- 原産:日本/朝鮮/中国/ロシア
- 科:アヤメ(Iridaceae)
- 属:アヤメ/アイリス(Iris)
- 種:アヤメ/サングイネア(Iris sanguinea)
- 別名:アイリス・サングイネア/ブラッド・アイリス(Blood Iris)/ジャパニーズ・アイリス(Japanese Iris)
- 開花時期:4月~5月
- 花の色:青色●紫色●黄色●白色〇
- 葉の色:緑色●
- 香り:
- 分類:多年草
- 草丈:約40~60cm
- 貯蔵方法:
- 植付け時期:春植え球根・夏植え球根
- 誕生花:5月5日・5月10日・6月1日・6月6日
- 花言葉:使者・朗報・希望・よい便り・メッセージ・神秘的な人
- 用途:切り花/球根植物
- 購入方法:アヤメを楽天で購入
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
アヤメとは!?
アヤメの学名はIris sanguinea、別名では「アイリス・サングイネア」「ブラッド・アイリス(Blood Iris)」「ジャパニーズ・アイリス(Japanese Iris)」とも呼ばれる多年草です。アヤメの原産地は日本・朝鮮・中国・ロシアにあり、山野の草地などに自生しています。
アヤメの語源(由来)
- 属名のIrisは、ギリシャ語で「虹」を意味する「ἶρις(îris)」からきており、またギリシャ神話に出てくる虹の女神(Iris)にも因んでいます。
- アイリスの名前の由来は花の色が虹のように多種多様にある所からきています。
- 種小名のsanguineaはラテン語で「血赤色の」「血の」を意味しており、苞の色が赤紫色をしている所に由来します。
- 和名アヤメの由来は諸説ありますが、花に入る筋状の模様が織物や木目に現れる「文目(アヤメ)模様」に見える所からきているという説が有力のようです。
アヤメの特徴(魅力)
- アヤメの特徴は、花の色が青紫色・黄色・白色の三色で萼片の基部の脈間に黄色と白色の班が入る所、花弁と萼片の向きが上下に分かれているため鳥が羽ばたいているような優雅な見た目をしている所、 葉の形が細い剣形で垂直に立ち上がる所、立ち姿が真っ直ぐとしていて洗練された雰囲気がある所、乾燥に比較的につよく育てやすい所などにあります。
- アヤメは根茎アイリスに分類されており、地面下に肥大化した根茎があります。
- 根茎は太く横走しながら分枝して伸びる傾向があり、根茎から何本も株が生まれるため年を追うごとに株が増えて群生をつくります。
- 葉の形は細い剣形をしているためシャープで洗練された見た目をしており、直立または途中で湾曲して優雅に広がる傾向があります。
- 開花期間は春から晩春、花は茎の上部に2~3個の花を付けてます。
- 花は萼片3個が内側に湾曲しながら垂れ下がり、花弁3個が垂直に立ち上がり、雌蕊は花弁状で三個の柱頭が横に広がります。そのため、八重咲き花のような豪華さと、ダンスで揺れるドレスのような優雅さを感じさせます。
- 花の色は青紫色、萼片の基部の脈間には黄色と白色の班が入ります。
- 花の基部には苞が二枚あり、緑色または赤紫色に染まっており、学名のsanguineaの由来にもなっています。
- 花は切り花としても親しまれており、花瓶に生けて部屋に飾ることで豪華さ優雅さを演出することが可能です。
- 切り花の日持ちは、 管理の仕方などにも左右されますが花瓶の中で七日程度の日持ちがあります。
アヤメの草丈は約40~60cm、根茎は太く横走して分枝しながら伸びる、草姿は叢生、茎は基本的に分枝せずに直立します。
葉身の長さ約30~60cm、葉身の幅は約0.5~1cm、葉身の形は剣形または剣状線形、 葉脈は平行脈、葉の色は緑色、葉の向きは垂直または途中で湾曲して外側に広がります。
花序は茎の上部に2~3個の花をつける。花の大きさは直径が約6~8cm、花は苞の数が2枚、萼片の数が3枚・花弁の数が3枚・雄蕊の数が3本・雌蕊(子房3・花柱1・柱頭3)です。苞の形は披針形、苞の長さは約5~7cm、苞の色は緑色から赤紫色です。萼片の形は倒卵形、萼片の色は青または青紫色で基部の花脈間が黄色または白色、萼片の向きは湾曲しながら垂れ下がる。花弁の形は狭倒卵形、花弁の長さ約4~5cm、花弁の色は青色または青紫色、花弁の向きは直立する。雄蕊は雌蕊の裏側にくっつくように隠れてある。雌蕊の花柱の形は花弁状、雌蕊は上部で分裂して柱頭が3個あり、柱頭の向きは外側に広がる。
