
- 原産:日本
- 科:ヒノキ(Cupressaceae)
- 属:ヒノキ(Chamaecyparis)
- 種:サワラ(pisifera)
- 別名:サワラヒノキ/サワラ・サイプレス(Sawara cypress )
- 品種:黄金糸ヒバ(chamaecyparis pisifera ‘filifera aurea’)
- 開花時期:4月
- 花の色:緑色●黄色●
- 葉の色:黄色●
- 分類:常緑高木
- 草丈:約60~150cm
- 花言葉:不老/不死/不滅/強い忍耐力
- 用途:コニファー/カラーリーフ
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
黄金糸ヒバ(オウゴンヒヨクヒバ)とは!?
黄金糸ヒバ(オウゴンヒヨクヒバ)は葉全体が色鮮やかな黄色をしているため明るい雰囲気をつくり、また高さ180~600cmまでの広円錐形に広がる美しい樹形と、優美に枝葉が枝垂れる姿が魅力の園芸品種です。
サワラとは!?
サワラは学名Chamaecyparis pisifera、別名では「サワラヒノキ」や「サワラ・サイプレス(Sawara cypress )」とも呼ばれる日本固有の常緑高木です。日本の分布は本州・四国・九州で、山地の谷や沢沿い等の湿った場所に自生しています。
サワラの語源(由来)
- 属名のChamaecyparisは古代ギリシア語で「地球上」や「地面の上」を意味する「χαμαί(khamaí)」と、古代ギリシア語で「ヒノキ」を意味する「κυπάρισσος(kupárissos)」の2語からきています。
- 種小名のpisiferaはラテン語で「えんどう豆」を意味する「pisum」と、ラテン語で「運ぶ」「耐える」等を意味する「ferre」の2語からきており、えんどう豆サイズの実に由来します。
サワラの特徴(魅力)
- サワラは幹が垂直で枝が水平に広がり円錐状の美しい樹形をつくります。
- 円錐形の美しい樹形を鑑賞する目的で庭木として育てられたり、生垣や盆栽等として利用したり木材をとるために育てられます。
- サワラは野生では4000cmにも達し非常に大きく成長しますが園芸品種ではコンパクトな品種も多いため小さなお庭でも扱いやすいです。
- サワラの葉は小枝に鱗の様につく非常に小さな鱗片葉です。
- 枝葉は羽状に広がり隙間があり光を通すためレースの編み物の様な上品な外観をつくり柔らかな印象を与えます。
- サワラの葉(鱗片葉)は先端が尖りヒノキは尖りません。
- サハラの葉(鱗片葉)の気孔帯はX字型になりますがヒノキはY字型です。
- 葉の色は通常緑色ですが幾つかの品種では黄色の葉色があるためカラーリーフとして楽しまれる事もあります。
- サワラの木材は軽く柔らかくヒノキより水湿耐性があり人気の高い木材です。
- 水湿耐性が高いため風呂桶等に利用されます。
- ヒノキの様に木材の強い香りがないため食品関係(米びつ等)に利用されます。
- サワラは軽いため屋根材等に利用されます。
サワラの茎は木質で樹皮は赤褐色から灰褐色になり、縦に割れ不規則に剥がれます。樹形は円錐形、幹は直径最大100cmに達し垂直、枝は横に伸び、高さ約3000(~4000)cmに成長します。葉序は対生、葉色は緑色、葉身は羽状して小枝に長さ約0.2(~0.3)cmの鱗片葉(葉先が尖る)がつき、葉裏にある白い気孔帯は「X字型」に見えます。花は雌雄同株のため雄花と雌花が一つの木にあります。雄花は楕円形で黄褐色(~紫褐色)をしています。雌花は球形で緑色をしています。実は球果で、球果は直径約0.6cmの球状で鱗が約6(~10)個あり、成熟するにつれて緑色から黄褐色へと色がかわります。
サワラの園芸品種
フィリフェラオーレア(chamaecyparis pisifera filifera aurea)は枝葉の先が優美に枝垂れる習慣(決まりのように繰り返す癖)があり、色鮮やかな黄色(黄金色)の葉色が明るい雰囲気をつくる魅力的な園芸品種です。樹形は広円錐形に広がり、高さ180~600cmまで成長するため育てる際は十分なスペースが必要です。
黄金糸ヒバは高さ180~600cm程度、黄金色の美しい葉色をもつ品種です。
ゴールデンモップ(chamaecyparis pisifera golden mop)は一般的な種と比較して高さが150cmと背が非常に低く広円錐形の樹形をつくり、枝葉が大きく枝垂れ「モップ」の様になり、葉色は全体が鮮やかな黄色をしています。
- ボールバード(chamaecyparis pisifera’Boulevard’)は高さが最大800cmまでで円錐形の洗練された樹形をつくり、シルバーのベールで覆われたかのような美しい青緑色の葉がつく魅力的な園芸品種です。
- オウゴンシノブヒバ(chamaecyparis pisifera’Plumosa Aurea’)は成熟しても高さが200cm程度と背がとても低く広円錐形の樹形をつくります。一般的なサワラと比較して幼葉(若葉)を多く保持するためふんわりとした柔らかな外観をしており、葉色は黄色(~薄黄色)と緑色(~青銅色)の2色の葉色があります。
- ヒムロ(chamaecyparis pisifera’Squarrosa’)は高さ500~2500cmに緩やかに成長して円錐形の樹形をつくり、シルバーのベールで覆われたかのような美しい青緑色の葉をつける魅力的な園芸品種です。
- クリームボール(chamaecyparis pisifera ‘cream ball’)は成熟しても高さが45cm程度しかなく球状の可愛らしい樹形をつくり、葉色はクリーム色(薄黄色)をしている所が特徴の園芸品種です。
