- 原産:北アメリカ
- 科:マツ(Pinaceae)
- 属:トウヒ/スプルース(Picea)
- 種:コロラドトウヒ(pungens)
- 別名:プンゲンストウヒ/ブルー・スプルース(blue spruce)/グリーン・スプルース(green spruce)/コロラド・スプルース(Colorado spruce)/コロラド・ブルースプルース(Colorado blue spruce)
- 品種:ビアロボク(picea pungens ‘bialobok’)
- 開花時期:4月~5月
- 花の色:緑色●黄色●赤色●
- 葉の色:緑色●黄色●白色〇
- 分類:常緑高木
- 草丈:約600~1500cm
- 花言葉:不運の中の希望
- 用途:コニファー/カラーリーフ
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
コロラドトウヒ(ビアロボク)とは!?
コロラドトウヒ(ビアロボク)は春に新しく成長する葉で見られる黄色(~クリーム色)の葉色と、成熟した葉で見られる灰緑色の2色の葉色が、光で照らさてたかのような明るい雰囲気をつくる魅力的な園芸品種です。樹形は円錐形で、樹高は約100~300cmと背が低いため小さな花壇でも育てやすいです。
コロラドトウヒとは!?
コロラドトウヒは学名Picea pungens、別名では「プンゲンストウヒ」や「ブルー・スプルース(blue spruce)」等とも呼ばれる北アメリカが原産の常緑高木です。
コロラドトウヒの語源(由来)
- 属名のPiceaは粘着性のある樹液および樹脂に関連して「タール」や「ピッチ (樹脂)」を意味するラテン語の「Pix + 接尾辞」に由来しています。
- 種小名のpungensはラテン語で「刺す」を意味しており、先の尖った葉の形に由来します。
コロラドトウヒの特徴(魅力)
- コロラドトウヒは、長さ3cmに達する針形の長い葉と、白色の気孔が目立つ青緑色もしくは白緑色の美しい葉色が魅力です。
- 園芸では円錐型の美しい樹形を作ることから、洗練された印象を与える庭木や並木として利用されることがあります。
- カナダトウヒは他の針葉樹と同じように円錐型の樹形をつくる習慣(決まりのように繰り返す癖)があります。
- 樹皮は灰色から灰褐色をしており、古くなると鱗状に樹皮が剥がれます。
- コロラドトウヒの葉は長さ約3cmと長く、先の尖った針形をしており螺旋状に密につきます。
- 葉は断面が4つあり、断面の全面に白色の気孔があるため白緑色もしくは青白色となり、落ち着いた雰囲気や洗練された雰囲気をつくるカラーリーフとして楽しむ事ができます。
- 末端の枝葉は基本的に下垂せず横に向かいます。
- コロラドトウヒの実(松ぼっくり)は長さが約6~11cmです。
- コロラドトウヒは野生では3500cmにも達し非常に大きく成長しますが園芸品種ではコンパクトな品種も多いため小さなお庭でも扱いやすいです。
- 円錐形の美しい樹形をつくる事から洗練された雰囲気のお庭の庭木として魅力的です。
- 樹形の整ったコンパクトな品種を等間隔に並べればちょっとお洒落な並木としても楽しめます。
- 底の浅い鉢で樹形をコントロールしながら育てると盆栽にもなります。
- コロラドトウヒは他のトウヒよりも高温多湿にやや強いため育てやすい傾向があります。
コロラドトウヒの茎は木質で樹皮は灰色もしくは褐色(~赤褐色)をしており、樹皮は成熟すると鱗状に割れ剥がれます。樹高は約1500(~3500)cm、樹形は円錐形、幹の太さは最大150cmになり単幹(根元から上部まで幹が1本)、枝は輪生(同じ高さから枝が何本も出る)で水平に広がり、基本的に枝先は下がりません。葉序は互生で螺旋状に密につき、葉色は青緑色で全て断面に白い気孔があるため青白色もしくは灰緑色の外観になります。葉身の長さ約1.6(~3)cm、葉身の形は針形で、断面は4角になり葉先は鋭くとがります。花は雌雄同株のため黄褐色(~赤色)の長楕円形をした雄花と緑色(~受粉後に赤色)の卵形をした雌花が個々にわかれて一つの木にあります。実(果実)は球果で松ぼっくりとも呼ばれます。球果は熟すと褐色(~淡褐色)になります。球果の長さ約6(~11)cmの長楕円形、鱗状に種鱗が重なり、種鱗の内側に長さ約0.8(~1)cmの褐色の翼の付いた黒色の種子があります。
コロラドトウヒの園芸品種
- ホプシー(picea pungens ‘hoopsii’)は白色の粉雪が積もったかのような外観をしており、灰緑色(~灰青色)の美しい葉色と、殆ど剪定しなくても円錐形に成長する習慣が魅力的な園芸品種です。樹高は約600~1500cmと背が高く成長するため十分なスペースをとって育てましょう。
- ビアロボク(picea pungens ‘bialobok’)は春に新しく成長する葉で見られる黄色(~クリーム色)の葉色と、成熟した葉で見られる灰緑色の2色の葉色が、光で照らさてたかのような明るい雰囲気をつくる魅力的な園芸品種です。樹形は円錐形で、樹高は約100~300cmと背が低いため小さな花壇でも育てやすいです。
