- 原産:モロッコ
- 科:マツ(Pinaceae)
- 属:ヒマラヤスギ(Cedrus)
- 種:アトラスシダー(atlantica)
- 英名:アトラスシダー(Atlas cedar)
- 別名:セドラス・アトランティカ
- 開花時期:9月~10月
- 花の色:黄色●赤色●緑色●
- 葉の色:緑色●青色●黄色●白色〇
- 分類:常緑高木
- 草丈:約3000~4000cm
- 誕生花:11月13日
- 花言葉:尊敬/たくましさ/報われぬ恋 /あなたを待つ/あなたのために生きる
- 用途:コニファー/カラーリーフ
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
アトラスシダーとは!?
アトラスシダーは学名Cedrus atlantica、別名では「セドラス・アトランティカ」等とも呼ばれるモロッコが原産の常緑高木です。
アトラスシダーの語源(由来)
- 属名のCedrusは古代ギリシア語の「κέδρος (kédros)」からきており、由来は不明です。
- 種小名のatlanticaは「アトラス山脈の」を意味しておりモロッコにあるアトラス山脈にこの木が自生している事に由来します。
アトラスシダーの特徴(魅力)
- アトラスシダーは円錐形(古木では直立)をつくる樹形や灰緑色に見える美しい葉色、樽の様に大きく個性的な形の実が特徴の常緑高木です。
- 基本的に剪定しなくても円錐形の樹形になる習慣(決まりのように繰り返す癖)があります。
- 葉は全面に白色の気孔があり灰緑色の外観があり幾つかの品種では青白く見えます。
- アトラスシダーには長枝と短枝があり葉は短枝に20~45本が密集してつきます。
- 葉の形は針形で長さ1(~2.2)cmあります。
- 葉には全面に気孔があり灰緑色から青緑色の外観をしており特に「グラウカ」と呼ばれる品種群では白みが強くなるためシルバーリーフのような外観となります。
- アトラスシダーの実は樽の様な形をしており長さ約5~8cm幅約3~5cmあります。
- 実は1年をかけて成熟して2年~3年かけて種鱗がとれ崩壊していき中の種を放出します。
- アトラスシダーは野生では4000cmにも達し非常に大きく成長しますが園芸品種ではコンパクトな品種も多いため小さなお庭でも扱いやすいです。
- 円錐形の美しい樹形をつくる事から洗練された雰囲気のお庭の庭木として魅力的です。
- 底の浅い鉢で樹形をコントロールしながら育てると盆栽にもなります。
- アトラスシダーの木材は耐久性や耐腐敗性が高い事から建材や家具等と様々な用途で利用されます。
- アトラスシダーの木(木材)にはシダーウッドの軽く心地よい香りがあります。
- シダーウッドの香りは心地よい事かアロマテラピー等にも使われます。
アトラスシダーの茎は木質で樹皮は灰色(~灰褐色)もしくは褐色(~赤褐色)をしており、樹皮は成熟すると鱗状に割れ剥がれます。樹高は約3000(~4000)cm、樹形は若い時は円錐形で成熟すると直立、幹の太さは約150(~200)cmになり単幹(根元から上部まで幹が1本)、枝は若い時は斜上から水平に広がる傾向にあり、枝には長枝(葉は疎らもしくは生えない)と短枝(密に葉が生える)があります。葉序は互生、長枝に疎らもしくは短枝に20(~45)個の葉が密につき、葉色は緑色、全ての断面に気孔があり、葉身の長さ約1(~2.5)cm、葉身の形は針形です。花は雌雄同株のため円柱形の黄色(~黄褐色)した雄花と円錐形の緑色(~赤紫色)の雌花が個々にわかれて一つの木にあります。実(果実)は球果で、球果は樽形をしており長さ約5(~8)cm、幅約3(~5)cmあり、鱗状に直径約3cmの種鱗が重なっています。実(果実)は受粉後約1年かけ成熟して、実の色が薄緑色から褐色になり数年(2~3年)かけて種鱗が崩壊して中の種子を放出します。種子は薄褐色で長さ約0.8(~1.3)cmあり大きめの翼がついています。
アトラスシダーの園芸品種
- グラウカ(cedrus atlantica ‘glauca’)は白色の粉雪が積もったかのような美しい青白色もしくは灰緑色の外観をしており、青白色(~灰緑色)の上品な葉色がスッキリと洗練された印象を与える園芸品種です。樹形は円錐形で、樹高は約300~1200cmに成長するため育てる際は十分なスペースが必要です。
- グラウカ・ ペンデュラ(cedrus atlantica ‘glauca pendula’)はグラウカと呼ばれる品種群の中の一品種です。グラウカは青白色(~灰緑色)の上品な葉色を持っている所が特徴で、ペンデュラは幹が大きく曲がったり、枝葉が大きく枝垂れたりしています。幹が垂れ高さ幅ともに400cm以上成長する可能性があるため十分なスペースで育てる必要があります。
- オーレア(cedrus atlantica ‘aurea’)は新しい葉の成長で見られるクリーム色の明るい葉色が魅力的な園芸品種です。樹高は約300~1500cmに成長します。
ヒマラヤスギの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ヒマラヤスギの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
アトラスシダーの育て方
花壇の土づくり
日当たり
アトラスシダーは成長するために多くの光を必要とするため、基本的には直射日光が6時間以上あたる日向で育てましょう。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
作土層
アトラスシダーがしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。苗(根鉢)の1.5~3倍の深さまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