果実は蒴果、蒴果の形は楕円形で長さは約4~5cm、果実は成熟すると緑色から褐色へと変化して、果皮が三裂して種子を放出します。
アヤメの切り花の楽しみ方
- 収穫タイミング
- 1番上の蕾が開いたばかりの時が一番の収穫タイミングになります。
- 朝の涼しい時間帯もしくは夕方に収穫すると花に十分な水分が含まれているため水揚げしやすいです。
- 水揚げ
- 葉は水揚げを悪くするため必要な分を除いて茎から全て取り外しましょう。
- 水揚げの方法は水切りを行います。
- 花瓶に生ける
- 花瓶に水と延命剤を入れて花を生けましょう。
- 延命剤の効果は高く日持ちが長くなります。
- 日持ちは管理の方法でも左右されますが約7日です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
アイリス(アヤメ)の主な原種と交雑種の紹介
根茎アイリス
ドイツアヤメ(ジャーマン・アイリス)
ドイツアヤメ(ジャーマン・アイリス)の学名はIris × germanica、別名では「ジャーマン・ベアーデッド・アイリス(German bearded iris)」や「ベアーデッド・アイリス(bearded iris)」とも呼ばれる多年草です。
ドイツアヤメ(ジャーマン・アイリス)は原種ではなくニオイアヤメ(Iris pallida)とバリエガーター種(Iris variegata)の自然交雑種と考えられており、原産地は地中海地方にあると考えられています。
ドイツアヤメ(ジャーマン・アイリス)は品種改良が盛んに行われており約6万の品種が作出されていると考えられています。そのため、他のアイリスと比べると花の大きさ・形・色が多種多様です。
ドイツアヤメ(ジャーマン・アイリス)の特徴は、花の萼片の中肋に髭状のモサモサした毛が生えている所、 花の大きさが約8~15cmと大輪で他のアイリスと比べて豪華な見た目をしている所、花弁と萼片の大きさが同程度あり向きが上下に分かれているため遊び心のある優雅な見た目をしている所、花の色が他のアイリスと比べても多くて多彩な所、葉の形が剣形で扇状に広がる所、立ち姿が真っ直ぐとしていて洗練された雰囲気がある所、根茎はオリスルートとも呼ばれており乾燥させるとすみれのような心地よい香りがある所などにあります。
ハナショウブ
ハナショウブの学名はIris ensata var. ensata、別名では「ジャパニーズ・ウォーター・アイリス(Japanese Water Iris)」「ソード・リーブ・アイリス(Sword-Leaved Iris)」「ジャパニーズ・アイリス(Japanese Iris)」等とも呼ばれるハナショウブの変種または栽培種です。
ハナショウブは野生に自生している原種ではありません。江戸時代に野山に自生するノハナショウブを集めて交配・選抜して作出された栽培種です。
ハナショウブは古典園芸として古くから親しまれており、交配された地域によって江戸系・肥後系・伊勢系・長井古種の四パターンに分類されています。また上記の他にも、海外で育種されたものが外国系として扱われており、品種群として購入する際の参考にされることもあるようです。
ハナショウブの特徴は、花が初夏から夏頃に咲く所、野生種のノハナショウブと比較して花の直径が20cmに達する事もあり大きく豪華で花の色が豊富にある所、花弁や雄蕊がノハナショウブと比べて発達している傾向があり華やかな所、 葉の形が細い剣形をしていて中央にある中肋が目立つ所、立ち姿が真っ直ぐとしていて洗練された雰囲気がある所などにあります。
ノハナショウブ
ノハナショウブの学名はIris ensata、別名では「ジャパニーズ・ウォーター・アイリス(Japanese Water Iris)」「ソード・リーブ・アイリス(Sword-Leaved Iris)」「ジャパニーズ・アイリス(Japanese Iris)」等とも呼ばれる多年草です。ノハナショウブの原産地は日本・朝鮮・中国・ロシアにあり、沼地や湿地、湿り気のある草原などに自生しています。
ノハナショウブの特徴は、花が初夏から夏頃に咲く所、栽培種のハナショウブと比較して花弁の幅が狭く繊細な見た目をしている所、垂れ下がる大きな萼片と比べて花弁が小さく目立たない所、花の色が紫色(青紫色)で萼片の基部に黄色の班が入る所、 葉の形が細い剣形をしていて中央にある中肋が目立つ所、立ち姿が真っ直ぐとしていて洗練された雰囲気がある所などにあります。
