- 原産:南ヨーロッパ/南西アジア
- 科:ミズキ(Cornaceae)
- 属:ミズキ(Cornus)
- 種:セイヨウサンシュユ(mas)
- 別名:コーネリアン・チェリー(Cornelian cherry)/ヨーロピアン・コーネル(European cornel)
- 開花時期:2月~4月
- 果実時期:8月~10月
- 花の色:黄色●
- 葉色:緑色●黄色●白色〇
- 分類:落葉高木
- 草丈:約500~1200cm
- 用途:カラーリーフ
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
セイヨウサンシュユとは!?
セイヨウサンシュユは学名Cornus mas、別名では「コーネリアン・チェリー(Cornelian cherry)」や「ヨーロピアン・コーネル(European cornel)」とも呼ばれる南ヨーロッパおよび南西アジアが原産の落葉高木です。
セイヨウサンシュユの語源(由来)
- 属名のCornusはラテン語で「角」を意味する「cornu」に由来しています。
セイヨウサンシュユの特徴(魅力)
- セイヨウサンシュユは、グミに似た赤色(黄色)の果実が食用もしくは薬用とされるため、これを収穫する目的で栽培される事が多い植物です。また晩冬から早春に咲く黄色の花は枝を覆うように咲き美しい景観をつくるため庭木としても魅力的です。
- セイヨウサンシュユは、花(花序)の基部に花弁のように見える苞葉があり、本物の花は雄蕊のような外観をしており散形花序に付きます。
- セイヨウサンシュユは開花が早く葉が展開する前の晩冬辺りから花が咲くため葉に邪魔される事なく美しい花を鑑賞する事ができます。
- 木を覆うように咲く黄色の花は、開放的で明るい印象を与えるため、気分が向上する様な爽やかで明るいお庭や、様々な花色を組み合わせたカラフルなお庭などにおすすめです。
- 果実は長球形で赤色もしくは黄色をしており「グミ」のような外観をしています。
- 果実は食用ですが酸っぱいため生食される事は殆どなく、一般的にジャムやジュースなどに加工した後に食べられます。またサンシュユと同様に薬用植物としても利用されています。
- 果実は鳥にとって貴重な食料源となっているため、木に集って赤色の果実を食べるメジロ・エナガ等の鳥の姿を観察する事が出来ます。
- 葉はふつう緑色ですが、明るく爽やかな印象を与える黄色の葉色などもあるため、品種を選びカラーリーフとして楽しむこともできます。
- 葉は冬になると落葉しますが、落葉前の秋になると赤色もしくは紫色か橙色か黄色へと変わり紅葉するため美しい景観をつくります。
セイヨウサンシュユの樹高は約500(~1200)cm、樹皮は赤褐色もしくは淡褐色をしており、成熟すると粗く鱗状に剥がれ斑模様をつくる事があります。
葉序は対生葉序、葉色は緑色、葉身の大きさは長さ約4(~10)cm、幅約2(~4)cm、葉身の形は楕円形もしくは卵形、葉は秋になると赤色(~赤紫色)や橙色や黄色に紅葉して後に落葉します。
花序は散形花序、散形花序は10(~25)個の花が集まり、花序の基部には4個の黄色の苞葉があります。花の大きさは直径約0.5(~1)cm、花弁は4個、花弁の色は黄色、雄蕊は4個、雌蕊は1個あります。
果実は核果(薄い外果皮・多肉質な中果皮・殻状の硬い内果皮がある)、核果は長さ約2cm、幅約1.5cmの長球形、色は赤色もしくは黄色をしています。
セイヨウサンシュユの収穫時期や食べ方の紹介
食用部分:果実
収穫時期:10月~11月
食べ方:ジャム・ジュース・お茶・果実酒等
セイヨウサンシュユの食べ方
セイヨウサンシュユは一般的に果実の果肉部分が食用にされます。晩秋頃に赤く実るセイヨウサンシュユの果実を収穫します。収穫した果実を水洗いして、沸騰したお湯の中に数分間浸します。お湯から果実をあげて果実の中の種子を取り出します。種子を取り出したら果実の方を天日干しします。※天日干しする事で薬効のある精油の流出を抑える働きがあります。
乾燥させたセイヨウサンシュユの果実(ドライフルーツ)は、お湯の中に数個いれてお茶を作るのに利用されたり、スープの中に入れられて食べられます。
セイヨウサンシュユの果実の食べ方(ジャム)
- 必要な物を準備します。
- セイヨウサンシュユの果実・砂糖(グラニュー糖等)・レモン果汁・瓶(殺菌済)
- セイヨウサンシュユの果実を水洗いします。
- 鍋の中に果実を入れ果実に対して2分の1の砂糖をまぶし1時間程度おきます。
- 例:果実200gなら砂糖100g
- 鍋を火にかけて弱火でセイヨウサンシュユの果実をかき混ぜながら沸騰させます。
- 煮詰めすぎると風味がなくなるため果実が柔らかくなったら火を止めます。
- 鍋からザルの方にセイヨウサンシュユを移し果肉を濾します。
- 濾したら再度鍋の中に入れてレモン果汁をお好みの量(大さじ1程度)いれましょう。
- 鍋を弱火にかけとろみが出てきたらジャム完成です。
- 殺菌した瓶等に保存して必要な時に取り出し食べましょう。
セイヨウサンシュユの園芸品種
- ゴールデングローリー(cornus mas ‘golden glory’)は、一般的なセイヨウサンシュと比較して多花性の性質があるため、開花期には木を覆うように咲き誇る圧巻の景観をつくります。また沢山の果実を実らせる魅力的な園芸品種です。樹高は約300~600cmに成長します。
- バリエガータ(cornus mas ‘variegata’)は、葉のふち部分に白色もしくは薄い黄色の班(覆輪)が入るため、花のない時期も洗練された印象や明るく輝くような雰囲気をつくるカラーリーフとして楽しめる園芸品種です。また他のセイヨウサンシュと同様に晩冬には黄色の花が咲き、秋には赤色に葉が紅葉します。樹高は約300~600cmに成長します。
- オーレア(cornus mas ‘aurea’)は、葉全体が鮮やかな黄色の葉色をしているため、開放的で明るい印象を与えるカラーリーフとして楽しめる園芸品種です。また他のセイヨウサンシュと同様に晩冬には黄色の花が咲き、秋には赤色に葉が紅葉します。樹高は約300~600cmに成長します。