- コスター(picea pungens ‘koster’)は、一般的なコロラドトウヒと比較して葉色が全体的に白く灰みを帯びており、粉雪が積もったかのような美しい青白色もしくは灰緑色の外観をしていて、スッキリと洗練された印象を与える園芸品種です。そのため落ち着いた雰囲気とスタイリッシュでカッコ良い雰囲気があり洗練されたお庭等によくあいます。樹形は円錐形、樹高は約1000~1500cm幅約300~500cmまで大きく成長するため育てる際は十分なスペースが必要です。
- グロボーサ(picea pungens ‘globosa’)は円錐形に成長する一般的なコロラドトウヒと違い、樹形が半球状もしくは下部が横へ大きく開いた円錐形になる成長習慣をもっており、灰緑色の上品な葉色がカラーリーフとしても楽しめる魅力的な園芸品種です。樹高は約90~180cmと背が低いため小さな花壇でも育てやすいです。
- ベイビーブルー(picea pungens ‘baby blue’)は高さが約450~600cmまでしか成長しない矮性品種で、葉色はまるで粉雪で覆われたかのような灰緑色もしくは灰青色をしており上品なカラーリーフとしても楽しめます。
- ファット・アルバート(picea pungens ‘fat albert’)は幅広に成長する円錐形の樹形と、粉雪が積もったかの様な青白色もしくは灰緑色の葉色が魅力の園芸品種です。樹高は約300~500cm、幅は200~350cmに成長するため十分なスペースが必要です。
- ザ・ブルース(picea pungens ‘the blues’)は幹や枝葉が大きく枝垂れ個性的な樹形をつくる園芸品種です。樹高は約90~180cmに成長します。
トウヒ(スプルース)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
トウヒ(スプルース)の珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
コロラドトウヒ(ビアロボク)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
コロラドトウヒ(ビアロボク)は成長するために多くの光を必要とするため、基本的には直射日光が6時間以上あたる日向で育てましょう。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。直射日光の当たらない完全な日陰は許容しません。
土壌の土質
コロラドトウヒ(ビアロボク)は、やや湿り気が保たれた通気性の良い壌土から砂壌土を好み、肥沃な土でよく育ちます。そのため植え付けの前に土壌診断を行い改善を行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
コロラドトウヒ(ビアロボク)は日当り好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。
培養土
コロラドトウヒ(ビアロボク)の培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土+鹿沼土+腐葉土=4:2:4
- 赤玉土(中粒)+鹿沼土+バーク堆肥+くん炭=4:2:3:1
水やりの仕方
生育初期
コロラドトウヒ(ビアロボク)は植え付けから2年、根が張り活着するまでは、土が完全に乾燥しないように定期的に水やりを行い育てましょう。
地植え
コロラドトウヒ(ビアロボク)は乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。
鉢植え
コロラドトウヒ(ビアロボク)を鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
コロラドトウヒ(ビアロボク)はある程度、有機物を含んだ肥沃な土壌であれば肥料を必要としません。成長初期に肥料を与える事で成長がよくなる事もありますが、与えなくても問題ありません。
オススメは肥料の代わりに、株の周りに堆肥(腐葉土等)をマルチングする事です。堆肥でマルチングする事で、肥沃な土壌が作られ、雑草が生える事も防げます。
肥料を与える場合(寒肥)
植え付け後の肥料は毎年冬から晩冬(1月~2月)に与えます。基本的にある程度肥沃な土壌であれば肥料を必要としないことから、牛糞堆肥や腐葉土等を株から少し離れた場所にマルチングもしくは、穴を掘って埋めるだけで良いです。肥料を与える場合は配合肥料もしくは緩効性肥料を選びます。施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か穴を掘り、その中に配合肥料もしくは緩効性肥料を施しましょう。
剪定のやり方
コロラドトウヒ(ビアロボク)は剪定しなくても樹形が整うため基本的には剪定不要です。樹形を制限したり形を整えたい場合など、必要に応じて秋もしくは早春に剪定しましょう。剪定する際は、他の多くの針葉樹と同様に葉のない場所まで剪定すると、その枝が枯れ込むため注意して剪定する必要があります。
