- 原産:日本/朝鮮/中国/モンゴル/ロシア
- 科:マツ(Pinaceae)
- 属:マツ(Pinus)
- 種:ハイマツ(pumila)
- 別名:イザリマツ/シベリアン・ドワーフ・パイン(Siberian dwarf pine)/ドワーフ・ストーン・パイン(dwarf stone pine)/ジャパニーズ・ストーン・パイン(Japanese stone pine)/クリーピング・パイン(creeping pine)
- 開花時期:6月~7月
- 花の色:緑色●赤色●黄色●
- 葉の色:緑色●青色●
- 分類:常緑低木/針葉樹
- 草丈:約100~300cm(最大500cm)
- 誕生花:1月1日
- 花言葉:勇敢/永遠の若さ/不老長寿
- 用途:
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ハイマツ(這松)とは!?
ハイマツ(這松)は学名Pinus pumila、別名では「イザリマツ」や「シベリアン・ドワーフ・パイン(Siberian dwarf pine)」とも呼ばれる日本および朝鮮、中国、モンゴル、ロシアが原産の常緑低木です。日本の分布は北海道・本州(中部以北)で、高山に自生しています。
ハイマツ(這松)の語源(由来)
- 属名のPinusはラテン語で「松」を意味する「pine」に由来します。
- 種小名のpumilaはラテン語で「矮性」「矮小な」を意味しており背の低い樹形に由来します。
- ハイマツ(這松)の由来は地面を這うように成長する姿からきています。
ハイマツ(這松)の特徴(魅力)
- ハイマツ(這松)は地面を這うように広がる樹形から地被植物や盆栽、またこんもり茂る品種では庭木として利用されます。
- 茎は主幹がはっきりとせず非常に枝分かれがよく地面を匍匐するように広がります。
- ハイマツ(這松)の茎は束生して5個ずつ葉が出る5葉です。
- ハイマツ(這松)を含めマツは挿し木による増殖が難しいため園芸品種を増やしたい場合は実生から台木をとり接ぎ木して増やされます。
- ハイマツの花は6月から7月に開花し雄花が真紅に染まり非常に派手で目立ちます。
- 果実は開花後の翌年9~10月頃に実り松ぼっくりや松かさ等と呼ばれ親しまれます。
- 松ぼっくりの長さは2~5cmです。
- 晴れた日に鱗状の種鱗が開き内側から翼のない種子を放出します。
- ハイマツ(這松)は菌根菌(共生菌)と共生しており栄養を共生菌から受け取るため栄養の乏しい土地でも育ちます。
ハイマツ(這松)の茎は木質で樹皮は灰褐色もしくは黒褐色をしており、薄く剥がれます。樹形は通常マット状、茎は枝分かれが非常によく匍匐性(地表を這い途中で根を出す)で高さ約100(~500)cmに成長します。葉は束生(5個ずつ)、葉色は緑色、葉身の長さ約3(~9)cm、葉身の形は針形で断面は台形です。花は当年枝に咲き雌雄同株のため雄花と雌花が個々にわかれて一つの木にあります。雄花は赤色(~桃色)もしくは黄色をしていて当年枝に穂状に並ぶ形で咲きます。雌花は赤桃色をしていて当年枝(穂)の先端に1~数個つきます。実(果実)は球果で花後の翌年の9(~10)月頃に実り、毬果(松ぼっくり)とも呼ばれます。球果は長さ約2(~5)cmの卵形、鱗状に種鱗が重なり、熟すと種鱗が開き、種鱗の内側に2個ずつ種子があり、種子には翼がありません。
ハイマツ(這松)の園芸品種
- グローブ(pinus pumila ‘globe’)は薄らシルバーのベールで覆われたかのような灰青色の上品な葉色と、高さ約60cm幅約120cmにこんもり成長する樹形が魅力の園芸品種です。
- グラウカ(pinus pumila ‘glauca’)はシルバーのベールで覆われたかのような灰青色(~灰緑色)の上品な葉色と、高さ約120cm幅約90cmにこんもり成長する樹形が魅力の園芸品種です。
マツの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
マツ(松)の珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
ハイマツ(這松)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