アトラスシダーは幅広い土壌で育てられますが、雨後や散水後にジメジメとした多湿がいつまでも続くような土壌は嫌います。そのため植え付けの前に土壌診断を行い通気性がよく適度に肥沃な土壌をつくりましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
アトラスシダーは日当り好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
培養土
アトラスシダーの培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土+鹿沼土+腐葉土=4:2:4
- 赤玉土(中粒)+鹿沼土+バーク堆肥+くん炭=4:2:3:1
水やりの仕方
生育初期
アトラスシダーは植え付けから2年、根が張り活着するまでは、土が完全に乾燥しないように定期的に水やりを行い育てましょう。
地植え
アトラスシダーは乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。
鉢植え
アトラスシダーを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
アトラスシダーはある程度、有機物を含んだ肥沃な土壌であれば肥料を必要としません。成長を促進させる目的で春に一度、肥料を与えることが出来ます。ただし窒素成分の多い肥料を施すと肥焼けする事があるため注意が必要です。
オススメは肥料の代わりに、株の周りに堆肥(腐葉土等)をマルチングする事です。堆肥でマルチングする事で、肥沃な土壌が作られ、雑草が生える事も防げます。
肥料を与える場合(寒肥)
植え付け後の肥料は毎年冬から晩冬(1月~2月)に与えます。基本的にある程度肥沃な土壌であれば肥料を必要としないことから、牛糞堆肥や腐葉土等を株から少し離れた場所にマルチングもしくは、穴を掘って埋めるだけで良いです。肥料を与える場合は配合肥料もしくは緩効性肥料を選びます。施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か穴を掘り、その中に配合肥料もしくは緩効性肥料を施しましょう。
剪定のやり方
アトラスシダーは剪定をしなくても自然樹形のままで同じ形(円錐形等)をとる習慣(決まりのように繰り返す癖)があり、基本的に剪定不要です。過度な剪定を行うと後々に美しい円錐形の樹形を崩したり、枝から新芽が出ずにそのまま枝が枯れ込む事があるため剪定する際も注意が必要になります。
剪定のやり方は、健康な成長を促すための「間引き剪定」と、樹形の形を整える目的で行う「切り戻し剪定」の2つのパターンがあります。
間引き剪定
間引き剪定とは日当りや風通し、樹形を乱す不要な茎を根元から剪定して取り除く事です。健康な成長を促したり、見た目を整える目的があります。
間引き剪定の剪定時期は早春です。また枯れ枝であれば何時でも剪定して取り除く事が出来ます。
間引き剪定のやり方は枯れた茎や損傷した茎、病気の茎等の健康な成長を阻害する不要な茎を見つけて根元から間引き剪定するだけです。また樹形を乱す不要枝も必要に応じて根元から間引きするか、枝の途中で切り戻し剪定出来ます。
切り戻し剪定
切り戻し剪定とは長く伸びた茎を茎の途中から剪定して、日当りや風通しを改善したり、見た目を整える目的、枝分かれを促し密に茂る樹形をつくる目的で行う剪定です。
切り戻しの剪定時期は晩春から初夏に行います。
切り戻し剪定のやり方は、側面から長く伸びてくる枝葉を全体と自然樹形に合わせながら少し中(奥)めの節の部分で剪定します。また枝分かれを促しより密な樹形をつくる目的で表面をなぞるように枝先を軽く剪定する事が出来ます。切り戻し剪定する際は必ず葉の上で剪定しましょう。何故なら葉のない場所まで強く切り戻すと残された枝はそのまま枯れこむからです。また一度にたくさん剪定すると過度にストレスがかかり枯れ込む事もあるため、強く刈り込まない様にしましょう。
夏越しする方法
アトラスシダーは夏の暑さに強いため、基本的に夏越し対策は不要です。
冬越しする方法
Hardiness:6b~9a
アトラスシダーは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
アトラスシダーは挿し木で増やす事が難しいです。8月から9月に挿し木を試すことが出来ますが成功率は高くありません。そのため園芸品種等を増やしたい場合は実生から育てた2~3年生の苗に、増やしたい株の挿し穂を接ぎ木して増やすのが一般的です。親株と同じ習慣(決まりのように繰り返す癖)を持たない株で問題なければ実生(種)から増やして育てます。
播種で増やす
アトラスシダーの種蒔の方法
播種時期:3月~5月(理想)・何時でも
発芽適温:約20度
発芽日数:
発芽条件:低温要求性種子
アトラスシダーは寒さを経験しないと発芽しない、低温要求性種子です。そのため、冬の寒さを自然に体験させて発芽させるか、冷蔵庫(約4度)等に入れて寒さを経験させた後に種を撒く必要があります。処理を行うメリットは発芽が揃いやすい所にあります。
種まき手順
- 種を撒く前に果実(球果)から種子を取り出し、種子を水の中に24時間つけます。
- やや湿らせたバーミキュライトに種を混ぜ密閉される袋の中に入れて、冷蔵庫(約4度)の中で約2~4週間保管して寒さを経験させます。
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
アトラスシダーの病気
- すす病
アトラスシダーの害虫
- ハマキムシ