- 原産:ブルガリア
- 科:アブラナ(Brassicaceae)
- 属:アラビス/ヤマハタザオ(Arabis)
- 種:フェルディナンディ・コブルギ(Arabis ferdinandi coburgii)
- 品種:バリエガータ(Arabis ferdinandi coburgii ‘variegata’)
- 開花時期:3月~6月
- 花の色:白色〇
- 葉の色:緑色●桃色●黄色●白色〇
- 分類:多年草
- 草丈:約5~10cm
- 用途:カラーリーフ/グランドカバー/ハンギング/ロックガーデン
目次 | ||
| ||
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
アラビス(バリエガータ)とは!?
アラビス(バリエガータ)は、一株の中に緑色・白色(薄い黄色)・桃色(紫色)の三色の葉色があるため、カラフルな印象を与えたり上品な印象をあたえるカラーリーフとして楽しめる園芸品種です。葉の色は、若葉では桃色(紫色)をしており、葉のふち部分には白色(薄い黄色)をしています。
アラビス(フェルディナンディ・コブルギ)とは!?
アラビス(フェルディナンディ・コブルギ)は学名Arabis ferdinandi coburgii、ブルガリアが原産の多年草です。
アラビス(フェルディナンディ・コブルギ)の語源(由来)
- 属名のArabisは、ラテン語で「アラビア人」を意味する「Araps」「Arab」からきており、自生地が「岩地」や「砂地」にある事に由来します。
- 種小名のferdinandi coburgiiはブルガリアの皇帝フェルディナンド1世(Ferdinand I of Bulgaria)への献名です。
アラビス(フェルディナンディ・コブルギ)の特徴(魅力)
- アラビス(フェルディナンディ・コブルギ)は、草丈が高くならず、地面を覆うように広がる草姿をしている事から、地被植物として利用される事が多く、近縁のニワハタザオと比較して葉のふち部分が比較的に滑らかな外観をしています。
- 園芸では白色・黄色・桃色などの様々な葉色がある事からカラーリーフとして楽しまれる事が多いです。
- 草姿は匍匐性、茎は横に伸びたり下垂する性質があるため、園芸では地被植物にされたり、ハンギング仕立てにされたります。
- 花は白色、穂状に並び咲くためシャープな外観の花姿をつくります。
- 葉はふち部分が比較的に滑らかで、上部が膨らむ卵が逆向きになったような外観(倒卵形)をしています。
- 葉の色は、ふつう緑色ですが幾つかの品種では明るく輝くような印象を与える白色の葉色、可愛らしい印象を与える桃色の葉色をもつ品種があるため、品種を選びカラーリーフとして楽しむ事も出来ます。
- アラビス(フェルディナンディ・コブルギ)の仕立て方には「被覆植物(グランドカバー)」「ハンギング」「ロックガーデン」等があります。
- 被覆植物(グランドカバー)とは、地表面を覆う目的で、草丈が低く、茎葉が横へと広がる習慣がある植物を植え付ける事です。
- ハンギングとは、植物をハンギングバスケットや吊り鉢に入れて上や横の目線から、鑑賞出来るようにする仕立て方です。
- ロックガーデンとは、高山や崖地などをイメージしながら岩石や大きめの石などを配置して、植物等も植え付けられて作られる庭園のスタイルのひとつです。
アラビス(フェルディナンディ・コブルギ)の草丈は約5(~10)cm、草姿は匍匐性、茎の色は緑色または赤みを帯びます。葉序は根生葉または互生葉序、葉色は緑色、葉身の形はヘラ形または楕円形か倒卵形、ふち部分には疎らに鋸歯があります。花序は総状花序、花は花弁が4個、花弁の色は白色、雄蕊は6個あります。
アラビス(フェルディナンディ・コブルギ)の園芸品種の紹介
アラビス(ヤマハタザオ)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
アラビス(バリエガータ)の育て方
花壇の土づくり
日当り
アラビス(バリエガータ)は、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。そのため基本的には日向(直射日光が6時間以上)で育てましょう。また半日影(直射日光3時間~5時間)までで育てる事が可能です。
土壌のPH
アラビス(バリエガータ)は石灰質の多い岩や石のある場所に自生しており、PH6.5~7.5の弱アルカリ性の土壌を好みます。PHが低すぎると生育不良になる可能性が高くなるため、植付け前にPHを診断して、PHが低い場合は苦土石灰を入れる等してPHの改善を行いましょう。
土壌の土質
アラビス(バリエガータ)は自生地が岩場や砂地にあり、基本的に水はけの良い土壌を好みます。水分が停滞するようなジメジメした土壌では生育不良を引き起こしたり根腐れする事もあるため粘土質な土壌は避けた方が良いでしょう。植え付けの前に土壌診断を行い、通気性がよく適度に腐葉土等が入った土壌に改良しましょう。
土壌診断と改善の行い方
