- 原産:中央・南西ヨーロッパ
- 科:マツ(Pinaceae)
- 属:マツ(Pinus)
- 種:モンタナマツ(mugo)
- 別名:ムゴマツ/スイスコウザンマツ/スイスミヤママツ/ドック・パイン(bog pine)/ドワーフ・マウンテン・パイン(dwarf mountain pine)/ムゴ・パイン(mugo pine)/マウンテン・パイン(mountain pine)/スイス・マウンテン・パイン(Swiss mountain pine )
- 開花時期:4月~6月
- 花の色:緑色●赤色●黄色●
- 葉の色:緑色●青色●黄色●
- 分類:常緑低木
- 草丈:約100~600cm
- 用途:コニファー/カラーリーフ
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
モンタナマツとは!?
モンタナマツは学名Pinus mugo、別名では「ムゴマツ」や「スイスコウザンマツ」とも呼ばれる中央・南西ヨーロッパが原産の常緑高木です。
モンタナマツの語源(由来)
- 属名のPinusはラテン語で「松」を意味する「pine」に由来します。
- 種小名のmugoはフランス語の「mugho pine」もしくはイタリア語の「mugo」からきています。
モンタナマツの特徴(魅力)
- モンタナマツは亜種が3個あります。
- Pinus mugo subsp. mugoは多くが株立ち状(地際から複数の幹・枝が立ち上がる)で高さが300~600cmと背が低く、下部が広がるずんぐりした樹形となります。
- pinus mugo subsp. uncinataは通常、単幹(根元から上部まで幹が1本)で、高さが2000cmまで成長し、円錐形の樹形を作ります。
- Pinus mugo subsp. rotundataは上記2つの交雑種です。
- モンタナマツは石庭等の日本庭園風の庭をつくる目的で庭木として利用されたり、背の低い品種では地被植物や低い生垣として利用されたり、盆栽として楽しむ目的で育てられたりもします。
- 園芸品種では背が低く地被植物のように成長(傾状茎)する形態のものや株立ち状の樹形をつくり低い生垣としても利用できるものなどが人気です。
- モンタナマツの葉は束生して2個(稀に3個)ずつ束になって葉がつきます。
- 葉の色は通常緑色ですが幾つかの品種では黄色の葉色があるためカラーリーフとして楽しまれる事もあります。
- 果実は開花後の翌年9月以降に実り他のマツの木の実と同様に松かさや松ぼっくり等と呼ばれます。
- モンタナマツは根が出るまでに時間がかかる事がありますが挿し木による増殖が可能なため園芸品種を増やしやすいです。
モンタナマツの茎は木質で、樹皮は灰褐色もしくは灰黒色となり、亀甲状に割れ、そのまま亀甲状に剥がれます。樹形は単幹(根元から上部まで幹が1本)もしくは株立ち状(地際付近から幹・枝が立ち上がる茂る樹形)になり茎は直立もしくは傾状(地表を這い途中で立ち上がる)して、高さ約100(~600)cmに成長します。葉は束生(2~3個ずつ)、葉色は緑色、葉身の長さ約2(~7.5)cm、葉身の形は針形です。花は当年枝に咲き雌雄同株のため雄花と雌花が個々にわかれて一つの木にあります。雄花は黄色(~赤色)をしていて当年枝(穂)に穂状に並ぶ形で咲きます。雌花は円錐形で紫色(~暗褐色)をしていて当年枝(穂)の先端に数個つきます。実(果実)は球果で毬果(松ぼっくり)とも呼ばれます。球果は長さ約2(~5.5)cmの卵形、鱗状に種鱗が重なり、熟すと種鱗が開き、種鱗の内側にある翼の付いた種子が放出されます。
モンタナマツの園芸品種
- モップ(pinus mugo ‘mops’)は高さ幅ともに100cm程度までしか育たず、クッションを思わせる様なモコモコとした可愛らしい半球状の樹形をつくる所が魅力の園芸品種です。
- プミリオ(pinus mugo ‘pumilio’)は非常に成長が遅いため管理がしやすく、また横へと広がる傾向があるため地被植物や低い生垣とした利用されたりします。またエメラルドの様な濃い緑色の葉色も高く評価されている園芸品種(変種として扱われる場合もある)です。樹高は約60~120cm幅は約150~300cmで緩やかに成長します。
- スロウマウンド(pinus mugo ‘slowmound’)は株立ち状に地面から多数の茎を出し、傾状に茎が広がり山の様なこんもりした樹形をつくる園芸品種です。成長は緩やかで高さ90~120cm、幅約120~150cmに成長します。
- カルステン・ウィンターゴールド(pinus mugo ‘carsten’s wintergold’)は春・夏は緑色で冬になると鮮やかな黄色もしくは赤みを帯びた黄金色の葉にかわる魅力的な園芸品種です。成長は非常に緩やかで高さ約60cm、幅約60cmに成長します。
- オフィール(pinus mugo ‘ophir’)は春・夏はイエローグリーンの明るい葉色をしており、また冬になると鮮やかな黄色の葉色に変わり、1年を通してお庭を明るく彩るカラーリーフとして利用できる魅力的な園芸品種です。成長は非常に緩やかで高さ約60~90cm、幅約60~90cmに成長します。
マツの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
マツ(松)の珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
モンタナマツの育て方
花壇の土づくり
日当たり
モンタナマツは成長するために多くの光を必要とするため、基本的には直射日光が6時間以上あたる日向で育てましょう。日当りや風通りの悪い環境では下枝が枯れこみやすくなります。
土壌の土質