カキツバタ
カキツバタの学名はIris laevigata、別名では「ラビットイアー・アイリス(rabbit-ear iris)」や「シャロウ・フラワー・アイリス(shallow-flowered iris)」等とも呼ばれる多年草です。カキツバタは日本・朝鮮・中国・ロシアに分布しており、沼地や湿地などの浅瀬に自生しています。
カキツバタの特徴は、水生植物で湿地や池などの浅瀬に自生している所、花の色が青紫色と白色の二色で萼片の基部の中肋に白色の班が入る所、花の大きさが12cm程度と大きくて萼片が垂れ下がるため優雅な見た目をしている所、 葉の形が細い剣形で垂直に立ち上がり、ハナショウブのような目立つ中肋がない所、立ち姿が真っ直ぐとしていて洗練された雰囲気がある所等にあります。
カキツバタは水生植物として水辺などで育てられるため、ビオトープ等に利用されることがあります。
アヤメ
アヤメの学名はIris sanguinea、別名では「アイリス・サングイネア」「ブラッド・アイリス(Blood Iris)」「ジャパニーズ・アイリス(Japanese Iris)」とも呼ばれる多年草です。アヤメの原産地は日本・朝鮮・中国・ロシアにあり、山野の草地などに自生しています。
アヤメの特徴は、花の色が青紫色・黄色・白色の三色で萼片の基部の脈間に黄色と白色の班が入る所、花弁と萼片の向きが上下に分かれているため鳥が羽ばたいているような優雅な見た目をしている所、 葉の形が細い剣形で垂直に立ち上がる所、立ち姿が真っ直ぐとしていて洗練された雰囲気がある所、乾燥に比較的につよく育てやすい所などにあります。
コアヤメ
コアヤメの学名はIris sanguinea、別名では「シベリアン・アイリス(Siberian iris)」や「シベリアン・フラッグ(Siberian flag)」とも呼ばれる多年草です。コアヤメの原産地はヨーロッパおよび中央アジアにあり、草地や牧草地などに自生しています。
コアヤメの特徴は、花の色が青紫色・黄色・白色の三色で萼片の基部の脈間に黄色と白色の班が入る所、花弁と萼片の向きが上下に分かれているため鳥が羽ばたいているような優雅な見た目をしている所、 葉の形が細い剣形で垂直に立ち上がる所、茎は分枝しないか1~3回する所、立ち姿が真っ直ぐとしていて洗練された雰囲気がある所、乾燥に比較的につよく育てやすい所などにあります。
ヒオウギアヤメ
ヒオウギアヤメの学名はIris setosa、別名では「ブリスルポインテッド・アイリス(bristle-pointed iris)」とも呼ばれる多年草です。ヒオウギアヤメの原産地は日本・朝鮮・中国・ロシア、日本では北海道から本州中部以北に分布しており、深山の湿原などに自生しています。
ヒオウギアヤメの特徴は、花が初夏から晩夏頃に咲く所、花の萼片がやや幅広でぽっちゃりとした可愛い見た目をしている所、花の色が紫色で萼片の基部の脈間に白色の班が入る所、 葉の形が一般的なアヤメと比べて幅が広めな所、茎が1~3回ほど分枝する所、立ち姿が真っ直ぐとしていて洗練された雰囲気がある所、湿性植物のため湿り気のある場所を好む所などにあります。
ルイジアナアイリス
ルイジアナアイリスの学名はIris ser. Hexagonae、北アメリカのルイジアナ州とその周辺を生息地域にする、チャショウブ(Iris fulva)・ヘキサゴナ(Iris hexagona)・ブレビカウリス(Iris brevicaulis)・ヒュージアエルレア(Iris hugeaerulea)・ネルソニー(Iris nelsonii)のアイリス属の種のグループです。
ルイジアナアイリスの特徴は、北アメリカのルイジアナ州に自生するアイリス属の五種のグループで構成されている所、花が春から夏頃に咲く所、複数の原種と園芸品種で構成されているため花の形や花の色が多様にある所、立ち姿が真っ直ぐとしていて洗練された雰囲気がある所、湿性植物または抽水性植物のため湿り気のある場所または浅瀬を好む所などにあります。
カンザキアヤメ
カンザキアヤメの学名はIris unguicularis、別名では「アルジェリアン・アイリス(Algerian iris)」とも呼ばれる北アフリカおよび西アジアが原産の多年草です。
