
- 原産:日本
- 科:ヒノキ(Cupressaceae)
- 属:ヒノキ(Chamaecyparis)
- 種:ヒノキ(obtusa)
- 別名:ジャパニーズ・サイプレス(Japanese cypress)/ヒノキ・サイプレス(hinoki cypress)
- 品種:コンパクタ(chamaecyparis obtusa ‘compacta’)
- 開花時期:4月
- 花の色:緑色●黄色●
- 葉の色:緑色●
- 分類:常緑高木
- 草丈:約750cm
- 誕生花:11月15日
- 花言葉:不老/不死/不滅/強い忍耐力
- 用途:コニファー/カラーリーフ
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ヒノキ・コンパクタとは!?
ヒノキ・コンパクタは高さが最大750cmまでと一般的な主と比べて背が低いため庭でも育てやすく、また円錐形になる樹形が洗練された雰囲気をつくる魅力的な園芸品種です。
ヒノキとは!?
ヒノキは学名Chamaecyparis obtusa、別名では「ジャパニーズ・サイプレス(Japanese cypress)」や「ヒノキ・サイプレス(hinoki cypress)」とも呼ばれる日本原産の常緑高木です。日本の分布は本州・四国・九州で、山地に自生しています。
ヒノキの語源(由来)
- 属名のChamaecyparisは古代ギリシア語で「地球上」や「地面の上」を意味する「χαμαί(khamaí)」と、古代ギリシア語で「ヒノキ」を意味する「κυπάρισσος(kupárissos)」の2語からきています。
- 種小名のobtusaはラテン語で「鈍形」や「鈍角」を意味しており、恐らく葉の先が尖らず鈍角な事に由来します。
- ヒノキの由来は諸説あり、古代にこの木を擦り火を起こすのに利用された事から「火の木」と呼ばれた説と、神宮の用材などに用いられ尊く最高のものを表す「日」をとり「日の木」と呼ばれた説があります。
ヒノキの特徴(魅力)
- ヒノキは幹が垂直で枝が水平に広がり円錐状の美しい樹形をつくります。
- 円錐形の美しい樹形を鑑賞する目的で庭木として育てられたり、生垣や盆栽等として利用したり木材をとるために育てられます。
- ヒノキは野生では5000cmにも達し非常に大きく成長しますが園芸品種ではコンパクトな品種も多いため小さなお庭でも扱いやすいです。
- ヒノキの葉は小枝に鱗の様につく非常に小さな鱗片葉です。
- 枝葉は羽状に広がり隙間があり光を通すためレースの編み物の様な上品な外観をつくり柔らかな印象を与えます。
- ヒノキの葉(鱗片葉)は先端が鈍角でサワラの様に尖りません。
- ヒノキの葉(鱗片葉)の気孔帯はY字型になりますがヒノキはX字型です。
- 葉の色は通常緑色ですが幾つかの品種では黄色の葉色があるためカラーリーフとして楽しまれる事もあります。
- ヒノキの木材は最高品質で高級なため高い人気があります。
- 木材の色は白色(~薄黄色)をしていてレモンの淡い香りの様な心地よい香りが非常に長く保ちます。
- 木材は緻密で狂いがなく高い耐朽性があり神社や神宮等の用材として利用されたり一般的家庭の家でも利用されます。
- 檜風呂はヒノキの木材の温もりと心地よい香りが感じられ高い人気があります。
ヒノキの茎は木質で樹皮は赤褐色から灰褐色になり、縦に割れ不規則に剥がれます。樹形は円錐形、幹は直径最大250cmに達し垂直、枝は横に伸び、高さ約2000(~5000)cmに成長します。葉序は対生、葉色は緑色、葉身は羽状して小枝に長さ約0.2(~0.4)cmの鱗片葉(葉先が鈍角)がつき、葉裏にある白い気孔帯は「Y字型」に見えます。花は雌雄同株のため雄花と雌花が一つの木にあります。雄花は直径約0.2(~0.3)cmで茶褐色をしており枝先に1個つきます。雌花は直径0.3(~0.5)cmの球形で緑色をしています。果実は球果で、球果は直径約0.8(~1.2)cmの球状で鱗が約8(~12)個あり、成熟するにつれて緑色から赤褐色へと色がかわります。
ヒノキの園芸品種
コンパクタ(chamaecyparis obtusa compacta)は高さが最大750cmまでと一般的な主と比べて背が低いため扱いやすく、樹形は円錐形になり洗練された美しい樹形をつくります。
- クリプシー(chamaecyparis obtusa ‘crippsii’)は高さが450cm程度で一般的な種と比較してそれほど背が高くならず、樹形は円錐形の洗練された樹形をつくり、色鮮やかな黄色(黄金色)の派手な葉色が魅力の園芸品種です。
- カマラチバ(chamaecyparis obtusa ‘Kamarachiba’)は高さが最大60cm程度しかなく非常に背が低いため鉢植え等でも育てやすく、また枝葉が横へと広がり枝垂れる優雅な樹形をつくり、イエローリーフ(~イエローグリーン)の葉色が明るい雰囲気をつくる魅力の園芸品種です。
- チリメン(chamaecyparis obtusa ‘chirimen’)は高さが最大80cm程度しかなく非常に背が低いため鉢植え等でも育てやすく、また成長も緩やかで年間数cmしか成長しません。また枝葉が大きく広がらないため茎(幹・枝)のシルエットが強調される個性的な姿が見られます。
- ミニマ(chamaecyparis obtusa ‘Minima’)は高さが最大45cm程度しかなく年間1cm程度しか成長しないため非常に管理が楽な園芸品種です。樹形はもこもことした可愛らしい球状になります。
- ナナ(chamaecyparis obtusa ‘nana’)はドワーフヒノキとも呼ばれ高さが100cm程度しかなく、丸みを帯びた可愛らしい樹形をつくる所が魅力の園芸品種です。