モンタナマツは幅広い土壌で育ちますが、雨の後にジメジメした過湿が長く続いたり、雨ですぐに浸水する様な土壌では、葉が黄化する等の様々な生育不良がおきやすくなります。そのため基本的には通気性と排水性がよく適度に肥沃な土壌に植えてあげましょう。また排水性や通気性を高めるために植え付け時に土を盛上げて高植えする事も排水性を高める事も大切です。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
高植え
高植えとは、木(樹)の根っこの上部が地面より少し高い場所になるように苗を定植する事です。土を盛上げ高植えする事で、土壌の排水性や通気性が高くなり根腐れしにくくなる等のメリットがあります。そのためジメジメとした過湿を苦手にしている植物や乾燥に強い植物等に向く定植方法です。それ以外の植物では土壌が乾燥しやすくなり管理が大変になる事が多いため行われません。
鉢土づくり
日当り
モンタナマツは日当り好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。日当りや風通りの悪い環境では下枝が枯れこみやすくなるため注意が必要です。
培養土
モンタナマツの培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。またマツ類は根に共生菌が付いており、共生菌が生育を助ける(水や養分を遠くからとってくる)ため共生菌の住みやすい環境をくん炭等をいれ作って上げるのも良いかもしれません。
- 赤玉土+ボラ土(細粒)+腐葉土=4:2:4
- 赤玉土(中粒)+鹿沼土+バーク堆肥+くん炭=4:2:3:1
水やりの仕方
生育初期
モンタナマツは植え付けから2年、根が張り活着するまでは、土が完全に乾燥しないように定期的に水やりを行い育てましょう。
地植え
モンタナマツは乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。
鉢植え
モンタナマツを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
モンタナマツは日当りがよければ痩せた土地でも育ち多くの肥料を必要としません。栄養の多すぎる土壌では成長が早くなりすぎて樹形が乱れたり、共生菌がへる可能性があります。
基本的に肥料は寒肥の1回のみ与えます。
肥料を与える場合(寒肥)
植え付け後の肥料は毎年冬から晩冬(1月~2月)に与えます。肥料の成分は油カスもしくは栄養がバランスよく入る水平型の配合肥料もしくは緩効性肥料を選びましょう。施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か穴を掘り、その中に配合肥料もしくは緩効性肥料を施します。
剪定のやり方
モンタナマツの剪定(お手入れ)は成長を制御する「みどり摘み」と必要に応じて「間引き剪定」の2つを行います。
みどり摘み
みどり摘みとは新芽が展開して葉が開く前に適当な長さで摘む事です。みどり摘みを行わない場合は、枝が長く間延びして節間が長く葉が少なくなる傾向にあります。みどり摘みを行う事で節間が詰まり葉が密生する樹形をつくる事が出来ます。
みどり摘みの時期は新芽(新鞘)が発生する5月頃です。
みどり摘みのやり方は、まず1箇所から3~6本出てくる新芽を全部で3本にします。中央にある強い新芽1本と弱い新芽を0~2本を根元から取り除きましょう。次に新芽の上の部分を3分の1から3分の2の間で指で摘みとります。残った部分はそのままにしておき成長させます。
間引き剪定
間引き剪定とは日当りや風通し、樹形を乱す不要な茎を根元から剪定して取り除く事です。
間引き剪定の剪定時期は秋に行います。生育が盛んな春に行うと樹液が流れ見た目が悪くなったり害虫を引き寄せやすくなります。
間引き剪定のやり方は枯れた茎や損傷した茎、病気の茎等の健康な成長を阻害する不要な茎を見つけて根元から間引き剪定します。また樹形を乱す不要な茎(忌み枝)も必要に応じて根元から間引き剪定します。
夏越しする方法
モンタナマツは夏の暑さに強く、基本的には夏越し対策は不要です。
冬越しする方法
Hardiness:3b~7a
モンタナマツは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
モンタナマツは挿し木により増やす事が出来ます。
モンタナマツの挿し木の方法
- モンタナマツの挿し木時期は晩春から初夏が適します。
- 挿し穂は今年成長したまだ柔らかい茎を長さ10~15cmでとりましょう。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 茎の下部の葉を取り除きます。
- 挿し穂の切り口を水の中に30分程浸けて水揚げを行います。
- 挿し木用の培養土に幾つかの節を入れ挿し穂を深く挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
モンタナマツの種蒔の方法
播種時期:3月~5月(理想)・何時でも
発芽適温:約20~25度
発芽日数:
発芽条件:
モンタナマツは寒さを経験させる事で発芽を揃える出来ます。そのため冷蔵庫(約4度)等に入れて寒さを経験させた後に種が撒かれる事が多いです。
種まき手順
- 種を撒く前に果実(球果)から種子を取り出し、種子を水の中に24時間つけます。
- やや湿らせたバーミキュライトに種を混ぜ密閉される袋の中に入れて、冷蔵庫(約4度)の中で4週間保管して寒さを経験させます。
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
モンタナマツの病気
- 漏脂病
- 枝枯病
- 葉枯病
- 葉さび病
- すす病
モンタナマツの害虫
- カイガラムシ類
- マツノマダラカミキリ
- マツカレハ
- ハバチ類
- マツバノタマバエ