ヒノキの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ヒノキの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
黄金糸ヒバ(オウゴンヒヨクヒバ)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
黄金糸ヒバ(オウゴンヒヨクヒバ)は成長するために多くの光を必要とするため、基本的には直射日光が6時間以上あたる日向で育てましょう。また3時間~5時間の半日影までで育てられます。
土壌の土質
黄金糸ヒバ(オウゴンヒヨクヒバ)は幅広い土壌に耐えますが、通気性がよく適度に肥沃な土壌を好みます。そのため植え付けの前に土壌診断と改善をしっかり行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
黄金糸ヒバ(オウゴンヒヨクヒバ)は日当り好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。また3時間~5時間の半日影までで育てられます。
培養土
黄金糸ヒバ(オウゴンヒヨクヒバ)の培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土+ボラ土(細粒)+腐葉土=4+2+4
- 赤玉土(中粒)+バーク堆肥=5:5
水やりの仕方
生育初期
黄金糸ヒバ(オウゴンヒヨクヒバ)は植え付けから2年、根が張り活着するまでは、土が完全に乾燥しないように定期的に水やりを行い育てましょう。
地植え
黄金糸ヒバ(オウゴンヒヨクヒバ)は乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。
鉢植え
黄金糸ヒバ(オウゴンヒヨクヒバ)を鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
黄金糸ヒバ(オウゴンヒヨクヒバ)はある程度、有機物を含んだ肥沃な土壌であれば肥料を必要としません。また植え付け後数年は冬から晩冬に肥料を与える事で成長が促進される事もあります。ただし与えなくても問題ありません。
オススメは肥料の代わりに、株の周りに堆肥(腐葉土等)をマルチングする事です。堆肥でマルチングする事で、肥沃な土壌が作られ、雑草が生える事も防げます。
肥料を与える場合(寒肥)
植え付け後の肥料は毎年冬から晩冬(1月~2月)に与えます。基本的にある程度肥沃な土壌であれば肥料を必要としないことから、牛糞堆肥や腐葉土等を株から少し離れた場所にマルチングもしくは、穴を掘って埋めるだけで良いです。肥料を与える場合は水平型の配合肥料もしくは緩効性肥料を選びます。施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か穴を掘り、その中に配合肥料もしくは緩効性肥料を施しましょう。
剪定のやり方
黄金糸ヒバ(オウゴンヒヨクヒバ)は基本的には殆ど剪定せずに育てる事が出来ます。ただし剪定する事で、成長を制御したり健康な成長を促す事が出来ます。
剪定する際に注意する事は、葉のない場所まで強く剪定しない事です。何故なら古い茎(葉のない茎)から新しい芽が出て復活する事が基本的にないからです。また強い剪定も避けてください。何故なら外観を大きく損ねたりストレスで枯れてしまう原因にもなるからです。
自然樹形として育てる場合
黄金糸ヒバ(オウゴンヒヨクヒバ)の剪定時期は晩春から初夏です。
黄金糸ヒバ(オウゴンヒヨクヒバ)の剪定のやり方は枯れた茎や損傷した茎、病気の茎等の健康な成長を阻害する不要な茎を見つけて根元から間引き剪定します。また変色した葉や形を整える目的で茎の途中で切り戻し剪定する場合は、必ず葉の上で剪定しましょう。葉のない場所まで強く切り戻すと残された枝はそのまま枯れこみます。
生垣(トピアリー)として育てる場合
黄金糸ヒバ(オウゴンヒヨクヒバ)を生垣として形状を維持しながら育てたい場合は「切り戻し剪定」を行いましょう。
切り戻し剪定を行う時期は晩春から初夏に剪定する事が出来ます。
切り戻し剪定のやり方は求める樹形をイメージしながら個々の枝を剪定しましょう。
剪定する際は、葉の上で必ず剪定します。何故なら葉のない場所まで強く切り戻すと残された裸の枝が、そのまま枯れ込むからです。また葉のない枝が復活する事は基本的にないため間引き剪定して他の枝葉に光が当たるようにします。
播種で増やす
サワラの種蒔の方法
播種時期:3月~5月(理想)・何時でも
発芽適温:約20~25度
発芽日数:
発芽条件:低温要求性種子
サワラは寒さを経験しないと発芽しない、低温要求性種子です。そのため、冬の寒さを自然に体験させて発芽させるか、冷蔵庫(約4度)等に入れて寒さを経験させた後に種を撒く必要があります。処理を行うメリットは発芽が揃いやすい所にあります。
種まき手順
- サワラは発芽の為に寒さの経験が必要なため、秋に種を撒いて冬の寒さを経験させた後に春に発芽させるか、低温処理した後で春に種を撒くかです。
- 春に種を撒く場合は果実(球果)から種子を取り出し、一晩水につけます。
- やや湿らせたバーミキュライトに種を混ぜポリ袋の中に入れて、冷蔵庫(約4度)の中で6~8週間保管して寒さを経験させます。
- 低温を種が経験すると休眠打破して発芽の準備が整います。
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。