原産:中国 科:ヒガンバナ(Amaryllidaceae) 属:ヒガンバナ/リコリス(Lycoris) 種:ヒガンバナ(radiata) 別名:マンジュシャゲ(曼珠沙華)/レッドスパイダーリリー(red spider lily)/レッドマジックリリー(red magic lily)/エキノックス・フラワー(equinox flower)/「葬式花」「墓花」「狐花」「死人花」「地獄花」「幽霊花」「火事花」「蛇花」「剃刀花」「灯籠花」「捨て子花」「天蓋花」 分類:多年草 草丈:約30~60cm 開花時期:8月~10月(特に9月) 花の色:赤色● 葉色:緑色● 花言葉:「独立」「情熱」「あきらめ」「悲しき思い出」 誕生花:9月20日/9月23日 | ||
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ヒガンバナは学名Lycoris radiata、別名「マンジュシャゲ(曼珠沙華)」や「レッドスパイダーリリー(red spider lily)」等とも呼ばれる中国原産の多年草です。日本には室町時代から安土桃山時代に渡来したと言われており、田んぼ周辺のあぜ道やお墓の周辺などに自生しています。
ヒガンバナの語源(由来)
- 属名のリコリス(Lycoris)の由来は諸説あり、一説には古代ローマの政治学者マルクス・アントニウス(Mark antony)の妻への献名と言われています。
- ↳また一説にはLycorisはギリシャ語で「黄昏」を意味しており、ギリシャ神話に出てくるニンフのリュコーリアス(Lycorias)から来ているとも言われています。
- 種小名のradiataは「放射状」を意味しており開花時に美しく広がる花序に由来します。
- 和名のヒガンバナの由来は彼岸の時期に花茎を伸ばし鮮やかな赤色の花を咲かせる事からきています。
ヒガンバナの特徴(魅力)
- ヒガンバナは彼岸の頃になると数日で地面から一気に花茎が伸び
- ↳真っ赤な花を数週間咲かせます
- 花は茎の頂部で6個の大きな花が放射状に配置され華やかな雰囲気をつくり
- ↳糸状に伸びる長い雄蕊が繊細な雰囲気をつくります
- 葉は細長くロゼット状に広がり地面を被覆します
- ↳葉の時期は花の終わる中秋頃から初夏頃までです
- ヒガンバナにはアレロパシー効果があり種の発芽を抑え雑草対策に利用出来ます
- ヒガンバナは全草有毒のため食べられません
- 夏の暑さや冬の寒さに強く丈夫で
- ↳基本的に放ったらかしで育てる事が出来ます
- 日本のヒガンバナは基本的に種を付けないです
- ↳そのため増殖は基本分球で行われています
ヒガンバナは地面下に褐色の薄皮のある直径約1~3cmの球根(鱗茎)をもちます。葉は全て球根から出る根生葉でロゼット状に広がり、葉色は濃い緑色、葉身は扁平で長さ約30~50cmになり、葉は花が咲いた後に出てきて冬を越し春から初夏頃に消えます。花の開花は8月から10月で9月に最も開花し、花茎を最大60cmまで伸ばし6個の花を放射状につけて散形花序をつくり、個々の花は花被片が6個とアーチ状に突出する雄蕊が6個と雌蕊が1個つきます。花が終わっても、日本のヒガンバナは一般的に三倍体のため種子を作らないとされています。
開花時期は晩夏から秋、花色は赤色、個々の花は6個の花被片と6個の雄蕊と1個の雌蕊からなり、花序は茎の頂部に6個の花を散形花序に咲かせます。草姿はロゼット状で高さ約30(60)cm × 幅は約30(45)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は線形もしくは剣形、葉序は根生葉につきます。
ヒガンバナが怖いと思う理由
ヒガンバナはスラッとした花姿がとても洗練されていて、非常にかっこよく、またとても大きく華やかな花を咲かせますが、一定数の人にとっては「怖い」や「気味が悪い」と言ったマイナスのイメージがもたれています。
ヒガンバナ(彼岸花)が怖い気味が悪い思う理由は「赤色の花が血に見える」や「毒があるから怖い」等と様々あると思いますが、やはり死者と関連付けられる様な名前やお墓に多く植えられている所かもしれません。特に地方によっては「死人花」や「地獄花」等の異名もあり、大人ならまだしも子供にとっては感じるものが大きかったはずです。
一方でヒガンバナは「マンジュシャゲ(曼珠沙華)」と呼ばれる別名ももっています。これはサンスクリット語で「赤い花」「葉に先立って赤花を咲かせる」という意味があります。法華経序品(法華経の序章)では、釈迦が法華経を説かれた際に、これを祝して天から降りてきた四華(白蓮華・大白蓮華・紅蓮華・大紅蓮華)の中の1つが紅蓮華とされています。紅蓮華の花色は赤色で花姿は不明とされていますが、日本では一般的に紅蓮華は曼珠沙華(ヒガンバナ)と見なされており、天上の花として有難いお花とされています。ただ仏教の発祥の地はインドだけに、一般的には赤色の蓮が紅蓮華と考える人も多いようです。
ヒガンバナの毒性(既知の危険性)
ヒガンバナは球根や葉にリコリンや他アルカロイドを含んでいるため、人間や家畜(犬や猫等)に対して有毒です。間違えて摂取した場合は、嘔吐・悪心・下痢・発汗・頭痛・昏睡等の症状を引き起こす可能性があり、さらに多量に摂取した場合は死亡する事もあります。そのため、ヒガンバナは絶対に食べられません。
しかし、ヒガンバナのリコリンが水に晒すと抜ける事から、以前はヒガンバナを潰して長時間水に晒した後で食べられていた事もあるようです。ただ毒性が強く、リコリン以外にも有毒なアルカロイドを含むため基本的に食べられません。
また以前は、ヒガンバナの毒性を利用してネズミ・モグラ・害虫等が家や畑、墓(土葬)等に近づいて荒らさない様に、田んぼや墓の周りを囲うようにヒガンバナが植えられていました。その為、現在でも9月頃になると田んぼやお墓の近く等でヒガンバナの花をよく見かける事があります。
ヒガンバナの栽培
園芸では、ヒガンバナのスラリと伸びる花茎の先に咲く華やかな花を鑑賞する目的で育てられたり、切り花として利用する目的で育てられたりします。落葉樹の下や植え込み等の半日影を中心に植えられる事が多く、またアレロパシー効果がある事から雑草対策として植えられる事もあります。
ヒガンバナを育てる際に注意する事は基本的にありません。花をしっかり咲かせるために肥料を与えた方がいい場合もありますが、基本的には低メンテナンスで育てられます。また夏の暑さや冬の寒さに強く丈夫なため放ったらかしでも大丈夫です。