剪定方法
- コロラドトウヒは剪定しなくても円柱形や円錐形に形が整う習慣があるため基本的には剪定不要です。
- ただし樹形が乱れる場合もあり、また一部品種をのぞいて成長が早く高木になる可能性があるため必要に応じて剪定を行います。
- コロラドトウヒの庭木として剪定する場合は早春もしくは秋が適します。
- 株全体を観察して枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎を探して、これを根元から間引き剪定して取り除きます。
- 何故ならこれらの茎は日当りや風通しを阻害したり、エネルギーが分散して、健康に成長している茎葉に悪影響を及ぼしやすいからです。
- 剪定は基本的に樹形を生かした形にするため円錐形「▲」をつくるように剪定します。また上部を狭く下部を広く「▲」の形に剪定すると下部の枝葉にも光がしっかり当たるため、足元の枝が枯れこみにくくなるメリットもあります。※品種によりドーム状に成長するなど成長習慣が違う事もあるため一概ではありません。
- 形を整える場合は基本的には表面から飛び出た徒長枝を、表面から少し奥の場所で切り戻し剪定します。その際に葉のない場所まで強く切り込むと葉のない枝は復活しないため注意が必要です。
- 全体的に形を整えたい場合はヘッジトリマーなどを使って表面の数センチをなぞるように刈り込み剪定しましょう。
- 形を整える場合は基本的には表面から飛び出た徒長枝を、表面から少し奥の場所で切り戻し剪定します。その際に葉のない場所まで強く切り込むと葉のない枝は復活しないため注意が必要です。
- コロラドトウヒは高木のため上部を剪定しないとどこまでも高くなる可能性があるため必要に応じて剪定を行います。
- 希望の高さに達したら上部の茎の成長点を剪定(芯止め剪定)して成長を止めましょう。芯止めしても恒久的に成長がとまるわけではないため必要に応じて定期的に剪定する必要があります。
- また芯止め剪定により枝分かれして樹形が乱れる事があるため、幹が二股に分かれたらどちらか一方を取り除き、上部を「▲」に刈り込み剪定するとよいでしょう。
夏越しする方法
コロラドトウヒ(ビアロボク)は他のトウヒと比べると暑さに耐性がありますが、基本的に冷涼で湿度が高めの気候を好んでおり、高温多湿な環境では生育不良を引き起こしやすいです。そのため必要に応じて夏越し対策を行いましょう。
コロラドトウヒ(ビアロボク)の夏越し対策
- 鉢植えで育てている場合は、暑さと乾燥対策として、西日の当たらない半日影に移動するといいでしょう。
- 乾燥を苦手にしていることから地植えした株でも雨が降らない時は必要に応じて水やりを行います。
- 鉢植えで育てている場合は、より乾燥が早くなるため注意が必要です。
- 高温多湿を苦手にしているため土壌の排水性を高めて、長雨でも浸水しないようにしたり通気性を高め根にしっかり酸素が行き渡る様にしておきましょう。
冬越しする方法
Hardiness:2b~7a
コロラドトウヒ(ビアロボク)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
コロラドトウヒ(ビアロボク)は挿し木(若木)や接ぎ木により増やす事が出来ます。
コロラドトウヒ(ビアロボク)の挿し木の方法
- コロラドトウヒ(ビアロボク)の挿し木時期は晩夏から初秋が適します。
- 挿し穂は今年成長した弾力がある茎(硬くない茎)を長さ約10~15cmでとりましょう。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 茎の下部の葉を取り除きます。
- 挿し穂の切り口を水の中に30分程浸けて水揚げを行います。
- 効果が高いため発根促進剤をつけます。
- 挿し木用の培養土に幾つかの節を入れ挿し穂を深く挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
おすすめの発根促進剤
播種で増やす
コロラドトウヒの種蒔の方法
播種時期:3月~5月(理想)・何時でも
発芽適温:約20度
発芽日数:
発芽条件:低温要求性種子
コロラドトウヒは寒さを経験しないと発芽しない、低温要求性種子です。そのため、冬の寒さを自然に体験させて発芽させるか、冷蔵庫(約4度)等に入れて寒さを経験させた後に種を撒く必要があります。処理を行うメリットは発芽が揃いやすい所にあります。
種まき手順
- 種を撒く前に果実(球果)から種子を取り出し、種子を水の中に24時間つけます。
- やや湿らせたバーミキュライトに種を混ぜ密閉される袋の中に入れて、冷蔵庫(約4度)の中で約6週間保管して寒さを経験させます。
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
コロラドトウヒの病気
コロラドトウヒの害虫
- ハマキムシ