- 原産:地中海沿岸
- 科:マツ(Pinaceae)
- 属:マツ(Pinus)
- 種:イタリアカサマツ(pinea)
- 別名:ストーン・パイン(stone pine)/イタリアン・ストーン・パイン(Italian stone pine)/アンブレラ・パイン(umbrella pine)/パラソル・パイン(parasol pine)
- 開花時期:4月~5月
- 花の色:緑色●黄色●紫色●
- 葉の色:緑色●黄色●
- 分類:針葉樹/常緑高木
- 草丈:約1000~3500cm
- 誕生花:1月1日
- 花言葉:同情/哀れみ/不老長寿
- 用途:
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
イタリアカサマツとは!?
イタリアカサマツは学名Pinus pinea、別名では「ストーン・パイン(stone pine)」や「アンブレラ・パイン(umbrella pine)」等とも呼ばれる地中海沿岸が原産の常緑高木です。
イタリアカサマツの語源(由来)
- 属名のPinusはラテン語で「松」を意味する「pine」に由来します。
- 種小名のpineaはラテン語で「松のような」を意味する「pineus」の語尾が変化したものです。
イタリアカサマツの特徴(魅力)
- イタリアカサマツは木が成熟してくると下部の枝が落ちる傾向にあり上部の枝が横へと大きく張り出して「傘」や「ドーム」に例えられる壮大な樹形をつくります。
- 若木の時は枝葉が密につき円形(~楕円形)の樹形をしています。
- イタリアカサマツはイタリア(ローマ)のシンボルツリーとして知られており別荘や公園や歴史的な街道沿いに多数植えられています。
- イタリアカサマツの葉は幼木(若木)と成木で大きさや生え方の形態がことなります。
- 実生から3年間は殆どの葉が幼葉で3年目以降から幼葉と成葉が混合して10年目以降は成葉のみとなります。
- 幼葉は束生にならず1本ずつ生え葉色は光沢のある青緑色で長さ1.5~4cm程度です。
- 成葉は2本ずつの束生に生え葉の長さが10~20cmあります。
- イタリアカサマツは実は大きく長さ8~15cmあり約36ヶ月かけて成熟します。
- 種子も大きく長さ約2cmあり食用として古くは6000年以上前から栽培され利用されて来ました。
- 松の実(種子)はバターの様な風味とカリカリとした食感があり多くの場合は風味を引き出すためローストする等の調理が行われます。
- 食べ方はサラダに入れたり、パスタに入れたり、肉料理に入れたり、パン生地やパイ等に入れて焼き食べられたりします。
イタリアカサマツの茎は木質で、樹皮は灰褐色もしくは赤褐色をしており、亀甲状に割れ、粗く亀甲状に剥がれます。樹形は若い時は球状をしていて、成熟すると傘型になり、一般的に単幹(根元から上部まで幹が1本)で稀に若木で株立ち状(地際付近から幹・枝が立ち上がる茂る樹形)になります。幹は直立してやや曲がりくねり、枝は水平もしくは斜上して樹高は約1000(~3500)cmに成長します。葉は幼葉と成葉があり3年目までは殆どが幼葉でそれ以降の10年目までは幼葉と成葉が混合します。幼葉は束生にならず、葉色は光沢のある青緑色で、葉身の長さは1.5(~4)cmの針形です。成葉は束生(2個ずつ)して、葉色は緑色で、葉身の長さは10(~20)cmの針形です。花は若枝に咲き雌雄同株のため雄花と雌花が個々にわかれて一つの木にあります。雄花は黄色(~橙色)をしていて若枝(穂)に穂状に並ぶ形で咲きます。雌花は紫色(~赤紫色)をしていて若枝(穂)の先端に数個つきます。実(果実)は球果で毬果(松ぼっくり)とも呼ばれます。球果は長さ約8(~15)cmの卵形、鱗状に種鱗が重なり、約36ヶ月かけ熟すと種鱗が開き、種鱗の内側にある翼の付いた種子が放出されます。
イタリアカサマツの園芸品種
- シルバークレスト(pinus pinea ‘silver crest’)は灰緑色の葉が密に茂る事で、銀色のベールで包まれたような美しい外観をつくる魅力的な園芸品種です。シルバーリーフはスッキリと洗練された印象を与えるためエレガントなお庭等によくあいます。また樹高も60~250cmと、とても低いため小さなお庭でも育てやすい所も魅力です。
マツの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
マツ(松)の珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
イタリアカサマツの育て方
花壇の土づくり
日当たり
イタリアカサマツは成長するために多くの光を必要とするため、基本的には直射日光が6時間以上あたる日向で育てましょう。日当りや風通りの悪い環境では下枝が枯れこみやすくなります。
土壌の土質