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
アラビス(バリエガータ)は、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。そのため基本的には日向(直射日光が6時間以上)で育てましょう。また半日影(直射日光3時間~5時間)までで育てる事が可能です。
培養土
アラビス(バリエガータ)は通気性の高い培養土で育てられます。自作する場合は通気性が良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
培養土の配合例
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=7:3
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:3:3
楽天で人気の高い培養土を購入する
- super grade Ⅱの培養土はサラサラとした粒状の用土のみで構成されており堆肥が使用されていない所が特徴です。
- 堆肥が使われていないため、昆虫や微生物湧きにくく、お部屋でも使いやすいです。
- 堆肥が原因で夏場に蒸れる事がないため、多湿で植物が弱りにくくなります。
- 培養土は擬似団粒構造を形成しており優れた保水性・排水性・通気性・保肥力があります。
- 培養土の中には保水剤(CMC)が配合されているため水持ちがよく管理が楽になります。
- 培養土に含まれる赤玉土は焼きが入り硬質なため、劣化しにくく繰り返して何度でも使えます。
- 赤玉土には肥料も含有しているため植物の成長が良くなります。
- 肥料は3種類配合されており植物の成長段階に応じて非常に長く放出されます。
- 堆肥は入っていませんが、質の良い腐植酸が配合されているため、地力の高い肥沃な培養土となっています。
水やりの仕方
地植え
アラビス(バリエガータ)は乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。雨が長く降らない場合、指を入れて土壌の表面(2~5cm)が乾燥している場合、葉や茎が萎れている場合などは、必要に応じて水やりを行いましょう。
鉢植え
アラビス(バリエガータ)を鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。ただし水やりを行い過ぎてジメジメとした環境が続くと根腐れしてしまうため、土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
水やりのチェックを簡単にするオススメの道具
- 水やりチェッカー(サスティ)とは、視覚的に分かりやすく色の変化で水やりのタイミングを教えてくれる水分計です。
- 白色(水やり必要)・青色(水やり不要)
- 水やりチェッカー(サスティ)は世界で初めて家庭用水分計で「PF値」が採用されています。PF値は、殆どの植物の生育に阻害がない有効水分域の中のPF2.0付近で色が変わるように設計されているため、水やりの失敗を減らします。
- PF2.0は、どんな土や多肉・観葉植物・草花にも対応しますが、乾燥に強い多肉植物では色変わり後に若干の猶予があり、乾燥に弱い草花では色変わり後は直ぐに水やりをした方が良いかもしれません。
- PF値とは、土壌の水分が毛管力によって引き付けられている強さの程度を表している数値で、これを使う事で土壌の湿り具合や植物への水やりのタイミングが分かるようになります。殆どの植物にとって利用しやすいPF値は1.7~2.3の間にあります。常にPF値が1.7より下の値にあると、多湿を嫌う多肉などは湿潤すぎて根腐れを引き起こしやすくなったり、PF値が2.3より上にあると乾燥が苦手な草花などは水枯れを引き起こしやすくなります。
- 水やり三年と言われるプロでも難しい水やり作業が、水やりチェッカー(サスティ)を使うだけで安心して行えるようになります。
- 水やりチェッカー(サスティ)は水やりが難しい植物(ラン・多肉)にも対応しています。
- 中芯は6ヶ月~9ヶ月経つと水やりをしても青色に変化しなくなるため、変化がなくなったら中芯の交換が必要になります。
肥料の与え方
アラビス(バリエガータ)は、成長が始まる前の早春に肥料を一度与える事で、春からの成長がよくなります。
肥料の与え方
- 晩冬から早春に与える肥料
- 肥効が必要な栄養成分がしっかりはいっており非常に肥効が長く続く緩効性肥料を選びましょう。
- 肥料の成分は山型肥料(リン成分が多く入る)または水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)を選びましょう。
- 肥料の与え方
- 緩効性肥料は株元から少し離れた場所に置き肥します。
剪定のやり方
アラビス(バリエガータ)の剪定は基本的に不要ですが「花がら摘み」を行う事も出来ます。
花がら摘みとは!?
