- 原産:日本/朝鮮
- 科:マツ(Pinaceae)
- 属:マツ(Pinus)
- 種:クロマツ(thunbergii)
- 別名:オマツ(雄松)/ブラック・パイン(black pine)/ジャパニーズ・ブラック・パイン(Japanese black pine)/ジャパニーズ・パイン(Japanese pine)
- 開花時期:4月~5月
- 花の色:緑色●赤色●黄色●
- 葉の色:緑色●黄色●
- 分類:常緑高木
- 草丈:約2000~3500cm
- 誕生花:1月1日
- 花言葉:勇敢/永遠の若さ/不老長寿
- 用途:カラーリーフ
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
クロマツ(黒松)とは!?
クロマツ(黒松)は学名Pinus thunbergii、別名では「オマツ(雄松)」や「ブラック・パイン(black pine)」とも呼ばれる日本および朝鮮が原産の常緑高木です。日本の分布は本州・四国・九州で、海岸付近に自生しています。
クロマツ(黒松)の語源(由来)
- 属名のPinusはラテン語で「松」を意味する「pine」に由来します。
- 種小名のthunbergiiは、スウェーデンの植物学者で博物学者のカール・ペーテル・ツンベルク(Carl Peter Thunberg)への献名です。
- クロマツ(黒松)の由来は樹皮の色が黒色(黒褐色)をしていて、葉が二股(マタ→マツ)に分かれる所からきています。
- 別名のオマツ(雄松)の由来は、葉が硬めなクロマツ(雄松)を男に例え、葉が柔らかいメマツ(雌松)を女に例えた事からきています。
クロマツ(黒松)の特徴(魅力)
- クロマツ(黒松)は日本庭園等で重要な役割を果たしており庭木として親しまれたり盆栽として利用されたりします。
- 幹は垂直もしくは曲がり枝は同じ高さから輪生に横に広がり美しい樹形をつくります。
- クロマツ(黒松)の茎は黒褐色(灰黒色)をしており和名の由来にもなります。
- クロマツ(黒松)の葉はアカマツと比べて硬いです。
- 硬い葉を男性に例え別名でオマツ(雄松)とも呼ばれます。
- 葉は束生して2個ずつ葉がでる2葉です。
- 葉の色は通常緑色ですが幾つかの品種では黄色の葉色があるためカラーリーフとして楽しまれる事もあります。
- クロマツ(黒松)を含めマツは挿し木による増殖が難しいため園芸品種を増やしたい場合は実生から台木をとり接ぎ木して増やされます。
- 果実は開花後の翌年10月頃に実り松ぼっくりや松かさ等と呼ばれ親しまれます。
- 松ぼっくりの長さは4~7cmです。
- 晴れた日に鱗状の種鱗が開き内側から翼のついた種子を放出します。
- クロマツ(黒松)は海岸沿いを中心に自生しており強風や塩害に強い性質をもちます。
- そのため防風林として利用する目的で植栽されます。
- クロマツ(黒松)の木材は重硬で硬く主に建材等に利用されています。
- クロマツ(黒松)は菌根菌(共生菌)と共生しており栄養を共生菌から受け取るため栄養の乏しい土地でも育ちます。
クロマツ(黒松)の茎は木質で樹皮は黒褐色もしくは灰黒色をしており、亀甲状に割れ、そのまま亀甲状に剥がれます。樹形は直立、幹は垂直もしくはやや曲がり、枝は同じ高さから何本も横に伸びて輪生する傾向があり、高さ約2000(~3500)cmに成長します。葉序は束生(2個ずつ)、葉色は緑色、葉身の長さ約7(~15)cm、葉身の形は針形(断面は半円形)で、アカマツと比べ硬いです。花は若枝に咲き雌雄同株のため雄花と雌花が個々にわかれて一つの木にあります。雄花は黄色(~黄褐色)をしていて若枝(穂)に穂状に並ぶ形で咲きます。雌花は赤色(~赤桃色)をしていて若枝(穂)の先端に数個つきます。実(果実)は球果で花後の翌年の10月頃に実り、毬果(松ぼっくり)とも呼ばれます。球果は長さ約4(~7)cmの卵形、鱗状に種鱗が重なり、熟すと種鱗が開き、種鱗の内側に2個ずつ入った長い翼の付いた種子を放出します。
クロマツ(黒松)の園芸品種
- サンダーヘッド(pinus thunbergii ‘thunderhead’)は入道雲を思わせるような不規則にもこもこと成長する枝と樹形が特徴の園芸品種です。樹高は150~300cmと一般的な種と比べてとても低いため庭木としても育てやすいです。
- オゴン(pinus thunbergii ‘ogon’)は1年を通して色鮮やかな黄色の葉があり、緑色と黄色の2色の葉色がお庭に明るい雰囲気をつくる魅力的な園芸品種です。樹高は150~300cmと一般的な種と比べてとても低いため庭木としても育てやすいです。
マツの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
マツ(松)の珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
クロマツ(黒松)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
クロマツ(黒松)は成長するために多くの光を必要とするため、基本的には直射日光が6時間以上あたる日向で育てましょう。日当りや風通りの悪い環境では下枝が枯れこみやすくなります。
土壌の土質
クロマツ(黒松)は幅広い土壌で育ちますが、雨の後にジメジメした過湿が長く続いたり、雨ですぐに浸水する様な土壌では、葉が黄化する等の様々な生育不良がおきやすくなります。そのため基本的には通気性と排水性がよく適度に肥沃な土壌に植えてあげましょう。
またマツ類は根に共生菌が付いており、共生菌が生育を助ける(水や養分を遠くからとってくる)ため共生菌の住みやすい環境をくん炭等をいれ作って上げるのも良いかもしれません。その他にも、排水性や通気性を高めるために植え付け時に土を盛上げて高植えする事も排水性を高める事も大切です。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
