原産:西・中央ヨーロッパ
科:マメ(Fabaceae)
属:エニシダ(Cytisus)
種:エニシダ(scoparius)
別名:コモン・ブルーム(common broom)/スコッチ・ブルーム(Scotch broom)
品種:ホオベニエニシダ(Cytisus scoparius ‘Andreanus’)
開花時期:4月~6月
花の色:黄色●橙色●
葉色:緑色●
分類:落葉低木
草丈:約150cm
誕生花:3月12日/3月30日/4月14日
花言葉:「謙遜」「卑下」「清潔」
用途:
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ホオベニエニシダはコロコロとした可愛らしい花と、翼弁の片面が橙色となり、ハッキリと分かれる橙色と黄色の2色の鮮やかな花色が魅力の園芸品種です。鮮やかな黄色と橙色の2色の花色は、非常にポジティブで社交的な雰囲気わやつくり、対比を活かして赤色や青色の花や葉を取り入れるとポップでカラフルなお庭になります。
開花時期は春から初夏、花色は黄色と橙色、個々の花は蝶形、花序は総状花序に咲きます。樹形はブッシュ状で非常に枝分かれがよく、分かれた枝が放射状に広がり高さ約150cm × 幅は約150cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は単葉もしくは三出複葉して小葉は倒卵形、葉序は互生葉序につきます。
エニシダとは!?
エニシダは学名Cytisus scoparius、単に「エニシダ」と呼ぶ場合はこの種をさしており、別名では「コモン・ブルーム(common broom)」や「スコッチ・ブルーム(Scotch broom)」とも呼ばれる西・中央ヨーロッパ原産の落葉低木です。
エニシダの語源(由来)
- 属名のCytisusの由来は、幾つかのマメ科植物の名前に使われていたギリシア語の「kytisos」からきています。
- 種小名のscopariusはラテン語で「ほうき」を意味する「scopa」と、接尾辞の「-arius」の2語からなり、ほうきの様な樹形をしている事に由来します。
- 英名の「common broom」は「common(一般)」の「broom(エニシダ)」を意味しています。他にもbroomの名で呼ばれる植物はエニシダ属の仲間や別属のヒトツバエニシダ等がありますが、恐らく一般的にbroomと言うとエニシダ(Cytisus scoparius)をさすことが多いと言うことです。
エニシダの特徴(魅力)
- エニシダは主茎から細く長い枝が何本も出て「箒(ほうき)」に例えられるふさふさとした樹形をつくります。
- ↳細い枝とは対象に主茎は直径5cmの太さになる事があります。
- 色鮮やかな黄色の花は枝を覆うほどに咲きほこり
- ↳遠くからでも非常に目立つため美しい景観をつくります。
- 葉は非常に小さく1年を通して少ないため花が終わると枝のみの様なシルエットが作られます。
- ↳そのため生垣などで利用した場合は目隠し効果がうすいです。
- ↳葉の最も多い時期は一般的に開花期の5月です。
- エニシダは窒素固定菌と共生しており栄養の乏しい土壌でも問題なく育ちます。
- 1度定着すると乾燥にも非常に強くなるため放ったらかしでも育てられます。
- ↳ ただし一般的な低木の中では寿命が10年程度と短いです。
- ↳そのため株の更新もかねて挿し木を取っておくとよいでしょう。
- ↳親と違う性質(花が橙色等)で問題なければ種から増やす事も可能です。
エニシダの茎の色は緑色、茎は非常に枝分かれがよく放射状(四方八方)に長く伸びて広がるため箒を思わせるふさふさした樹形をつくり、高さは約120(~400)cm、幅は約120(~400)cmの間で成長します。葉は茎に対して互生葉序に配置され、葉色は緑色で白色の毛が生えており、葉身は三出複葉もしくは単葉で、小葉は倒卵形をしており長さ約0.5(~2.0)cm幅約0.1(0.8)cmの大きさです。花序は総状花序で葉腋に1(~2)個の花をつけ、個々の花は黄色もしくは橙色の花弁が5個(旗弁1個・翼弁2個・竜骨弁2個)ある蝶形花です。花後の果実(豆果)は扁平な楕円形な形をしており長さ約2.5(~7.5)cmあり白色の毛が密生しています。
エニシダの栽培方法
園芸では、ほうきに例えられるふさふさとした個性的な樹形や、枝を覆い尽くすほどに一斉に開花する色鮮やかな黄色の花を鑑賞する目的で育てられる事が多いです。一般的に花壇や植え込みの中で十分なスペースをとり花木として楽しまれる事が殆どです。生垣として利用される事もありますが、枝が奔放に伸びるため邪魔になったり葉が少ないため目隠し効果がなかったりします。
エニシダを育てる際に注意する事は「ジメジメとした多湿」です。基本的には乾燥に強く肥料も殆ど必要としないため、理想的な環境では放ったらかしで育てる事も出来ますが、長雨等でジメジメした環境が続くと多湿で枯れてしまう事もあります。そのため長雨に当たらない様にしたり、土壌の排水性を高めておくなどの対策も必要になるでしょう。
エニシダの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
エニシダの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
ホオベニエニシダの育て方
花壇の土づくり