花がら摘みの目的は、萎れた花を摘みとる事で種の生産を防ぎ余計なエネルギーを使わせない事にあります。余計なエネルギーを使わせない事によって、株の老化(弱体)を防いだり、花の生産が止まる事を防ぎ開花期間を延長する事に繋がったり、花数を増やす事に繋がったりします。
花がら摘みのやり方は、萎れた花を指もしくはハサミを使い取り除くだけです。
夏越しする方法
アラビス(バリエガータ)は夏の暑さに耐えますが多湿を苦手にしており、根腐れしたり腐敗する原因になる事があります。そのため必要に応じた夏越し対策が必要です。
アラビス(バリエガータ)の夏越し対策
- 湿度の高い環境を嫌うため乾燥した場所で管理しましょう。
- 雨に当たることが少ない場所
- 鉢植えの場合は雨に当たらない場所に移動すると良いでしょう。
- 地植えの場合は雨の当たりにく場所で育てると良いでしょう。
- 直射日光がよく当たる場所
- 直射日光6時間以上が理想です。
- 土壌の排水性がよい場所
- 植付けの際に土壌改良をしっかりおこないましょう。
- ロックガーデンなど、周りより高い場所に植えると、水が下に流れやすく、排水性が高まり根腐れしにくくなります。
- 空気の流れがあり風通しがいい場所
- 周りが壁に囲まれていたり、草が繁茂してる場所で管理すると空気が停滞して湿気が溜まりやすくなります。改善しましょう。
- 雨に当たることが少ない場所
冬越しする方法
Hardiness:4a~8b
アラビス(バリエガータ)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
アラビス(フェルディナンディ・コブルギ)は挿し木や株分けによって増やす事ができます。
挿し木の方法
- アラビス(フェルディナンディ・コブルギ)の挿し木時期は晩春から初夏頃が適します。
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットしましょう。
- 挿し穂 の長さ約7cmにわけます。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を残します。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。
- 切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
株分けの方法
- 株分け時期は早春もしくは秋が最適です。
- 株を掘りあげます。
- 土を軽く落として根茎の広がりと芽・茎の位置を確認します。
- 根茎に茎を何本か残すように根茎を切り分けましょう。
- 切り離した株を新しい鉢植えまたは植えたい場所に地植えします。
- 植え直した株に水をたくさん与えたら株分けの終了です。
播種で増やす
アラビス(フェルディナンディ・コブルギ)の種蒔の方法
播種時期:3月~5月・9月~10月
発芽適温:約20度
発芽日数:約14~21日
発芽条件:
アラビス(フェルディナンディ・コブルギ)の種まき手順
- ポットに種まき用の培養土を準備するか、直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、必ず土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
アラビス(フェルディナンディ・コブルギ)の病気
- 灰色カビ病
- 根腐れ病
アラビス(フェルディナンディ・コブルギ)の害虫
- アブラムシ