カンザキアヤメの特徴は、一般的なアヤメと違い冬に花を咲かせる所、常緑の葉をもっている所、花は香りがとても良い所、花は萼片と花弁の大きさが同程度あり横に広がりながら垂れ下がる所、花の色が青紫色・黄色・白色の三色で萼片の基部の黄色と白色の班が入る所、葉の形が細い剣形で湾曲しながら広がる所、カンザキアヤメは一般的なアヤメと比べて耐寒性が低いため寒冷地などで育てる場合は注意が必要な所などにあります。
イリス・クリスタータ
イリス・クリスタータの学名はIris cristata、別名では「ドワーフクレスト・アイリス(dwarf crested)」や「クレスト・アイリス(crested iris)」とも呼ばれる多年草です。イリス・クリスタータの原産地は北アメリカにあり、山岳の崖地や森林の中や川沿いなどに自生しています。
イリス・クリスタータの特徴は、草丈が10~20cm程度と矮性なため英名ではドワーフアイリスと呼ばれている所、草姿はほふく性で横に広がるためマット状に広がり地被植物になる所、花は萼片と花弁が横に広がりながら垂れ下がる所、花の色がラベンダー色をしていて透明感があり、萼片の基部に白色と黄色の班が入る所などにあります。
満州コアヤメ
満州コアヤメの学名はIris ruthenica、別名では「ドワーフクレスト・アイリス(dwarf crested)」や「クレスト・アイリス(crested iris)」とも呼ばれる多年草です。満州コアヤメの原産地は東ヨーロッパと中央アジアにあり、牧草地や林縁などに自生しています。
満州コアヤメの特徴は、草丈が5~20cm程度にしか成長せず一般的なアイリスと比べて矮性な所、根茎がほふく性に広がり叢生する所、花は萼片と花弁が細くシャープな見た目をしており横に湾曲しながら広がる所、花の色はラベンダー色をしていて、萼片の脈間に白色の班が入る所などにあります。
キショウブ
キショウブの学名はIris pseudacorus、別名「イエロー・アイリス(yellow iris)」や「ウォーター・フラッグ(water flag)」等とも呼ばれる多年草です。キショウブの原産地は西アジアおよびヨーロッパ、日本にも観賞用として明治時代に渡来したものが帰化しており、岸辺や水路や湿地などに自生しています。
キショウブは2024年現在、日本の侵略的外来種ワースト100 指定種、要注意外来生物に指定されており、佐賀県では条例で移入規制種に指定され法的に規制されています。そのため、取り扱いには十分な注意が必要です。
キショウブの特徴は、水生植物で湿地や池などの浅瀬に自生している所、花の色が黄色で萼片の基部に濃いブロッチが入る所、花の大きさが7~10cm程度と大きくて萼片が垂れ下がるため優雅な見た目をしている所、 葉の形が細い剣形で垂直に立ち上がり、中脈が太く隆起している所、繁殖力が強く日本の在来種を駆逐する程に被害をおよぼす可能性がある事から取り扱いには十分な注意が必要な所等にあります。
球根アイリス
ダッチアイリス
ダッチアイリスの学名はiris × hollandica、別名では「アイリス・ホランディカ」とも呼ばれる多年草です。ダッチアイリスは野生に自生している原種ではなく、19世紀にオランダの球根会社(Van Tubergen)によって、スペイン原産のIris xiphium var praecoxとポルトガル原産のIris xiphium var.lusitanica、北アフリカ原産のIris tingitanaが交配されて作出された交雑種です。
ダッチアイリスの特徴は、球根アイリスの中では花が大きく大輪の豪華な花姿が楽しめる所、花の色がとても豊富にあり、萼片の基部に黄色のブロッチのような班が入る所、花は花瓶の中での日持ちがよいため切り花のために栽培される事が多い所、葉の形が細い剣形で垂直に立ち上がる所、立ち姿が真っ直ぐとしていて洗練された雰囲気がある所などにあります。
ミニアイリス・ダンフォルディアエ
ミニアイリス・ダンフォルディアエの学名はiris danfordiae、別名では「ドワーフアイリス(dwarf iris)」や「ダンフォードアイリス(Danford iris)」とも呼ばれるトルコおよびコーカサス地方が原産の多年草です。ミニアイリス・ダンフォルディアエの特徴は、開花は早春から晩春にあり、花の大きさと茎の短さのアンバランスな花姿がクロックスの花を想像させる所、花の色は黄色で基部に褐色の斑点が入る所、花には蜂蜜の甘い香りがある所、葉は断面が四角形で直立に伸びる所、乾燥にとても強いためロックガーデンなどによく利用される所などにあります。
