- 原産:地中海沿岸
- 科:ヒガンバナ(Amaryllidaceae)
- 属:スイセン/ナルキッスス(Narcissus)
- 種:フサザキスイセン(Narcissus tazetta)
- 別名:ペパーホワイト(paperwhite)/ブランチフラワー・ナルキッソス(bunch-flowered narcissus)/チャイニーズ・セイクリッド・リリィ(Chinese sacred lily)/クリーム・ナルキッソス(cream narcissus)/ポリヤンサス・ナルキッソス(polyanthus narcissus)
- 品種:ミノウ(narcissus tazetta ‘minnow’)
- 開花時期:12月~5月(主に3月~4月)
- 花の色:黄色●白色〇
- 葉の色:緑色●
- 香り:花
- 分類:多年草
- 被覆方法:
- 草丈:約25cm
- 株張り:
- 誕生花:1月20日・2月20日
- 花言葉:記念・思い出
- 用途:切り花/香りが良い
- 購入方法:スイセン(ミノウ)を楽天で購入
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
スイセン(ミノウ)とは!?
スイセン(ミノウ)の特徴は、草丈が25cm程度と低くてコンパクトな草姿をしている所、花被片の色がほんのりと黄色に色付いたクリーム色をしており柔らかな雰囲気をつくる所などにあります。そのため、花壇の縁どりに使ったり、鉢植えで育てやすく、また柔らかな花色が優しい雰囲気を演出してくれる園芸品種です。
フサザキスイセンとは!?
フサザキスイセンの学名はNarcissus tazetta、別名では「ペパーホワイト(paperwhite)」や「クリーム・ナルキッソス(cream narcissus)」等とも呼ばれる地中海沿岸が原産の多年草です。
フサザキスイセンの語源(由来)
- 属名のNarcissusは、古代ギリシア語の「νάρκισσος(nárkissos)」からきており、ギリシア神話に登場する人物の「ナルキッソス」に由来します。
- ナルキッソスは、ある時、彼に一目惚れして後をおってきた森の妖精(エコー)と出会います。エコーはヘラからの罰により他人が最後に言った言葉しか繰り返せなくなっています。そのため、エコーはナルキッソスの言葉を繰り返す事しか出来ません。ナルキッソスはその彼女の姿を見て、つまらない退屈だと拒絶しています。そのため、彼女は傷つき憔悴して体が失われ言霊だけが残りました。それを聞いた復讐の神である女神ネメシスは怒り、ナルキッソスに罰をあたえます。女神ネメシスはナルキッソスを自分しか愛せないようにして、ムーサの山にある泉に呼び寄せます。ナルキッソスは、泉の水を飲もうと水面に近付き、水面にうつる自分を見てしまいます。すると、そこには美しい少年(自分)がいて自分自身に恋をしてしまいます。泉の中の自分に恋をしたナルキッソスは、泉から離れられなくなり寝食を忘れて徐々に痩せ細り死んでしまいます。或いは水面にうつる自分にキスをしようとして泉に落ちて水死したともいわれています。伝承によると彼の死後、ナルキッソスのいた場所からは美しい花が咲きました。その花の名前はNarcissusです。
- 種小名のtazettaはイタリア語で「小さなコーヒー茶碗」を意味しており副花冠に由来しています。
- フサザキスイセンの由来は、花茎に房状に沢山の花が咲く事からきています。
フサザキスイセンの特徴(魅力)
- フサザキスイセンの特徴は、草丈が最大80cmに達することがあり、スイセンの中で最も草丈が高くなる所や、茎の先端で普通8個の花が房状に咲く所、花の副花冠は短めな所などにあります。
- 草姿は鱗茎から束状に葉を3~4個、直立に伸ばします。そのため、横への広がりがほとんどなく、花壇に植えるとスタイリッシュでカッコイイ印象を与えたり、洗練された雰囲気をつくったりする事が可能です。
- 葉は長さ約25~40cm、細長い剣形をしています。そのため、葉のシャープさが洗練されたカッコイイ印象を与える事があります。
- スイセンの葉はニラと外観が似ていますが、ニラのような特有の香りがありません。またスイセンは有毒なため、ニラのように食べられません。そのため、ニラと間違えないように傍では育てない方が良いでしょう。
- 開花期間は12月~5月、普通は3月~4月に花が咲きます。
- 花序は散形花序で茎の先端に普通8個の花をつけます。花は白色の6個の花被片が放射状に平開して、中央に筒状の黄色の副花冠が突出しており、副花冠の長さは花被片と比べて著しく短くなっています。そのため、花房はボリューミーですが、スイセン特有のラッパのような個性的な花姿はしていません。
- フサザキスイセンは、香りの良い精油を採る目的で南フランス等で商業的に栽培されている事からも分かる通り、花からはフローラルな良い香りが漂います。
- そのため、花を収穫してお部屋に飾ると、部屋の中にフローラルな心地よい香りが広がる事もあるようです。
- 切り花としての花瓶の中での寿命は5~7日程度になります。
- スイセンはリコリンやタチゼン等の有毒なアルカロイドを含んでおり、全草が有毒です。日本でもニラと勘違いして葉を食べて嘔吐・下痢・悪心・頭痛等の食中毒症状を引き起こした事例があるため、ニラの傍で育てない等の注意が必要になります。
