原産:中国
科:バラ(Rosaceae)
亜科:サクラ(Amygdaloideae)
属:ボケ(Chaenomeles)
種:カリン(sinensis)
別名:カラナシ/カリントウ/アンランジュ/キボケ/チャイニーズ・クインス(Chinese Quince)
開花時期:3月~5月
果実時期:9月~10月
花の色:赤色●桃色●白色〇
葉色:緑色●
分類:落葉高木
草丈:約500~1000cm
誕生花:11月1日/11月21日
花言葉:努力/優雅/豊麗/唯一の恋/可能性がある/豊かで美しい
用途:
目次 | ||
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
カリンとは!?
カリンは学名Chaenomeles sinensis、別名では「カラナシ」や「チャイニーズ・クインス(Chinese Quince)」等とも呼ばれる中国原産の落葉高木です。
カリンの語源(由来)
- 属名のChaenomelesは古代ギリシャ語で「口をあける」「あくび」を意味する「χάσκω(kháskō)」と、古代ギリシャ語で「リンゴ」を意味する「μῆλον(mêlon)」の2語からきています。
- 種小名のsinensisは「中国の」を意味しており自生地に由来しています。
- 和名カリンの由来は材の木目が、三味線の胴や座卓に使われる、唐木の花櫚に似ている事からきています。
カリンの特徴(魅力)
- カリンは一般的に「洋梨」のような外観の食用となる果実を実らせる事で知られており、斑模様の美しい樹皮も魅力的な植物です。
- 樹形は根元から上部まで、幹がふつう1本の単幹で最大1000cmに高さまで成長する高木です。
- 樹皮は淡褐色から灰褐色をしており、樹皮は古くなると鱗片状に剥がれるため、鑑賞価値のあるまだら模様の美しい外観となります。
- 花は単生(単独で花がつく)で、丸みを帯びたコロンとした外観の花姿をしており、可愛らしい印象を与える桃色の花を咲かせます。
- 花冠はノイバラなどでよく見られるバラ形花冠をしており、花弁が外側に膨らみ皿状になる所が特徴です。
- カリンの果実は秋頃に実り、緑色から成熟すると黄色へとかわり、芳しい匂いを放ちます。
- 果実は食用として利用される事もありますが、生では硬く渋みがあるため、果実酒やジャム等に加工した後に食べられます。
- また果実は木瓜(和木瓜)と呼ばれる生薬としても知られています。
- カリンは夏の暑さ冬の寒さに強いです。
- また地植えしている場合は水やりも肥料も基本的に不要になるため放ったらかしで育てる事も可能です。
カリンの樹高は500(~1000)cm、樹形はふつう単幹(根元から上部まで幹が1本)で枝は斜上します。樹皮の色は淡褐色もしくは灰褐色、樹皮は滑らか、古くなると鱗片状に剥がれ斑模様になる事があります。
葉序は互生葉序、葉色は緑色、葉身の大きさは長さ約5(~8)cm、幅約3.5(~5.5)cm、葉身の形は楕円形でふち部分に鋸歯があり、葉の基部には楕円形の托葉があります。
花序は単生、花はバラ形花冠(5枚の花弁が浅い皿状に開きます)、大きさは直径約2.5(~3.5)cm、花弁は5個、花弁の色は桃色、雄蕊は多数、雌蕊1個がつきます。
果実はナシ状果(偽果とも呼ばれており、子房を包む花托が肥大して多肉質になり果実の大部分を占める)、ナシ状果の形は楕円形、大きさは長さ約10(~15)cm、色は熟すにつれ緑色から黄色になり、良い香りがあります。
カリンの収穫時期や食べ方の紹介
- 食用部分:果実
- 収穫時期:9月~10月
- 食べ方:ジャム・蜂蜜漬け・果実酒
- 主要成分:ビタミンC・タンニン・クエン酸・ポリフェノール等
- 効能:咳止め・抗菌作用・抗炎症作用・整腸作用等
カリンの食用部分
カリンは果実の果肉部分が食用にされます。ただし生のままでは硬く酸っぱいため生食には向きません。そのためジャムや果実酒など加工した後に食べられるのが一般的です。
カリンの果実の食べ方(ジュレジャム)
- 必要な物を準備します。
- カリンの果実(例200g)・砂糖(例100g)・レモン果汁(適量)・瓶(殺菌済)
- カリンの果実の下処理を行います。
- 果実を水洗いします。
- 果実を柔らかくするためサランラップで果実を巻き600wの電子レンジで3分程度加熱します。
- 包丁で果実の皮を剥き縦に切り分けます。
- スプーンを使い中の種を取り出しお茶パックに入れ別途保存します。
- 包丁で果実(果肉)を小さくカットします。
- 鍋の中に果肉と袋に入れた種(トロミ成分)を入れて水を果肉が隠れる程度まで注ぎます。
- 果肉が柔らかくなるまで30分程度煮詰めます。
- 果肉を十分煮詰めたらザルで濾し煮汁と果肉(別途保存)に分けます。
- 鍋に煮汁を戻します。
- 煮汁の重さに対して2分の1~3分の1程度の砂糖を入れます。
- レモン果汁を適量(大さじ1)いれます。
- 鍋の中で煮汁を煮詰めていきます。
- 色に赤みが出てトロミが出てきたら完成です。
- 殺菌した瓶に保存して必要な時に取り出し食べましょう。
カリンの果実の食べ方(果肉ジャム)
- ジュレジャムで使った果肉の重さを計りミキサーの中に入れます。
- ミキサーの中に果肉の重さの半分程度の砂糖を入れます。
- 果肉が滑らかになるまでミキサーでかき混ぜます。
- ミキサーから滑らかになった果肉を取り出します。
- 裏漉し用の網を使い果肉を濾します。
- 鍋に果肉を戻し焦げないように木べらでかき混ぜながら弱火にかけます。
- 3~5分程度煮詰めたら完成です。
- 殺菌した瓶等に保存して必要な時に取り出し食べましょう。
カリンの園芸品種
ボケの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ボケの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
