周炎の予防となり、また口臭を抑え口内を爽やかにする効果等が期待できます。またα-ビサボロールには炎症を抑える効果がある事から、胃の粘膜に直接作用して炎症を抑える効果が期待できます。その他にも皮膚保護効果からニキビや湿疹等の肌トラブルを抑える働きもっています。
カマズレンの香りは「草」「蜂蜜」「薬」等に例えられる爽やかな香りがあります。一般に植物ではカモミールやニガヨモギ、セイヨウノコギリソウ等に含まれており、精油は化粧品等に利用されています。カマズレンの精油の効果には、「抗炎症」「抗アレルギー性」「抗菌性」「喘息を沈める」等の効果があります。
α-ビサボロールの香りは「フローラル」「ココナッツ」「フルーティ」「甘い」等に例えられる香りがあります。一般に植物ではカモミール等に含まれており、精油は化粧品等に利用されています。α-ビサボロールの精油の効果には、「抗菌性」「抗炎症」「皮膚保護」等の効果があります。
β-ピネンの香りは「木の香り」「松」「干し草」「辛い」等に例えられる香りがあります。一般に植物ではユーカリやローマンカモミール、バジルやマツ等に含まれており、精油は香水等に利用されています。
α-ピネンの香りは「木の香り」「松」「樟脳」「甘い」等に例えられる香りがあります。一般に植物ではユーカリやローマンカモミール、ローズマリー等に含まれており、精油は香水等に利用されています。
シネオールの香りは「ユーカリ」「樟脳」「薬」「ミント」等に例えられるスッキリと爽やかな香りがあります。また口の中に入れるとミントの様なスっとした風味(フレーバー)を感じる事が出来ます。一般に植物ではユーカリやローズマリー、月桂樹等に含まれており、精油は食品の香料や化粧品等に利用されています。シネオールの精油の効果には、香りが集中力を高め記憶力を上げる効果があります。また落ち込んだ時には気分を高揚させる働きがあるため、アロマテラピー等にもよく利用されます。
ローマンカモミールの既知の危険性
ローマンカモミールの既知の危険性として、アレルギー性皮膚炎を起こす可能性があります。また海外では非常に稀な例ですが、カモミールティーを飲んだ後にアナフィラキシーショックを引き起こした例もあるようです。
ローマンカモミールの利用方法
ローマンカモミールはハーブティーやドライフラワー等にして楽しむ事が出来ます。
ハーブティーとして楽しむ場合は、乾燥させた花を利用します。綺麗に開花した花を収穫して個々の花を1個ずつ丁寧に茎から切り離し、ザルに並べ明るい日陰で数日から1週間乾燥させます。
乾燥させた花を大さじ一杯半程度と沸かしたお湯(180~200ml)をポットに入れて1~3分間蒸らします。蒸らす間はポットの蓋をきちんと閉めておかないと香り(揮発性分)が抜けて美味しくなくなるので注意して下さい。蒸らし終わったらポットのハーブティーを茶こしでこしながらカップに注ぎましょう。その際、ハーブティーにお好みで蜂蜜やレモン等を加えるのもいいでしょう。
ローマンカモミールをドライフラワーにする場合はハンギング法で行われるのが一般的です。ハンギング法とは、収穫した花を幾つか(数本)まとめて束ね、茎の下部を輪ゴムやリボンの様な物で固定し、風通しの良い明るい日陰で逆さまに吊り下げて自然乾燥させる方法です。
ローマンカモミールの収穫タイミングは花穂が3分の2以上開いたタイミングがいいでしょう。好みの高さで茎を切り取り収穫して、ハンギング法を利用してドライフラワーにしてみましょう。
ローマンカモミールの栽培
ローマンカモミールは、香りの良い葉を収穫する目的でハーブガーデン等で育てられたり、美しい花を鑑賞する目的で育てられます。育てる際は、1番に多湿に気をつけないといけません。長雨による浸水やジメジメした夏の高温多湿等が、生育不良を引き起こす原因になります。そのため多湿にならない様に土壌の排水性を高めておきましょう。基本的には夏の暑さや冬の寒さに耐える事ができます。増やし方は挿し木や株分け、採取した種を撒くことで増やせます。
カモミールの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。