- フサザキスイセンは、とても丈夫なため環境が整った場所に植えて上げると、基本的に放ったらかしで育てる事が出来ます。
フサザキスイセンは、草丈は約15(~80)cm、鱗茎の大きさは直径が約3(~6)cm、鱗茎の形は卵形、鱗茎の外皮の色は淡褐色から暗褐色です。※鱗茎は地下茎に養分を溜めて肉厚になった鱗片葉が重なり球状になったものです。
葉は鱗茎の中心から出ます。葉の枚数は3~4個、葉身の長さ約25~40cm、葉身の幅は約0.8(~2)cm、葉身の形は剣形、葉の色は緑色、葉の生える向きは直立です。
花序は散形花序、散形花序は花が茎の末端に普通8個付いて花房をつくります。花の形は6個の花被片が平開して副花冠は筒状で突出する、花被片の長さは約2~4cm、花被片の色は白色、副花冠は約1.5~2cm、副花冠の色は黄色、雄蕊は6個(3個は長い)です。
フサザキスイセンの切り花の楽しみ方
- 切り花の収穫は花が十分水分を含んでいる朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 収穫のタイミングは、蕾が開きかけており花の色付きが確認出来たら行うと良いでしょう。
- 水揚げは水切りを行います。
- 茎を切断すると粘液が出るため、洗い流してしまいます。
- 花瓶に水と延命剤を入れて花を生けましょう。
- 管理は必要に応じて数日ごとに切り戻しと水換えを行いましょう。
- 日持ちは管理の方法でも左右されますが5~7日程度です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
フサザキスイセンの園芸品種の紹介
ニホンズイセンの学名はNarcissus tazetta var. chinensis、フサザキスイセンの変種で、日本では単にスイセンと呼ばれる事もあります。原産地は地中海沿岸にあり、日本にも帰化していて道端等に自生しています。 ニホンズイセンの草丈は30~40cm、鱗茎の形は卵形、葉身の長さ約30~40cm、葉身の形は剣形、花序は散形花序、散形花序は花が茎の末端に4~8個付いて花房をつくります。花は花被片が6個、花被片は平開、花被片の色は白色、副花冠は筒状、副花冠は花被片より著しく短く、副花冠の色は黄色です。 | スイセン(ミノウ)の特徴は、草丈が25cm程度と低くてコンパクトな草姿をしている所、花被片の色がほんのりと黄色に色付いたクリーム色をしており柔らかな雰囲気をつくる所などにあります。そのため、花壇の縁どりに使ったり、鉢植えで育てやすく、また柔らかな花色が優しい雰囲気を演出してくれる園芸品種です。 |
キブサスイセン(黄房水仙)は、花の色が鮮やかな黄色をしています。そのため、花壇などに植えると明るく光り輝いているような印象を与えたり、また花を見ているだけで元気な気分にさせてくれます。 またキブサスイセン(黄房水仙)は、他のフサザキスイセンと同様に花茎の先端に花が房状に集まり咲くため、ボリュームある花姿が楽しめる所も魅力になります。 |
スイセンの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
スイセン(ミノウ)の育て方
花壇の土づくり
日当り
スイセン(ミノウ)は、日向から半日陰までで育てる事が出来ます。
- 日向とは、直射日光が6時間以上当たる場所です。
- 半日影とは、直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。また基本的には午前中のみ日が当たり午後から日陰になる場所になります。
- 明るい日陰とは、間接光だけが当たる日陰または直射日光が2時間程度までの場所です。
土壌の土質
スイセンは、通気性・排水性・保水性のバランスが良く、有機物がしっかり入る肥沃な土壌を好みます。
そのため、植え付けの前に土壌診断を行い、土壌の通気性と保水性のバランスを改善して、腐葉土等の有機物を入れ肥沃な土壌に改善しましょう。
土壌診断と改善の行い方
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土やバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
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植付け方法
- 植え穴の深さ
- 植え穴の深さは球根の大きさの約1.5~3倍の深さ、または球根の大きさに合わせて5~10cm程度の深さになります。
- 植付け間隔
- 植付け間隔は密植しても基本的に問題はないですが、一般的に7~15cm程度の間隔で離します。
- あまり球根同士を付けすぎると、株同士が競合して太陽からの栄養を上手く蓄えられずに、小さな球根ばかりが増える可能性が高まります。
- 植え方
- 球根の成長点を上向きにして穴の中に球根をおきます。その後、土を被せましょう。
植え替え方法
スイセンは基本的に植えっぱなしでも問題ないですが、球根が増えて密植状態になると、株同士が競合して混み合い、光を奪い合い、日照不足に陥り、小さな球根ばかりが増えて、花が小さくなる事も考えられます。
そのため、3年~5年に1度の頻度で株分けを行い、球根の植え替えをしてあげると良いでしょう。