アイリス(アヤメ)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
アヤメの育て方
花壇の土づくり
日当り
アヤメは、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。
そのため基本的には日向で育てる方が良いでしょう。また半日影までで育てる事も出来ますが、日向と比べると花数が少なくなったり、生育が悪くなったりする傾向があります。
- 日向とは、直射日光が6時間以上当たる場所です。
- 半日影とは、直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。また基本的には午前中のみ日が当たり午後から日陰になる場所になります。
- 明るい日陰とは、直射日光が二時間程度まで、または間接光だけが当たるような比較的に明るい場所です。
- 暗い日陰とは、森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
土壌の土質
アヤメは、水捌けがよい土壌であれば土質は殆ど選びません。基本的には通気性と排水性がよく、適度に肥沃な土壌で育てると良いでしょう。
注意することは水捌けの悪い場所で育てたり、粘土質な土壌で育てる事です。水分が停滞するような土壌で育てると根腐れを引き起こして生育不良になったり、枯れたりすることがあります。
そのため、植え付けの前に土壌診断を行い、土壌の通気性を良くしたり、通気性と保水性のバランスを改善したり、腐葉土等の有機物を入れて適度に肥沃な土壌にした方が良いでしょう。
土壌診断と改善の行い方
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土やバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
- PHを測る専用の道具を用意して診断します。※詳しくはPHを診断からご覧下さい。
- 酸性土壌を改善して土壌を中性またはアルカリ性にしたい場合は、苦土石灰を利用します。PHを1上げるのに必要な苦土石灰の量は1平方メートルあたり150g程度です。土壌に苦土石灰を撒いた後は、石灰が塊にならないようによく混和します。
- アルカリ性土壌を改善して酸性に傾けたい場合は無調整ピートモス(PH4程度)を利用しましょう。ピートモスを腐葉土のかわり等に利用して、よく混和しましょう。
植付け方法
- 植え付け時期
- 植え付け適期は2月~3月頃または花後の6月~7月頃になります。
- 植付け間隔
- 植付け間隔は30~50cm程度離します。
- 根茎は成長点(葉の位置)の方に向かって広がるため、根茎と根茎は同じ方向に向けて並べましょう。
- 植え方
- 根茎を地面に水平に置いたら、根茎の成長点(葉の位置)が地面から出るように調節して、根茎の残りの部分は表面が隠れる程度に穴を掘ります。
- 根茎を穴の中に水平に置いて、根茎の成長点を地表に出し、残りの部分に土をかぶせます。根茎を深植えすると、腐敗する原因にもなるため、必ず根茎が半分程度でるか、表面が隠れる程度の浅さで埋めましょう。
鉢土づくり
日当り
アヤメは、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。
そのため基本的には日向で育てる方が良いでしょう。また半日影までで育てる事も出来ますが、日向と比べると花数が少なくなったり、生育が悪くなったりする傾向があります。
培養土
アヤメの培養土は、一般的な草花の培養土を選ぶと良いでしょう。
自作する場合は通気性・排水性が高めのバランスが良い培養土を作ると良いでしょう。
培養土の配合例
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=7:3
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
植付け方法
- 植え付け時期
- 植え付け適期は3月~4月頃または花後の6月~7月頃になります。
- 植付け間隔
- 根茎は成長点(葉の位置)の方に向かって広がるため、そちらにスペースをあけるようにして植え付けます。
- 植え方
