- 原産:セルビア/ボスニア
- 科:マツ(Pinaceae)
- 属:トウヒ/スプルース(Picea)
- 種:オモリカトウヒ(omorika)
- 別名:セルビアン・スプルース(Serbian spruce)/オモリカ(omorika)
- 開花時期:4月~6月
- 花の色:黄色●赤色●紫色●
- 葉の色:緑色●黄色●白色〇
- 分類:常緑高木
- 草丈:約1000~5000cm
- 花言葉:不運の中の希望
- 用途:コニファー/カラーリーフ
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
オモリカトウヒとは!?
オモリカトウヒは学名Picea omorika、別名では「セルビアン・スプルース(Serbian spruce)」や「オモリカ(omorika)」等とも呼ばれるセルビアおよびボスニアが原産の常緑高木です。
オモリカトウヒの語源(由来)
- 属名のPiceaは粘着性のある樹液および樹脂に関連して「タール」や「ピッチ (樹脂)」を意味するラテン語の「Pix + 接尾辞」に由来しています。
- 種小名のomorikaはセルビア語で単に「トウヒ」を意味する「оморика」に由来しています。
オモリカトウヒの特徴(魅力)
- オモリカトウヒは円錐形に成長する洗練された樹形を鑑賞する目的で大きな庭等で装飾用の木として育てられます。
- 基本的に剪定しなくても円錐形の樹形になる習慣があり逆に剪定を行うと樹形を乱す原因になる事があります。
- オモリカトウヒの葉は針形で長さ0.8(~2)cmあり螺旋状に密につきます。
- 葉は下部に目立つ白色の気孔線があるため光沢のある灰緑色の外観をつくります。
- 葉の色は通常緑色ですが幾つかの品種では黄色の葉色があるためカラーリーフとして楽しまれる事もあります。
- オモリカトウヒの実(松ぼっくり)は長さが約5~6cmです。
- 若い実(雌花)は赤紫色をしており非常に装飾的です。
- オモリカトウヒは野生では5000cmにも達し非常に大きく成長しますが園芸品種ではコンパクトな品種もあるため小さなお庭でも扱いやすいです。
- 円錐形の美しい樹形をつくる事から洗練された雰囲気のお庭の庭木として魅力的です。
- 底の浅い鉢で樹形をコントロールしながら育てると盆栽にもなります。
オモリカトウヒの茎は木質で樹皮は灰色もしくは赤褐色をしており、樹皮は成熟すると鱗状に粗く割れ剥がれます。樹高は約1000(~5000)cm、樹形は円錐形、幹は単幹(根元から上部まで幹が1本)、枝は輪生(同じ高さから枝が何本も出る)で横に広がります。葉序は互生で螺旋状に密につき、葉色は緑色で下部の断面に2本の白色の気孔線があるため青白色(~灰緑色)、葉身の長さ約0.8(~2)cm、葉身の形は針形です。花は雌雄同株のため赤色の雄花と赤紫色(~紫色)の雌花が個々にわかれて一つの木にあります。実(果実)は球果で松ぼっくりとも呼ばれます。球果は若い時は赤紫色をしており熟すと赤褐色になります。球果の長さ約5(~6)cmの円錐形、鱗状に種鱗が重なり、種鱗の内側に長さ約0.5(~0.8)cmの褐色の翼の付いた長さ0.1(~0.3)cmの種子があります。
オモリカトウヒの園芸品種
- ペンデュラ(picea omorika ‘pendula’)は幹が大きく曲がったり、枝葉が大きく枝垂れ幽霊が羽織るボロ布を連想させるような個性的な樹形をつくる所が特徴の園芸品種です。樹高は約300~1000cmまでに成長します。
- ピモコ(picea omorika ‘pimoko’)は円錐形に成長する一般的なオモリカトウヒと違い、樹形が半球状もしくは球状になる成長習慣をもっており、また葉は白色の気孔線が目立つため美しい灰緑色の外観をつくる魅力的な園芸品種です。樹高は約30cmと背が低いため小さな花壇でも育てやすく横へと約50cmほどこんもりと広がるため地被植物としても利用出来ます。
- オーレア(picea omorika ‘aurea’)は新しく成長する若葉が黄色をしており、黄色と緑色の2色の葉色が光で照らさてたかのような明るい雰囲気をつくる魅力的な園芸品種です。樹形は円錐形で、樹高は最大900cmと背が高く幅は約600cmまで成長するため十分なスペースをとって育てましょう。
トウヒ(スプルース)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
トウヒ(スプルース)の珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
オモリカトウヒの育て方
花壇の土づくり
日当たり
オモリカトウヒは成長するために多くの光を必要とするため、基本的には直射日光が6時間以上あたる日向で育てましょう。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。直射日光の当たらない完全な日陰は許容しません。
土壌の土質
オモリカトウヒは、やや湿り気が保たれた通気性の良い壌土から砂壌土を好み、肥沃な土でよく育ちます。そのため植え付けの前に土壌診断を行い改善を行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
オモリカトウヒは日当り好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。
培養土
オモリカトウヒの培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土+鹿沼土+腐葉土=4:2:4