イタリアカサマツは幅広い土壌で育ちますが、雨の後にジメジメした過湿が長く続いたり、雨ですぐに浸水する様な土壌では、葉が黄化する等の様々な生育不良がおきやすくなります。そのため基本的には通気性と排水性がよく適度に肥沃な土壌に植えてあげましょう。また排水性や通気性を高めるために植え付け時に土を盛上げて高植えする事も排水性を高める事も大切です。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
高植え
高植えとは、木(樹)の根っこの上部が地面より少し高い場所になるように苗を定植する事です。土を盛上げ高植えする事で、土壌の排水性や通気性が高くなり根腐れしにくくなる等のメリットがあります。そのためジメジメとした過湿を苦手にしている植物や乾燥に強い植物等に向く定植方法です。それ以外の植物では土壌が乾燥しやすくなり管理が大変になる事が多いため行われません。
鉢土づくり
日当り
イタリアカサマツは日当り好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。日当りや風通りの悪い環境では下枝が枯れこみやすくなるため注意が必要です。
培養土
イタリアカサマツの培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土+ボラ土(細粒)+腐葉土=4:2:4
- 赤玉土(中粒)+鹿沼土+バーク堆肥+くん炭=4:2:3:1
水やりの仕方
生育初期
イタリアカサマツは植え付けから2年、根が張り活着するまでは、土が完全に乾燥しないように定期的に水やりを行い育てましょう。
地植え
イタリアカサマツは乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。
鉢植え
イタリアカサマツを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
イタリアカサマツは日当りがよければ痩せた土地でも育ち多くの肥料を必要としません。基本的に肥料は寒肥の1回のみ与えます。
肥料を与える場合(寒肥)
植え付け後の肥料は毎年冬から晩冬(1月~2月)に与えます。肥料の成分は油カスもしくは栄養がバランスよく入る水平型の配合肥料もしくは緩効性肥料を選びましょう。施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か穴を掘り、その中に配合肥料もしくは緩効性肥料を施します。
剪定のやり方
イタリアカサマツの剪定は基本的に不要です。健康な成長を促したり、樹形を整える目的で必要に応じて剪定する事も出来ます。
間引き剪定
間引き剪定とは日当りや風通し、樹形を乱す不要な茎を根元から剪定して取り除く事です。
間引き剪定の剪定時期は秋に行います。生育が盛んな春に行うと樹液が流れ見た目が悪くなったり害虫を引き寄せやすくなります。
間引き剪定のやり方は枯れた茎や損傷した茎、病気の茎等の健康な成長を阻害する不要な茎を見つけて根元から間引き剪定します。また樹形を乱す不要な茎(忌み枝)も必要に応じて根元から間引き剪定します。
夏越しする方法
イタリアカサマツは夏の暑さに強く、基本的には夏越し対策は不要です。
冬越しする方法
Hardiness:8b~11a
イタリアカサマツは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
イタリアカサマツの挿し木は実生と比べて根が出にくく難度は高いですが、挿し木により増やす事が出来ます。
イタリアカサマツの挿し木の方法
- イタリアカサマツの挿し木時期は晩春から初夏が適します。
- 挿し穂は今年成長したまだ柔らかい茎を長さ10~15cmでとりましょう。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 茎の下部の葉を取り除きます。
- 挿し穂の切り口を水の中に30分程浸けて水揚げを行います。
- 挿し木用の培養土に幾つかの節を入れ挿し穂を深く挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
イタリアカサマツの種蒔の方法
播種時期:3月~5月(理想)・何時でも
発芽適温:約20度
発芽日数:
発芽条件:
イタリアカサマツは寒さを経験させる事で発芽を揃える出来ます。そのため冷蔵庫(約4度)等に入れて寒さを経験させた後に種が撒かれる事が多いです。
種まき手順
- 種を撒く前に果実(球果)から種子を取り出し、種子を水の中に24時間つけます。
- やや湿らせたバーミキュライトに種を混ぜ密閉される袋の中に入れて、冷蔵庫(約4度)の中で4週間保管して寒さを経験させます。
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
イタリアカサマツの病気
イタリアカサマツの害虫