鉢土づくり
日当り
スイセン(ミノウ)は、日向から半日陰までで育てる事が出来ます。
- 日向とは、直射日光が6時間以上当たる場所です。
- 半日影とは、直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。また基本的には午前中のみ日が当たり午後から日陰になる場所になります。
- 明るい日陰とは、間接光だけが当たる日陰または直射日光が2時間程度までの場所です。
培養土
スイセンは、一般的な草花の培養土で育てられます。培養土を自作する場合は通気性・排水性・保水性のバランスが良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
培養土の配合例
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
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- super grade Ⅱの培養土はサラサラとした粒状の用土のみで構成されており堆肥が使用されていない所が特徴です。
- 堆肥が使われていないため、昆虫や微生物湧きにくく、お部屋でも使いやすいです。
- 堆肥が原因で夏場に蒸れる事がないため、多湿で植物が弱りにくくなります。
- 培養土は擬似団粒構造を形成しており優れた保水性・排水性・通気性・保肥力があります。
- 培養土の中には保水剤(CMC)が配合されているため水持ちがよく管理が楽になります。
- 培養土に含まれる赤玉土は焼きが入り硬質なため、劣化しにくく繰り返して何度でも使えます。
- 赤玉土には肥料も含有しているため植物の成長が良くなります。
- 肥料は3種類配合されており植物の成長段階に応じて非常に長く放出されます。
- 堆肥は入っていませんが、質の良い腐植酸が配合されているため、地力の高い肥沃な培養土となっています。
植付け方法
- 植え穴の深さ
- 植え穴の深さは球根の大きさの約1~1.5倍の深さ、または球根の上に土が2~3cm被さる程度の深さになります。
- 植付け間隔
- 植付け間隔は球根と球根の間が3cm程度開いた間隔で植えます。
- 植え方
- 球根の成長点を上向きにして穴の中に球根をおきます。その後、土を被せましょう。
植え替え方法
スイセンは基本的に植えっぱなしでも問題ないですが、球根が増えて密植状態になると、株同士が競合して混み合い、光を奪い合い、日照不足に陥り、小さな球根ばかりが増えて、花が小さくなる事も考えられます。
そのため、3年~5年に1度の頻度で分球を行い、球根の植え替えをしてあげると良いでしょう。
水やりの仕方
地植え
スイセン(ミノウ)は乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。雨が長く降らない場合などは、必要に応じて水やりを行いましょう。
水やりの量は、土壌内に新鮮な酸素を行き渡らせる目的もあるため、一度に与える水の量はたっぷりと与えてください。
鉢植え
スイセンを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。ただし水やりを行い過ぎてジメジメとした環境が続くと根腐れしてしまうため、土壌の表面(数センチ)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
水やりは、土壌内に新鮮な酸素を行き渡らせる目的もあるため、一度に与える水の量はたっぷりと与えてください。
肥料の与え方
スイセン(ミノウ)は、肥沃な土壌であれば肥料が無くても育てる事が出来ます。
ただし、球根を肥えさせて大きくして、翌年にしっかりした花を咲かせたい場合や、痩せた土壌で育てている場合などは、しっかり肥料を施した方が良いでしょう。
肥料の与え方
- 肥料を与える時期
- 元肥は植付け時の秋に与えます。
- ※追肥は必要に応じて発芽後から6月頃まで行います。
- 肥料の選び方
- 肥料は基本的に球根用の肥料がおすすめです。
- 肥料の成分は球根を肥らせるためにカリが多くまれている肥料、またはリン酸が多く含まれている肥料がおすすめです。窒素も重要な成分ですが、多過ぎると球根を腐敗させる原因にもなるため注意して下さい。
- 元肥の与え方
- 秋の植え替え時に、用土の中に混ぜ込んでおきます。使用する肥料の使い方に合わせて、規定された分量で規定された場所に混ぜ込んで使いましょう。
- 追肥の与え方
- 液体肥料を規定された分量で希釈して、約10~14日の頻度で、水やりと一緒に液肥も与えましょう。
- 固形肥料を与える場合は、規定された分量を規定された頻度で与えます。基本的には置き肥のため、球根から少し離れた場所に与えるようにしましょう。また、水やりの際に、きちんと肥料が解けるように水を肥料に当ててください。
挿し木や株分けで増やす
スイセンは分球によって増やす事ができます。
分球の方法
- 球根の掘りあげ
- 6月~8月
- 分球方法
- 親の球根から子球を剥がす
- 球根の保管
- 球根から土・根・葉を取り除いて、風通しの良い日陰で乾燥させて秋まで保管する。
- 植え付け時期
- 植付け時期は秋です。植付け方法は、花壇の土作りからご覧下さい。