- 赤玉土(中粒)+鹿沼土+バーク堆肥+くん炭=4:2:3:1
水やりの仕方
生育初期
オモリカトウヒは植え付けから2年、根が張り活着するまでは、土が完全に乾燥しないように定期的に水やりを行い育てましょう。
地植え
オモリカトウヒは乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。
鉢植え
オモリカトウヒを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
オモリカトウヒはある程度、有機物を含んだ肥沃な土壌であれば肥料を必要としません。成長初期に肥料を与える事で成長がよくなる事もありますが、与えなくても問題ありません。
オススメは肥料の代わりに、株の周りに堆肥(腐葉土等)をマルチングする事です。堆肥でマルチングする事で、肥沃な土壌が作られ、雑草が生える事も防げます。
肥料を与える場合(寒肥)
植え付け後の肥料は毎年冬から晩冬(1月~2月)に与えます。基本的にある程度肥沃な土壌であれば肥料を必要としないことから、牛糞堆肥や腐葉土等を株から少し離れた場所にマルチングもしくは、穴を掘って埋めるだけで良いです。肥料を与える場合は配合肥料もしくは緩効性肥料を選びます。施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か穴を掘り、その中に配合肥料もしくは緩効性肥料を施しましょう。
剪定のやり方
オモリカトウヒの剪定は基本的に不要です。余計な剪定(芯止め剪定や刈り込み等)を行うと後々に美しい円錐形の樹形を崩す場合があり、過度な剪定を行うと強いストレスで枯れ込む事もあります。
ただし必要に応じて、健康な成長を促す目的で「間引き剪定」をしたり、樹形を綺麗に整える目的で「切り戻し剪定」をする事も出来ます。
間引き剪定
間引き剪定とは日当りや風通し、樹形を乱す不要な茎を根元から剪定して取り除く事です。健康な成長を促したり、見た目を整える目的があります。
間引き剪定の剪定時期は秋に行います。生育が盛んな春に行うと樹液が余分に流れ見た目が悪くなったり害虫を引き寄せたり病気になり枯れ込む原因となります。
間引き剪定のやり方は枯れた茎や損傷した茎、病気の茎等の健康な成長を阻害する不要な茎を見つけて根元から間引き剪定するだけです。また樹形を乱す不要枝も必要に応じて根元から間引きするか、枝の途中で切り戻し剪定しましょう。
切り戻し剪定
切り戻し剪定とは長く伸びた茎を茎の途中から剪定して、日当りや風通しを改善したり、見た目を整える目的、枝分かれを促し密に茂る樹形をつくる目的で行う剪定です。
切り戻しの剪定時期は秋もしくは早春に行います。
切り戻し剪定のやり方は、側面から長く伸びてくる枝葉を全体と自然樹形に合わせながら少し中(奥)めの節の部分で剪定します。その際は必ず葉の上で剪定しましょう。葉のない場所まで強く切り戻すと残された枝はそのまま枯れこみます。また一度にたくさん剪定すると過度にストレスがかかり枯れ込む事もあるため、剪定は全体の4部の1以上行わないようにしましょう。
夏越しする方法
オモリカトウヒは基本的に冷涼で湿度が高めの気候を好んでおり、高温多湿な環境では生育不良を引き起こしやすいです。そのため必要に応じて夏越し対策を行いましょう。
オモリカトウヒの夏越し対策
- 鉢植えで育てている場合は、暑さと乾燥対策として、西日の当たらない半日影に移動するといいでしょう。
- 乾燥を苦手にしていることから地植えした株でも雨が降らない時は必要に応じて水やりを行います。
- 鉢植えで育てている場合は、より乾燥が早くなるため注意が必要です。
- 高温多湿を苦手にしているため土壌の排水性を高めて、長雨でも浸水しないようにしたり通気性を高め根にしっかり酸素が行き渡る様にしておきましょう。
冬越しする方法
Hardiness:4b~7a
オモリカトウヒは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
オモリカトウヒは挿し木(若木)や接ぎ木により増やす事が出来ます。
オモリカトウヒの挿し木の方法
- オモリカトウヒの挿し木時期は晩夏から初秋が適します。
- 挿し穂は今年成長した弾力がある茎(硬くない茎)を長さ約10~15cmでとりましょう。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 茎の下部の葉を取り除きます。
- 挿し穂の切り口を水の中に30分程浸けて水揚げを行います。
- 効果が高いため発根促進剤をつけます。
- 挿し木用の培養土に幾つかの節を入れ挿し穂を深く挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
おすすめの発根促進剤
播種で増やす
オモリカトウヒの種蒔の方法
播種時期:3月~5月(理想)・何時でも
発芽適温:約20度
発芽日数:
発芽条件:低温要求性種子
オモリカトウヒは寒さを経験しないと発芽しない、低温要求性種子です。そのため、冬の寒さを自然に体験させて発芽させるか、冷蔵庫(約4度)等に入れて寒さを経験させた後に種を撒く必要があります。処理を行うメリットは発芽が揃いやすい所にあります。
種まき手順
- 種を撒く前に果実(球果)から種子を取り出し、種子を水の中に24時間つけます。
- やや湿らせたバーミキュライトに種を混ぜ密閉される袋の中に入れて、冷蔵庫(約4度)の中で約6週間保管して寒さを経験させます。
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
オモリカトウヒの病気
オモリカトウヒの害虫
- ハマキムシ