高植え
高植えとは、木(樹)の根っこの上部が地面より少し高い場所になるように苗を定植する事です。土を盛上げ高植えする事で、土壌の排水性や通気性が高くなり根腐れしにくくなる等のメリットがあります。そのためジメジメとした過湿を苦手にしている植物や乾燥に強い植物等に向く定植方法です。それ以外の植物では土壌が乾燥しやすくなり管理が大変になる事が多いため行われません。
鉢土づくり
日当り
クロマツ(黒松)は日当り好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。日当りや風通りの悪い環境では下枝が枯れこみやすくなるため注意が必要です。
培養土
クロマツ(黒松)の培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。またマツ類は根に共生菌が付いており、共生菌が生育を助ける(水や養分を遠くからとってくる)ため共生菌の住みやすい環境をくん炭等をいれ作って上げるのも良いかもしれません。
- 赤玉土+ボラ土(細粒)+腐葉土=4:2:4
- 赤玉土(中粒)+バーク堆肥+くん炭=5:4:1
水やりの仕方
生育初期
クロマツ(黒松)は植え付けから2年、根が張り活着するまでは、土が完全に乾燥しないように定期的に水やりを行い育てましょう。
地植え
クロマツ(黒松)は乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。
鉢植え
クロマツ(黒松)を鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
クロマツ(黒松)は日当りがよければ痩せた土地でも育ち多くの肥料を必要としません。また栄養の少ない土壌の方が共生菌が働きやすい環境となり共生菌が増えやすい傾向にあります。
基本的に肥料は寒肥の1回のみ与えます。
肥料を与える場合(寒肥)
植え付け後の肥料は毎年冬から晩冬(1月~2月)に与えます。肥料の成分は油カスもしくは栄養がバランスよく入る水平型の配合肥料もしくは緩効性肥料を選びましょう。施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か穴を掘り、その中に配合肥料もしくは緩効性肥料を施します。
剪定のやり方
クロマツ(黒松)の剪定(お手入れ)は「みどり摘み」「もみあげ(葉むしり)」「間引き剪定」の3つを必要に応じて行います。
みどり摘み
みどり摘みとは新芽が展開して葉が開く前に適当な長さで摘む事です。みどり摘みを行わない場合は、枝が長く間延びして節間が長く葉が少なくなる傾向にあります。みどり摘みを行う事で節間が詰まり葉が密生する樹形をつくる事が出来ます。
みどり摘みの時期は新芽(新鞘)が発生する5月頃です。
みどり摘みのやり方は、まず1箇所から3~6本出てくる新芽を全部で3本にします。中央にある強い新芽1本と弱い新芽を0~2本を根元から取り除きましょう。次に新芽の上の部分を3分の1から3分の2の間で指で摘みとります。残った部分はそのままにしておき成長させます。
もみあげ(葉むしり)
もみあげ(葉むしり)とは前年の葉と当年の1部の葉をむしりとる事です。もみあげ(葉むしり)を行う事で下枝にも日が当たり風通しがよくなるため、日照不足で下枝が枯れ込む事が防げたり、病害虫の発生を予防する事に繋がります。
もみあげ(葉むしり)を行う時期は9月~10月の秋頃です。
もみあげ(葉むしり)のやり方は、まず前年の枝の古い葉とそれ以前の根元近くの古い葉を全て取り除きます。当年枝の葉は30~40本程度残してもみとりますが、一概ではありません。強く成長させたい枝には葉を多く残したり、枝の成長を抑制したい場合は葉の量を減らしたりします。また上の枝ほど葉の数を減らし下の枝ほど葉の数を多く残すなど、求める樹形に合わせてもみあげする葉を調整する事も大切になるため、仕上がる樹形を想像しながらもみあげを行うとよいでしょう。
間引き剪定
間引き剪定とは日当りや風通し、樹形を乱す不要な茎を根元から剪定して取り除く事です。
間引き剪定の剪定時期は秋に行います。生育が盛んな春に行うと樹液が流れ見た目が悪くなったり害虫を引き寄せやすくなります。
間引き剪定のやり方は枯れた茎や損傷した茎、病気の茎等の健康な成長を阻害する不要な茎を見つけて根元から間引き剪定します。また樹形を乱す不要な茎(忌み枝)も必要に応じて根元から間引き剪定します。
夏越しする方法
クロマツ(黒松)は夏の暑さに強く、基本的には夏越し対策は不要です。
冬越しする方法
Hardiness:3b~7a
クロマツ(黒松)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
クロマツ(黒松)は挿し木が難しいため園芸品種を増やしたい場合は接ぎ木で増やされます。
播種で増やす
クロマツ(黒松)の種蒔の方法
播種時期:3月~5月(理想)・何時でも
発芽適温:約20~25度
発芽日数:
発芽条件:
クロマツ(黒松)は寒さを経験させる事で発芽を揃える出来ます。そのため冷蔵庫(約4度)等に入れて寒さを経験させた後に種が撒かれる事が多いです。
種まき手順
- 種を撒く前に果実(球果)から種子を取り出し、種子を水の中に24時間つけます。
- やや湿らせたバーミキュライトに種を混ぜ密閉される袋の中に入れて、冷蔵庫(約4度)の中で4週間保管して寒さを経験させます。
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
クロマツ(黒松)の病気
- 漏脂病
- 枝枯病
- 葉枯病
- 葉さび病
- すす病
クロマツ(黒松)の害虫
- カイガラムシ類
- マツノマダラカミキリ
- マツカレハ
- ハバチ類
- マツバノタマバエ