ハイマツ(這松)は成長するために多くの光を必要とするため、基本的には直射日光が6時間以上あたる日向で育てましょう。日当りの悪い環境では葉が黄色くなるなどの生育不良を引き起こす可能性があります。
土壌の土質
ハイマツ(這松)は幅広い土壌で育ちますが、雨の後にジメジメした過湿が長く続いたり、雨ですぐに浸水する様な土壌では、葉が黄化する等の様々な生育不良がおきやすくなります。そのため基本的には通気性と排水性がよく適度に肥沃な砂壌土に植えてあげましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ハイマツ(這松)は日当り好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。日当りや風通りの悪い環境では下枝が枯れこみやすくなるため注意が必要です。
培養土
ハイマツ(這松)の培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良い培養土で育てましょう。肥沃さはそれほど必要としません。
- 赤玉土+鹿沼土+腐葉土=4:2:4
- 赤玉土(中粒)+バーク堆肥+くん炭=6:3:1
水やりの仕方
生育初期
ハイマツ(這松)は植え付けから2年、根が張り活着するまでは、土が完全に乾燥しないように定期的に水やりを行い育てましょう。
地植え
ハイマツ(這松)は乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。
鉢植え
ハイマツ(這松)を鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
ハイマツ(這松)は日当りがよければ痩せた土地でも育ち多くの肥料を必要としません。また栄養の少ない土壌の方が共生菌が働きやすい環境となり共生菌が増えやすい傾向にあります。
基本的に肥料は寒肥の1回のみ与えます。
肥料を与える場合(寒肥)
植え付け後の肥料は毎年冬から晩冬(1月~2月)に与えます。肥料の成分は油カスもしくは栄養がバランスよく入る水平型の配合肥料もしくは緩効性肥料を選びましょう。施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か穴を掘り、その中に配合肥料もしくは緩効性肥料を施します。
剪定のやり方
ハイマツ(這松)の剪定は基本的に不要です。風通しや日当りをよくして健康な成長を促したり、樹形を整える目的で必要に応じて剪定する事も出来ます。
間引き剪定
間引き剪定とは日当りや風通し、樹形を乱す不要な茎を根元から剪定して取り除く事です。
間引き剪定の剪定時期は秋に行います。
間引き剪定のやり方は枯れた茎や損傷した茎、病気の茎等の健康な成長を阻害する不要な茎を見つけて根元から間引き剪定します。また樹形を乱す不要な茎(忌み枝)も必要に応じて根元から間引き剪定します。
夏越しする方法
ハイマツ(這松)は夏の暑さや多湿を苦手にしています。そのため、土壌の通気性や排水性を高めておいたり、間引き剪定等をおこない風通しをよくする等の対策を行いましょう。
冬越しする方法
Hardiness:3b~7a
ハイマツ(這松)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
ハイマツ(這松)は挿し木が難しいため園芸品種を増やしたい場合は接ぎ木で増やされます。
播種で増やす
ハイマツ(這松)の種蒔の方法
播種時期:3月~5月(理想)・何時でも
発芽適温:約20~25度
発芽日数:
発芽条件:
ハイマツ(這松)は寒さを経験させる事で発芽を揃える出来ます。そのため冷蔵庫(約4度)等に入れて寒さを経験させた後に種が撒かれる事が多いです。
種まき手順
- 種を撒く前に果実(球果)から種子を取り出し、種子を水の中に24時間つけます。
- やや湿らせたバーミキュライトに種を混ぜ密閉される袋の中に入れて、冷蔵庫(約4度)の中で4週間保管して寒さを経験させます。
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
ハイマツ(這松)の病気
- 漏脂病
- 枝枯病
- 葉枯病
- 葉さび病
- すす病
ハイマツ(這松)の害虫
- カイガラムシ類
- マツノマダラカミキリ
- マツカレハ
- ハバチ類
- マツバノタマバエ