ミズキの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ミズキの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
セイヨウサンシュユの育て方
花壇の土づくり
日当たり
セイヨウサンシュユは日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。ただし夏の強い日差しで葉焼け(葉の先端や縁部分等が褐色に変色して萎れや落葉を招く症状)する事もあるため、環境に合わせて直射日光が6時間以上当たる日向、もしくは3時間から5時間の半日影で育てましょう。
土壌の土質
セイヨウサンシュユは通気性と保水性のバランスがよく肥沃な壌土を好みます。基本的には幅広い土壌で育てる事が出来ますが、粘土質な土壌は生育不良を引き起こす可能性があるため避けた方がよいでしょう。植え付け前にしっかり土壌診断を行い、通気性と保水性のバランスがよく肥沃な壌土に改善してから植え付けを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
セイヨウサンシュユは日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。ただし夏の強い日差しで葉焼け(葉の先端や縁部分等が褐色に変色して萎れや落葉を招く症状)する事もあるため、環境に合わせて直射日光が6時間以上当たる日向、もしくは3時間から5時間の半日影で育てましょう。
培養土
セイヨウサンシュユは一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
地植え
セイヨウサンシュユを地植えしている場合は基本的には降水のみで育てられます。雨が降らず極端に乾燥が続く場合は必要に応じて散水しましょう。
鉢植え
セイヨウサンシュユを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
セイヨウサンシュユは適度に肥沃な土壌であれば多くの肥料は必要ありません。毎年一度、晩冬から早春の間に肥料と土質を改善する堆肥を与えましょう。
肥料の与え方
- 寒肥は晩冬から早春に与える肥料です。
- 肥料の種類は、肥沃な土を好むため有機肥料(配合肥料)が理想ですが、緩効性肥料でも問題ありません、成分は水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)を選びましょう。
- 寒肥は株元から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れるか置き肥しましょう。
- 有機肥料の場合は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離した場所に穴を掘り肥料を与えた方が良いでしょう。
- 緩効性肥料の場合は株の近くの土の上に置く、置き肥で問題ありません。
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
- 堆肥は寒肥を与える時期(初冬から早春の間)に、寒肥と一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って堆肥を埋めましょう。
剪定のやり方
セイヨウサンシュユは基本的に剪定を必要とせず、自然樹形で育てます。剪定する目的は樹形を整える目的だったり、不要な枝を落として健康な枝に栄養を集中させて健康な成長を促す事にあります。ただし剪定が多くなると花芽を落とす事になるため、剪定のやり方や量には注意が必要です。
庭木として剪定する方法
- 剪定する時期は晩冬に1回行います。
- 株全体を観察して枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎を探して、これを根元から間引き剪定して取り除きます。
- 何故ならこれらの茎は日当りや風通しを阻害したり、健康に成長している茎に悪影響を及ぼしやすいからです。
- 株全体のバランスを見ながら、枝が混み合っている場所の枝を間引き剪定したり、外観を崩す不要枝を間引き剪定します。
- 枝が混み合っていると風通しや日当たりを悪化させる事があります。そのため生産性の落ちた古い枝や、弱い枝などの不要と思われる枝を根元から間引き剪定、もしくは枝の途中の節や芽のある場所から切り戻し剪定しましょう。
- 外観を崩す不要枝とは自然に反して、枝(下がり枝)が下向きに成長したり、ふつうとは逆方向に成長したりする枝などです。※詳しくは不要枝のリンクからご覧下さい。これらの枝は外観を崩すだけでなく、エネルギーの分散を引き起こし、健康に成長してる枝のエネルギーを奪ってしまいます。また不要枝は自然な成長に反して育っているため自然淘汰されて枯れてしまう事もおおいです。そのため株全体のバランスも見ながら根元から間引き剪定しましょう。
播種で増やす
セイヨウサンシュユの種蒔の方法
播種時期:9月~11月・3月~4月
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
種まき手順
- セイヨウサンシュユを種から増やす場合は完熟した果実を採取します。
- 採取した果実から種子を取り出し一晩水に漬けます。
- 播種の準備が整ったら直ぐに種を土に撒きましょう。
- 春に種を撒く場合はポリ袋の中にやや湿らせたバーミキュライトと種を入れ、冷蔵庫(約4度)の中で約3ヶ月保管して寒さを経験させます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- そのあと種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。