- 根茎を地面に水平に置いたら、根茎の成長点(葉の位置)が地面から出るように調節して、根茎の残りの部分は表面が隠れる程度に穴を掘ります。
- 根茎を穴の中に水平に置いて、根茎の成長点を地表に出し、残りの部分に土をかぶせます。根茎を深植えすると、腐敗する原因にもなるため、必ず根茎が半分程度でるか、表面が隠れる程度の浅さで埋めましょう。
水やりの仕方
アヤメは、乾燥に強い植物のため水やりの頻度は少なめな植物です。一方で、過湿を苦手にしており、土がジメジメとした状態が続くと、根茎が腐敗することがあります。そのため、水やりの頻度には注意が必要でしょう。
植え付け後
アヤメは、乾燥に強い植物ですが、植え付け後から定着までは定期的な水やりが必要です。
定着までは、基本的には土の表面から奥にかけて約2cm~5cmが乾いてきたら、水やりを行うといいでしょう。
地植え
アヤメは乾燥にとても強い植物のため、地植えしている場合は水やりを殆ど必要としません。
ただし、生育が活発な時期や、雨が長く降らない時などは必要に応じて水やりが必要になります。その場合は土の表面から奥にかけて約2cm~5cmが乾いてきたら、水やりを行うといいでしょう。
鉢植え
アヤメを鉢植えで育てる場合は、地植えと比べて土の乾燥が早くなるため注意が必要になります。そのため、水やりの頻度は地植えと比べて多くなります。
水やりのタイミングは、基本的に土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで行うといいでしょう。水やりの量は、土壌内に新鮮な酸素を行き渡らせる目的もあるため、一度に与える水の量はたっぷりと与えてください。
肥料の与え方
アヤメは、適した季節に適量の肥料を与えることで、成長を促進させる効果があります。
また土壌の中にある程度の肥沃さがあれば肥料を与えなくても育てることが可能です。
気をつけることは、肥料(窒素)を与え過ぎてしまうことです。肥料(窒素)が多過ぎると、株は軟弱に育ち病気にかかりやすくなり、また葉ばかりが茂るようになり、花が咲きにくくなります。
そのため、肥料は正しい季節に正しい量を与えるようにしましょう。
肥料の与え方
- 肥料を与える時期
- 三月から四月いっぱいの間で肥料を定期的に与えます。
- 追肥の選び方
- 基本的には球根用の肥料がおすすめです。また一般的な化成肥料または液肥を利用することも出来ます。
- 肥料の成分はカリとリンが多めに入る製品を選びます。窒素が多い製品はさけましょう。
- 肥料の与え方
- 液体肥料を与える場合は、規定された分量で希釈して、約10~14日の頻度で、水やりと一緒に液肥も与えましょう。
- 化成肥料(固形肥料)を与える場合は、規定された分量を規定された頻度で与えます。基本的には置き肥のため、株から少し離れた場所に与えるようにしましょう。また、水やりの際に、きちんと肥料が解けるように水を肥料に当ててください。
剪定のやり方
アヤメの剪定は、花がら摘みを行います。
花がら摘み
花がら摘みとは、花色が悪くなったり花の外観が崩れたりした咲き終わりの花を摘み取る事です。
花がら摘みを行う事で、花がらを摘む事で、腐敗した物が好きな灰色カビ病などの病気が予防出来たり、外観が良くなったりする効果があったりします。
花がら摘みのやり方
花は特段理由がない限りは個別に摘む必要はありません。
一般的に茎の上部に花を2~3個つけますが、この花の開花が終わったら、葉の上まで戻り茎を剪定しましょう。葉は成長に必要なエネルギーを補充するのに役立つため、残しておきます。
挿し木や株分けで増やす
アヤメは株分けによって増やす事ができます。
株分けの方法
- 株分けに適する時期
- 株分けの頻度は三年から五年ごとに行います。※鉢植えで育てている場合は一年から二年ごとにおこないましょう。
- 株分け時期は二月から三月または花後の六月から七月頃です。
- 株を掘りあげる
- 株をスコップで掘りおこし、土を軽く落として根茎の広がりと芽(葉)の位置を確認します。
- 株を分割する
- 根茎に芽を付けて、園芸用のハサミまたはナイフを使って株を分割しましょう。
- 葉のカット
- 葉が大きい場合は吸水と蒸散のバランスをとるために、根元から10cm程度の場所で葉をカットします。
- 株分け後の管理
- 切り離した株は、そのまま土壌に植え付けましょう。植え付け方に関しては植付け方法をご覧下さい。