- スパイラリス(chamaecyparis obtusa ‘spiralis’)は高さが350cm程度しかないため小さなお庭でも扱いやすく、また枝が螺旋を描くように斜上に伸びるためトルネードを描くような独特な樹形をつくります。
ヒノキの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ヒノキの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
ヒノキ・コンパクタの育て方
花壇の土づくり
日当たり
ヒノキ・コンパクタは成長するために多くの光を必要とするため、基本的には直射日光が6時間以上あたる日向で育てましょう。また品種によっては葉やけを引き起こす事があるため3時間~5時間の半日影がよい場合があり、明るい日陰に適応して成長することもあります。
土壌の土質
ヒノキ・コンパクタは幅広い土壌に耐えますが、通気性がよく適度に肥沃な土壌を好みます。そのため植え付けの前に土壌診断と改善をしっかり行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ヒノキ・コンパクタは日当り好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。また3時間~5時間の半日影までで育てられます。
培養土
ヒノキ・コンパクタの培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土+ボラ土(細粒)+腐葉土=4+2+4
- 赤玉土(中粒)+バーク堆肥=5:5
水やりの仕方
生育初期
ヒノキ・コンパクタは植え付けから2年、根が張り活着するまでは、土が完全に乾燥しないように定期的に水やりを行い育てましょう。
地植え
ヒノキ・コンパクタは乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。
鉢植え
ヒノキ・コンパクタを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
ヒノキ・コンパクタはある程度、有機物を含んだ肥沃な土壌であれば肥料を必要としません。また植え付け後数年は冬から晩冬に肥料を与える事で成長が促進される事もあります。ただし与えなくても問題ありません。
オススメは肥料の代わりに、株の周りに堆肥(腐葉土等)をマルチングする事です。堆肥でマルチングする事で、肥沃な土壌が作られ、雑草が生える事も防げます。
肥料を与える場合(寒肥)
植え付け後の肥料は毎年冬から晩冬(1月~2月)に与えます。基本的にある程度肥沃な土壌であれば肥料を必要としないことから、牛糞堆肥や腐葉土等を株から少し離れた場所にマルチングもしくは、穴を掘って埋めるだけで良いです。肥料を与える場合は水平型の配合肥料もしくは緩効性肥料を選びます。施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か穴を掘り、その中に配合肥料もしくは緩効性肥料を施しましょう。
剪定のやり方
ヒノキ・コンパクタは基本的には殆ど剪定せずに育てる事が出来ます。ただし剪定する事で、成長を制御したり健康な成長を促す事が出来ます。
剪定する際に注意する事は、葉のない場所まで強く剪定しない事です。何故なら古い茎(葉のない茎)から新しい芽が出て復活する事が基本的にないからです。また強い剪定も避けてください。何故なら外観を大きく損ねたりストレスで枯れてしまう原因にもなるからです。
自然樹形として育てる場合
ヒノキ・コンパクタの剪定時期は晩春から初夏です。
ヒノキ・コンパクタの剪定のやり方は枯れた茎や損傷した茎、病気の茎等の健康な成長を阻害する不要な茎を見つけて根元から間引き剪定します。また変色した葉や形を整える目的で茎の途中で切り戻し剪定する場合は、必ず葉の上で剪定しましょう。葉のない場所まで強く切り戻すと残された枝はそのまま枯れこみます。
生垣(トピアリー)として育てる場合
ヒノキ・コンパクタを生垣として形状を維持しながら育てたい場合は「切り戻し剪定」を行いましょう。
切り戻し剪定を行う時期は晩春から初夏に剪定する事が出来ます。
切り戻し剪定のやり方は求める樹形をイメージしながら個々の枝を剪定しましょう。
剪定する際は、葉の上で必ず剪定します。何故なら葉のない場所まで強く切り戻すと残された裸の枝が、そのまま枯れ込むからです。また葉のない枝が復活する事は基本的にないため間引き剪定して他の枝葉に光が当たるようにします。
播種で増やす
ヒノキの種蒔の方法
播種時期:3月~5月(理想)・何時でも
発芽適温:約20~25度
発芽日数:
発芽条件:低温要求性種子
ヒノキは寒さを経験しないと発芽しない、低温要求性種子です。そのため、冬の寒さを自然に体験させて発芽させるか、冷蔵庫(約4度)等に入れて寒さを経験させた後に種を撒く必要があります。処理を行うメリットは発芽が揃いやすい所にあります。
種まき手順
- ヒノキは発芽の為に寒さの経験が必要なため、秋に種を撒いて冬の寒さを経験させた後に春に発芽させるか、低温処理した後で春に種を撒くかです。
- 春に種を撒く場合は果実(球果)から種子を取り出し、一晩水につけます。
- やや湿らせたバーミキュライトに種を混ぜポリ袋の中に入れて、冷蔵庫(約4度)の中で6~8週間保管して寒さを経験させます。
- 低温を種が経験すると休眠打破して発芽の準備が整います。
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。