カリンの育て方
花壇の土づくり
日当たり
カリンは日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。そのため基本的には直射日光が6時間以上当たる日向もしくは、午前中のみ日が当たる半日影で育てましょう。
作土層
カリンがしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。深さ約30cmまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
カリンは通気性と保水性のバランスがよく肥沃な壌土を好みます。基本的には幅広い土壌で育てる事が出来ますが、粘土質な土壌は生育不良を引き起こす可能性があるため避けた方がよいでしょう。植え付け前にしっかり土壌診断を行い、通気性と保水性のバランスがよく肥沃な壌土に改善してから植え付けを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
カリンは日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。そのため基本的には直射日光が6時間以上当たる日向もしくは、午前中のみ日が当たる半日影で育てましょう。
培養土
カリンは一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+鹿沼土(小粒)+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
生育初期
カリンは、活着するまでの生育初期は茎葉が萎れやすいため、土が乾燥しないように水やりをしっかり行いましょう。活着後は、ある程度の干ばつに耐えるほど乾燥に強くなります。
地植え
カリンは乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。ただし土の中に指を入れて湿り気がない場合、葉や茎が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
カリンを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。ただし水やりを行い過ぎてジメジメとした環境が続くと根腐れしてしまうため、土が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
カリンは有機物を含んだ肥沃な土壌であれば多くの肥料を必要としません。必要に応じて毎年晩冬から早春に1回、肥料(寒肥)と土質を改善する堆肥を与えましょう。
- 寒肥は晩冬から早春に与える肥料です。
- 肥料の種類は、肥沃な土を好むため有機肥料(配合肥料)が理想ですが、緩効性肥料でも問題ありません、成分は水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)を選びましょう。
- 寒肥は株元から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れるか置き肥しましょう。
- 有機肥料の場合は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離した場所に穴を掘り肥料を与えた方が良いでしょう。
- 緩効性肥料の場合は株の近くの土の上に置く、置き肥で問題ありません。
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
- 堆肥は寒肥を与える時期(初冬から早春の間)に、寒肥と一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って堆肥を埋めましょう。
おすすめの肥料
剪定のやり方
カリンは一般的に花や実を楽しみながら庭木として育てられます。基本的には剪定を必要としませんが、必要に応じて健康な成長を乱す枝や樹形を乱す枝などを剪定しましょい。
- 剪定する時期は晩冬(1月~2月)に1回行います。
- 株全体を観察して枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎を探して、これを根元から間引き剪定して取り除きます。
- 何故ならこれらの茎は日当りや風通しを阻害したり、健康に成長している茎に悪影響を及ぼしやすいからです。
- 基本的には剪定しなくても問題ないですが、必要に応じて株全体のバランスを見ながら、外観を崩す不要枝を間引き剪定したり、著しく枝が伸びて外観を崩している徒長枝を切り戻し剪定ましょう。
- 外観を崩す不要枝とは自然に反して、枝(下がり枝)が下向きに成長したり、ふつうとは逆方向に成長したりする枝などです。※詳しくは不要枝のリンクからご覧下さい。これらの枝は外観を崩すだけでなく、エネルギーの分散を引き起こし、健康に成長してる枝のエネルギーを奪ってしまいます。また不要枝は自然な成長に反して育っているため自然淘汰されて枯れてしまう事もおおいです。そのため株全体のバランスも見ながら根元から間引き剪定しましょう。
- 徒長枝とは他と比べて著しく長く伸びてひょろひょろと間延びする枝のことです。植物は基本的に頂芽優勢の性質があり、枝が間延びして外観を崩しやすいです。そのため必要に応じて枝の途中(芽・節がある場所の少し上)で切り戻す剪定を行って上げましょう。
おすすめの剪定鋏
播種で増やす
カリンの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
カリンの種まき手順
- カリンを種から増やす場合は完熟した果実を採取します。
- 採取した果実を水の中で洗いながら発芽を抑制する果肉を種から綺麗に取り除きます。
- 果肉を取り除いた種子は直ぐに土に撒きましょう。