ホオベニエニシダは日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。一方で日当たりの悪い場所では花の数が減ったり茎が徒長する傾向にあります。そのため植える場所は、直射日光が6時間以上当たる日向に植えましょう。また3時間~5時間の半日影まで許容します。
ホオベニエニシダの土は何より排水性と通気性の良さが優先されます。栄養の乏しい土壌でも問題なく育ち、有機物の豊富に入る肥沃な土壌は不要です。植付けの前に土壌診断を行い、必要に応じて通気性を高めるパーライトや軽石等を入れ、肥沃さや膨軟性を高めるバーク堆肥等の改良用土を入れて土壌を改善しましょう。
鉢土づくり
ホオベニエニシダは日当り好むため直射日光が6時間以上当たる日向で管理しましょう。
培養土は通気性の高い草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性が良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
培養土の例
- 赤玉土4割+鹿沼土3割+腐葉土3割+元肥(適量)
水やりの仕方
ホオベニエニシダは基本的には乾燥に強いですが、根がしっかり張り株が確率するまでは土壌が感想してきたらしっかり水やりをおこないましょう。
地植えしたものがしっかり根付くと、基本的には降水のみで育てられます。
鉢植えで育ててたり、降水がなく乾燥が何日も続いたりする場合等は、土の表層が乾いてきたタイミングで水やりを行いましょう。
肥料の与え方
ホオベニエニシダは土壌に適度に有機物が入っていれば基本的に肥料を必要としません。
肥料の与え方
- 地植えで育てている場合は基本的に不要です。
- 鉢植えで育てている場合は土壌から栄養がなくなりやすいため、必要に応じて春と秋に緩効性肥料を与えます。
剪定のやり方
ホオベニエニシダは基本的に剪定不要ですが、年々に大きくなる傾向にあるため形を整えたり大きさを制御する目的で剪定される事もあります。
ホオベニエニシダの剪定手順
- ホオベニエニシダを剪定する場合は翌年の開花に影響を与えてしまうため、開花後直ぐに行います。
- 剪定は損傷した枝や枯れた枝をまず、取り除きましょう。
- 次に古い枝を中心に、混雑して重なり合う枝を剪定(間引き)します。
- ↳樹形のバランスを見ながら行うといいでしょう。
- 基本的にはこれで十分ですが、形を整える目的で全体を軽く切り戻す事も出来ます。
夏越しする方法
ホオベニエニシダは夏の暑さの中でも問題なく成長しますが、長雨等により過湿が続くと根腐れを起こし株が弱る事があります。
ホオベニエニシダの夏越し対策
- 地植えする場合は長雨にあたりにくい場所に植えてあげるのも1つの対策です。
- 鉢植えで育てている場合は軒下等に移動して雨に当てない工夫をするといいでしょう。
- 土壌の排水性を高め浸水したり水分が停滞しないようにしておく事も大切です。
冬越しする方法
Hardiness:5b~8a
ホオベニエニシダは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にありません。
挿し木や株分けで増やす
ホオベニエニシダは挿し木により増やす事ができます。
ホオベニエニシダの挿し木手順
- ホオベニエニシダの挿し木時期は生育が活発で発根力が高い夏から晩夏が適します。
- 挿し穂は今年成長した部分を利用します。
- ↳長さ約7~10cmでカットしましょう。
- 上部の葉を残して株の葉を取り除きます。
- 水を入れたコップに30分程浸けて水揚げを行いましょう。
- 水揚げしたら挿し穂をコップから出して、湿らせた培養土に挿して下さい。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
エニシダの種蒔の方法
播種時期:3月~4月
発芽適温:約15~20度
発芽日数:14~28日
発芽条件:硬実種子
エニシダは硬実種子のため、水を吸収しにくい構造をしています。水が吸収されない状態は休眠状態にあり発芽する事はありません。
そのため一般的には、発芽促進処理を行った後に種を撒きます。これを行わないと発芽率が極端に落ち、また発芽までの期間が不規則になります。
エニシダの種まき手順
- エニシダの硬実種子に吸水させる方法は幾つかあります。
- ①容器に種を入れて約70度のお湯を注ぎます。
- ↳その後、12~24時間浸しておきます。水分が吸水された場合は種子が膨張するため、播種する準備が整っています。
- ②種子をナイフで刻むか、サンドペーパーで擦り物理的に硬い種皮を処理します。
- ↳処理が終わったら冷水に数時間~24時間浸しておきます。水分が吸水された場合は種子が膨張するため、播種する準備が整っています。
- 処理した種は播種する準備が整いました。
- 種を撒くための土を準備します。ポットに撒く場合は種まき用の培養土を準備して、直播きする場合は土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に軽く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、必ず土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
エニシダの病気
- 疫病
エニシダの害虫
- アブラムシ